発症直前に発見して、画像の準備をしかけていたものの、
発症してしまった為にアップ出来ていなかったのですが、
例の低走行車(だけじゃないけど)が集うオランダのお店に表題の車が入荷していました。
ところが一昨日まで売れていなかったのに、
昨日確認したら売約済みになっていたのですよねぇ(苦笑)。
後述しますけど、これ、低走行車という部分を除けば、
通常は、ふ~ん、で済んでしまう車なんですけれども、
実はマニア的には『!』って車なのですよね。
故に、足が早いのも判るわ~って所なのですが、
売れてしまうのに先んじて、販売価格を記録しておいて良かった~と思いました。
その車両がコチラ。
色は私が大好物なグラファイトグレイですね。
300SE用のクロームモールが幾つか追加されているので素の状態よりも派手になっていますが、
どうでしょう?、デザイン的に失敗だったんじゃないかって言われる事もあるハネベンも
ここまでボディがキッチリした状態にある車だと、凛とした美しさを感じますよね。
惜しむらくは、例によって、ややフロント下がりになっている事で、
これもきっとサブフレームマウントのへたりが原因なのだろうなぁと思う所であります。
運転席ドアからの室内。
グラファイトグレイ外装&赤内装というのは好みの組み合わせなのですが、
これ、赤でも革内装ではなくて、MB-TEX内装なのですよね。
この時代のMB-TEXって(陽が当たり過ぎて?)劣化が進むと、
干からびたみたいになってとても安っぽく見えるようになってしまうので、
それが難点なんですよね。
その点、この車は走行距離も少なく、また保管場所が良かったという事なのか、
無論、革張りの様な風格はありませんけれども、
安っぽい感じにはなっていないと思います。
この車位のコンディションなら満足なのですが、
やっぱりどうしてもその後の経年劣化を考えてしまうので、
これがファブリックだったら尚、革張りだったら尚々良かったのになァと思ってしまいます。
まぁ、クラス的な事を考えると230Sで革を選んだ人は滅多にいなかったろうと思いますけどね。
EPCを見る限り、一応オプションにはなっていたみたいですが。
私の子供の頃にはそんなに珍しくはなかったけれども、
今となっては懐かしいというか、ベンチシート&コラムシフトになっていますね。
(そういや、近年乗った事がないけど、今のタクシーってやっぱりベンチシートなのかしらん?)
しかし、今、こうしてみると、前席のベンチシートって
まともに3人掛けできていたのかしら?って感じですよね。
真ん中の人が一番楽なのはフロアトンネルをまたぐ乗り方だと思うんですけど、
左ハンドルだと、トンネルの過ぎ左脇にアクセルが来るから、それは無理なので、
助手席側に足を投げ出すしかないですから、
一寸体勢的には厳しそうにおもうんですけどねぇ。
バックレストブラケットのアップ。
リクライニング機構ナシ仕様なんですね!
という言い方をする限りはオプションでリクライニング機構アリも選べたという事でして、
これはそれを選ばなかった素の仕様という事なんですよね。
バックレストブラケットがシート色に合わせて赤だって言うのが凄いなぁ。
普通ならグレイとか黒とかって無難な色にして
各シート色で共通にしちゃう所だと思うんですけど、
この部分って弄ってないのかなぁ?と正直疑っています(笑)。
幾ら距離が少ないったって、年数を考えると一寸綺麗過ぎに思えますしねぇ。
ダッシュボード。
この画像だと判りにくいですが、ダッシュ上面に割れもなく、
クローズアップでもいかにも低走行車という感じでしなやかさが残っていそうに見える状態です。
反面、ダッシュ正面のウッドは半艶で表面上綺麗そうではあるものの、
こんなものなのかなぁ?という感じ。
まぁ、W110の230とW108の250Sとの中間に位置するモデルという事から考えると、
元々の感じがこんな物だったのかもしれませんね。
因みに220Sbと230Sって年代が違うだけで同じような車だと思われている方も
居られるかもしれませんが、車格が全然違うので内装の作り込みが全く違うんですよね。
230Sの型式は111010ですが、これって220bと同じものですから、
テールランプは大型化されていても、実はそちらの流れという扱いなんですよね。
イグニッションキーとラジオのデリートプレートの間に
何やらオレンジ色頭のスイッチと、クロームのスイッチらしき物が並んでしますけど、
これって何なんだろう?
チョークの付いている車両はこの辺りにノブが付く筈なんですけど、
230Sは多分自動だと思うんですよね。
他の物件も何台か確認してみましたけれども、ここには何もなかったので、
多分これはオリジナルではなかろうと思われる所であります。
リアシート。
こちらもとても綺麗ですね~。
しかし、こうしてリアシート側から見てもまた、
フロントのベンチシートってパティションパネル的な威圧感がありますなァ。
ドア内張り。
これも文句の言いようもない程綺麗ですねぇ。
これが劣化してくるとこの鮮やかな赤味が無くなっちゃうのですよね。
クローズアップ。
ドアのインナーオープナーハンドルから横に展開している部分は、
シートのセンター部同様の籠の網目パターンの型押しになっています。
以前のE9の集まりの時のブログにも書きましたけど、
BMWにも同様の型押しがされている事からすると、
これってこの時代のドイツの流行りだったのでしょうね。
ルーフ前端。
サンバイザーは弛みもなく、且つ新車のように綺麗ですね。
弛みのないサンバイザー、私も欲しいなァ。
フルクロームのインサイドミラーはイマイチ変更時期が判らんのですが、
少なくともW111クーペの前期内装の時代まではフルクロームだと思われる所ですので、
1966年式のこの車のこれはオリジナルでしょうね。
その一方で、同時期の250S/SEだと、ここのルームランプが
220君用と同じ全体がクロームで蓋が出来るようになっているタイプだった筈なのですが、
230Sではこのタイプだったのですね~。
窓廻りのパネルは一見、ウッドのように見えますが、
確かこれはベークライト?だった筈です。
先程引き合いに出した220Sbはウッドなんですけどね。
Cピラー廻りのヘッドライナーも滅茶滅茶綺麗。
で、この車、床敷きに全くカーペットを使用していないみたいなのですが、
その素材のコンディションも抜群です。
運転席床。
トンネル&助手席床。
トンネルは一瞬カーペット地なのかと思ったのですが、
それっぽい型押しをしてあるだけのようです。
リア床&トンネル。
ホントにこれ、使ってたの?って思うくらい綺麗ですな。
テールフィン。
クーペよりも垂直に近く切り立った、丸みを帯びたトランクリッドとの対比が何とも言えませんねぇ。
テールランプ。
これ、いくら走行距離が少ないったって、17400キロは走っているわけだから、
これがオリジナルのままだというには一寸異常に綺麗過ぎなのでは?
断言は出来ませんけど、近年のリプロを疑うレベルですな。
しかし、仮にここが新しい部品だったとしても、周りも破綻なく綺麗だから、
それが全く浮いてこないのが恐ろしい限りです(汗)。
ワイパーアームの付け根。
この関節から上はステンレス製なんですけど、
下は鉄にクローム処理なので、どの車も結構ポツポツ錆が浮いてきちゃうものなんですよね。
それがこんなにピカピカとは…。
気になるのはアウトサイドミラー位置。
本来これ、三角窓の後ろ側のレール辺りのラインに付くのが正解なんですけどね。
このミラーは、流石に交換してますな(笑)。
以前、ミラーを固定しているシールの当時モノを持っていた事があるのですが、
放っておいてもクリーム色っぽく変色してきてしまうし、
第一、これ、画像をよくよく見ると、シールの切れ目が一寸表に顔を出しているんですけど、
シールがこの場所で切れているのって後年のタイプで、
当時モノはどこも切れていないですからね。
300SE用リアフェンダーアーチモールの先端。
ここまで意識してみた事がなかったけれど、
この前側の立ち上がる部分に幅があるのがデザインとして恰好イイナァと思いました。
アーチモールと言っても、ホイールアーチには前半分しか沿っていないで
そのままテールランプ下部に向かって水平に伸びていくのですけど、
ここの幅広さが水平のラインの細さを引き立たせていて好いですよね。
フューエルドア、オープンの図。
なんかもう、これ再塗装だよね?って言いたくなるほど、破綻なくどこそこ綺麗ですよね。
でも、お店ではどこを測っても、再塗装と比較して塗膜が薄いので
これはオリジナル塗装だって言うんですよね。
薄く赤丸を付けておきましたが、
ここにキャップを挟んで給油中に蓋があけておけるようになっているんですよね。
この装備、220時代には無い物なんですよね~。
、、、なんて思って、ここで変更時期を調べたら、意外な事が判ってしまいました。
230S用のフューエルドアを調べると品番が2種類あって、
(古い方が新しい方に置き換わっています)
その古い方の品番は私のオリジナルパーツリストに出ている、
220SEbセダン用と同じ部品だったので、
それが蓋ストッパーなしバージョンの品番なのは間違いないのですが、
EPCによると車体番号102536までに該当って事になっているのですよね。
ところがこの車の車体番号は7万3千番台(苦笑)。
何らかの理由で交換してんじゃん、、、って話になってしまいました(笑)。
新品は当然着色なし供給ですから、少なくともこの辺りの塗装はやっていますよね。
でも実は、もっと決定的にオカシイ部分も見付けてしまっているのですよね。
それはコチラ。
ルーフの雨樋なんですけど、クロームのモールがないのですよね。
左右とも。
付いていない理由はよく判りませんけど、外す理由を考えると、
リクロームの為か屋根廻りの塗装の為、としか考えようがありませんからね。
リクロームの為に外したのなら、付け忘れる事はまずなかろうと思われる所ですから、
やっぱり塗装には手が入ってるでしょ~と思うのが自然の流れですよね。
さぁ、気を取り直して(笑)、次はエンジンルームです。
使って来ていれば、手も入れているわけですから、
全く手つかずという事はあり得ないわけで、
例えばラジエターのタンクなんかは塗ってるなァとかとは思ったりするのですが、
自然で清潔にイイ感じで時代を経てきた感じのするエンジンルームですよね。
エンジンルーム内、右のサイドメンバー後部
ブレーキパイプの配管が綺麗ですね~。
私は自分で引き直していて、純正が巻きの状態で来たので、
一旦伸ばしてから曲げる所で曲げているから、
直線は汚いし、曲げも綺麗じゃないし、おまけに確か123品番のブレーキ配管なので
表面の色も近代的?だから、
オリジナルってこんなんだったのかなぁ?なんて思ってしまうのですよね。
しっかし、ダウンパイプの通り道が、この車もサイドメンバーに近いこと…。
220君の場合はこのスペースに太鼓まで付きますから、
ホントにキチキチなんですよねぇ。
ホースバンド。
これで締めてあると、昔風で恰好イイナァとは思うのですけど、
実際どうなんでしょうね?
緩んで水漏れとかする事は無かったりするのでしょうか?
とりあえず私はリアアクスルへのブレーキ配管の固定だけは
このバンドを使いましたけれども、他の所はなんとなく怖くて使えないのですよね。
大丈夫なんでしょうけど。
ブレーキブースター廻り。
マスターシリンダーも錆が結構来てるし、
上の赤丸の所には薄っすら何かが垂れたような跡が。
下の赤丸の所は漏れたブレーキオイルによる錆?
状況的に、私的にはマスターシリンダー交換をお勧めしたい感じであります。
あっ、付いてない(笑)。
こないだブログでネタにした、フロントグリルのダンパゴム、
赤矢印の所に付いているのが正解だろうと思うのですけど、
居なくなっていますね。
話がコアサポート近辺まで来たのでここでようやく本題に近づいてくるのですが、
コアサポート上部向かって右側にこのような打刻があるのに気付きました。
一瞬、誰か、ここのプレートを紛失して、その内容についての
適当な打刻をしやがったな、、、と思ったのですが、さにあらず。
逆側を見ると、こんなステッカーとプレートが張り付けてありました。
そこには『I.M.A.』の文字が。
そう、この車、ドイツ製ではなくて、
ウニヴェルザールが作られていたベルギーのI.M.A社で作られた、
数少ない230Sセダンの内の1台なのですよね。
こんなん、私も初めて見ました。
まぁ、ヨーロッパに居ればお目に掛る機会自体はあるのかもですけど、
これだけ低走行の綺麗な個体となれば、珍しいだろうなぁと思う所でありました。
プレートを見ると、海外生産モデルなので、車体番号でハンドル方向を示す数字が
やっぱり『5』になっていますね。
あと、見慣れないファブリケートナンバーって物が記載されているのが気になってしまいました。
ルノーで、部品検索の時なんかにファブリケーションナンバーって言うのが要るらしいですけど、
これも同じ様な類いのものなんでしょうかねぇ?
そうそう、これがIMA製の車だと判って、雨樋のクロームのモールが無かったり、
ミラー位置が違ったりしているのも
一瞬、ひょっとしてそのせい???と思ったりもしたのですけど、
同じセダンは見つけようがないので比べようがないものの、
ウニヴェルザールを何台か見てみれば、
ちゃんと雨樋にはクロームのモールが付いているし、
ミラーも正規の位置に付いているので、
セダンだけドイツ生産モデルから外れた事をやっているわけがないという事で、
やっぱりこの車固有の×だろうという判断になりました。
お次はトランクに行って、工具袋とステッカー。
工具袋は本当に時期が判らないのですけど、
今、私が220君に使っているのと、これは同じタイプだろうと思われるので、
これがオリジナルだと好いなぁと思っております(笑)。
あと、この青いステッカーは220君の時代も青いのですけど、
外側に1本白枠があるのですよね。
って事は250世代からこの一回り小さいタイプになるって事なんでしょうかね?
トランクの中を覗いていて不自然な事に気付いてしまいました。
左右ともテールランプの電球が生えている部分を取り外してあるのですよね。
ひょっとしてテールランプを、外からより一層綺麗に見せるために
外していたりするのかしら?
なんかどうも、この車に関しては変な小細工が成されているような気がしてならないのですよねぇ。
トランク左右の水が入って錆びやすい所も綺麗ですねぇ。
床下廻りも無論、仕上げた車レベルではないですけど、
使用過程車としては滅茶滅茶綺麗な状態にあると思います。
I.M.A.の車両の床下のコーティングはドイツ製のそれと明らかに違っていると
お店では言っているのですが、
これに関してはオリジナルはこうだ~という認識がないので、
私にはよく判りませんです(苦笑)。
しかし、この部分に関しては、、、
なんか、殆ど地金の色が出ている気がするのは気のせい?
リアアクスル廻り。
面白いなぁと思うのはハウジングで、
以前、220SEbと250SEでハウジングが違うという話をしましたけれども、
230Sは250時代の車だから、そちらのタイプのハウジングを使っているだろうと思ったのですけど、
ファイナルの表示位置、ドレーンの位置からして、
これは220SEbと同じタイプのハウジングなのですよね。
って事は時代云々ではなくて、ドラムブレーキ用とディスクブレーキ用で
ハウジングが違うって解釈の方が正しいのかもですね。
フロントアクスルもイイ感じに綺麗ですね~。
フロントブレーキはひょっとしてガーリングの3ピストンなのかな?
外部配管が見えないようなので、だとすればその3rdバージョンだと思われます。
バンパー裏も白い防錆塗料が綺麗で錆のさの字もないですな。
さて、思いのほか超大作になってしまいましたが(苦笑)、
気になるお値段の方は39500ユーロ、今のレートで623万円ほど。
安くはないけれど、思ったほど高くもない感じ。
ここまでの低走行、希少なI.M.A.社製モデルで蘊蓄語り放題って事を考えると
却ってお安いかも?という気すらします(笑)。
結構ケチも付けましたけれども、
足りない点は今度買われたオーナーさんが補って下さることを期待しようと思います(笑)。