• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

だ いのブログ一覧

2021年09月19日 イイね!

EJ207を組み上げる

EJ207を組み上げるだ い です、お久しぶりです。


ブログの更新がなかなか出来ませんが、死んだからではありません。
PCに向かうような時間がゼロだからです。
僅かにあるようなプライベートな時間は、ほぼ全て家族と過ごす時間に費やしてしまって残りません。

最近は酷い老眼の為、皆さんのようにスマホでサクサク作業出来ないので、
落ち着いてPCに向かい、写真の整理などをしながらゆっくり作業できる時でないとブログの更新は難しいですね。

なので、最近は多忙過ぎて難しい訳です。


唯一の休日も、半分は仕掛中のポンさんのGCのエンジン製作に使っているので、その他の依頼は今請けられない状況が続いています。


もう少し待ってほしいな。



まぁそんな訳でね、
ポンさんのエンジン製作だけは少しづつですが進んでいました。

alt
alt
ブロック締結ボルトのシールワッシャーも新品を準備したので、漸く左右ブロックをドッキングできます。

alt
新品ベアリングを乗せ、たっぷりとアッセンブリールブを付けたらクランクシャフトを乗せます。
遊んだコンロッドがシリンダー内壁を傷にしないようにマスキングテープ簡単に張り付けて養生しています。
ピストン取り付け前に簡単に剝がせるようにね。

4か所のパッキンも忘れずに乗せ、クランクケースの気密をよく考えながら液体ガスケットを塗付してドッキングさせます。
液体ガスケットは余り銘柄には拘っていませんが、材料屋のHIKO君がよくくれるロックタイトの5699を使っています。


alt
GDBの整備書による締付順序は、全て対角締めで、右から6本左から4本のジャーナルボルトをおよそ1.5~2.0キロで締めたのち、全て90°の角度締めでフィニッシュです。
ウォータージャケット内で留まるボルトのみ新品のシールワッシャーを用い、2.0キロスタート、外側で留まるボルトは右側からの6本の内、前2本が1.8キロ。左からの4本の前2本が1.5キロスタートと細かく違っていました。

今まで気にしたことなかったけど(整備書なんて見ていないので)、今回は人のエンジンなので一応確認してみました。


alt
液体ガスケットが固まったら、ピストンの組み付け準備です。
HKSピストン付属のリングを取り出して、合口の確認をします。

alt
これは今回使わないGDB純正のSTI鍛造ピストンですが、参考に計測しておきます。
STDΦ92.0㎜ 409ℊですね。

alt
こちらはHKSの鍛造ピストンΦ92.5㎜で、368.5ℊでした。
40gも軽いですね!


今回色々計測して非常に関心したのは、東名パワードにしろHKSにしろ、社外製品の精度の高さ。
手持ちの安物のスケールでは測る意味なんて無いのでは?と思う程少数点以下まで重量は揃っているし、クリアランスも揃っている。

なので、今回は重量合わせなどはしていない。
というか、する意味なんて無いほど違いが計測できないのである。

どうせ合っているのにチマチマと苦労して計測していくのがバカらしくなってしまう。


alt
だが計測する!


これはクルマの運転と一緒で、だろうでは済まされない事も極少数ではあるが確実に存在するからである。

しかし、やはりピストンリングの合口も全て基準値で揃っている。。。


これも単衣にナプレックと帝国ピストンリングの技術力の高さが成せる結果なのでしょう・・・ありがとうとしか言いようが無い。


alt
小さなピストンなら手で優しく組む方が安全だが、EJはビッグボアなので、ちゃんとピストンリングエキスパンダというリングへの負担を最小限にしながら押し広げられるプライヤーを使って組み付けました。(写真は3ピースオイルリングを取り付けした所)

高いリングなんでね・・・折ったら最後ですので慎重に。


alt
alt
ピストンをシリンダーに挿入するんですが、ピストンピンはサービスホールを使って後から挿入するので、ピン入口の反対側のスナップリングは先に付けておきましょう。

コンプレッサーを使ってリングをバッチリ締め付けて、ハンマーの木柄などでパコンと叩くとスコンと入ります。
締め付けが甘かったり、慎重にちょっとづつ叩こうとすると入る前にリングが広がって失敗します。

ガッチリ強めに締め付けて、勢いよく一気に叩き込むのがコツですよ。
アストロ製の安い奴ですが、全て一発で入ります。


そして養生のマスキングテープを外し忘れるっていう!
ピン挿入穴から剥がせたけどね・・・w

alt
alt
ピストンは向きが決まっているので、ちゃんと決まった向きで押し込めばコンロッドの小端部はすんなり入るはずです。
クランクシャフトも手で回して微調整しながら真芯を出してピンを黄銅棒などで叩いて打ち込んでいきます。

ピストンピン穴の背中にスナップリングを入れ忘れるとここで泣くことになりますwww

alt
ベルハウジング側も同様に、4気筒4か所。
確実にスナップリングが溝に入っている事を確認して、最後に蓋をします。


alt
さて、ピストンが無事取付出来たら、オイルストレーナーやらオイルパンの装着ですが、東名のバッフル&スチフナーの取り付けです。

alt
クランクシャフト方面へのオイルの飛び込みを防止するバッフルプレートは純正でも付いていますが、それをより強化した形状になっています。

スチフナーはブロック下面とオイルパンの間に挟んで共締めなので、液体ガスケットを塗りこんで装着します。

alt
ストレーナーもスチフナーを挟むので、スチフナー上面とストレーナー自体のOリングの装着を忘れないように。
ここ忘れると、油圧が掛からなくなりますよ。

alt
オイルリターンのパイプの所のOリングも新品に。

alt
付属のキャップボルトでオイルパンを取り付け。
エキマニとタービンはGDB用を使うので、オイルパンも当然GDB用です。


alt
alt
リヤ側のクランクシールを打ち込みます。

リップスプリングの脱落がないかよく確認します。
以前外れていた事があったので・・・(エンジン積んでから気付くっていう)

alt
プラハンなどで丁寧に打ち込み。

alt
オイルポンプを取り付けします。

以前にGRBのメタルブローが何故多いか?というような話になった時に、オイルポンプの内部のネジが緩んでいたというような報告がありました。
全てのケースでそうだったのかは判りませんが、締付不良があるようなロットが一定数流れてそういう事態を引き起こした可能性は充分にあります。

このベースエンジンはブロー報告の殆ど無いGDBC型用なので大丈夫だとは思いますが、一応締付の確認だけはしておきましょう。
内部のネジと言ったらトロコイドハウジングの皿ネジしかありません。

alt
alt
コチラも新品のOリングを乗せて、液体ガスケットで取付します。

alt
alt
フロント側のオイルシールも打ち込んで漸く腰下が完成です。

あとはヘッドなどを取り付けしていくんですが、先に作ってしまうと輸送が困難になるので、ヘッドとシリンダーブロックはバラで運んで現地(ポンさん宅)で組み立てることにしました。

これならそれぞれ一人で運べます。


alt
きれいに修正面研したヘッドとブロック上面を傷に出来ないんでね・・・
大変でしたが、かなり気を遣って養生し大事に運びました

ポンさん宅の一室にスペースを作ってもらい、エンジンスタンドにセット。
ヘッドの取り付けに入ります。

alt
純正ですが、ヘッドボルトやヘッドガスケットは新品を準備。

alt
HKSの鍛造ピストンに、精密なボーリングとプラトーホーニング、
ブロック上面の修正面研の加工面。

機械加工の美の集大成とも言えるような仕上がりを見せたシリンダーブロックですが、これで見納めとなります。
見た目の美しさ以上のパフォーマンスを、これからは見えない所で発揮してくれることを期待して、ヘッドとブロックをドッキングします。


alt
alt
HKSのピストンはEJ20用と銘を打たれ、GC8もGDBも同じ物を使います。

GC8のVerⅢ以降では1.4ミリガスケットの使用で純正と同等の圧縮比(8.0)となるようなので、それに倣ってVerⅢ・Ⅳの純正品(1.4ミリ)のヘッドガスケットを使います。
標準の0.8ミリガスケットだと8.2まで上がってしまうようで、ブーストを掛けずに使うならこちらの方がレスポンスは良さそうですが、やはりしっかりブーストを掛けてパワーを出したいですからね。


alt
alt
新品のストレートピンを打ち込んで、ヘッドガスケットを合わせます。

alt

EJ207のヘッドボルトの締付方法(GC8もGDBも同様でした)

①ヘッドボルトのネジ部とワッシャに組付け用のルブを塗布する。
②対角締めの順序で30N-mで締め付ける。
③同じ順序で70N-mで締め付ける。
④すべてのボルトを180°緩める。
⑤更にもう一度180°緩める。
⑥対角締めの順序で40N-mで締め付ける。
⑦同じ順序で80~90°の角度締めをする。
⑧更に同じ順序で40~45°の角度締めをする。
⑨センターの2本だけ40~45°増し締めをする。

*対角締め順序
 1.センター上 2.センター下 3.左上 4.右下 5.左下 6右上


alt
シリンダーヘッド取付完了。

ヘッドカバーは仮付けです。
この状態でタペットクリアランスを測定すると・・・6箇所くらい基準値を外れてしまう。
やはり結構狂ってきますね。

ヘッドもブロックも両方面研してるのでもしかしたらそのままいけるのでは?
と思いましたが、そういうもんでもなさそうですね。

次回からはヘッド単体での仮合わせは割愛しよう。
しっかりとヘッドボルトを締め付けてから計測し、そこできちんと調整すれば不足のシムの注文も一回で済むしね。

3箇所は入れ替えだけで上手く基準値内に収まりそうですが、あとの3箇所は再注文しかなさそうです。
シムレスリフターは1個2000円もするんでね・・・なるべく入れ替えのパズルで何とか収めたいところですが、それでもどうにもならない所は買うしかありません。

仮合わせの際に8個、今回の調整で3個。
結局16バルブ中11個も買う羽目になりました。。。


元々他のヘッドに入っていたバルブリフターですからね・・・
ゼロからの調整なんで仕方がないか。

alt
買い足したバルブリフターで組んで改めて計測すると・・・急に冷え込んだせいかまたちょっと狭くなってる・・・。

まぁ、もう許容範囲なんで無視してもいいんですが、それでも狙った数値にすんなり入ってこないのはアタマに来ますね。
年中23℃とかに保たれたエンジン室などの必要性という物が良く判ります。


結構変わってくるんですよ。

スコンと入っていたシクネスゲージが入らなくなるんです。

シムの計算表と睨めっこしながら、更なる入れ替えで上手く真ん中が取れるような組み合わせがないか、もう少し良くなる入れ替えはないか・・・
やらなくても変わらないかも知れないような細かい作業に、更に何時間も掛けて詰めて行き、漸く妥協点に辿り着きました。

何が大変て・・カム直打ちDOHCのタペットクリアランスの調整が一番時間が掛かるんだよね。
ロッカーアーム式なんてドライバー1本で一瞬じゃないか。
トラブルとは無縁のHLAってのは未だに出来ないんだろうか・・・。

そんな風に思ってしまう程、エンジン組み立ての後半部分での大半を占める作業が、タペットクリアランス調整です。


alt
あとは簡単です。

カムシャフトを取り付けして、新品のヘッドカバーパッキンやカムシールを組み付けていきます。
コレで漸くショートエンジンが完成です。


alt
時間が掛かったなぁ・・・。


タイミングベルトまで掛けようかと思ったけど、タイベルカバーの裏板はこれから降ろすエンジンの物を移植しないといけないんだった。。。

次は何をするにも実車のエンジンを降ろさないとな。





という所までのブログでしたw

alt実はもう降ろしてきました。


Posted at 2021/11/17 01:10:04 | コメント(2) | トラックバック(0) | EJ20壊して直す | クルマ
2021年06月07日 イイね!

EJ207

EJ207あまりブログにしてきませんでしたが、またインプレッサの新しいエンジンを準備しています。
・・とは言っても、ヲレのGCのじゃないんだけどね。

ポン太郎のVリミテッド用のエンジンですが・・・
特にトラブってもいないのですが、距離はもう25万キロになります。


EJ20ももう廃盤となり、これから部品の生産も徐々に難しくなっていくでしょう。
ちょっとした子部品ひとつ出ないせいで、あれが組めないこれがOH出来ないというシーンも増えてきます。

今のままでも上手くすれば3年、5年、と壊さずに乗る事も出来るでしょうが、
あと5年先送りにすれば、また色々と手に入らない物も増えてきてどんどん難しくなっていくでしょう。
まだ部品が出るうちに!という焦りもありますよね。

今のうちにしっかりとしたエンジンを作っておけば、むこう20年に備えることが出来ますからね。



そんな訳で、久々にまたGC8のエンジンを作る訳ですが、扉の写真は中古で仕入れたGDBC用EJ207アッセンブリー。
エキマニからタービン、エンジンハーネスまで全部付いて20万円。


コイツの腰下をベースに、ヘッドはGC8のものをそのまま使って基本ノーマルの完全オーバーホールを実施することになります。

制御は基本ノーマルですが、腰下はオーバーサイズの社外ピストンに合わせてボーリングし、コンロッドも社外のH断面を使います。
メタルなども新品にして、完全なリフレッシュを目指します。


チューニングという観点からみていくとね、どうしてもボアアップして大きいタービン付けてフルコンでギリギリまで詰めてモアパワーと言う発想になりがちだが、それやっちゃうと長く乗れないんでね・・・

今回は、マージンや耐久性はノーマルと同じかそれ以上に取りつつ、各部を新型の軽量部品でアップデートしながら、パワーのみに頼らないレスポンスやフィーリングを重視したエンジンを目指して作ってみます。



今後こういうしょーもない作業wが増えそうなので、pon/on邸でもエンジンクレーンを導入してもらいました。

ウチから運ぶの大変だからね・・・これは必要。

買ったエンジンも、エキマニだのタービンだのと色々くっついているので、吊った状態でショートエンジンまでバラしていきます。


何かタイミングベルトが変。
ベルトの背中に擦り傷があるな・・・これは恐らく・・・



コイツを詰め過ぎなんだろうな。

タイミングベルトを一回交換しているんだろう。。
折角換えてもこれじゃあなw


そして、相変わらずかなり大変だったが、カムのスプロケットのボルトも全部撃破し、ヘッドの取り外しに掛かります。


スマホのレンズが油でほんわかww

ヘッドボルトは12角の14ミリですがかなり硬く締まっています。
角度締めと対角締めの逆の手順で、慎重にヘッドボルトを緩めていきます。

いつかヘッドも使うかもしれないしね!


はい、14のソケット終了~。
やっぱ焼き入れのガチの奴買わないとダメだな・・・。


12角これしか持ってきてなかったので、この日の作業は終了。
(もう疲れてたんでどのみち終わりたかった)



後日、家にあったきれい目のソケットを使って残りのボルトを取り、ヘッドを外します。

漸く、GDBCのEJ207はシリンダーブロックのみとなりました。

あとはこれを持ち帰って、腰下を分解。
各部の寸法計測や、異常摩耗などがないか点検し、再使用の部品をすっかり洗浄したのちピストンなどを注文します。



オイルパンを取りました。

GDBのC型からセミクローズドデッキとなったEJ207。
エンジンの強度が格段に上がり、ブロー知らずだったGDBの強心臓は、このシリンダーブロックに寄るところが大きい。

EJ20の歴史は、初代GC8が登場してからもう30年にもなるが、
基本構造や寸法がずっと変わらないので、VABの207に至るまで全てそのまま流用出来るところがいい。


逆に、GDBC以降は革命的な刷新が無く、強度や耐久性に関する信頼性はこの辺でほぼ完成したと言っていいと思う。
GR/GVB辺りで再びメタルブローの報告が多かったのは、オイルポンプなどの補機に問題があったのではないかと言われているが定かではない。

差別的な事は言いたくないが、サプライヤーなどにも外国人の期間工を多く採用するようになった頃である。
ロボットによる組み立ても完全に信用は出来ない。


エンジンに限った事ではないが、色々分解整備をしていると、組み立ての品質などもどんどん下がって来ていると感じることも多い。

新車だからと完璧に安心できるものではなくなってきているのである。



EJは何も見なくても分解できるなぁw

クランクシャフトを回してサービスホールからピストンピンを抜くのも久しぶりである。



GCの後期辺りからピストンピンの中空形状が、中心から外側に向けてテーパー状に肉抜きされて軽量化されているので、何かを引っ掛けて引きずり出すのが難しくなっている。

なので、6.3のエクステンションの先にマスキングテープなどを適当に巻き付けて突っ込み、喰わせて引きずり出すというカチッとしない戦術になる。


ま、ちゃんと抜けてきますけどね。



ピストンピンを全部抜いたら、あとは二分割のシリンダーブロックを殻割りします。
数か所判りにくいボルトがあるので、よく確認する事。

写真はオートテンショナーのベースブラケットを外した下側に隠れているボルトで、ブラケットを外すまで見えません。
あとは、オイルパン内部にもM6のボルトが一ヶ所留まっていますね。



はい、分割できました。

ボルトさえ残っていなければ、軽くタガネを入れるだけで簡単に割れます。
接合面は液体ガスケットでくっついてるだけ。

油路や水路を繋ぐOリングが大小4つ程あります。


興味深いのは、クランクジャーナルのオイル供給穴が、GC時代対角二穴だったものが、十文字の四つ穴になっている事。


GC時代のウィークポイントであるビッグエンドのメタル。
ここの油圧切れによるエンジンブローを多くの人が経験している。
だ い のGC8も過去に三度のメタルブローを喫した。

ジムカーナのような、サイドターンなどで小さく旋回して全開で立ち上がるようなシチュエーションでのエンジンブローが殆どであった。

オイルパン形状によるオイルの片寄りや、上がり過ぎる油温など要因は一つではないと思われるが、殆どがGによって波立ったエンジンオイルをオイルストレーナーが吸えない瞬間が出来てしまい、一瞬油圧がゼロになってしまう事が原因である。
これを完封するには、エンジンオイル供給をドライサンプ方式にする以外にないのだが、国内に現実的なキットが存在しない。


ただ、メーカーもそこは把握しているようで、GDB型から色々と対策はしてきてくれている。
まずは大きかったのがオイルパン形状とバッフルプレートの強化。
GC時代の二次元的に広いオイルパンからすり鉢状で深い形状になった。
これは単に等長化されてうねるようになったエキマニをかわすだけでなく、物理的に片寄りが起きにくくなる効果を持たせている。
あとはオイルパンからシリンダーヘッドへの横溢防止のバッフルプレートも形状が見直されている模様。

