
フィアット・ムルティプラといえば、初代モデルはフィアット600をベースにしてRR(リヤエンジン・リヤドライブ)でありながらも、その後の1BOXカーやミニバンに通じる、6人乗りのクルマとして1956~1966年まで生産されました(ちなみに「ムルティプラ」とは「多用途」の意味)。
そして、その初代の志を受け継いだとは少々言い難いですが、30数年後の1998年にはFF化しながらも6人乗りのミニバンとして再登場しました。
ただ、奇怪なのはそのスタイルで、フロントガラスの下にハイビームランプを配し、上屋根ばかり大きい頭でっかちのもので、「世界で最も醜い車」とも言われました。
そして座席配置もユニークで、前列3人×2列の6人乗りとなっており、これは以前日本にもあった日産ティーノやホンダ・エディクス、それからトヨタ・ビスタ&アルデオ(V50系)のベンチシート仕様にしか見られない珍しいものでした。
また、そのディメンションもユニークで、全長3990×全幅1870mm×全高1670mmで、4mを切る全長に、コルベット並みの全幅が与えられていました。
これを全長に対する全幅の比率がユニークだったAMCペーサー(4360mm×1955mm)と比較してみると…
ペーサー…2.2:1
ムルティプラ…2.1:1
…とあのペーサー以上の数値になっています(要するにペーサーの方が細長い)。ちなみに最近のクルマとしてホンダ・フィット(3900mm×1695mm)と比較してみると、フィットは2.3:1という数値になるので、おおよその縦横比が分かるでしょう(最近のコンパクトカーも幅が大きくなる傾向ですけども…)。
エンジンは日本へは1.6リッターガソリンに5速MTを組み合わせたもののみの導入でしたが、イタリアなどのヨーロッパ諸国では1.9リッターディーゼルターボもあるそうです。
しかし残念な事に、2004年に普通のフィアット顔にマイナーチェンジされてしまいました。
Posted at 2010/11/05 06:29:55 | |
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イタ車 | 日記