• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

FLAT6のブログ一覧

2012年12月14日 イイね!

スバル考 (おわり)

(つづき)

次に、アクティブ制御とパッシブ制御ですが、カレラ4は6年後、1995年にビスカスセンターデフの簡単なタイプに変更しました。トルク配分比は変更無しだったと思います。それはその後18年間も踏襲され、ようやく今度の991タイプで電子制御の多板クラッチタイプに変更されるようです。なぜか?。それは高度なトラクション制御とブレーキによるヨーコントロール制御が入ったためでしょう。(軽量コンパクトでアクティブ制御しても敵わなかったために、18年間も変更無しだった)

ビスカス式は、単純ゆえにちょっと低くみられるかも知れませんが、粘性でつれ回る穏やかな過渡がよく、それでいて、急なスリップによるトルク抜けにはハンプ現象で結構素早く強いロックが働きます。(余談ですが、本家のビスコ社の特許料が嫌で、廉価版が出回って、レスポンスが悪いという世の中の評価を下げたような気がします)

タイヤの許容グリップは路面状況と車の荷重変化で時々刻々変化します。机上の運動とは異なる状況になる場合もあり、電子制御のレスポンスもまだ不足です。今度のカレラ4の多板クラッチのレスポンスは100msecらしいですが、ぎりぎりでしょうかね。その意味は、ざっくりタイヤの外径がφ600mmとして、100km/hの時は1秒間に約15回転します。
この時、100msecとは、54度=周長で283mmのスリップです。また低速の脱出スリップで見ると20km/hの時、57mmのスリップであり、トルセンデフ等のメカニカルなパッシブ型はラグ無しに、リニアに立ち上がりますが、電制型はまだ及ばないレスポンスだと思います。ま、左右デフより要求レスポンスがシビアで無いセンターデフではOKなのかなと思います。プロペラシャフト⇒デフ⇒CVジョイント⇒タイヤとねじれダンピング成分が有り、剛体の用には制御できません。


言いたかったのは、このように、4つのタイヤに絶えずテンションと言うか、相互に押し合いへし合い状態を作っておくと、車のヨーはダンピングされ、絶えず前を真っすぐ向こうとします。これがフルタイムAWDの本当の恩恵だと思います。エンジン掛けて走りだした時から、家に帰って止めるまで、重いデフを2つも増やして、プロペラシャフトにドライブシャフトを倍にして、燃料使って(今はほとんど差が無いレベルまで来てますが)、でもそのおかげで、常に車がハンドルで示した方向に、吸いつくように(4隅のタイヤを撓ませて反力を受けている状態)走るのです。

とは言え、タイヤも進歩し、車も進歩し、道路も良くなり、直進性は十分であり、「空走する不安」を体験しない人は、今乗っている普通の車でなんの不満も無いでしょう。けれどもわだちと、急な雨と、視界不良と、、不安になった条件で、なぜかハンドルに安心感が有る車を知ると、アルテッツァの彼のように、舞い戻って来るのでしょう。オーディオなんかそうですが、いい音は聞いた時にははっきりは分からなくとも、聞いていると耳が肥えて、そこから昔の音に戻ると、何が良かったのかわかるものです。

その価値を必要とする人には、スタンバイAWDではせっかくの4輪駆動のおいしいところが365日の中の、スタックしそうな時だけ、、実際に滑った時だけ、の恩恵では逆に高価な感じがしてしまいます。

さて、そのような知られにくい特性故に、「移動の道具であり、車との生活をライフラインとして自覚するような人種の人たちには、スバルの「フォレスター」のような車は最高でしょう。乗って走ると違和感を感じる程のスポーツ性というか、外観とは異なる安定感。この車のマーケティング的なポジションとスバルの持つ技術と哲学がとてもいい形で具現化した車だと思います。うちのかみさんの要求品質では「どんな時でも、公共機関に代わって最も確実に移動できること」と言っており、以前のポンコツ911は「くるまではない!」と言っていました(笑)。

一方で、私が望むのはナロ―ポルシェか、930ぐらいの車格の、後ろに走るB4を創ってくれないかと言うことなのです。(ポルシェからクレーム来ても、テントウ虫のリニューアルだ!と言ってくれればよいのです(笑)。


