2025年01月01日
今後はどうなるのか
昨年まで資産運用を通じて地政学的な事や歴史や技術など様々な観点から勉強をし直しました。
とはいえ実践を伴わない読書バカやSNSで他人の見識を借りて知った気になるのも何か違うと感じています。
もっともこれらを生業やライフワークとしている研究者でもないので各地を歩いて現地の人と交流して深掘りするのも現実的ではないと思っています。
ある程度年齢を重ねると世の中を俯瞰してみるようになり、これがまた世間とのかい離になってもどかしいのですが、先人の教えと言う物は試行錯誤の詰め合わせみたいなものであろうと思います。
現代日本は民主主義を基調とする資本主義が根ざしてきましたが、戦前からの歴史との融合、また敗戦という大きな体制転換を経て国際平和を希求すると言う憲法を頂いてきましたが、これがどうも雲行きが怪しくなるのではないかと思っています。
経済成長の限界点を超え、経済的に衰退期に入っていると言われる日本は(反論はあるでしょうが様々な指標からピークは過ぎています)今後どのようになるのか。
まず目立ったところでは内部対立が激化していくようです。
これは保守vsリベラルのような分かりやすいものから現役世代vs高齢者といった属性の対立など、あらゆる所で摩擦が激しくなっていくように思われます。
これは日本人の劣化というよりは経済的に困窮すると不満が増大するためで、ポピュリストの台頭などは民主主義の弱点とも言われています。
民主主義では個人の意思が尊重される価値観なので、必然的に労働生産性も低下していきます。
本来であれば高度成長期からの転換でより付加価値の高い産業シフトをしていくべきでしたが日本人の器用さと勤勉さで「ものづくり立国」から抜け出す事も出来ませんでした。
技術水準が低いうちは高品質な日本製品が支持されましたが、工作機械の進歩やデジタル化によって世界のどこでも同じ品質の物が造れる時代に日本製品の競争力は相対的に低下しました。
民主主義においては各自の思想が尊重されるため、立場の違いを超えた意見集約が難しくなります。
国内の対立が激しくなれば、当然その混乱を利用しようと言う外国勢力にとっては好都合となります。
以前の日本は良くも悪くも国民が一つに束ねられていましたが、今は「個人」が優先され、人々の意識から公共の精神と言ったものを尊ぶ姿勢が失われつつあるように感じます。
民主主義のお手本であるアメリカは、同時に実力がものを言う個人主義で頂点を極める限られた人材にはチャンスが広がり、それがイノベーションを起こして世界に影響力を行使してきましたが、アメリカにおいても人種問題やイデオロギー対立が高まり、自分と対立する勢力が地上から消え去れば平和になるとかそのためには武力蜂起も正当化されると言った見方をする人が年々増加しており、これは内戦一歩手前の状況と言えるでしょう。
これもアメリカの国力の衰えの表れと言えるかもしれません。
幸いなことに、今すぐアメリカの覇権国の座にとって代わると言う勢力は見当たりません。
しかし、中国やロシアといった権威主義国が虎視眈々とアメリカの没落を狙っています。
これらの国の最大の強みは世論を誘導して国民の意志を統一できる点にあり、産出する天然資源などの国家リソースの多くを軍事競争に振り分けたりすることも可能になっています。
一方で民主主義では個人が自由に意志を持つ権利を守るるためには戦いますが、それがどの程度の犠牲と見合うのかはその時々の時世にまかせて一定の基準というものがありません。これが民主主義の弱さともなりえます。
またアメリカの優位を築いてきたテクノロジーは成功した金融市場に裏打ちされた莫大な研究開発費用に裏打ちされたものですが、世界トップレベルの大学が送り出す人材によるところが大きいものでした。
覇権国の座を狙う中国は精華大学や北京大学など有力な教育機関は僅かしかありませんでしたが、近年専門的な教育を受ける中国人学生の数は増え続けており、いずれアメリカの平均を超えていくと見られています。
優秀な人材を数多く要し、国家としての意思統一が容易で世界一位の座を狙っていくというのだから紛れもない脅威となります。
しかし民主主義の日本人からすると個を犠牲にしても国の発展に尽くす、というのは既に理解しがたいものがあります。
中国人も国の為というのは建前で本当は自分が豊かになりたいだけでも、国の優遇制度などを我が物にするために国家に協力しているのだろうとは思いますが、自国民に銃弾を放ち、戦車で踏みつぶした事すらも「混乱を収めた最善策であった」と言ってしまう人たちである事に注意すべきです。
つまり中国が民主化しないまま資本主義を導入し、成功した事が脅威であるという事で意思決定が遅く世論というアキレス腱を持たず、いざとなれば自国民であれ武力弾圧で国家意思を遂行する権威主義的資本主義が国家成長の効率と言う観点からは最善であるかもしれないという事です。
今は西側との経済的な融合も大きくなって無碍なことは出来ないようになっていますが、その気になれば国家財政などどうとでもなるという事です。
それを考える時、中国の軍事力拡大を矮小化すべきではないと思うのですが、中国が繰り出す新型ステルス戦闘機の細部をあげつらって性能が高くないとか馬鹿にする風潮に危機感を覚えます。
性能は最高ではないにしても基礎技術はアメリカのコピーであっても自国でここまでのものを量産化できると言うのはすでに日本のそれを超えています。
宇宙開発にしても月の裏からのサンプルリターンなどこれも既に日本以上の技術を有しています。
最先端半導体分野も材料や装置で日本は優位ではあっても、それらがなっくても中国も一周遅れの事を自国で賄える能力があり、台湾など最先端企業と協業しなければキャッチアップ出来ない日本よりも業界での存在感は大きなものがあります。
EVもイデオロギー的な対抗意識から全然エコじゃないとかオワコンだと日本人は信じたい訳ですが、世界の大半の人はイデオロギーで自動車を選ぶのではなくそこそこの品質でそこそこの価格のクルマが欲しいというニーズがあったときにそれに見合ったものを日本の企業と中国企業のどちらがそれを提供することが出来るのか。日本の自動車産業550万柄人の雇用を守るために日本はEVなんか造るべきではない、と言ってみたところでそれを決めるのは冷徹な市場原理でしかありません。
そして産業を守ると言うレベルではなく誰が生き残れるかどうかの次元に既になっています。
また現状でもその気になれば日本やアメリカの抑止を突破して台湾統一位の事は出来ると見るべきですが、民主主義勢力が内部対立で混乱し意思決定が遅れるという事がなにより中国を利する事になるでしょう。
民主主義の理念も守るため日本人は一致団結すべき、なんて言ってみたところで鼻で笑われる事でしょう。
戦後の日本しか知らない日本人からすると民主主義が尊く永遠に続くように思われますが、その保証はなく、権威主義的資本主義が人類の最先端システムであるかもしれません。
何が最適解かは誰も断言できませんが、変化の時代に素早くそれに対応できなければ滅びるだけという事はなんとなく予感するものです。
古いものを守るのか、素早く変化するのか。これもまた意見が大きく分かれるのでしょう。
そんな事を思う年始でした。
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Posted at
2025/01/01 18:17:33
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