quadrifogliospaのブログ一覧

国の財政・会計
一三
租税を薄くして民を裕（ゆたか）にするは、即ち国力を養成する也。故に国家多端にして財用の足らざるを苦むとも、租税の定制を確守し、上を損じて下を虐（しい）たげぬもの也。能く古今の事跡を見よ。道の明かならざる世にして、財用の不足を苦む時は、必ず曲知小慧（きよくちしようけい）の俗吏を用ゐ巧みに聚斂（しゆうれん）して一時の欠乏に給するを、理材に長ぜる良臣となし、手段を以て苛酷に民を虐たげるゆゑ、人民は苦悩に堪へ兼ね、聚斂を逃んと、自然譎詐狡猾（きつさこうかつ）に趣き、上下互に欺き、官民敵讐（てきしゆう）と成り、終に分崩離拆（ぶんぽうりせき）に至るにあらずや。

税金を少なくして国民を豊かにすることは国力を高めることになる。したかって国家事業が多く財政が逼迫しても税制を確実に守り上の者が損をしてでも民を虐げてはならない。古来からの歴史を見よ。財政が逼迫すると理財に巧みな連中に能吏としていろいろと民を虐げる手段を考えさせるので民は苦しんで、これから逃れようといろいろ知恵を働かせ悪賢くなるのだ。こうなると民が狡猾になるだけでなく官と民とが不信感を持ち、ついには仇敵になってしまう。

『南洲翁遺訓』（なんしゅうおういくん）は旧出羽庄内藩の関係者が西郷から聞いた話をまとめた遺訓集。 遺訓は41条、追加の2条、その他の問答と補遺から成る。「西郷南洲翁遺訓」、「西郷南洲遺訓」、「大西郷遺訓」などとも呼ばれる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/南洲翁遺訓