• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

quadrifogliospaのブログ一覧

2025年11月17日 イイね!

高市総理の「台湾有事」答弁を整理する

7日の衆院予算委員会での高市首相の台湾有事が存立危機事態になり得るとの答弁に中国側が強く反発し、国内世論も賛成・反対に二分されています。

そもそも高市首相の答弁はこれまでの日本政府の立場を繰り返したに過ぎず、首相が何か解釈を変えたとか言う類のものではありませんでした。

中国側は薛剣駐大阪総領事がX(旧Twitter)で「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と投稿した事が問題視されましたが、引くに引けない中国は外交部も同調する画像を連投。「粉骨砕身になるぞ」という脅し文句も文革で故事の意味が分からなくなったのかと嘲笑されるに至りました。


中国側発言を見ると1972年に田中角栄首相と周恩来首相で取り交わされた「日中共同宣言」(正確には日中共同声明)で日本は台湾を中国の不可分の領土と認めているとしていますが、日本側の文言、中文の文言、双方の言い分が食い違ったときに参照する英文の文言を見ても「日本は台湾を中国の不可分の領土と認める」とは書かれていません。

「中国が台湾を不可分の領土と言っている事を理解し尊重する」という表現であり、中国の主張を認めるとも否定するとも明言を避けた「お役所」文書になっています。

[文書名] 日中共同声明(日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明)
・日本文抜粋
3 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
・英文抜粋
3. The Government of the People's Republic of China reiterates that Taiwan is an inalienable part of the territory of the People's Republic of China. The Government of Japan fully understands and respects this stand of the Government of the People's Republic of China, and it firmly maintains its stand under Article 8 of the Potsdam Proclamation.
・中文抜粋
(三)中华人民共和国政府重申:台湾是中华人民共和国领土不可分割的一部分。日本国政府充分理解和尊重中国政府的这一立场,并坚持遵循波茨坦公告第八条的立场。


ここで書かれている「ポツダム宣言第八項」は日本の主権は本州、北海道、九州、四国と諸島に制限されることとカイロ宣言を履行する事、そしてこれをもって領土問題を解決とする事についてかかれた宣言です。

カイロ宣言では日清戦争の結果、日本が下関条約で清国から割譲された台湾や澎湖諸島などを中華民国に返還する事が宣言されています。

ここでいう中華民国とは今の中華人民共和国(中国)ではなく中華民国臨時政府、年代的には第二次国共内戦で台湾に追いやられる前の重慶国民政府、つまり後の台湾政府を指します。

そして戦後に日本は台湾の統治権を放棄、GHQの要請を受けて国民党軍が台湾に進駐、しかし国共内戦再開によって中国共産党軍に敗れ中国大陸での実権を失った国民党は台湾に政府を移転し今に至るという事ですから日本は台湾に実権を委譲した訳でもないしましてや中国に台湾を明け渡したこともありません。
(付け加えるなら歴史上、中華人民共和国が台湾を統治した実績もありません)

従って各国の文書で書かれている文言が違うための齟齬ではなく中国が明言を避け曖昧に書かれているのを良い事に意図的に日本側の主張を変えて誤解するように国内外に喧伝しているプロパガンダ戦の延長と思われます。

しかし日本では多くの人が台湾は中国の一部「一つの中国」と認めているのに高市首相が勝手に政府見解を変える裏切りで中国に不義理を働ていると中国側に同調して非難する人も多いようです。

これは無知故なのか、強大な軍事力を有するようになった中国に阿る事大主義なのかイデオロギー優先で「造反有理」「革命無罪」気取りなのか分かりませんが、同じく口でイスラエルを非難しパレスチナを擁護しているのだからもはや「正義」や「正当性」の意味が分かりません。

ただイデオロギーで法解釈すら都合よく曲げてしまおうという事でしょうか。

野党時代、当時の村山首相に「(村山談話で)勝手に謝ってもらっては困る」と国会質疑で詰め寄った高市首相であっても主義主張に合わないから村山談話は撤回しますとは言わず、政府の一体性を維持しようとしています。

それくらい政府の表明は重いものであり、これまで日本やアメリカが台湾問題を明言を避け曖昧にすることで中国とバランスしてきた外交であったのに執拗に台湾有事の基準を総理の口から言わせようとした立憲の岡田克也議員の態度こそ問題があったと言われるべきでしょう。

しかし、国内では高市首相の発言を軽率だと非難する馬英九氏や事実を伝える台湾の新聞の一部分を切り取り「台湾人も迷惑だと言っているぞ。高市ヤメロ」と勝手に台湾のお気持ちを代弁した気になって吹き上がっている人も居ます。

これについて台北駐日経済文化代表処は以下のように発表


知っているのか無知なのか、台湾には中国大陸にルーツを持っていたり商売などの利権で中国寄りの態度を示す人も居ますが原住民族のように台湾独立を訴える人も居ます。
多くは中国とはくっつきも対立もせず現状維持のままでいたいという態度でしたが度重なる中国軍の領空侵犯や台湾を取り囲んで行われた中国の軍事演習に危機感を持ち、台湾の自主性を守るためには日米と連携して中国をけん制しようという人も増えてきました。


そもそも中国に阿るべきと言っている人はモンゴルやチベット、そして香港の人がどのような運命になったのか見ているのでしょうか。

具体的な手段を書くのも憚られるような「民族浄化」「思想改造」が行われていると聞きます。

中国は台湾の政府を維持する「一国二制度」を認めると言っていますが、香港も一国二制度と言っていたのを途中で取り消し、中国共産党に批判的だった民主派を弾圧した事を考えれば台湾が今のまま存続できると考えるのはお花畑が過ぎるか中国共産党の走狗しかいないでしょう。

そして肝心の台湾有事は、これは経済制裁から海上封鎖、軍事侵攻まで烈度は様々想定されますが、台湾海峡は迂回せざるを得ませんし台湾が中国に落ちた後はマラッカ海峡の航行も制限されるでしょう。

インドネシアやフィリピンを迂回すればいいという「中国擁護派」の人も居ますが中東からは3日以上、最大で7日ほど多くかかるようになり原油タンカーはその間延びした分を補うために10隻程度多く必要になると試算されているようです。
直接的な出費は船舶保険などにも及び、海運会社のいくつかは収益が悪化して採算割れになるようです。

たったそれだけ、と思うかもしれませんがこれにより石油製品にコストが上乗せされレギュラーガソリンも1L200円に跳ね上がるかもしれません。

また日本のみならず世界は半導体の生産の多くを台湾の製造請負TSMCに依存しており自動車産業、電化製品などはもとより、軍備にも窮するようになります。

もっともこれは中国側も同じで最先端半導体こそ輸出規制されていますが、完全国産化は道半ばであり、民生品用の半導体の多くを台湾に依存しています。

蛇足ですが中国が台湾の半導体工場を狙って軍事侵攻するという見方もありますがこれは現実的ではありません。

何故なら現代の半導体製造は地球上で一番精密な工芸品と言われるようにナノメートル、原子数個分の幅の精度で加工されているので完璧なコントロールが不可欠となっています。

中国が台湾のTSMC工場群を手に入れたとしてもそこで動くアメリカ、オランダ、日本などの製造装置の定期的なメンテナンスは規制され中国がこれを独力で成り代わるのが難しいために安定した製造は続けられなくなりますし、高純度の日本からの原料や化学薬品も中国は代替不可能なものです。
(一部には遠隔キルスイッチがあると言われていますが装置メーカーは認めていません)

台湾有事は1440兆円が吹っ飛ぶという試算も公開されましたが、このダメージは中国側にも及ぶものなので損得勘定が出来る常識があれば中国が台湾に軍事進攻する愚行を犯すとは考えにくいですが、当初はウクライナに圧力を掛けるため国境付近で大軍事演習を行ってるとみられていたロシア軍が国境を越えて侵攻に踏み切ったように、不合理な理由で中国指導部が開戦を決意するかもしれません。

その為に日本は台湾とアメリカ、さらにオーストラリアなどの環太平洋国と連携して中国を思いとどまらせる必要があり、その正当性もあると言えます。

今回の「騒動」で高市首相が気に入らいないからという理由で中国の肩を持つ人はその責任範囲も考えた方が良いでしょう。

そして今回中国の「超限戦」の一端を垣間見たような気がします。

現実的な落としどころとしては、高市首相批判側が言うような「撤回」「謝罪」「辞任」では何も解決にならないばかりか中国側に強く出れば日本は折れるという成功体験を与え、今後の両国関係では中国が日本に理不尽な要求を連発するようになるでしょう。

過去には韓国がTHAADミサイル配備、コロナパンデミックを巡る豪中対立などで貿易や渡航を制限して圧力を掛けようとした過去があります。

これらの教訓から、日本側が折れる必要はないでしょう。

ただそれでは永遠に平行線ですから、高市首相が「誤解されたことは残念に思う」くらいの事で政府見解に変更がない旨、繰り返すことが肝要でしょう。

もっとも、今の日本は中南海(中国指導部)との水面下のパイプがないとも言われていますのでこの問題を日本だけで乗り切ろうとするのではなく周辺国と協調する必要もあるのかもしれません。
Posted at 2025/11/17 14:17:05 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「今日車検出してきたけど車検時の法定費用先払い、今は後払いになってた。
一回で済むならそれに越したことはないけど用意してた現金を口座の方に戻しておかないと。」
何シテル?   06/14 22:03
ネコとキャブを愛でるのが趣味の低年式オッサンです。
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/11 >>

      1
2345 678
91011 12131415
16 1718192021 22
2324 2526272829
30      

リンク・クリップ

TMエキマニに、バンテージを巻いてみた! 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2017/03/29 00:30:55
日光サーキットに注文あり(笑) 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2017/01/21 00:11:18
Torque Pro 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2016/07/23 22:27:58

愛車一覧

ホンダ フィット 二号さん (ホンダ フィット)
助手席が回転するスゴいヤツ。 仙台近辺で走っていたようだけど88,290kmでウチに嫁 ...
アプリリア RS250 アプリリア RS250
DUCATI996を事故で失い、以前に乗っていた2stにもう一度という事で柏のバイク屋か ...
ヤマハ YSR50/80 ヤマハ YSR50/80
登録抹消 人生初の原動機。 田舎で周囲の数人がコレに乗ってたので困った時に相談にのって ...
カワサキ ZXR400 カワサキ ZXR400
事故により廃車 異形ヘッドライトとタンクに刺さるエアラムチューブが格好良過ぎて購入。 ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation