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2022年12月14日

アイシンコムセンター企画展「クラウンとアイシン」見学

アイシンコムセンター企画展「クラウンとアイシン」見学 祝日は私の勤務先も妻の勤務先も仕事なのに保育園は閉まっています。そこで同じく公営の祝日保育を実施している保育園に連れて行くことになるのですが、給食が出ない為、5時起床でお弁当を用意する必要があり、最近は割切って有給休暇を取るようにしております。

夫婦交代で休むのですが、休みと言えども家でゴロゴロしているわけにも行きませんので10月はひと区間だけ子供達を新幹線に乗せてきました。正直、ひと区間で十分子供は楽しんでいたようで、下車後は安全な柵の手前側で通過する新幹線の迫力に圧倒されておりました。

次の11月の祝日は刈谷市にあるアイシンコムセンターへ行ってきました。ここは平日しか開館していないアイシンの企業展示施設です。

たまたま企画展をやっていることもあり、プログレでアイシン本社へ。お客様駐車場には三河33を掲げた初代セルシオが止まっていて何となくテンションが上がります。



エントランスには3代目トヨペットコロナが止まっています。社内のレストアプロジェクトで復活したようですが、流石というクオリティ。



トヨグライドなのは黎明期からトヨタのATを(元アイシンワーナーことアイシンAW)生産しているアイシングループらしい選択と言えます。



まずは常設展へ。

「アイシン」の社名は「愛知工業」と「新川工業」が合併して両社の頭文字をとったもの。1943年にトヨタ自動車と川崎航空機工業の共同出資で生まれた航空機エンジンの量産メーカーでした。1965年、トヨタ自動車工業のサプライヤーとして新川工業と合併しアイシン精機となりました。




時代の流れに沿って1/43スケールの代表的なミニカー(市販品)が展示され、マニア層で無くても自動車の進化を感じ取ることが出来ます。



トランスミッションは1959年にトヨタが開発した半自動2速ATであるトヨグライドを受託生産し、アイシンによって改良・洗練されていきました。当初は職人が一人で組み上げており、日産数台だったトヨグライドですが、1963年には完全自動のトヨグライドを開発、年間5万機の生産ペースに拡大しました。モータリゼーションの波でイージードライブへの要求や輸出先のニーズにATはよく合っていたのでしょう。



一方で米国ボルグワーナーも日本市場に目をつけ日本に進出したところ、トヨグライドがボルグワーナーの特許に抵触していることが発覚しました。トルクコンバーターとプラネタリーギアを用いた自動変速機という枠組である以上、特許を回避することは不可能であり1969年にアイシン・ワーナーという合弁企業を発足させてATの開発・生産を行うこととしました。

特許を調べずにトヨグライドを作ってしまったトヨタ自動車も鈍臭いところがありますね。以後、品質と技術に十分注意したアイシンワーナーは世界中のメーカーへ採用されていくことになります。

MTも1967年のトヨタ2000GTの5速MTが展示されています。これはアイシンによる開発第一号のトランスミッションとのこと。残念ながらシフトパターンを示すプレートは欠品しておりました。(いわばトランスミッションの顔なので復元して欲しいですね)



ATの進化は続き、ボルグワーナーが開発中だった新機種の基本設計を元にアイシンワーナーが完成させた3速フルオートマチックは1972年のコロナを皮切りにたくさんのFR乗用車に搭載されました。たった12人の技術者で完成させたと言われるこのATは全数検査(ベンチ試験では無く、車両に搭載して検査される)され2000台が実際に全数検査されて不具合はほとんど無かったと言われているそうです。確か我が家のライトエースノアのこのタイプの末裔が載っていたかと記憶していますが、かなり長い間作られていたんですね。苦労した分、ダシが出尽くした感じですか。

また、1983年のカローラに搭載された横置きFFの狭いスペースに4速を実現したECT-Sは、3速ATを基本として、カウンター軸(反転側)にO/Dを配置すると言う2軸構成が新しく、3速ATと同じスペースで4速ATを実現できる大衆車クラスとしては世界初のFF用電子制御4速ATとのことです。元々4速ATはFFカローラの企画にあったが、3速はアイシンワーナー製で、4速はトヨタ内製で検討されていました。当時はスペースが厳しい横置きATは車両とのマッチングを考えて自動車メーカー内製とする風潮が見られていました。



これは変速機メーカーであるアイシンワーナーの経営を揺るがしかねない事態であり、内製を超える商品性の実現という必要に迫られての開発だったようです。私のAE92カローラGTもAT車にはこのモデルの改良型が採用されていましたが、
軽自動車なら2速ATも存在していた時代に横置き用の電子制御4速ATの存在は相当なハイテクだったことでしょう。

子供時代、親の車は油圧式ATばかりで私は電子制御ATが持つPOWERとかSNOWと書かれたボタンが無性に羨ましかったです・・・が大人になったらMTばっかり選んでいます。更に新車に試乗するときに熱心に営業マンのかたがSPORTSとかECONOMYとか押してくれるのに、個人的な評価の為にあくまでNORMALで走ってしまうのですが・・・。

それはさておき、他にもアイシン精機の歴史的な製品が所狭しと展示されています。

トランスミッションなどのドライブトレーン系部品が有名ですが、ドアヒンジやロック、ムーンルーフなどのボデー(トヨタ流表記)部品も数多く生産していました。

トヨタ向け以外にもスズキアルトのATやポルシェ911のMTも生産していたんですね。(アトレーにスーパーチャージャーがあったなんて知らなかった・・・。)



このほか、生活関連の品々の展示もあります。有名どころではトヨタミシンがありますが、ベッドやシャワートイレも作っていたようですね。



こんなところにクラウンが!



クラウン展に行きたいところですが、せっかくなので続きを。



2階に上がると現代のアイシンの製品群が展示されています。プロジェクションマッピングシアターはうちの子供は「怖い」と泣いてました(笑)が中々楽しめる迫力のある映像でした。

トランスミッションの機構を説明するモックアップがあり、AT/MT/CVTの原理を同時に学べるのは貴重ですね。またスライドドアやスポイラーなど部品を見ただけで「●●に採用されてるんだな」と分かるような特徴的な部品を開発・生産しているんですね。



ここには初代カローラが展示されていました。こちらもアイシンでレストアしたクルマのようです。なるべく当時のメカニズム・工法を理解したひとが復元することは非常に意味がありますね。この手のプロジェクトで過去のガソリン車を普通に復元するのは難しいし安易にEVにしちゃえ!みたいな輩がいますが本当にセンスがないです。(お前らのことやぞ)



・・・と言うことでいよいよクラウン展に突入します。



アイシンとクラウンの関わりは初代から続いています。私は初代から15代までの歴代クラウン達の展示パネルと実車、部品を見せていただいてきました。説明パネルは非常に力の入った物でアイシンの視点が入った説明文として読み応えがありました。その文章全てを転記することはしませんが部分的なエッセンスは抜き出しておきます。技術名は原文そのままです。

●初代(1955)



アイシンの主な採用製品・技術
半自動FR2速オートマチックトランスミッション「トヨグライド」
日本のATの歴史は1959年にトヨタが開発し、マスターラインに搭載された半自動ATで始まる。1961年に内製から外部移管される際に愛知工業が名乗りを上げて1961年から生産を開始。当時は一日に数台の規模だったので組立ラインが無く、技能者が一台ずつ組立てる作業の為、品質が安定しないなど問題があった。迷路のような油圧回路は説明書も無く当時のエンジニアは(開発の際に参考にした)回路に白紙を当てて鉛筆で浮き出させて転写、PNRDLの各課色事に色づけし、圧力やシフトポイントを記入して自力で覚えたという。分かりにくい油路は煙草の煙を油孔に吹き付けて調べるなど血のにじむような努力で商品化にこぎ着けたのだという。

摩擦式バンパージャッキ
ヨーロッパの一流メーカーのジャッキに拮抗しうる製品として自主開発。最初はネジ式ジャッキで開発を開始したもののネジ山が破損し、ジャッキが落ちて失敗。次にサル式ジャッキを手がけて一応成功し(注:一応ってなんやねん)クラウンの車載工具として採用。開発当初は試験機も存在せず、人力で砂袋を昇降テストして開発していた。

ピニオン式ドアロック
鋳物製ヒンジ
鋳物製メーターパネル
コンベンショナルファン
外接ギアタイプオイルポンプ



●2代目(1962)
アイシンの主な採用製品・技術
完全自動FR2速オートマチックトランスミッション「トヨグライド」
先代は自動変速でありながら1速⇔2速を手動で切り替えなければならなかったが、新型ではアクセルペダルに連動するスロットルバルブと車速を検出するガバナバルブで制御され、負荷に応じてハイギアの2速が自動的に切り替わる。

トルクファンカップリング
ファンカップリングは冷却ファンとそれを駆動するプーリの間に設定された部品。プーリーはE/G動力によってファンベルトを介して駆動される。例えば始動直後は暖機が必要なのでファンは回って欲しくないが、暖機が済むとファンはたくさん回って欲しい。ファンカップリングはバイメタルの働きを使って切り替え機構を持つものである。

タンデムマスターシリンダー
PKBレバー付きリアホイールシリンダー
パワードアロック
ワイヤー式パワーウィンドゥレギュレーター
油圧反動式分離型ブースター
アルミ製シリンダブロック・シリンダヘッド
6WAYパワーシート(ベンチ式)



●3代目(1967)
アイシンの主な採用製品・技術
FR3速オートマチックトランスミッション「トヨグライド」
変速時のショックを改善する為、トルクと油圧特性の理論解析で改善を進めた。ショックには油圧特性と摩擦材の特性が大きく影響することが分かった。油圧特性の計算手法を獲得して設計スキルが向上した。

日本初ナマズ型プロポーショニングバルブ(後輪駆動用)
アメリカの安全基準FMVSSに適合する為に開発。ブレーキ液圧をスプリングによって調整するもので前輪ディスクブレーキと後輪ドラムブレーキの仕様差によって起こる後輪の早期ロックを防いで安定性を確保する。

カップリングケース/ファン一体品
スイングチェックアーム付き鋳物ヒンジ
コンベンショナルファン
2段制御式ファンカップリング
レバー反動式ダイレクト型ブースター
アームタイプパワーウィンドゥレギュレーター

●4代目(1971)
アイシンの主な採用製品・技術
FR3速オートマチックトランスミッション「トヨグライド」

日本初バキューム式後二輪ABS
エンジンのバキューム(負圧)を動力源としたABSをクラウンのオプション装備として量産開始。これがアイシン初のABSとなった。米国ビッグ3も同時期にオプション設定を開始しており日本の技術が欧米に追いつきつつあったとアイシンは考えているようです。

●5代目(1974)
アイシンの主な採用製品・技術
FR3速オートマチックトランスミッション
アイシン初設計のAT。ボルグワーナーと設立したアイシンワーナーでは当初M35と言う機種を生産する予定だったが、後継機種の開発が進められていると知り、担当者2名を現地に派遣。ところが開発は完了しておらず試作品もない。仕方なく500点余りの部品だけ見せて貰い紙に転写して(注:アイシンさんこの手法好きねぇ)情報を日本に持ち帰った。様々な新技術を取り入れて高速走行フィーリングとシフトクオリティは大幅に向上した。立ち上げ時は全数検査を実施。立ち上がり品質はトヨタも驚くほどのレベルだったと言う。

O/D付きFR4速オートマチックトランスミッション

●6代目(1979)
アイシンの主な採用製品・技術
ロックアップ付きFR4速オートマチックトランスミッション
ATの燃費向上策としてギア比が1以下となるオーバードライブを採用してE/G回転を下げたが、第二の矢として採用されたのはロックアップクラッチ。これはトルコンの入出力の間に生じるスリップ損失をなくす為に、E/G回転数がトルク変動による振動が少なくなる領域に差し掛かり、入出力の回転数差が無くなったタイミングでクラッチで直接繋いでしまう(直結)もの。

元々ATの全長はロックアップ無しと同値にしなければならなかった為、従来円形だったトルコンの断面形状を楕円形に変更する必要が生じた。開発当初は狙い通りの性能が出せず、夏と冬の長期休暇をほとんど返上(注:コンプライアンス・・・)して対策に当たり、実験室の壁が性能曲線のグラフで埋め尽くされたほど試作と評価を繰り返したという。トルコンを扁平化する技術は後の横置きFF用ATの開発に大いに活かされた。

前後無段階調整式ヘッドレスト
2色バンパーモール
インナースライドムーンルーフ
ゴム反動式タンデムブレーキブースター

●7代目(1983)
アイシンの主な採用製品・技術
世界初マイコン電子制御式FR4速オートマチックトランスミッション
電子制御によって複数の変速パターンを選択可能とする世界初のマイコン電子制御式AT。機械とエレクトロニクスが組み合わされた1980年代らしい一品。マイコンとは「マイクロコンピュータ」や「マイクロプロセッサ」を意味する略語で当時はマイコンが着いたらハイテクな物という雰囲気があった。トランスミッションをマイコンによって制御し、燃費を優先するスケジュールにしたり、ロックアップを作動を抑えて山岳路に向いた味付けにするなどができた。

8WAYマイコンパワーシート
金属二層式サイドモール

電動チルト&テレスコピックステアリングシステム
世界最高級のプレステージサルーンにふさわしい装備として従来手動式だった
ステアリングの角度・距離調整を電動化した世界初の機構を開発した。

ステアリングコラム
油圧式4輪ABS
リフレッシングシート



●8代目(1987)





アイシンの主な採用製品・技術
高容量FR4速オートマチックトランスミッション
石油危機を乗り越えて再び高級・高出力化のニーズに対応。従来品に比べトルク容量は1.5倍、全長は同等以下にするという一段高い目標が掲げられた。手書きの構想図を客先(トヨタ)に見せて採用を勝ち取るも、1年半という短期開発となった。手書き構造図は寸法入りの基本計画図を発行し、そこから部品図を展開。車内から人を集めてわずか二ヶ月で500点にも及ぶ新設品の試作図を出図。(注:2ヶ月=稼働60日で500点出図と言うことは毎日25もの図面にサインが入ったことになる)ミッションケースは大物ダイカスト部品の為足が長い。試作部と西尾工場の応援により、寸法の入っていない絵だけの図面を頼りに、図面出図と同時並行で試作品を完成させるという常識外れのウルトラCをやってのけた。本製品はその後34年11ヶ月で1600万台生産された。

電動式トラクションコントロール
電動式4輪ABS
自動車用ファクシミリ
4輪フルエアサスペンション



●9代目(1991)
アイシンの主な採用製品・技術
FR5速オートマチックトランスミッション
多段化が進み始め、他社で5速ATが商品化されはじめた。この5速ATは二つの変速機構を同時に変速させることで新たなギア段を得る従来にはない新しい技術により、安易にギアを増やすこと無く5速かを実現出来る。この同時変速技術は0.1秒のズレが変速ショックとなってしまう点が難しさである。この課題を克服する為に社内外から人が集められ、従来品より小型高精度高応答のリニアソレノイドを開発。更に動じ変速をきめ細かく制御するためにブレーキやクラッチにかかる油圧を電子制御化した。

フルタイム4WD
GPSアンテナ&レシーバー
電動コラム
ヘッドレスト用超音波モーター
バイブレーションシート
超音波雨滴除去ミラー
G-MAP(地図帳ナビ)
形鋼ヒンジ




●10代目(1995)
アイシンの主な採用製品・技術
FR5速オートマチックトランスミッション
ギアリング、ギアノイズの低減、クラッチ・トゥ・クラッチ制御技術が採用。ギアトレイン98件、コントロール132件もの特許を出願している。1070機もの試作品を用いて開発されたこのスーパーECTは1997年6月にラインオフされた。

ESC一体型ハイドロブースター
旋回時の横滑りを抑制するESC機能を製品化。交通事故低減に貢献する画期的な技術として2011年以降、各国での標準化に繋がった。

アルミダイカスト製直噴用FDP

●11代目(1999)
アイシンの主な採用製品・技術
FR5速マイルドイブリッドトランスミッション
各社が燃費競争で多段化に走る中で、既存のATをベースにハイブリッド化するというマイルドハイブリッド構想が浮上した。E/Gとベルトにより連結された小型モーター・ジェネレータを組み合わせたシンプルな構成。特徴は①車両停止時にエンジンを自動停止②モーターの力で車両を発進させると同時にE/Gを始動する③減速時に回生を行い廃棄されていたエネルギーを利活用、の3つである。

FR5速ATをベースとしながら電動オイルポンプを追加、アイドルストップ時に電動オイルポンプで油圧を維持してクラッチを繋いでE/G始動まで耐える。(注:新車時代にの感想としては言葉通りマイルドな存在で電動感は皆無。アイドルストップのためのシステムと言った方が正しいようなシステムだった)

DVDナビゲーションシステム
アイシン製ナビとして初めてクラウンで採用。高級車らしくディスプレイを拡大。従来のEGAからVGAディスプレイに変更。画素数が4バイトなり高画質になった。

フロントクラッシュボックス
ヒドゥンドアフレーム





●12代目(2003)
アイシンの主な採用製品・技術
FR6速オートマチックトランスミッション
本製品は、量産に向け最終調整をするランドクルーザー用5速ATとのツイン開発を行った。5速ATと6速ATの部品を共通化し部品種類削減を目論んだが、既に5速向けに最適化したギアトレインを6速化する為には、様々な課題があった。世界トップレベルのATにする為に軽量化も必要で、従来の鉄部品をアルミ製に置き換えた。開発中ギアノイズに悩まされ、安城第一工場の会議室をギアノイズ対策室として占有し評価と議論を繰り返した甲斐があり、ランドクルーザー用5速ATと共に
トヨタ技術開発賞をダブル受賞した。

E/Gフロントモジュール
組み立て工程で複数の部品を組み付けるのでは無く、サプライヤで既に組み付けた状態で車両工場へ運ぶことでコスト削減を図るフロントエンドモジュール。クラウンではチェーンカバーにウォーターポンプ、オイルポンプ等の機能部品と水・油通路を一体化することで小型化と低コスト化を両立した。

油圧回路一体型シリンダヘッドカバー
フロントクラッシュボックス
リアアルミフレーム
電子制御ブレーキシステム[アドヴィックス]
スマートハンドル
ラゲージアンテナ


●13代目(2008)
アイシンの主な採用製品・技術
FR2モーターハイブリッドトランスミッション
高級車用ハイブリッドの先駆け。2002年初めにV12を凌駕するプレミアムな走行性能と断トツの低燃費を両立したV8ハイブリッドの企画検討が始動。モーターはトヨタ設計、ユニットはトヨタとアイシンの共同開発体制をとった。コンパクトかつ圧倒的な加速性能を実現する為、シングルリダクションからダブルリダクション機構を採用。最高車速250km/hを実現する為モーターを二段変速化し高速時のモーター回転数を抑えて強度を確保。トヨタ技術開発賞と自動車技術会技術開発賞を受賞。

FR8速オートマチックトランスミッション
HDDナビ(マップオンデマンド)
ナビマチック
プリクラッシュシートバック
回生強調ブレーキシステム[アドヴィックス]
高機能ESCモジュレータ[アドヴィックス]
スマートハンドル
スイングドアロッククローザー
プリクラッシュインテリジェントヘッドレスト




●14代目(2012)
アイシンの主な採用製品・技術
FR2モーターハイブリッドトランスミッション
FR高級車市場のハイブリッド普及に貢献する為のシステム。更なる拡販のためシンプルで価格が安いハイブリッドトランスミッションを目指した。従来は3.5LのV6だったが2.5LのL4が搭載できるようにした。シングルリダクション機構を採用するなど大幅なコストダウンを実現。この頃からクラウンユーザーの半数がハイブリッドを求めており、高まる電動化ニーズに応えた。

ピストンジェット停止システム一体型サイドモジュール
半数のユーザーがハイブリッドを求める一方、残る半分はガソリン車へのニーズも根強い。V6の置き換えで直4ターボの設定があった。暖機中にE/Gオイルをピストンに噴射するピストンジェットを低温時に停止する機能を付与。このシステムをウオーターポンプや油路のあるサイドモジュールに組み込んで単純かを達成。全体のコスト低減に寄与。

FR8速オートマチックトランスミッション
ハイブリッドダンパー
ラゲージアンテナ


●15代目(2018)
アイシンの主な採用製品・技術
マルチステージFR2モーターハイブリッドトランスミッション
本品は2005年に企画開始するもほかのPJT優先で規模を縮小、2012年にプレミアム車両にふさわしいシステムはマルチステージであると結論付けて再始動。当初企画していた構造では搭載性NGのため構造図をトヨタと議論して数ミリずつ前兆を短縮して現在の構造に到達。ハイブリッドは加速感がないという欧米からの声を払拭する加速感、ダントツの低燃費を目指して動力分割用プラ寝たりギアの出力側に4速部を直列にレイアウト。アイシンの4速ATのノウハウを最大限活かしたシステムである。開発を再スタートした初期の試作ではギアが真っ黒に焼き付くなど苦労があった。

減衰力調整式アブソーバー
FR8速オートマチックトランスミッション
アウトサイドドアハンドル
構造用接着剤「フェルコ8000」
キャリパー一体式電動パーキングブレーキ


~おわりに~
・・・以上、純国産セダンを代表したクラウンとアイシンの関わりを勉強させていただきました。期間限定の特別展なので丁度いい時期に子守イベントがあって良かったです(笑)

日本のクルマ作りは車両メーカーとサプライヤーの阿吽の呼吸できめ細やかなすりあわせ型開発が特徴でした。特にアイシンの様なメーカーに技術力があるサプライヤによって魅力的な車が作られて来たことがよく分かりました。

最後にご紹介するのは恐らく社内の方が手書きでまとめられた資料です。



ここ3年くらいでリモートワークが躍進することで手書き・紙文化が衰退しました。私自身も図面を原寸大で出すようなことも、帳票にサインを入れて上司に手持ち回覧することが無くなりPC画面で共有しやすいパワポで資料を作る事が増えました。修正も簡単だし、生煮えの見切り発車でも作業が出来ます。更に字が汚い私にとって綺麗なフォントで文字が打ち込める点は大変有り難いと感じます。

この手書き資料が凄いのは、作者が恐らく頭の中で書く文言や載せる絵などの構成が決めてあり、大きい方眼紙を拡げて一気に書き上げた感じがするところです。恐らく長年開発に携わってきた紙文化で育ったベテランが作成した資料なんじゃないでしょうか。

私が仕事で関わってきた最近減りつつある昭和のおじさん達は手書きのポンチ絵で大抵の事は説明してくれました。若き日の私が質問をしに行くと机には大きめの裏紙が置いてあって説明しながらメモを描いてくれました。私が説明していないのに部品の断面を書いたり、検索しても居ないのに規格の番号が書かれていたり。私はそのメモを貰って自分のノートに貼付けて大切に読み直していました。今だとイントラネットのシステムですぐPDFが見られたり、或いは3次元CADの画面をキャプチャしたりするような世界がパッと裏紙に広がっていくのです。若かった私は凄いなぁと素直に感心していました。こういう人が書いたポンチ絵のメモを貰って自席にかえって定規を当てたら、ほぼ実寸で書かれていたことがあって驚いたこともありました。

今回の展示で示されたトヨグライドやボルグワーナーとのエピソードの中でも高度な測定機器や詳細な図面が無くても、アナログな紙と鉛筆と現地現物で乗り切ってきたアイシンの「ど根性」があり、この資料からもその片鱗を感じ取ることが出来ました。

時代の変化で新しい考え方が主流になることはあります。一方で放っておくと失われる技術・方法があり意識的にこれを忘れないように維持することも必要です。

あのディズニーですらアニメーション用にCGアニメ時代になってからセル画に絵が描ける職人が居なくなっていたらしく、「メリーポピンズリターンズ」のワンシーンの作画の為に定年退職した人を呼び戻したなんて話を目にした記憶があります。昔ながらのやり方を旧いと切捨てて安易にロストテクノロジーにしてしまうのは勿体ない気がします。

生き残る為に新しいやり方を開拓することも大事だけど旧い技術やノウハウもをしっかり残す。難しいことですがどっかの会社が言っている年輪的な成長やスパイラルアップ的な考えからも外れないと思うんですよね。

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Posted at 2022/12/14 15:45:33

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この記事へのコメント

2022年12月14日 20:13
お子様を連れ回して、展示品に食い付いているノイさんのお姿が容易に想像出来ます(笑。

ココは平日のみの開館なので、自分には中々ハードルが高く、気付けば特別展示の期間も残り僅かで。

多数ご紹介頂けたので、十分楽しめました。
コメントへの返答
2022年12月15日 14:02
コメント有り難うございます。

二人のお相手は中々ハードでしてかなり慌ただしい見学になりました。(後で写真でじっくり見学?したものもw)

祝日は開館しているので機会があれば。隣にデンソーの展示施設もあるのでハシゴされるといいと思います。(・・・となると、ついでに愛知製鋼のトヨタ車発祥の地も・・・なんつって)

時間が出来たので自分用にネチネチ書きましたのでお楽しみいただければ幸いです。
2022年12月14日 22:02
クルマづくりの緻密さが伝わってくる展示ですね。

どれだけ図面を書いて、試作&試験のジャンクを山にして、市場クレームの返品に悩んで…モノを製品化して技術を進めていくのは大変な作業の繰り返しなのですよね。
「クルマはコモディティ化する」とか「EVなら分業体制で生産は簡単」なんて偉そうに言ってる連中に思い知らせてやりたいです(以下自粛)

実車展示の130クラウンロイヤルワイド、後期H/Tのベンコラに紺色外装&青内装とは相当なレア仕様ですね。ダークブルーに和の深みを感じます。
コメントへの返答
2022年12月15日 14:29
コメント有り難うございます。

ほんと、自動車産業が発展する時代の苦しみを知っているサプライヤは泥臭いエピソードが満載で面白かったです。

クルマはコモディティ化するというのも、いわゆるリバースエンジニアリング的手法で作れば今でも2022年の@@と言うクルマをコピーすることは恐らく容易です。開発費が桁違いに安いので販売価格も安いのですがそこからの発展は望めません。(トヨダAA型だってクライスラーのデザインとシボレーのエンジンとフォードのシャシーを・・・なんて言われそう)

EVは簡単と言う人たちは、実際の自動車はボディ・原動機・変速機・シャシーで成り立っていることを忘れてるのではないでしょうか。分業して作られたパーツを自動車にまとめ上げるのは指揮者的なセンスが必要になります。自動車メーカーはそこにノウハウを持っていると思います。

ただ、いわゆる先進国のメーカーの自動車も厳しい規制や思惑にがんじがらめになって技術の差を見せにくくなっていく事は考えられます。

個人的には、試乗する度に良くも悪くも各車の個性を感じますし、自動運転や電動化という面でも各車の個性は感じられます。完全な白物家電化はまだまだ先かなと思います。(BYDは気になりますけどね・・・・乗ってみたい)

クラウンはレアですよね。ベンコラで内外装真っ青って新車で注文されたオーナーの強いこだわり(アイスクリームはブルーハワイが好きそうw)を感じさせます。こう言うコダワリが実現出来る仕様設定の柔軟性も当時のクラウンならではですね。

実車の塗装はガサガサですがいつかアイシンの手によってレストアして下さることを期待します。

プロフィール

「@マルオちゃん さん ご名答。ここまで走れて内装も作り込んであるプロトタイプすごいですね。」
何シテル?   05/26 17:41
ノイマイヤーと申します。 車に乗せると機嫌が良いと言われる赤ちゃんでした。 親と買い物に行く度にゲーセンでSEGAのアウトランをやらせろと駄々をこねる幼...
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