
師走の慌ただしい中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私もなかなか時間がとれず、愛車の稼働率は大幅に低下し、ブログの更新も滞っております。
が、そんな中でもレンタカーには乗っちゃったりしてます。
今回は
フォルクスワーゲンアップ(move up!)。
VWがポロよりさらに小さいクラスに投入したニューモデルです。
これまでの各メディアからの情報によると、優れた安全装備やしっかりした走り、そして149万円からという戦略的な価格もあり、なかなかの高評価。「国産車の脅威になる」なんて表現もされています。
しかし例によって
自動車評論家諸氏の言うことは全くあてになりませんので、気になるクルマはやはり自分でじっくり乗ってみたいと思います。
まずスタイリングですが、これはなかなかGOOD。
特にナンバープレートの周りの部分は個性的です。
隣のポロGTIより一回り小さいですが、なかなかの存在感があります。
リヤはスマホを思わせるおしゃれなデザインですね。
次に装備を見てみます。
普通は「こんなものがついています」というのが評価の対象となりますが、このクルマの場合は「ここまで割り切ってます」というのが特徴です。
まず助手席側のパワーウインドウのスイッチが運転席側にありません。つまり、助手席側の窓を開けるには、助手席側のドアにあるスイッチに手を伸ばして開けるわけです。
助手席側に手を伸ばしてクルクルまわすハチロクと同じようなもんですね。
後席の窓は降りません。チルトするのみです。
純正のナビがこれです。中味はパイオニアのエアナビ。
そしてこれが標準の取付位置ですが、ナビの後ろにエアコンの吹き出し口があるので、風が遮られてしまいます。
まあこれまでいろいろなクルマに乗って来ましたが、ここまで割り切ったクルマも珍しい。
が、今回800kmくらい運転した結果、さして気になる部分はありませんでした。
助手席や後席の窓を開けるなんてことは滅多にないですし、ナビもこんなものと思えばこんなものです。
ただ、ナビによってエアコンの風が遮られることは、夏場のエアコンの効きについて少し懸念されます。
では肝心の走りの方を見てみましょう。
エンジンは1Lで75ps 9.7kgm。VWお得意の過給器付ではありませんので、スペック的にもたいしたことはありません。
ミッションは「ASG」と呼ばれるシングルクラッチ式のロボタイズドMT。この名前を聞いただけでゲンナリです。
というのも私がこれまで乗ったクルマの中で、最低のミッションだと評価しているのは、アルファ/
フィアットのセレスピード。それと同じ仕組みと聞けば、全く期待できるものではありません。
事実、自動車評論家諸氏の記事を見ても、他は高評価なのにミッションについては「慣れが必要」なんて書いてあります。なんとも遠まわしな言い方ですね。(^^;
それでこのエンジン、ミッションの組み合わせで走りの方はどうだったかというと・・・・・
ダメなミッションはやっぱりダメ
エンジンは全然悪くありません。3気筒でも振動は少ないですし、低回転から高回転までまずまずきれいに回ります。パワー的にもこのクルマのキャラに見合ったぐらいの力はあります。
しかし、このミッションは非常に出来が悪い。変速が遅く、特に加速時は加速感が抜けるので、頭がカックンカックン。運転している自分にとっても相当不快なので、助手席や後席の人たちに嫌がられること間違いなし。
さらに加速したい時に、アクセルを踏み込んでもなかなかキックダウンしてくれず、「キックダウンをあきらめたのか」と思ったくらいに2テンポくらい遅れて、突然変速する(それも相当遅い)という具合に、とにかく人間が意図した通りに動いてくれません。
ちなみにマニュアル操作すれば、シフトアップ時にアクセルを抜くことでギクシャク感は緩和されます。が、シフトの感触もよくないので、全く楽しくありません。さらに言えば、このクルマはタウンユースが主体のはず。多くの女性ドライバー(実際にすれ違ったupのドライバーは女性が多かった)にもそんなことを要求するのでしょうか。
全体として
「よくもまあこんなレベルの低いものを市販したよなあ」というのが正直な感想。
セレスピードと同じような感じですが、セレスピードよりさらに制御が悪いので、
最低ミッションの称号はこのASGが獲得です。(^^;
この結果、街中、ワインディング、高速という3ステージの中で、一番不得意なのがストップ&ゴーを繰り返す街中です。なにせその度にギクシャクですから。
一方一番いいのは高速。高速での安定感は評判通りなかなかのもの。確かに走りのよさはクラス以上だと思います。変速の機会も少なく、5速、4速間の変速なのでミッションの弱点も出て来ません。
なんか得意なステージが見た目のかわいらしい感じと違いますね。
最後に燃費ですが、これはちょっと評価に困ることがあります。
満タン方による計測結果は、約800kmの走行で24.91km/Lという立派は数値。
しかし燃料計の動きを見ると、にわかには信じられません。
写真はトリップメーターの通り、走行開始から278.2km経った時のものですが、燃料計はほんのちょっとしか動いておりません。
最初の200kmは全く動かなかったので、壊れているのかと思いましたが、その後動き出しました。もしかすると、
以前ブログに書いた20型プリウスのように、公称値(35L)より多く燃料が入るのかもしれません。
そのことを差し引いても、20km/L近くは走っていそうですから、燃費については文句ないでしょう。
というわけで、結論としては
「せっかくの優れたパッケージングがダメダメなミッションのせいで台無し」というところでしょうか。
クルマのパッケージングとしては非常によいものを持っているのに残念なこと。現時点では国産車の脅威とはならないでしょう。購入をご検討中の方は、試乗してASGの動きに納得した上でないと、後悔すると思います。
でもマイナーチェンジでこのクルマにDSGが載るようなことがあれば、その時が本当の国産車にとっては脅威となるかもしれませんね。(^^)