偏屈なコアユーザは置いといて、スバルファンを拡大すべく開拓し始めたスバルですが、新しいインプのSUVはスイスで月間最多登録車になったそうですし、北米やカナダなど、以前からの寒冷地ファンから、どんどん温暖化?ですそ野を広げている背景には、これまで述べたフルタイムAWDの良さが伝わっているのではないか、と思います。その中で大事な転機は、誰も取り上げませんが、ひとつ前のレガシィから、AWDのネガな部分がほとんど消えて、一般の人に「普通のFFや、FRと変わらない」という感触を提供できたことだと思います。それまでのハンドルの重さ、空走時の抵抗感、音、振動、そう言ったものが消えました。すると残ったものがある。 そこを今、「普通の」車として拡大しているのだと思います。

個別技術で見ると、DITのような良いエンジンが有る一方で、CVTを対応させたのは立派ですが、コンフォートセダンとしての選択であり、けしてスポーツATにはならないと判断しました。けれどそれはまさに新しくスバルが得たいお客様のニーズに答えたのであって、私のようなシフトダウンして即、トラクションが抜けないようにつないでね、、という要求には「暇が有ったらね」というとこでしょうか。

話があちこち発散して、噛み砕いた説明が出来ずに、まとまりも無くなってしまいました。Orz

かようにわかりにくい文章、お付き合いくださりありがとうございました、笹子トンネルのプログ書いてから、毎回600を超えるアクセスが有り、びっくりしています。

(了)
Posted at 2012/12/14 21:09:06 | コメント(2) | トラックバック(0) | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ
2012年12月14日 イイね!

スバル考 (その4)

スバルの場合、基本はプラネタリギアによる機械的な基本トルク配分を設定し、そこから湿式多板クラッチのスリップ率制御でセンターデフの作動制限を行います。

なので、常時4WD状態で各タイヤの輪荷重×μで伝達可能なグリップに限り、4輪にはトルク配分した比率でタイヤにトラクションが掛っています。車はタイヤにトラクションが掛って、初めて安定します。最高速で吹けきって、空気抵抗とパワーがバランスした状態を経験すると、よくわかるのですが、路面と横風等の影響をもろに受けて、本当に手に汗握ります。

車のフロントタイヤには普通トーインが付けられており、直進するだけでサイドスリップという「スリップ」をしており、タイヤにはその分の抵抗が生じています。これとキャスターアングル(トレール量)と、タイヤのキャンバーによるサイドスラスト成分とが釣り合って、ハンドルに手ごたえという反力を返します。

パワステやリンケージのフリクションが路面の情報を消してしまいますが、良い車はこれがきちんと残っています。930のノンアシスト車はジャッキアップしてタイヤを切ると、くるくるとハンドルが回るぐらいフリクションが無く、ドングリ1個踏んでも、それがハンドルでわかるほどでした。

そして、トーインによってフロントなのに、軸重だけでなく、ブレーキ方向のたわみを生じて、手ごたえを出しています。これは低燃費にはマイナスですが、不要でしょうか?。


話は変わりますが、バイクのハンドリングにも似たような個性があって、特に好きなヤマハの特性とスズキの特性は興味深いです。(バイク乗らない人にはわからないかと思いますが御容赦)バイクではフロントタイヤの手ごたえはとても気になるところで、フロントのグリップが失われること=スリップダウンと言えますので、ライダーはフロントのグリップ感がとても気になります。私の感覚論で、数値データはありませんが、後輪の旋回軌跡に寄り添うように、フロントはセルフステアするのですが、ヤマハはアンダーステアにフロントがバランスします。つまり本来通るべき軌跡のタイヤ1本分ぐらい外側に押し出されつつバランスしているような感覚です。しかしそのおかげでフロントには絶えずスリップと釣り合うグリップ感のインフォメーションがあり、これがすっと抜けてスリップダウン挙動に入る前に、予兆を分かりやすく伝えるのです。

一方、スズキの場合はほとんどゼロバランスで、ヤマハから乗り換えると切れ込むように感じますが、それはそうでなく、後輪軌跡にほとんどスリップアングルなしでセルフステアする感じです。なのでその繊細なバランスからアンダーか、オーバーか、を探ることで、バイク全体のリーン限界を探ることが出来ます。

