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やはりやってきたか、という感じですが中国空母から発艦した戦闘機にスクランブル発進した空自のF-15J戦闘機に対し複数回のレーダー照射があったと防衛省から発表がありました。

中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射について
https://www.mod.go.jp/j/press/news/2025/12/6a.html

2018年にあった韓国海軍の海自機に対するレーダー照射事件で一般にも認知されましたが、武器使用に際して目標を捕捉する「ロックオン」の時に発せられるレーダー波を自衛隊機が感知したと思われます。

中国を擁護したい人は「自衛隊機が先に危険な異常行動をしてきたので威嚇のためにやった。高市のせいだ」といった事を言うのかもしれませんが、実際に搭載している機関砲や空対空ミサイルの発射ボタンを押したものの不発に終わった可能性すらありますし、まず攻撃用のレーダー照射は中国であっても定められている交戦規定（ROE）に違反しているものです。

交戦規定は軍隊の武力使用を定めたものですが、その目的の一部に「エスカレーションの防止」も含まれます。

今回の自衛隊機にロックオンレーダーを照射した場合、万が一自衛隊機が攻撃されたものとして正当防衛で反撃に転じた場合、両軍は交戦状態になっていたかもしれませんし、危険を察知した自衛隊機が緊急離脱などの機動中に事故になった可能性もあるので自動車でクラクションを鳴らすような気軽なものではなく、こちらは戦闘行為中だと相手に認識される非常に危険な行為となっています。

中国もそれを知っている筈ですがなぜ、それをやってきたのか。

以前、アメリカ軍の偵察機に異常接近した中国軍機が空中衝突して墜落、衝突を受けたアメリカ軍機も損傷し不時着する事件がありました。
海南島事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E5%8D%97%E5%B3%B6%E4%BA%8B%E4%BB%B6

この時は中国軍パイロットが「腕自慢」のために日常的にアメリカ軍機に異常接近などの危険行為を繰り返していた軍規のゆるみが原因とされました。

今回の空自機に対するレーダー照射がそのような類のものなのか分かりませんが、上層レイヤーから自衛隊機に攻撃レーダーを使用して良い、或いは使用するように命令が下っていた可能性もあります。

高市首相答弁への対応で中国側の過剰反応への解像度がだいぶ上がりましたが、中国は習近平の号令一下で動いているというより、各部署が忠誠心を示すため自発的に行動を起こす事が知られています。

外交部は戦狼外交をしていているように見えても省庁あげて反日行動をやっている訳ではないというものです。（両手をポケットに突っ込んで仏頂面で対応した劉勁松アジア局長も同日、日系企業幹部にこれまでと変わらず事業して欲しいと頼み込んだとか）

中国軍では直近、高官らが重大な規律違反があったとして相次いで党籍や軍籍剥奪処分となっています。

その面々は習近平に取り立てられた人物ばかりであったことから中国軍上層部にかなり危機感が広がっていたものと思われ、軍としても「反日闘争」に参加したいという思惑があったのか無かったのか。

高市首相答弁への過剰対応は外交部の派閥争いが表面化したもので大阪総領事のX（旧Twitter）ポストを擁護せざるを得なくなったものとの観測がありますが、今のところ、このレーダー照射に対する外交部からの公式な反応は示していない事からも一枚岩ではなく、どう帳尻を合わせるか調整に苦慮しているのでしょう。

したがってこの時点で「高市のせいで中国が対応せざるを得なくなった」のような政権批判は中国を利するだけでしかなく、仮に高市内閣が短命に終わっても、それで中国側がニコニコ握手してくるような性質のものではなくなっています。

台湾有事に来援するアメリカ軍に日本が後方支援するというのは既定路線ですし中国の日本を含めた周辺国への武力威嚇を伴う拡張政策こそが問題の本質である点を忘れてはなりません。（中国が台湾部軍事侵攻しなければ日本は存立危機事態認定のしようもありません）

そもそも高市首相の答弁はこれまでの政府見解を踏襲したものに過ぎず、立場を変えた訳でもなく中国側の反応は大阪総領事のXポストまでは普段どおりのものでしたのでエスカレートさせたのは中国側という事を裏付けます。

もっと言うならが武力拡張政策の中国に阿って顔色をうかがいウィグル、チベット、香港活動家弾圧のような人権侵害を見て見ぬふりをして仮初の「平和」と「発展」に何の意味があるのでしょうか。
日本国憲法の平和主義の根本理念である「正義と秩序を基調とする国際平和」に反するものではないでしょうか。

今後、中国側の「反論」に防衛省は証拠を提示しつつ反論していくものと思いますが韓国海軍レーダー照射事件の時には、手の内を見せないためか水面下の交渉具合を見てか、日本側対応は小出しで後手に回った印象もありました。

今回、韓国よりも狡猾で影響力が大きい中国が仕掛ける認知戦では「日本の軍国主義に対抗するファシズムと戦う中国」といった刷り込みが展開されることを考えると、ぐうの音も出ないよう中国側の暴挙と異常性を先に暴き、国際世論を味方にする必要を感じます。

もっとも外交は発表される報道だけではなく水面下での交渉が多くを決めると思われますので既に両国間でそのような動きがあるのか、全くの没交渉なのかによっても推移は変わってくると思われます。

この駆け引きに高市政権がどう対処するか見守るしかありません。