そこと併せて強化したのがオイルポンプと、コネクションロッドまでの油圧経路なのだろう。


ま、実際はオイルストレーナーがオイルを吸えなければ、何を強化しようと一瞬でエンジンブローなので気休めに近い部分ではあるが、競技などのシビアコンディションではなくとも長期的にみたらメタルの傷みなどが違ってくるかも知れない。



クランクシャフトを支えるメインベアリングは三種類。

オイルを押し込む溝切のベアリングと、単なるフローティング用プレーン、あとは縁が立ち上がっていてクランクの前後方向の動きも同時に抑制するスラスト共用ベアリング。

このスラストベアリングはGC時代には三番目にあったと思うが、一番フライホイール側の五番目に変わっている。


これは、エンジンスタート時にクラッチペダルを踏まなければいけないというクラッチスタート方式が全盛になった為だと思われる。
油圧が掛かっていない状態でやたらとクランクシャフトが押されて更にセルモーターでグイグイ回されるのはメタルにとってはあまり環境が良くない。
メタルのアタリと若干ズレた所までクラッチで押されてエンジンが掛かるまでガリガリ回されるのである。
一番踏ん張りが利くフライホイール側へスラストベアリングを移したのではないかと想像できる。

不慮の不動時にセルクランキングによる退避も出来ないし・・・
クラッチスタート式のマニュアル車はなるべくペダルのスタートスイッチを解除した方が良いのでは?とヲレは思っているのだが。




ハンマーの柄で突っついてピストンを取り出します。

STiは鍛造ピストン仕様。
初期馴染みを良くするためにモリブデンコート処理などがされています。
新品で買うと一個3万円以上します。
ピストンリングなども併せると社外ピストンなどよりも全然高額ですね。



冷間時に最も外径が大きいスカートから20ミリ前後のあたりはコーティングが剥げていますが、ここはこういうものです。
熱が入ると真円になるように出来ています。

特に問題も無さそうなので再使用も可能ですが、今回はオーバーサイズのピストンを使うので勿体ないけどお役御免です。



シリンダーライナーもクロスハッチがしっかり残っていてきれいですね。
10万キロ20万キロ使われていても、オイル管理がしっかりされていればこのように良い状態が維持されます。

これを完全潤滑といいます。


ややカーボンの付着が見られるピストントップですが、これはきれいな方でしょう。
ボアが大きいので元々ブローバイが多い事と、GDBなどは冷却の為に燃料を多めに噴いているので多少は仕方がないかな。




ピストンの計測や、コンロッドベアリングの状態を確認します。

過去にピストントラブルなどで修理歴などがあったら、そこだけオーバーサイズになっている可能性があります。
通常の0.5ミリオーバーサイズのピストンキットの使用でイケるのかどうか、重要な確認です。

コンロッドベアリングは、損傷が激しいとクランクジャーナルが傷ついている場合があり、クランクシャフト自体がそのまま再使用出来ない可能性があります。

エンジンオーバーホール前の確認で重要なのは、現状のボアサイズと、クランクシャフトに歪みが無くジャーナルが無傷かどうか。


ここだけOKならあとは何とかなる!ww



コンロッドベアリングの#1と#4の比較。

やはりオイルポンプから遠いからなのか、熱がこもりやすいからなのか判らないが、#1#2ときれいな場合が多いが、#3、#4と後に行くに連れて傷みが大きい場合が多い。
写真の#4程度であれば問題ない範囲ではあるが、一瞬の油膜切れを起こした際のブローのきっかけにはなるだろう。

過去のメタルブローの経験に於いても、
殆どが#4メタル、稀に#3という感じであった。
#1#2が流れたことは一度も無い。


このように、特にブローに至っていないエンジンに於いても、通常使用の範囲での摩耗具合がリヤ寄りになるほど大きいという傾向がある。




70℃程度の熱湯とメタルクリーンによる漬け置き洗浄。
3時間程度漬けておきました。

擦って落ちる程度の汚れなら、全て溶け落ちてくれます。

頑固な奴はブラシでゴシゴシ。
成分的には手肌に優しいとありますが、明らかに皮膚の表面が溶けてヌルヌルするような感覚がありますので、ビニール手袋をすることをお勧めしますw



さて、腰下をすっかり洗浄したら、あとは注文したピストンを待って加工に出すので、部品が来るまでの間にヘッドを進めます。

ヘッドの要はバルブ周りの分解洗浄とバルブオイルシールの交換、ガスケット面の面研でしょうね。

バルブやバルブガイドの交換、シートの打ち替えなどは殆どの場合必要ありませんね。
ベルトが切れてバルブ曲がりだとか、物理的な損傷が著しい場合を除いて、交換しなければ性能が回復しない程摩耗する部分ではないですね。
余程オイル管理が悪かったものはこの限りではありませんが、20万キロ程度使っているエンジンでも、バルブガイドに目立ったガタが発生したことはありませんし、判る程のシートの段付きが認められた事もないですね。

いいアタリが付いている程度の物が殆どなので、オイルが下がらないようにオイルシールを新品にして、バルブをすっかりきれいにしたら、きっちりタペットクリアランス調整をすれば完璧だと思います。



バルブも買うと高いのでね、何でもかんでも新品にする必要はありません。
しっかり洗浄して磨いて使います。

メタルクリーンを使い切ってしまっていたので、シンクの下にあったパイプユニッシュで漬け置き洗浄。
まぁ、成分は似たようなもんでしょうww


電動ドリルにセットしてペーパーやスコッチブライトでウィンウィンやります。
16本大変だよ・・・。


まるで新品のようになりました。
写真にないけど、高温になるエキゾーストバルブの方が付着物が硬くて大変。


バルブの傘にポンチで符号を打っておいたので、すっかり磨いても各バルブは元の位置に戻せるようになっています。
バルブコンパウンドを付けて擦り合わせをすると、多少タペットクリアランスは変わってしまいますが、基準値内で収まるものもあるでしょうし、元位置スタートからの方が計算はしやすいですね。



