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アメリカのトランプ大統領が訪日した際に見た軽自動車を「とても小さくて、ほんとにかわいい」と称賛し「アメリカでは規制で作れないらしい。すぐ認めさせる」とSNS発信した事で疑問符が浮かんだ人も多いと思います。

本当にそういったニーズがあれば既にアメリカの自動車メーカーが率先して小型車を作っている筈ですがそうなっていないという事から推して知るべしです。

軽自動車も海外に輸出されていない訳ではありませんが、エンジンを800cc～1000ccエンジンに換装したりオーバーフェンダーなどでボディーサイズを拡大したりしています。

一部ではJDM（Japanese Domestic Market）カルト的な人気のある日本車ではありますがそもそも日本の軽自動車はアメリカの安全基準に適合していない上、一般的なアメリカ人の自動車用途にも合っていない「日本専売モデル」です。

120km/h以上で走っている道路事情では流れに乗るのも一苦労であり、近年のガソリン価格の高騰で多少燃費性能は気にされていますが大排気量こそが求められる市場でした。

そんな当のトランプ氏もよく分かっているはずで、いつもの気まぐれなのかと思われましたが、これは販売価格が高騰するアメリカの自動車メーカーへの価格下落圧力にしようという目論見もあるのではないかという見方をする人もあります。

もっともトランプ氏の政策からすれば、日本の自動車メーカーがアメリカに軽自動車を輸出するのではなく、アメリカの現地工場でアメリカ人労働者を雇い、そこで生産しろ、という事になるでしょう。

安全基準対応の他、左ハンドル車の設定（多くは右ハンドル前提でギリギリの設計がされていて左ハンドルコンバージョンは難しいのでは？）が最低条件になるでしょうし、アメリカの道路事情に合わせて排気量拡大なども必要になってきます。

また、仮にアメリカに潜在的な小さい車や安く買えるクルマを求めるニーズがあったとしても、それがバカ売れし始めたらアメリカの自動車産業が黙っておらず、ロビー団体を使って潰そうとしてくるでしょうし、また日本車バッシングや日本製品ボイコットにまで発展しかねません。

それだけにトランプ氏の言うアメリカの規制（安全法）の緩和や例外規定を設けようという動きはそもそも議会承認が得られる公算は低いと言えます。

だからこそトヨタをはじめとして日系企業はアメリカで軽自動車を売れるように働きかけをしてこなかったのでしょう。

日本に大型のアメ車が走っていないように、アメリカで軽自動車を売るには安全規制と交通事情、アメリカ自動車産業のロビー活動といった「参入障壁」が存在している以上、わざわざアメリカ向けに軽自動車を再設計するような事はしないと思われます。

一方で日本市場では税制面でも有利な軽自動車が新車販売台数の半分以上を占める「激戦区」ですから各社がしのぎを削り完成度を高めています。

近年の衝突安全基準などに対応するため以前から660cc枠の拡大、ボディーサイズの拡大を求める声は上がっており、古い町並みが残る東欧をはじめ小型車のニーズはあるので軽規格の見直しを進めても良いのではないかと思います。