車も、舵角とジオメトリーから与えられた旋回軌跡に対して、タイヤのサイドスリップが増える方向だったり、減る方向だったりの力がハンドルでくみ取れるような設定がされていると、とても安心感が有ります。ロードスターやRX-8はその点優秀だと思います。スバルは残念ながらフロントに駆動トルクが掛る分、かき消されます。

FF車は全てそうですね。このように、「手ごたえ」というのは、言い替えれば抵抗感であり、それは粘弾性体のスリップや変形から来ています。


さて、AWDに戻って、89年に登場したカレラ4はプラネタリギヤによる不等トルク配分31:69でした。この配分比はトラクション比を得るデータから来てるのでしょう、恐らく前輪と後輪の輪荷重比+タイヤと、ある加速Gでの荷重移動から割り出した値でしょう。 一方当方のB4は45:55で、輪荷重比は60:40ぐらいですから、後輪に55も回せば、前輪はかなり余裕のある設定というか、もったいない使い方です。これはスバルが前輪に対してはトラクションだけでなく、操舵によるコーナリングフォースの割り当てを多く残したからでしょう。

カレラ4の場合は、フロントは非常に軽いため、また、加速中はなおのこと浮くので、使えるトラクションはわずかです。それでも重心からモーメントアームは長いので、ちょっと押してくれればそれだけで安定します。リアがズッときても、ガードレールキックターン(グンちゃんの得意技)程度に効けば良いのです。911は加速状態と減速状態の2つをきっちり分けて運転するコツが有ります。

しかし本質は絶えずフロントタイヤにトラクションが乗っており、いつでも舵が利く(ピッチングモーションが小さくても良い)と言う状態を生み出しています。

安定して背筋がむずむずしないポルシェなんて、、というのが911好きだと思いますが、昔評論家の岡崎さんが、911の秘めた能力を引き出す楽しみはカレラ4の方が上だと言っていたのは、絶対値としての面白い領域が、もっと上の速度域にあることを的確に表現していました。


このような、それぞれの哲学によって前軸と後軸には、定速走行時であっても、耐えず、4輪のタイヤに回転方向の変形を与え、常に踏ん張った状態を生み出し、前後、左右輪の回転差を制限することで、ヨーモーメントを吸収しています。ヨーダンピング特性と言う人もいますね。

(つづく)・・・まとめきれませんでしたのであと1回w。


Posted at 2012/12/14 21:05:58 | コメント(0) | トラックバック(0) | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ
2012年12月12日 イイね!

スバル考 (その3)

AWDについての分類 (ひとくちにAWDと言っても多様なものです)


ハイスピードAWDは神業のドライバーが制御しますので、第2のハンドル(アクセル)によって、どのタイヤをより多くスリップさせるか、あるいはグリップさせるか、を右足で引き出します。

一方、モビリティAWDですが、これは古いタイプの4WDと思われがちですが、もっとも高いスタビリティと脱出駆動性に優れた方式です。車は直進状態で5m進むには、全てのタイヤが同じ直径として、同じ回転数進む時、ヨーモーメントは発生しないはずです。しかも1輪がスリップした場合でも、このタイプは路面のグリップに関係なく同じ回転数で前後プロペラシャフトが回ります。但し、左右デフだけはLSDが無い場合、空転した反対側の駆動力はフリクション分を残して失われます。

時々刻々変化する各タイヤのスリップ率に関係なく、同じ回転で回ろうとする機構のため、車は真っすぐ走ろうとします。そしてお分かりのように、故にハンドルを切って曲がろうとすると、前軸と後軸の回転差が生じ、タイトコーナブレーキングと言われるガクガクが発生して、スムーズに旋回できません。


この中間に有るのが、スバルのAWDです。それは生い立ちからしてFFの超重ステ、&ドアンダーのレオーネを皮切りに、これをベースとした確か、東北電力向けの送電線点検車(未舗装林道と最低地上高200mm必須)としてのワゴンが誕生したはずです(ちょっと記憶はテキトー)。

水平対向縦置き(横には置けないだけ)のFF車、ゆえにフロントオーバハングが大きく、フロントヘビー。それが持って生まれた「シンメトリカルAWDのDNAです」(私は当時珍しかった前輪駆動のスバルFF1000をいじって遊ぶ機会が有りました。当時等速ジョイントは貴重で高度な部品でした)

さて、これをベースに4WD化したけれど、当初はパートタイム4WDで、いわばモビリティAWDの仲間です、まジープと言ってもいいでしょう(笑)。しかし、そのモビリティの半端なさがコアなスバリストを育てて行きました。一件とっつあんライトバン、ところがジープに負けない走破性。

しかし、普段の街乗りはやはり曲がりにくかった!(FF状態でも)。

それから、クアトロの登場があり、ファミリアの登場があり、センターデフ式フルタイムAWDの世界が登場します。スバルは初代レガシィでこれにターボパワーを組み合わせて例の10万キロ200km/h走行の派手なデビューをしました。

つまり、スバルはあらゆる路面で、直進性だけはピカイチだけど「曲がんねー!」という本性に挑み、ひたすら曲がるようにして来た技術の積み重ねです。

一方911は、スピンしまくるリアオーバステア(アクセル抜くとスピン、雨でリアが滑るとスピン)ため、ひたすらドアンダーに調整し(初期にはフロントにウエイトを入れたりして)、ひたすらスピンから免れようとした技術の積み重ねです。

このように、両社は対極の素性に苦しみながらも、それを克服するために簡単にその「コア」を捨てず、執念で育ててきた点が共通点です。ゆえに、他社では感じられない濃厚な「何か」が残ったのだと思います。


そして、さまざまなセンターデフ制御を経て、今日スバルには3種類のAWD駆動方式が有りますが、高速AWDのアクティブトルク制御中心のタイプと、スリップによるパッシブ制御の両タイプがあります。それと世の中にはこれとはまったく異なるスタンバイAWDとしても、いくつかのAWDが有ります。

近年のAWDはこのスタンバイ式が量的には多いかも知れませんが、これはAWDの持つ可能性のごく1部にだけスポットを当てたものです。

スタンバイAWDは、コスト、重量、燃費と優れますが、私から見ると、肝心の「有ってよかった!」と仕事をする機会はほとんどないと言っていいでしょう。その中でも、割り切って使えるものに、e-4WDがあります。FF車の後軸にモータを付けて、発進から30km/hまで、後輪もアシストするもので、いわばフロントが滑ったら、後ろからおっちゃんが押してくれるようなもので、30km/hになったらもう、おっちゃんは息切れしていません(笑)。

このシステムは、前輪のスリップ検知から後輪のアシストのレスポンスが抜群なことで、実際低ミュー路での発進と脱出、という役割に絞ったものであり、AWDと呼ぶには抵抗が有りますが、スタンバイAWDとしてはもっともマシなものかもしれません。

タッチさんがタイムリーに紹介してくれたマツダ技報(http://www.mazda.co.jp/philosophy/gihou/pdf/2012_No035.pdf)

の記事を読むと、「・・・4WDシステムのエネルギロス総和と定義する。そして,この総和を最小化することが4WD制御の狙いである。 中略・・・ このエネルギロス総和を最小化すると,4WD走破性能を向上させ,自ずと燃費など環境性能は最大化されていることになる。」

と言っていることから、マツダのAWD思想はいわば、低ミュー路などでの低燃費(スリップロスの最小化)を狙いとしてることが分かります。総輪のスリップを最小化(高効率化)すれば、結果として車の姿勢も安定しているはず、、と)。

ゆえに軽量コンパクトなスタンバイ式を選んだのでしょう。CX-5のカタログにもメカの解説は無く、マツダとしてはSUVの形をしたCX-5では逆に余り触れたくなかったのかもしれません・・・。