バルブコンパウンドは大体粗目と細目がセットになっています。
スリスリパチパチと、やったことがある人には判る大変な作業ですが、ヲレには自作のドリルチャックにセットできるタコ棒があるので、回転による擦り合わせは一瞬です。
最初のアタリ(全周がきれいにあたると抵抗が大きくなって重くなってくる)だけは粗目のコンパウンドを付けて、馴染んできたら細目で仕上げます。



あとは、タペットクリアランスの調整です。

GC8は中期のEJ20Kからインナーシム式になっており、充分に軽量化がなされていますが、GDBのC型からシムとバルブリフターが一体のシムレスリフターというものになっていて更なる軽量化がされています。

バルブ周りの取り付け寸法は変わらないので、今回はそのシムレスリフターを流用してみたいと思います。


これがシムレスリフター。
リフター内側のバルブステムが直接当たる部分には本来ラムネのような小さなシムが挟まっていてそれの交換でタペット調整をするんですが、シムレスリフターは、その名の通りシムが存在せずにリフターそのものの厚みに種類があり、リフターを丸ごと交換する事でタペット調整をします。

インナーシムリフター式に比べて一ヶ所あたり7gもの軽量化になっています。
16か所なら112gもの軽量化となります。


デメリットは丸ごと替えないといけないので、コストが掛かります・・・
シムなら一個500円程度ですが、シムレスリフターは約2000円。。
なるべく購入せずに、手持ちのリフターの入れ替えだけで済ませたいですが、GDBのヘッドから取ってきた中古シム16個しかないのでね、それのやりくりでどれだけパズルを埋められるかという所。

半分も埋まれば儲けものですかね。


全てのリフターの厚みを計測して、マジックで書いておきます。
写真の物は5.16ミリという厚みになります。

内側には517というレーザーによるプリントがありましたので、1/100ミリ程は摩耗で薄くなっている計算です。
全て計算しましたが、概ね1/100~2/100ミリほど小さい値を示しました。

これらを、予め計測しておいた元のシム&リフターの合計値に近い所に当てはめて仮組みしていきます。

擦り合わせによって狭くなっている事を想定して、全く同じ物から2/100ミリ位狭いものの範囲で当てはめていきましたが・・・
擦り合わせによるクリアランスの減少が思いの外大きく、狭い方に働いた計測誤差などが重なった所などもあるようで、殆どが基準のクリアランスよりも狭くなってしまいました。

このGCのヘッドも、バラす前のクリアランスを測っていなかったので、元が適正地だったかどうかは最早判りませんが、取り敢えず机上の計算では全然合ってきませんね。

目標値はインテーク0.20±0.02ミリの、エキゾースト0.25±0.02ミリ。
カムを取り付けしてシクネスゲージで測って、狭ければ薄いものと入れ替えてと、何度もやり直し、手持ちのシムレスリフターでは棒にも箸にも掛からない値の所は購入しかないので、GCのシムリフターを入れて計測していきます。

手持ちのリフターで詰め切りましたが、結局どう入れ替えてもしっかり決まるのは8か所のみ。
もう8か所は購入しかなさそうです。

ただEJ20は、ヘッドをシリンダーヘッドに取り付けてヘッドボルトをしっかり締め付けるとまた値が少し変わる場合があるので、取り敢えずこのままの状態で何ミリのリフターが必要か洗い出しだけ済ませて置いて、組み付けの段階でもう一度計測しまた値が変わる部分があったら、そこのリフターだけ変更するしかありません。

ロッカーアーム式のようにマイナスドライバーひとつで幾らでも調整できるエンジンとは、掛かる手間と時間が段違いですね。。


これが直打ちDOHCエンジンの恐ろしい所よ・・・。




HKSの鍛造ピストンキットに・・



東名のH断面コンロッドと、バッフルスチフナー。


部品が段々揃ってきました。
漸くエンジンを加工に出せますね。


altえ、これから梅雨入りなの???
Posted at 2021/06/12 15:33:43 | コメント(0) | トラックバック(0) | EJ20壊して直す | クルマ
2015年09月19日 イイね!

4番

4番ブローブロックの検証解体。

今回も4番コンロッドメタルの終了でした。

これまでのブロー歴を見ると、3番が1回、4番が2回ということになる。
だいたい3番か4番で流れるのは後ろの方なのだな。

やはりオイルポンプから遠くなるに連れ、油圧の供給力が不利になっていくんだろう。



流れなかった3番メタルと比べて、流れた4番は酷いことになっている。
すっかり潰れて広がってしまっている。

コンロッドも歪みが出ているせいで、キャップを外すのに一苦労だった。

そりゃそうだろう、広がったクリアランスのお陰でインパクトレンチのようにカチカチと打音がするのがメタルブロー。
この音が出た時点で、クランクシャフトとコンロッド一本は完全に終了なのである。



つまらないマイナートラブルを喫しながらも何とか息を吹き返し、
連休には家族で旅行に行くことも出来た。

3週間もあれば何とかなるもんである。


しかし、その後もちょこちょこと気になるトラブルが露呈し、シューティングに追われることとなる。


先ず、スピードメーターの死亡。
そして程なくしてのエンスト症状。
信号待ちなどで停止した直後にすとんと止まってしまう。

最近のクルマのアイドリングストップみたいである。

エンジンチェックランプも点灯したので、カプラーつないでダイアグ掛けてみる。


履歴の読み出しで、24番ISCV。
現状の読み出しで、33番車速センサーと、51番ニュートラルスイッチ




覚悟を決めて、ISCVとニュートラルスイッチを交換。
ISCV3万8千円ですよ・・・。

今回で一番高い部品だ。

どちらもアイドリングに関わってきそうな部品なので、同時に交換。
・・・するも、エンスト症状直らず。


マジか・・・まぁ、ISCVは元々調子悪くて、冬場のハンチングを長年我慢してきたので、年貢の納め時って感じかな。


車速センサーは、ミッション側のナイロンギヤの可能性があったので、
4輪ウマで揚げて駆動チェックしてみることに。

エンジン掛けて1速あたりで駆動させながら、センサー穴に指を突っ込んでメカニカルの動きの確認をするんです。
センサー穴の奥に、マイナスドライバーが噛み合うような溝が切ってある回転部があって、そこが回ってなかったり、指で軽く抑えられるようなら、ミッションバラシ確定。

実際触ってみると、グルグルと力強く回転していて抑えられるような感じじゃない。


車速センサー本体確定!


