
シリンダーは
ボーリングをした後に、
ホーニングをするのが一般的。
んでその仕上げをしたのが・・・
画像のシリンダー。
経験豊富な識者のみなさんは気付いたでしょう。
ホーニングをする目的は、
適切な境界潤滑面を作ることにあります。
クロスハッチという・・・ごく浅い砥石の研ぎ跡を残すことで、
オイルを保持するようになってます。
某自動車メーカーでエンジン開発をしてらっしゃるお方が、
エンジン組みをあたしに頼んでくれたんですが、
そのお方が選んだシリンダー仕上げが、このホーニングでした。
このホーニング・・・
ちょいと珍しく#600でのプラトーホーニングなので、
ある意味キレイ過ぎます。
通常は#320くらい
メーカーのラインではもっと粗いです。
話は少しそれますが、
メーカーがやってくる設計はというのは
もう、あたしがしてるような検討とか、
想定なんてチャンチャラおかしいレベル。
10年10万kmを壊れずに走れなければいけない。
そのためのテストも実際にやってるわけです。
壊れた壊れないだけでなく、消耗過程も検証しています。
レヴリミットひとつ取っても違う。
あたしなんかセッティングする時は、
まぁ8500くらいまでにしといてくれよ
てな感じで、そのへんにリミッター入れといたりしますが
それなりの根拠はあるんですが、感覚に近いものがあります。
でもメーカーは、何万kmも走って汚れたエンジン内部で、
ヘタったバルブスプリングで、
それでもここまでは保証しようってとこで、
レヴリミットを決めてくるんです。
そうやって走られた時に、
各部がどのように疲労し、磨耗するかをテストしてるんです。
その想定は、10年10万km以上。
そんな想定やテストを実際にやりながら、
エンジンを開発し設計をしているエンジニアの方が、
選んだ#600仕上げのホーニングってのは、
さぞかし価値があるんだろうなって思って、
あたしはそれを聞いてみました。
そしたらね…
こんな風に答えてくれました。
#320でもかなり良いです。
プラトー仕上げしてくれてるなら
それ以上は本来は何も望むところは無い。
無いんだけど…
#600でやってくれるなんて面白いじゃない?
ちょっとやってもらおうじゃん!
って思っただけですよ。
だって。(笑)
ちなみに画像のシリンダー壁を見せたら、
おー!なんかヤバイなぁ~
って笑ってました。
ホントにね…
頭が良いうえに遊び心まで持ってるという…
尊敬できる方なんですよ。(笑)
この方のエンジンを組ませてもらって、
メーカーの設計視点というかその思想に触れることが出来ただけで、
あたしは光栄だったし、かけがえのない経験でした。
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Posted at
2011/05/02 13:59:43