そうであればAWDの広い世界の一角に光を当てたに過ぎません。つまり、前回の最後に述べた 哲学が必要 と書いた所以です。

押してくれる人はスリップ率の大きい走行をしている状態で、AWDに切り替わった時、メーカの制御技術にもよるでしょうが、負荷が掛って初めてトルクは伝わるので、タイヤがたわんで伝達トルクを伝えることが出来る状態では、AWDになりません。設定値以上に滑って、初めてアシスト的に作動します。「ほら、役立つじゃん」というのはメーカの口車で、それは雪道で大きなRのカーブで30%のスリップ率で後輪前輪が微視的に流れつつ、軌道はアンダーになって来たところで、後輪が後押しし、フロントのスリップを消すので、再びリアのトルクは失われて行きます、、、、を交互に繰り返すのです。

ロシアの動画で、指摘されてるようです(ロシア語わかりませんが(笑))
http://www.youtube.com/watch?v=gdmWU9p1Nyg

スタンバイ状態からAWDにスイッチした「AWD」は実は、時間軸で詳細に見ると、FFとRRを交互に繰り返すだけで、けして常に4輪が同じ回転(これ大事!)をする状態にはならないのです。マツダが目を付けたようにスリップ率が30%以下程度と限定された濡れた路面程度?であれば、仕事はしてくれるでしょう(応答と同期制御の出来るEVならホントの低ミュー路でも制御可能でしょうが)。

次いでにスバルのAWDも見ていただくと、その違いが分かると思います。
フォレスターもスリップしますが、回転差を見てください。それでAWDとひとくくりにしてもそこに潜む世界は全く違うものです。スバルの連中はそれを知っている。そしてポルシェもまた知っているのです。次回を最後にまとめたいですが、粘弾性体とμの関係は極めてアナログな感性の世界??
http://www.youtube.com/watch?v=gKnxkr4jhEM

けっしてスバルのプロパガンダではないですよ(生死にかかわる彼の地では、「脱出性」に非常、にこだわるようです。)


というわけで、スタンバイAWDは、モビリティAWDとしては不十分であり、スタビリティAWDとしてもほとんど期待できないと考えています(それは直結AWDとの相対的な恩恵差で見てですが、、)。別に、マツダのAWDがダメと言うことではありません。それは哲学の違いであり、それに合わせたエンジニアリングをしたと言うだけの事です。それで十分、というニーズであれば両者はハッピーなのですから。

(つづく)
Posted at 2012/12/12 22:55:22 | コメント(0) | トラックバック(1) | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ
2012年12月12日 イイね!

スバル考 (その2)

その1で、ざっくりとスバルの現状を薄く総括して見ましたが、今度はスバルの中核技術のAWDについて、ちょっと考察したいと思います。


AWDを語る場合、私は3つの切り口が有ると考えています。

第1の分類は「用途からみた特性」です。

WRCに代表される高速高運動性とでも言えばいいのか、清二いわく「ハイパワーターボ+4WDにあらずんば車に有らず、峠のキングはランエボよ」というカテゴリーの車です。このカテゴリーの核は、いかにハイパワーを路面に伝え高いベクトル変化を獲得するか、に有ります。これをひとまず「①ハイスピードAWD」と呼びます。

次は路面状況の変化に寄らず、常に安定した姿勢を維持し、タイヤのグリップをいかに保つか、日常生活における車の挙動でハンドルで指示したヨー以外を出さない車です。これを「②ハイスタビリティAWD」と呼びます。(メーカのプロパガンダで、いかにも高速で鋭い、曲がる!をアピールしますが、AWDの本質は「真っすぐ走れる」です。ハイパワーな車が真っすぐ走れるためにAWD化したというのが真実だろうと思います。ですが、「民衆には真っすぐ走る」よりも「良く曲がる」のほうが受けが良いのでしょう。

最後は本格的なクロスカントリーの凹凸低ミュー路での機動性確保を主眼にした、いわば軍用車両のようなカテゴリーです。これを「③モビリティAWD」としておきます。



第2の分類は「構造からみた特性」です。

メカニズムで見たAWDには
①センターデフ制御型AWD
②前後軸クラッチ連結型AWD(パートタイム型:FF型やFR型ベースの切換え式)
③前後軸電子制御連結型AWD(スタンバイAWD)
に大くくりされる。これに重要な、左右デフの制限あるいは制御がセットになって、初めてAWDの性能が生きるようになります。机上の理論でなく、実際はこのメカニズムによってきまるので、これで語るのも有りですね、これが第2の見方。


そして第3の分類は「挙動から見た特性」(これ重要)
①ブレーキスリップの挙動(ABS制御)
②アクセルスリップの挙動(トラクション制御)
③ヨー変化(重心とヨーモーメント)
と言った、車の挙動を通しての見方。


AWDを語る時、いずれもこれらのどれかの視点で比較されたり、分析されているように思います。どの要素も互いに連結された話なのですが、これらの層別を頭に置いた上で、お読みいただくとわかりやすいかも知れません(笑)。



さて、アウディークワトロの登場で幕開けした、ハイスピードAWDは、戦闘マシンとしてとにかく4つのタイヤの摩擦円を常に個別最大に使えるように運転し、制御されることが前提です。具体的には荷重を掛けたタイヤに駆動力を求めるのか、コーナリングフォースを求めるのか、を総合的に最大化させる運転になります。得られるご褒美は最短の走行タイムです。


次がスバルの本質である、ハイスタビリティAWDですが、その前に、、、、
 ポールフレールさんのポルシェ本に、水平対向12気筒のモンスター、917の話が出て来ます。栄光のルマンでマックイーンが乗ったやつですね。 

この時代、ハイパワー車はどれも真っすぐ走らないのですが、結局テストドライバーが最も運転しやすかったのはリアデフを持たない直結車だったと言っています、わかりますか?。私も怪しいショップのデモ車で900kgに400psのFR車乗りましたが、リアは溶接デフロックでしたが、これが飛ばしてさえいれば、チョー乗りやすかった。帰ってきて駐車するのがえらい大変だったけどwww。

そういうわけで「駆動力のトルク配分をする」ということはどういうことか、ちょっと考えてみてください。

もうひとつ違う例ですが、FFの車両でハイパワーな奴は、ハンドル取られるので注意が必要ですね。これにはドライブシャフトの不等長から来るもの、サスペンションのスクワット(トラクション抜け)から来るもの、左右デフの作用によるもの、等が有ります。けれどもFFなので基本重心より前を引っ張る駆動故、スピンモードには入りにくい(タックイン作用で巻き込みスピンする場合はありますが)基本特性が有ります。

さて、トルク配分が後ろ寄りで、50:50でなく30:70とか、うたわれますし、私のB4では45:55~60:40だったかな?まで連続可変制御とか、GT-Rでは0:100~50:50までとか?、ま、色々あります。

ですが、バッサリ切ると、アクセルオン側で制御するアクティブ駆動輪分配制御か、路面とのスリップ検知によるパッシブ駆動輪分配制御のいずれを主体としているか、に分かれます。

要は、駆動力配分なんて、タイヤがスリップするまでわかんねぇし、タイヤの許容グリップも荷重変化で大きく時々刻々変化するってことです。なので、トルクをたくさん使えない低ミュー状態では、①前に進ませることと、②左右輪の推力変化で車にヨー変化を起こさせないこと ③前後軸の回転差をどうするか、この3点のバランスをどうするか、という哲学が必要です。

(つづく)
Posted at 2012/12/12 00:59:27 | コメント(1) | トラックバック(1) | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ
2012年12月11日 イイね!

スバルとポルシェの類似点 0

この記事は、「スバル考察」についてについて書いています。


いやぁ、びっくりなボリュームの考察を戴いて恐縮です。と同時に久々に噛み合った会話が出来てるようで、うれしく思います。

マーケティングにおける911の考察は、まさしくおっしゃる通りで、スバルはそのラインに乗れるかどうかの難しいかじ取りをしている真っ最中だと思います。

ポルシェは924、944、928のFRラインにリニューアルし、環境、安全で困難となった化石の911を捨てる選択をし、同時にポルシェのコアな顧客をも切り捨てました。結果、経営危機に陥り、そしてテキトーに排ガス対策と5マイルバンパーでキュウキュウしていた911に救われたのでした。 彼らはこの時大きく2つの事を学んだと思います。

