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2022年12月04日 イイね!

近代日本外交史-幕末の開国から太平洋戦争まで 佐々木 雄一 (著)

近代日本外交史-幕末の開国から太平洋戦争まで 佐々木 雄一 (著)学校の授業では受験を控え、または思想掛かった教師が近代日本は悪であるとの前提からほとんど触れられる機会がない近代日本の外交について書かれた本です。

2022年10月25日初版発行と言う事でウクライナ戦争、また安倍元首相暗殺を受けて書かれたのかと思いましたが、それらが起る前に起草されていたとの事。

よく日本はどこで道を誤ったのか、どこが歴史の転換点であったのかという問いは繰り返されますが、歴史に「if」は禁物ともいわれますが、過去を振り返り、そこから学ぶという事は失敗を繰り返さないためにも重要でしょう。

本書は幕末から太平洋戦争終戦までを列挙しているため、一つ一つの事件や登場人物については軽く触れられている程度でWikipediaの方が余程詳しく書かれていたりしますが、そういった事を詳述するのではなく歴史の流れ全体を俯瞰して見るように書かれているという事で200ページ程度に収まっています。

その試みはディテールに立ち入らない事で、それぞれの出来事を連続性を見出せるように書かれているように感じました。

開国から日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変、日中戦争から太平洋戦争までのどこが転換点であったかについては軍部の暴走が止められなかった満州事変を挙げる人が多いかと思います。

しかし、突然満州事変が起きた訳ではもちろんなくて、そこに至る遠因や政策などがあったはずです。

開国後の日本外交は交渉の正当性を基調とし、利益最大化を目指す当時の帝国主義的外交で欧米列強に挑んでいくという構図でした。

歴史を俯瞰して見るとどうもこのやり方が崩れた日露戦争の戦後処理に起因する事柄がその流れを決定づけたように思います。

その前の日清戦争では外国の干渉はありましたが清国と日本という形で話が進んでいったのに対し、日露戦争では欧州各国の思惑やロシア帝国の完全敗北ではなく曖昧とも取れる日本の勝利により、日本側は期待していた賠償を勝ち取る事は出来ませんでした。

領地や賠償金は諦める代わりにロシア帝国が満州に持っていた鉄道や石炭鉱山などの権益を手にします。

これが日本が後に「満蒙は日本の生命線」と満州に固執する発端であり、南進したいロシアの圧力や第一次世界大戦後の中華民国の反帝国主義の日本排斥の動きに軋轢を深め、軍事衝突も度々発生します。

特に未曾有の損害を出した第一次世界大戦を経た世界はそれまでの帝国主義や軍拡を良しとせず、異民族支配の禁止や軍縮へと舵を切っていったにも関わらず日本は「日本の正義」を主張し正当性を訴えますが、東アジアの軍事大国となった日本を警戒するようになっていた米英をはじめとした「国際連盟」は日本と利害が一致せず主張を認める事も無く、日本は国連脱退をして孤立を深めていきました。

筆者は、これらの流れは時の首相や外相の個性によるところが大きく、強硬姿勢を貫いた政権時に事態が悪化していったとしています。

これについては有力な政治家が暗殺や病死などで交代したりして政策が引き継がれなかったなどの運の悪さもありました。

このような不運の重なりもあって、日本が採れる選択肢は次第に狭まり、満州事変の拡大から日中戦争で南方資源を求めて、また中華民国への支援を断ち切るために太平洋戦争に突き進んでいく事になりました。

こうしてみるとやはり要人暗殺を容認する時代には良くない事が起きています。

一部には安倍元首相を暗殺した犯人を「神」と称えたり、まだ量刑も決まっていないうちから減刑を求める活動が起きるなどテロを容認する空気が醸成されています。

政府の不正を暴く為なら違法な事も許される。
意見が異なる相手は害して口を塞いでいい。

こういう時代になっていくのだろうと思うと暗澹たる気持ちになります。

この流れに照らして見ると今の日本は中国の脅威に直面し、劣っている軍備の増強にようやく取り掛かり始めたあたり、日清戦争前夜といった風であります。

先日SNSで日本の原子力潜水艦保有について数人と議論したのですが、日本が脅かされているのだから原潜保有は当然の権利で日本が核武装すれば中国や北朝鮮からも攻撃されない、という主張をされました。

国際法上の問題やNPT体制に反すると今度は日本がアメリカと対立して制裁を受ける側になる可能性などを言ってみましたが最終的には元共産党議員秘書でロシア駐日大使と行動を共にしていた人物の主張を引き合いに出したり、戦時中の日本の核爆弾研究の仁科研を引き合いに出して日本はNPT体制前からの核保有国だから制裁されない、といった事を言い始めたので議論を切り上げましたが、これらはとても国際世論に正当性を主張できるものではありませんし国外に反撃が制限されている現行法下ではメリット/デメリットで考えても割に合わない、少なくとも現実性が伴わない空論であるように思えました。

こういう主張がまかり通ってしまうあたりに日本の危うさを感じました。

しかし近代日本が一般に言われているように当初から軍拡侵略を目指していた訳ではないという事の再確認は一縷の希望を見出す事も出来ます。

これから日本がどのような道を歩むのかは一人一人の考えによるのでしょう。
Posted at 2022/12/04 18:10:24 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

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