良かったぁ・・・これでミッションまで降ろして開けろとか言われたらマジ泣きするところだった。。。



これで漸くスピードメーター復活。
オドメーターも回ってなかったんで、慣らし運転の距離が測れなくて困ってたんだよね。


良かった良かったと思っていたら、エンスト症状も直ってしまった。
別々に考えていたんで意外だったな。

車速センサーってマニュアルでも結構色々な制御に関係しているんだなぁ。




あとは、ガラガラビビリ音が凄いので、
度々ダメになるタービンサポートの遮熱板を溶接で付け直し再塗装。


10年使ってバリバリのマッドフラップも、EVAシートを買ってきて作り直したり・・・


普段なら後回しにしそうな細かい作業にも着手。

簡単な作業だけをのんびりこなしながら、ゆっくりしていると・・・BHレガシーからGC8インプに買い換えたというスバル大さんから連絡があり、これから行くんでちょっとクルマ見て欲しいとの旨。


元々GC8に乗っていたらしいんだけど、結婚して家族が増えたんでレガシィーに乗り換えたものの・・・別にレガシィーである必要が無かった・・・

みたいな経緯で、GC8を買い直したようである。
何もGC8でなくても・・・w


F型のVリミテッドだかRAリミテッドだかよく判らないけれど、
DCCDとフロントデフ、ルーフベンチとパワーウインドウが付いたWRブルーの限定車である。
18万7千キロとか言って、ヲレのマシンと変わらないじゃんwwwww

ちょっと乗ってくれと言うんで、近所の山道を軽く乗り回してみる。


クラッチとブレーキがかなり怪しいが、エンジンは調子いいな。
ヘタってて怪しいところの改修を進めながら、壊す前にエンジンを組み直した方がいいな。

メタルやり直せば、向こう10年は攻められる。

もし壊しちゃったら、クランクがなかなか見つからない関係でエンジン買い直しになるだろうから高くつく。

ラジエターとかオイルクーラーとか担保は付けといた方がいいな。



これから必ず訪れる数々のイベントを楽しんでくれたまえ!


ヲレのGCも一段落だな。
Posted at 2015/10/05 02:22:15 | コメント(3) | トラックバック(0) | EJ20壊して直す | クルマ
2015年09月12日 イイね!

EJ20K

EJ20K結構あいだが開いてしまったが、作業の方は各週末に行われていまして、2週間での復活には届かなかったが、3週目には走り出す事ができました。
だがしかし、シルバーウィークの旅行に間に合わせる為に急ぎ過ぎてしまった為、色々とマイナートラブルが連発。

致し方ない部分もあるが、後々の改修作業に追われる事となってしまった。。。

このレベルの作業規模になると、どれだけ慎重に作業しても後の経過観察はある程度必要であり、作業ミスの露顕は勿論、交換した新品部品の不良や、周辺補機類の類焼が出る場合が有り、作業の正確さだけでは担保しきれないトラブルを、一定期間は覚悟しなければならないものだ。

・・・という注釈を付け加えないとやってらんない程、面倒な作業ですw


但し、エンジン主機内部に至っては、後で不具合が露顕してもどうにもならないので、一層慎重に慎重を重ね、丁寧に作業していくしかない。

手抜かりがあればオシマイなのであるww


そんなこんなで、未だに使ってる野郎はそうそう居ないであろう、
GC8インプレッサ中期型エンジンEJ20K。

こんなの壊れたからって、メタル組み直してまでまた使おうって輩は全国に片手も居ないと推察する。
普通の人にとっては、F・G型を車体ごと買い直したほうが安いかも知れないからねw

それでも、ヲレのところにある限りは、再び命を吹き込んでやろうと思う。
エンジンでも直す方が安い、という全世界でも稀な特殊環境下に於かれればこその特例中の特例である。






ヘッドはこの間組み直したしたばっかりなので、リムーバーで掃除して、
ガスケット面を軽く研いで均すのみ。

ラジエター不良で水温120度ってのがあったからね・・・
一応歪みも見ておこう。

歪み限度0.05未満ではあるので、OKとしておきます。





あとは、ストックのショートブロックのメタルの組み換えです。

なあに、調整がないんだもの。
バラしてパチパチと組み立てなおすだけですよ。





きれいなクランクメタル。

元々、トラブルがあったエンジンではないので、正直そのまま使っても良さそうではあるんだけど、
やっぱ使い方が使い方だからね・・・

きっと程なくして壊すんで、新品メタルで組み直すのはマストです。



クランク・コンロッドのメタルセット。
バラ売りなしで、両方で約3万円・・・。


高ぇ~よバカヤロウ。。。




先程も書いたけど、種類がないので調整もないスタンダードサイズ。
そうは言っても、一応間違ったものが来てると拙いんで、クリアランスは見ておきたい。


0.025ミリって所でしょうか。
プラスチゲージが古すぎて、潰れたらグズグズになってよく見えないw

基準値幅前半の値なので全くもって問題ない。





肝心のコンロッドメタルも、クリアランスを一回見てから組付け。
こちらも変な値の所はない。

このまま規定トルクでコンロッドを組付けして、シリンダーブロックを組み立ててしまいます。





各パッキンを新品で乗せ、液体ガスケットをしっかり塗布してシリンダーブロックの接合。
水平対向エンジンならではの作業だろうと思う。

2気筒づつのシリンダーブロックが左右からクランクシャフトを挟み、接着剤で留まってるだけのエンジンなんてほかにそうそうない。



シリンダーのクランクシャフト側は、クランクメタルの支持部があるので、
当然ピストンはヘッド側からあと付けとなる。

見ていても違和感を感じるビッグボアエンジン。
とても2000ccのエンジンとは思えない。

ビッグボアは火炎伝播が遅いため、燃焼効率が悪いのだ。
EJの燃費が宜しくないのはこの為である。



ピストンピン組付け用のサービスホールが計4箇所。
これらの盲蓋の締め付けをきちんと確認し、ベルハウジング側は更なるカバーを取り付ける。

小さいカバーはOリング、大きいカバーは液体ガスケットで組み付ける。



当たり前だけど、ちゃんとエンジンスタンドで組み立てると、本当にラクだ。
くるくる回せるので、バルブリフターを落っことす心配もない。

最初はタイヤの上で転がしながら組んだりしてたけど、ヘッドボルトなどはかなりのトルクで締め付けるので、しっかり固定したい。


あとは、オイルポンプのリリーフ圧の調整。
スプリングが入ってるところのシムでプリロード調整をするんだけど、元々は薄いワッシャーが一枚入っている程度なんですが、前回組むときに3枚増やして計4枚。

これでアイドリングで油圧3キロを実現していたんですが、ぶっちゃけ高すぎてフリクションが目立つ気がしていたので、今回2枚減らして計2枚で行ってみます。



狭い玄関で組み立てたエンジンを、離れの駐車場まで運びます。
マンションの駐車場なので、かなり好奇の目に晒されます。

ま、近所では最早有名人なので、「また何かとんでもないことをやってるな」程度に思われているだけでしょう。


目立たず、広げず、迅速に。

この三点を可能な限り守り、あとは愛想よく笑顔で挨拶を励行していれば、管理人のオッサンも「頑張るねぇ」とか言ってうるさいこと言わないし、隣のスペースのフィットのオバちゃんもこの間ちょっとぶつけちゃったんだけど見てもらっていいかしら・・・とか言ってコミュニケーションを図ってくれる。

このあいだ、変形して外れかけたバンパーの一つも軽く引っぱたいてちゃんと留め直してあげたら、ゼリーのお中元が届きましたw


ヲレのようなアウトローでも、地域でちゃんとやっていくためには、結局は周りのひととうまくやっていけるかどうかに掛かっている。

自己主張を通しつつも、理解してもらう、仲良くする。


どんな人だって、笑顔で話しかけられたり親切にされたら、無下にはできないもんだ。



土曜日エンジン組立、日曜日エンジン積み込み。
みたいにやっていたら、積み込みの直前でマッキーが野次馬にやってくる。

マッキーのタイプR久々に見たな。

オールペンしてデカイ羽根装着、ホイールはヲレのと同じOZになってる。
きれいなクルマだな。


「ちょうどいいところに来たな、ちょっと手伝っていきなよ。」


とか言って積み込みを手伝わせる。
なかなかメンドラが決まらなくて小一時間くらい掛かっちゃったな・・・。

サンキュー助かったよで撤収、帰ろうとするマッキーが何かを拾い上げる。


「何すかコレ。」



どう見てもリヤクランクシールのリップスプリングである。。。



ばかなばかな。


降ろしたエンジンはここではバラしてない。
組んだエンジンに最後にシールを打ち込んだのはここである。

新品シールのスプリングであることは火を見るより明らかであった。


袋から取り出して嵌合部をラスペネで潤滑、
手から落としたりすることもなく丁寧に取り付けしたのを憶えている。

袋の中で既に外れていたとしか思えないな・・・。


シールのスプリングが脱落しているとは流石に想像しなかったので、確かに確認はしてない。
こんなことがあるんだな・・・。

一見無駄とも思えるが実は無駄ではない、そんな確認事項がまた増えてしまった・・・。


整備とは・・・
かもしれないと言う、こんな細かい気遣いの積み重ねなのである。


くそ~、この日はタイムリミットだ。
また翌週エンジンの積み直しからやり直さねばならない。




翌週末。
さっさとエンジンを引き摺り降ろして、クランクシールのやり直しからである。



やはり入っていないwwwww

ここのスプリングは目立たないが役割的にはかなり重要で、無しで組んでもオイルがダダ漏れになるだけである。

以前軽自動車のカムスプロケの裏のシールを打ち替えた際に、中で外れてしまっていて、エンジン掛けたらオイルが尋常じゃなくたくってきて焦ったことがあった。

打った先で外れちゃってたら判らないよな・・・なんて理不尽な思いをしましたが、やはり打ち込む際にも強めに打擲することは避け、なるべく静かに強く押し込むよう気をつけるようにはなりました。


余談だけど、「たくる」って言葉みなさん使います?
汁物が漏れて、尾を引いて垂れてくるとか流れてくるときに「たくってきた」と使うんですけど、意味がわからない人もいるみたい。

普通に使ってたけど気づかなかった。


確かに辞書に載ってないし、方言なのかな・・・。





エンジン再搭載。
疲れもない、明るい時間に作業すると早いね~、降ろして積みなおして一時間ちょっとだった。

あとはエンジンハーネス、マスターバックの負圧ホース、燃料ホース、センサーのバキュームホースや、スロットルワイヤー、フロントパイプと、水廻りのホース、あとは、パワステポンプとコンプレッサー等を諸々戻していけば、オイルと水を入れてエンジンが掛けられる。


翌日には旅行で出かけなければならないので、走行チェックまで済ませないといけません。



慣らし&フラッシングがてら、最初はシャバ目の安いオイルでいい。
別体オイルクーラーのお陰で、6L近くが必要になる。


そして緊張の火入れは、クランク一周で掛かったんじゃないか、と言うくらい一発で完爆。
18万5千キロからの再スタートとなりました。


ところが・・・



ヤベエ・・・ちょっとオイルがたくってくる・・・。

痕跡をたどっていくと、インテークのカムスプロケの裏だな・・・


ちょっと心当たりがあった。

実はここだけ、ちょっと斜めに入っちゃって軽く齧ったのを無理矢理押し込んだ記憶がある。

最後はきれいな仕上がりだったんだけど、縁が奥で捲れたままだったんだね・・・
油圧が掛かったら捲れてきた。

ここはストックがあったので即交換。




そうかと思えば、今度は右バンクから煙が・・・(;´Д`)
またカムか・・・勘弁してくれ~と思ったら、今度はタペットカバーパッキンが切れてる・・・。

そんなことある???

組付けミスだろうか・・・こんなのミスると思えないんだが。


それとも流通の過程でダメージを負った不良品を知らずに使ってしまったんだろうか・・・
今となっては詮ないことだが。

どちらにせよ、もっと気を付けないとな・・・

ここは、活きのいいストックパーツを保存してあったので、これで対処しておきますw
(結局中古かよ!)



