
これを執筆時点ではまだネコはなんとか生きておりますが、今朝は猫用のミルクを少し飲んだだけで刺身も何にも反応をせず目の焦点も合わなくなっています。
素人の見立てでもたぶん今日明日、もってもあと数日でお別れだろうと思いますので思い出を記す事にします。
普段は「おまえさん」とか呼んでいるので特に名前とか付けてないんですが病院のカルテとかに名前が要るので「サビ」と付けました。
このサビ子さんは、自分が引っ越してきた頃からここに居た野良子で恐らく20歳前後だと思われます。
先代ネコが亡くなってから会う度にやつれれていくので長くないと感じて最期を看取るつもりで保護しました。
先代が癌の積極的治療で可哀想な亡くなり方だったのでこのサビ子は積極的な治療をするつもりはありませんでした。
それでも血尿をしたので近所の獣医に駆け込み検査をしていろいろ調子が良くない事が分かりました。
その後血尿は抗生物質で治癒したようでしたが腎臓と肝臓の数値が悪かったのでそれぞれの悪化を抑制する薬を処方してもらったことで体調が回復したのか、普通の食事量まで回復し体重も増えました。
ヒルズのk/dという療養食に切り替え数年推移していたのですが、ある時、激しい発作を起こして暴れて口から泡を吹いてぶっ倒れました。
先代も癌の転移だったのですが最期は心臓発作か何かで同じように苦しんだので、発作を見てたいそう慌てました。
調べてみると高齢のネコの癲癇の発作と症状が似ており、ビニール袋のカサカサやPCのキーボードのカタカタ音がトリガーになっているようでした。
切っ掛けも無く突然発作が出る事もありましたが、暗くして静かにしていると回復が早いようで、触ったりするのも刺激になるので手を添えて回復するのを待つようにしました。
その後、何度となく発作は出ましたが体力が落ちると共に激しさも減っていくようで、最近では腰が抜けて倒れるくらいになっていました。
今年に入ってからは高い所でバランスを崩して落ちたり年を取ったという感じが嫌でも伝わってきて、以前は週6缶だった食事量も4缶前後でした。
先月くらいから食べる量が週3缶くらいで、あまり良くないですが刺身などを与えていました。
シルバーウィークには親戚が亡くなっていた事もあり、片道車で7、8時間掛かるのですが連れて帰りました。
この頃から排便が少なくなったな、と感じていたのですが東京に戻ってきても食事量が戻らず、再び血便がでてしまいました。
帰省した時に見ていない間に親が魚の骨やカステラの紙を食べさせており、それが内臓を傷つけたのか、旅のストレスが思いのほか負担だったのか分かりませんが元々調子が良くなかったところで悪化したかもしれません。
(母親は自分が独身でいるのをネコを飼っているせいだと思っており、先代を連れて行った時も外出している間に追い出して何食わぬ顔をしているくらいネコを嫌っていますから半ば確信犯でしょう)
イチゴジャムのような鮮血は大腸での出血が疑われます。
またそれが収まってからも便が真っ黒で、これは上部消化管での出血だろうという獣医の見立てでした。
原因は分かりませんが仮に特定できても対応は難しいだろうという事と、検査自体が体に負担なので、脱水症状の緩和で皮下輸液だけしてもらって帰ってきました。
その後、自分で皮下輸液できるように点滴パックやシリンジ、注射針を何セットか出してもらいました。
それで多少楽になったのか、少しは食べるようになりましたが、それでも一日刺身4切れを食べさせるのがやっと。
あとは日を追うごとに食べる量が減り、そして今日はまだ何も食べていません。
昨晩から眠るばかり。
苦しんでいないのがせめてもの救いでしょうか。
動物は皆、個性がありますが、この子もちょっと変わったところがあって、まず鳴きません。
病気か怪我で声が出ないんだと思っていたのですが、間違えて尻尾を踏んづけた時に「フギャ!」と叫んだので、声は出せるようです。
日中自分が留守にしている間「オーウ、オーウ」と鳴いている事もあるようなので普段鳴かないのは遠慮しているのかもしれません。
話しかけても返事をする代わりにクチをパクパクさせるだけで滅多に声を出しませんでした。
ネコはいつの間にか胡坐の中に座っている名人ですが、この子の場合は、まず手でチョイチョイと触ってきて「そこに上がってもいいですか?」とお伺いを立てるのです。
また慎み深いのか何なのか良くわかりませんが食べ物は必ず一口、カリカリなら一粒だけ残します。
「もうこれで最後ですけど」という合図なのか全部食べるといけないと思っているのか、どこで覚えたのか、あるいは自分で考えたのか分かりませんが餌皿に一粒だけポツンと残っているのを見るといつも可笑しくなったものです。
これまでネコは4匹ほど飼いましたが、このサビ子は尻尾が全部ある初めてのネコで、その長い尻尾で返事をしたり撫でるようにペシペシ触ってきたり、コミュニケーションして来るのが嬉しかったです。
カギ尻尾の子は短い尻尾で懸命に叩いてくるので、それはそれで面白いですけどね。
あと、最初は太ってもいないのに本当にイビキがうるさかった(笑
いつのまにかイビキはかかなくなりましたが何かの不調のサインだったのかもしれません。
動画にでも撮っておけばよかったかもしれませんが、それも今では適いません。
この子の生涯の最後の7年ほどを看させてもらいましたが、本人はどう思っているのか。
一度、玄関の扉を閉め忘れて少し開いたまま寝ていた間に外に出て行った様で、明け方居なくなっているのに気がついたのですが、まぁ外が良いならそれでいいかと思ったのですが、起きたら自分の横で寝息を立てていたので外よりはここを選んでくれたんでしょう。
先代猫ほどは人語は解さないようでしたが、なんとなくスヤスヤ寝ているのを見て、それがこの子の答えだと思いました。
先代が亡くなった日。なぜかひょっこり現われて。
