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2025年01月02日

破壊的イノベーションのジレンマ 日本の自動車産業は生き残れるか

昨年末に飛び込んできたHONDAとNISSANの経営統合話はついに来たか、という感じでした。

直接の原因はNISSANが経営不振から北米での「投げ売り」政略を取り、その反動が2024年前後にくると言われながらも有効な対策をしなかった経営の失敗と言われていますが、それよりも前からNISSANだけでなく日本の自動車産業は成功しすぎたために自ら変革することが出来ない大企業病に陥っていました。

体力的に全方位戦略を執れたTOYOTAはともかく、EVにオールインしようとしていたHONDAも世界情勢の変化などで一気に経営が悪化しかねない綱渡りを始めたところでした。

そもそも日本の「ものづくり」は新奇な発明を世に送り出したというよりは既存の産業の効率化を極めたものが多いようです。

これは生産効率を極限まで高める一種の「イノベーション」と呼べるもので
日本製品の競争力の源でもありました。

しかしいったん成功すると、その立場を守るため攻めの経営は出来なくなります。

創業者から引き継いだサラリーマン役員の集団指導体制に代替わりしているとなれば尚の事、自ら改革の大ナタを振るうアニマルスピリットなどは持ち合わせていないでしょう。

ここで問題になるのは技術的優位はいつまでも続かないという事です。

最初は取るに足らない挑戦者の未熟な新製品であってもずっと改良を続けていくうちに既存の技術よりも優れた側面が出てくることがあります。

鉄鋼で言えば最初は低く見られていた建築用の鉄筋生産を相手にしなかった大手鉄鋼メーカーが気が付いた時には一部の高品質鉄鋼製品といったニッチでしか通用しなくなっていたといった技術的な逆転がどの分野でも起き得ます。

現時点でEVは航続距離などの商品力と価格の高さ、充電インフラなどまだまだ劣るものですが、たとえば人々のライフスタイルや価値観が変化して自動車を所有するのではなく必要な時にアプリで呼び出すようなサブスクリプションスタイルがいったん定着してしまえば、メーカーがどんなに高性能な自動車を開発しようが、もはやそれが選ばれる理由とはならなくなる可能性もあります。

高性能、高機能の付加価値追求だけでなく、世界中の多くの人が自動車に求める要素は何なのか。

仮にEVは唾棄すべき悪魔の発明で人類が目指すべきは究極の内燃機関であったとしても、その技術優位は日本メーカーだけが秘伝として独占できるものではありません。

いずれは基礎研究分野でもAIが人間の研究者よりはるかに超高速で試行錯誤を繰り返して最適解を導き出すかもしれません。それは資本集約の暴力と言える、資力を持てる者がすべてを制す規模競争の世界。

そもそも自動車の新規開発が以前なら5~6年が当たり前とされていましたが、中国の自動車メーカーは約18か月で開発を完了するスピード感の違いから、もやは日本の自動車メーカーや部品サプライヤーは遅すぎて相手にすらならないと豪語しています。(NISSANは30ヵ月を目指すとしていますが)

足回りも今は職人的な試行錯誤の積み重ねと経験に裏打ちされた勘頼みの世界ではなく電子制御とセンサー、高度な演算モデル
で路面からの衝撃を吸収し、車体はピタっと安定させられる時代になっています。
究極的に専門の技術者が最後の最後の部分を煮詰めて仕上げる余地はあるにせよ、もはやそこまでくると普通の人では全く違いが分からない次元になっている事でしょう。

自動車は人の命を乗せるものでもあるため、いい加減な造りで事故なんか絶対にあってはならないと言うのが現在の認識で自動運転なんてもってのほかという風潮ですが、ひょっとしたら将来は自動車に乗車していて事故に遭っても昔よりはマシなのだからとこのコラテラルダメージを許容するように変化するかもしれません。

かつて日本はイノベーション大国でした。鉄道や発送電、電信などは欧米に劣らないか日本の方が先に事業化にこぎつけた分野もありました。

新政府が産業を奨励して邪魔だてしなかった事や、それ以前から日本でも高等教育が受けられる環境があり海外の先端科学技術を吸収するだけの素地があり、また私有財産が限定的ながら認められ、作物の先物相場のような金融市場が発達していたからこそ欧米のイノベーション爆発期に発明と資本集約でついていく事が出来た稀有な国の一つとなりました。
(世界的な銅需要に応えられる鉱山が日本各地に存在していたのも資本蓄積が必要なタイミングに合致してラッキーでした)

日本が持てる武器と足らざる部分を再認識して、アメリカが1970年代の停滞期からデジタル革命で再生し、再び世界をリードするイノベーション大国になったように変革を遂げる時期にあるのではないかと思います。

その時、変化に対応できない、あるいは変化を拒む者は容赦なく過去の遺物として退場させられるのではないかと思います。

果たしてその淘汰の先に再生はあるのか、過去の栄華を売りにする観光立国として生き残りを模索するのかは現時点では分かりませんが、不確定な分、まだどうにでも舵取り出来る余地があるのかもしれません。
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2025/01/02 22:08:13

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