翌日早朝出発なのにタイベル掛け直しとか、
タペットカバーパッキンの交換とか・・・
面倒な改修が続き、問題なく走れるようになったのは深夜となりました。


ちょっとでも心配を残すとダメだねぇ・・・。
機械は正直です。

今回は仕方ない部分もあるけれど、期限を短時間で区切り過ぎるのも良くないな・・・やっぱり焦ってやると見落とすよ。


エンジンは時間をかけて丁寧にやりたいもんだね。



再び悪魔のEJ20K復活。
Posted at 2015/10/04 06:11:48 | コメント(5) | トラックバック(0) | EJ20壊して直す | クルマ
2015年09月05日 イイね!

安心してください。

安心してください。直しますよ!

水曜にエンジン壊して、週末にはエンジンを下ろすことになった愛機イプ太郎。
全くもって準備は万端なのであるw

2、3年前にマッキーから譲り受けていたストックのEJ20Kが漸く出番である。

これの腰下を、メタルだけ新品で組み直して取り替えちゃいます。
ヘッドはこの間やり直したばかりだから、今回はそのまま使おう。


これだけで随分と時間短縮になるよ。

今週末でエンジン降ろして、ひと通りバラしておければ、
来週末でエンジン組み立てて、積み込みまでいけそうだ。

最短2週間で完全復活プラン。


よしコレで行こうw


シルバーウィークにはクルマが使いたかったんだよね。
段取りよくやれば、手抜きナシでも間に合わせられる計算だな。



久々に垂直まで開いたエンジンフード。

多くのクルマが、フードを外さなければならないのに対して、最初から垂直にまで開いてくれるというのは粋な計らいである。
ヲレのライフスタイルに合っているw


皮肉にも、苦労して付けたばかりの52ミリラジエターも再び外します。
水温は格段に下がったのだが・・・今回は全く別の問題。


でも全く別でもないかも・・・・

クネとのランデブーで油温・水温120度というのがあったからな・・・
実はその時点で致命傷を追っていたのかも。


色々と後手であったな。



もうすぐ18万5千キロのEJ20K。
最初のメタルブローは7万5千キロだった。

当時何も知らなかったヲレは、
中古のWRXのエンジンから腰下だけ取って付け替えたが、
過走行のエンジンだった為、約1000キロで再びメタルブロー。

元のSTIのエンジンをやり直すことにした。


クランクとコンロッドを交換して新品メタルで組み直した所、バッチリ壊れなくなった。
そこから11万キロにて今腰下で二回目のブロー。

まぁ・・・ちょっとオイルが少なかったとか、人災の感も否めないが・・・


サーキットに雪山に、峠に・・・8年遊んだし、元は取ったか。



昼前から始めて、日暮れ前には無事離陸。

エンジンの着脱があまりに多いので、いつも借りて済ませていたクレーンは、
自前を準備しておいた。

引っ張り出して組み立てるだけで、半日分の体力を使うな・・・。


出来れば自分で持ちたくなかった道具の一つだ。



駐車場が屋根下になったので、急な雨でも安心だが・・・
ベンツやらビーエムが駐まってる奥でおかしな取合せではある。


その気になれば、どこでだって出来るよ!



土曜日は、エンジンを降ろして、外した部品やらを片付けて終了。
共同スペースもあるので、色々出しっぱなしという訳には行かないからね。


掃除したり、こぼしたクーラントを水で流したりして明日に備えます。



車体側に残してブラブラになってしまうのは、
オイルクーラーのブロックと、パワステポンプ、ACコンプレッサー。

ホースに無理な力がかからないような取り回しで、エンジンルーム内でまとめておきます。



タイベルも11万キロとなっていたので、今年交換の予定でした。
ついでにエンジンオーバーホールと思えばいいか・・・(汗


前回替えなかったウォーターポンプやオートテンショナーその他も、今回はセットで交換しよう。
替えてなかったのかよw

しかし・・・毎回思うけれど、全然痛んでないね、タイミングベルト。

もう10万キロとかイケそうな雰囲気。。。




癖で確認しちゃうけど、
ベルトのタイミングは全然狂ってないね。


まぁ・・・何はなくともエンジンは壊れちゃってるんだけどね・・・。




ヘッド外して洗浄したら、片付けて今日はオシマイでいいかな。
ここで根を詰め過ぎると後に響くんで・・・


どうせ後は部品待ちだしね。



ヘッドボルトはカムの裏なんで、カムを一回外さないといけないんだけど、
エンジン水平だと、エキゾーストのバルブリフターが下に落っこちるんで注意が必要。

インナーシムバラバラになったら、計測からやり直しになっちゃう・・・


今回は、ヘッドはそのまま使うんだから。



無事ヘッドは外れました。
ピストンとバルブが競った跡もないな。

ガスケット面だけ綺麗にすればOKだな。

ウォータージャケットが抜けた痕跡もないし、あれからガスケット抜けは起きていなかった。
一回やり直したら抜けないんだな。


覚えておこう。




段々とこのエンジンのことが解ってきたぜw


今更感が半端ないけど。







Posted at 2015/09/07 01:19:57 | コメント(3) | トラックバック(0) | EJ20壊して直す | クルマ

プロフィール

「[整備] #その他 HA11S アルトワークス 社外ラジエター装着 https://minkara.carview.co.jp/userid/271921/car/262720/7405733/note.aspx
何シテル?   06/30 04:17
だ い です。空白が二つですw 板金塗装と整備をちょこっとかじってマス。
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/9 >>

 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    

リンク・クリップ

人気ブログランキング 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2009/09/13 00:37:18
 

愛車一覧

スバル インプレッサ WRX STI イプ太郎 (スバル インプレッサ WRX STI)
峠にサーキットにジムカーナに雪山に、ファミリーカーに、10年以上お世話になってます。 ...
ホンダ ホーネット250 ホンダ ホーネット250
通勤でもう一つ欲しい余裕と、老後の楽しみの為に30年ぶりに単車を買いました。 五十路目前 ...
スズキ エブリイ エブ子ちゃん (スズキ エブリイ)
妻の通勤&保育園送り迎え及びキャンプ用に買い替えました。 不整地走行を想定した4WDに、 ...
カワサキ KSR-I カワサキ KSR-I
ずっと憧れだった川崎のスペシャル原付も気が付けば25年落ち。遂に買ってやりました! フ ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation