
今月後半は月が明るくなり、暗い天体を撮影するには条件が悪くなります。
さらに予報は晴れでも前半ほど雲が少ない夜がほとんど無くて、比較的
安易な対象を撮っていました。
タイトル画像は23日、下弦の月の翌日の月齢7.9日の月です。
この期間の最初の撮影したのは、前回、Z 6IIのテストで撮ったすばる
(プレアデス星団 M45)です。
そのときは焦点距離900mmの屈折鏡を使いました。
天体改造していないので、波長の長い近赤外の光を捉えられないため、
全体的に青っぽいという印象がありました。
今回は明るい星団と、星々の光を反射する反射星雲、その周りの分子雲まで
写そうと広めの画角(焦点距離635mm)にして、天体用のカメラで撮りました。
周辺の星は前回は多くが黄色っぽく写っていたのですが、今回はしっかり
色が出ています。
SS=420sでしたが、分子雲をしっかり写すには後2分程度露出をかける方が
よかったと思います。
上のすばるは17日の撮影で、まだ月が明るく無かったので、新しいZマウントの広角ズームを試したかったのですが、
雲が多く出動をしませんでした。翌日はさらに雲が多かったので、いっそのこと雲を撮ろうと、自宅敷地内に電線を
避けるように三脚固定で北の空をインターバル撮影しました。
広角端14mmで開放F2.8として、ISO800、SS=10sで600枚を撮影しタイムラプス動画にしました。
100分少々の撮影を1分の動画にしています。
最初は右(東)の方は晴れていて、星が写っています。静止画を拡大して見るとサジタルコマフレアが見られません。
驚異的なレンズだと思います。このレンズを使うためだけにZのボディを買っても良いと思うくらい。
動画では左(西)から雲が張り出してきて、上空と低空で雲の流れる向きが違っているのが分かります。
さて、本題の天体撮影ですが、次は少し間を置いて20と21日の2晩かけて、初めて撮影する銀河を撮りました。
月から遠い北側の空にあるアンドロメダ座のエッジオン銀河(横から見る銀河)であるNGC891です。
太陽系から2700万光年の距離にあり、同じ星座の有名なアンドロメダ銀河(M31)の10倍以上の距離になります。
焦点距離2000mmの反射(RC)鏡筒にQuad Band Pathフィルタを使ってSS=480sで使えたのは40枚少々でした。
この1枚にメインの対象の銀河の他に小さな銀河が多数写り込んでいることに気づいたので、カタログ名を入れてみました。
中でも割と大きな左上のNGC898は2億5千万光年の距離にあるそうです。
青い文字のPGC****というのは1989年に出来たPrincipal Galaxy Catalogという銀河のカタログです。
この領域はおとめ座超銀河団に含まれていて、"principal"と呼ばれる銀河がこれだけ多数存在しています。
あちらから見れば、私たちの天の川銀河もこんなちっぽけな銀河の1つなのでしょうね。
星団、銀河ときて最後は星雲です。
月が明るいので透過波長域が狭い、デュアル・ナローバンドフィルタを使った撮影をしようと、去年も今の時期に撮った
「かに星雲」(M1)を選びました。
かなり小さい星雲なのでタイトル画像の月や上のNGC891を撮った機材を使いました。
かに星雲は、藤原定家の「明月記」でも言及されている1054年に観測された(もちろん当時は肉眼で!)超新星爆発
です。6500光年の距離で起こった超新星現象が世界中の人々を驚かせたことでしょうから、その1/10の距離の
ベテルギウスが爆発したらどうなることやら。
かに星雲はかなり重い星の爆発で、中心部に中性子星が残り、可視光を出さないので直接は見えませんが
高速回転しながらX線を放出するパルサーとなっています。
画像の方は月を撮った23日に少しと、2日後の25日と合わせて62枚を使いました。
SS=600sですから、総露光は10時間少々です。
8月にこのフィルタが届いてすぐに網状星雲でテストした時に赤(Hα)は当然としても青緑(OIII)がよく出ているという
印象でしたが、網状星雲のようにこの2つの波長域の光がしっかり写っています。
現在、半影月食を狙っていますが雲が断続的に通過していて厳しいです。
比較のために2日前の月を撮っておきました。
満ち欠けと月食に違いが分かることを期待して。
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Posted at
2020/11/30 19:24:41