ひとつは「911とは何だったのか」と言うこと、そしてもうひとつは、その答えを知っていたのは「古くからの911ユーザ」だったということ。

そこから、ポルシェは再び「911」を創り始めます。それはポルシェを復活させること、そのものだったと思います。

さて、ここからはタッチさんのご指摘通りです。 ポルシェの何が愛されていたかを残しつつ、新たな顧客に「ポルシェ」の魅力を広めて行きます。それは古くからのコアなポルシェファナティックに答えるものでなく、911が持つ魅力を知ってもらう新たな車、964シリーズとなって行ったのだと思います。

そして、モデルチェンジの度に、「より快適で速く安全に」なりますが、濃厚な古い911のもつ語りかけはありません。

そして、おっしゃるように「では、以前の911ファンは?」

①ポルシェが繰り出す限定モデル(例えばGT3とか)
②結局変わるものが無く、大事に乗り続ける。
③古い911と新たな911の同居生活者へ

大体、そんな感じでしょうか。 私も実は買い替え検討は新型アテンザと最後のBLE3.0(D型)の上物でした(笑)。


私の考える911は大きくは4種類です。

1)最初はもはやビンテージーとなったナロー。これはライトウエイトのカミソリマシンです。

2)苦難のビッグバンパー。しかしポルシェ(911)のレースでの名声を支えた時代でもありました。

3)新世代911に明確な舵を切った964

4)水冷の996以降の911


私が乗った911は、ナローからの最後系譜たる911の2.7L。
排ガスで最悪と評判の’77型で、前オーナーが排ガス関係を全部以前のものに移植して有りました。おかげでエンジン全OHを体験させていただき、短期間に濃厚に堪能させていただきました。(ノンパワステ、ノンブレーキ倍力、蜜つぼMT等など)。

色々なことを覚えましたが、一言で言うなら「車の挙動をこれほど対話して運転するマシンは無い」と言うことでしょうか。これは出来の悪い車を騙して乗るのとは違い、ピンポイントのスポットに入れた時に得も言われぬ一体感が味わえ、それは他の車では絶対に成し得ない挙動なのです。

964以前のポルシェのスタンダードモデルはいずれもトルクウエイトレシオを50kg/kg・mを切るために、規制対応で重くなった車重にあがなうために排気量を上げて来ました。そこに彼らの911を911たらしめる方程式が有ります。以後のモデルはちょっと割愛しますね。

ここで休憩。
①31.6kg・m/250PS/1450kg
②31kg・m/250PS/1480Kg

これは何だと思いますか?。
①は最初のカレラ4
②は私のB4です。
つまり現在の愛車B4は後ろに走るカレラ4なのです(笑)。


*アンサーブログが追いつきませぬ、近々その2で。
Posted at 2012/12/11 21:17:34 | コメント(2) | トラックバック(0) | 私的なミニ哲学の泉 | クルマ

プロフィール

結構おやじですが、若いつもりです。 バイクとクルマの二股恋愛です。 交流のある方は、基本「見たよ」代わりにイイネ押します。 その他は、文字通り、イイネ...

ハイタッチ!drive

みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

掲示板

<< 2012/12 >>

       1
23 4567 8
910 11 1213 1415
16 17181920 2122
23 2425 2627 28 29
30 31     

リンク・クリップ

FLAT6さんのマツダ ロードスター 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2024/05/30 18:24:14
モナコGPでのレッドブルのマシン吊り上げ事件! 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2023/06/03 17:47:56
HVAYING プロジェクタースタンド 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2023/01/23 08:02:29

愛車一覧

メルセデス・ベンツ Cクラス セダン メル子 (メルセデス・ベンツ Cクラス セダン)
3.0Rに代わる10年をリラックスして過ごせる相棒としてセカンドユースで購入。 ほぼ、同 ...
ハスクバーナ NUDA900R ハスクバーナ NUDA900R
動体視力の衰え?、から速度域を下げて楽しめるマシンに変更しました。 狙い通り、楽しませて ...
スズキ GSX-R750 スズキ GSX-R750
2005年式を2022年に購入。 2オーナ目の方のコンプリートカスタム車を譲ってもらいま ...
日産 ノート e-POWER ガンダム号 (日産 ノート e-POWER)
奥さんの買い物通勤車として、シトロと入れ替えました。(休日私のお遊び用?) →娘が結婚し ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation