• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

quadrifogliospaのブログ一覧

2022年08月18日 イイね!

史的システムとしての資本主義 イマニュエル・ウォーラーステイン(著)、川北 稔 (翻訳)

史的システムとしての資本主義 イマニュエル・ウォーラーステイン(著)、川北 稔 (翻訳)何処かのお勧め候補に出て来たのでタイトル買いした本。

「世界システム論」など巨視的な社会哲学者の文庫再販本という事で興味はあったのですが、読み始めるとこれが詰まらない。

海外の翻訳本にありがちな翻訳者の認識不足やニュアンスのズレというフラストレーションでもない、頭の固い教え下手な教授の講義に出ているようなそんな退屈さなのです。

例えば「このような例は歴史上何度も繰り返されて来た」といったようにしてほったらかし。
え?その具体例は?と置いてきぼりにされます。ひょっとしたら知的レベルが高くて「あぁ〇〇〇文明と△△国家のことか」と分かる位だと楽しく読み進める事ができるのかもしれませんが、その入眠効果はすさまじく2ページ目くらいまでには眠気に襲われ5ページ読むのも苦痛で一日10ページずつくらいしか読み進める事が出来ませんでした。

読みたい本も溜まってるし困ったな、と思っていたのですが、どうしてこんなに詰まらないのか読みながら考えるうちに、著者の主張に同意できない事が多々ある事に気が付きました。

今風に言えば
「それってアナタの感想ですよね?」
「エビデンス示してもらっていいですか?」

といったところ。ひょっとしたらジェネレーションギャップと言うか掛かれたのが37年前なので時代に合わなくなっているのかもしれません。

このまま積ん読するのもシャクなので「それはおかしい」といちいち反発しながら読むと20~40ページくらいは読めるようになりました。

資本主義は資本蓄積の効率化のために一見して労働者階級というヒエラルキーを固定化したように見えても、実はその階級は様々な構成の集団が入れ替わる流動性を確保するものであると定義しています。

また、資産階級にすれば賃金を低く抑えられる家内制手工業のような旧来の生産性の低い市場での売買などの「商品化」に留める方が「賃金」を低く抑える事が出来るが、都市に集まった労働者階級が階層化を求めた事で賃金体系が確立されて生産性が向上し、あらゆるものが「商品化」されるにつれ賃金上昇を招いた、これが資本主義の始まりであるとしています。

「人種差別」もこのヒエラルキーの固定化を自ら求めたもので、伝統だとか民族というものもに頼る団結はロクな物ではない、と断じています。

一見すると誤魔化されそうですが、技術の進歩、つまり作業や経済の効率化という視点が欠落しているように感じました。

つまり100年前の石炭を焚いていた頃に比べれば現代ははるかに高度な産品を生産し、生活の質も大きく向上しているハズです。

ところが著者はこのような恩恵にあずかっているのは人口の15%程度でそれ以外の85%の人々は搾取構造の底辺におり、格差は拡大する一方で、資本主義は限界を迎えているという事です。

しかし、これも人口爆発とそれを支える技術についての観点が足りないと思います。
例えば、現代の世界人口70億人を養っているのは化学肥料や農薬などによる穀物収穫量の増加があります。
これは空気中の窒素固定を実現したハーバー・ボッシュ法などの革命的な技術の社会実装によってかつては不可能だったよりもはるかに多くの人口を養っています。
また草原のマサイ族も各自が携帯電話を駆使して、かつては一日掛かりだったような隣人とのコミュニケーションを数分で成し遂げ情報の距離的な制約を無くした点も技術、つまり資本蓄積の恩恵と言えるはずです。

この「つまらん」という感想はこのような理想主義一辺倒から来るのだろうと思います。

ただし、面白い記述もありました。

我々は資本主義vs共産主義といったような対立構図の中で生きてきました。

しかし著者は共産主義というのも資本主義に内包されるものであり、本質は同じであると見做しています。

このため封建制度をブルジョワ革命が終わらせたように資本主義を無産階級のプロレタリアート革命で終わらせる事は出来ないとしています。

たしかに共産主義革命、あるいは社会主義革命を成し遂げた国は革命政権はそれまでの権力機構に取って代わっただけでそれ以前より良くなっているのか疑問であり21世紀までに多くの共産主義国、社会主義国が何らかの形で資本主義体制に取り込まれています。

また世界同時革命が起きない理由についても、革命家という特権階級は自分で物を考えないでいるルサンチマンを抱えた不満層しか取り込めないため、権力構造の劣化も是正されないと見ているようです。

ここら辺については常々自分が考えて来た事を論理的に裏付けているような気がします。

そして終焉を迎えつつある資本主義の次に来るものがどういう政治体制になるかは想像もつかない、としている部分も問題があると感じます。

著者は三つの将来像を描いています。

一つは集団が資本主義と言う世界ルールを無視する強権国家の台頭。
もう一つは軍事大国の台頭。
そしてボートピープルに代表される移民、棄民の時代。

この本が著された時は北半球の先進国と南半球におおい後進国の対立である「南北問題」がクローズアップされていた時代であり、正確に現代を予見することは難しい、というか誰も想像しえない時代に突入しているでしょう。

著者が示した三つの将来像は、それぞれ現在に当てはめると、世界ルールに従わない国はアメリカの弱体化などによってロシアなどの傍若無人な振る舞いに見る事が出来ます。

また、軍事大国としては大国に成長した中国がアメリカに対抗する野心を露にして周辺地域を不安定化させています。

移民の問題は筆者が欧州、北米、日本がその舞台になる兆しがあるとしていました。
確かに欧州やアメリカは不法移民の流入とそれを拡大したい左派勢力の対応に苦しんでいますし単一民族と言われる日本も実は世界第4位の移民受け入れ大国になっています。

しかし、資本主義の終焉や新しい世界システムの兆しは感じる事がありません。

それは資本主義が常に変質して自らを改良する人類が構築した最先端のシステムであるからなのかもしれません。
Posted at 2022/08/18 20:46:02 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2022年08月16日 イイね!

気仙沼行 お盆 夏支度と冬の準備

お盆休みは東京はコロナ禍は感染増加が頭打ち傾向になってきていましたが全国的には予断を許さない状況の中、気仙沼の方に行っていました。

職場がコロナ休業のため、暦よりも一日早い8月9日に東京を出発します。

普通のウィークデイの帰宅ラッシュの中、出発します。


高速の方は普段よりは空いている感じでした。

気温は21~28度。
燃費は久しぶりの出撃となり、都内を用事で走っていた後の参考値で22.0km/L


今回は直前に12カ月点検の為、純正ホイールのスタッドレスタイヤに戻したまま、またフロントリップも取り外した状態でした。

気仙沼も夜とはいえまだ昼間の蒸し暑さが残っています。



翌10日、水曜日。
台風の発生が予報されていたため、その前に屋外の作業をしておきます。

前回帰省時に剪定してからまた伸びて来ている庭木の剪定。


隣家からクレームが来る方。


陽当たりの良い道路側がどうしても伸びていきます。

以前は隣家の人が勝手に上部を切り落としていたため、樹形が変になっていたのを間引き剪定などでだいぶ枝ぶりがマシにまってきました。

高さのある枝を切り落として、残したい枝を中心にして余分な枝を落として形を整えます。


ちょっと悩んでいるのがコニファー。
最初は一番小さかったので放置していたら、いつの間にか大きくなって当たらないように車を止めるとだんだん道路側にはみ出すようになってきました。


外は綺麗ですが中は蒸れて枯れているため、下手に刈り込むと枯れ木の様になってしまうため、前から思案していました。

今回は花を付けているようなので、とりあえず今回も放置。


お盆の花やお供え物を買いに出るついでにお墓の掃除をしておきます。
気仙沼から東京に持って行って使っているクールシーツを持って来るのを忘れたため、結局、気仙沼滞在用に敷き掛け枕カバーを購入。
この季節しか使わないものの、睡眠の質には代え難く。


翌11日、木曜日。

今日は台所の水道管の保温材を巻きなおします。
外にある配管の内、保温材を巻きなさずに残っていた箇所です。
これまで成長した庭木が邪魔で作業できなかったのですが、前回の剪定で裏側にも大分スペースが出来たのでようやく取り掛かれます。

台所の蛇口は水とお湯の二系統ですが、壁の外にあるのは一本なので、おそらくボイラーからの来るお湯系統を増設したのでしょう。


どれくらい経っているのか分かりませんが、保温材が劣化して結構スカスカな感じがしますので新しいものに交換します。

まず地面に埋まっている所まで掘って古い保温材を外します。


銅菅でしたので錆とは無縁かもしれません。

大きめの保温材だったので配管と隙間が出来ますので汎用の保温材を巻き付け隙間を埋めます。


当初の計画ではここに電熱線を巻き付ける予定でしたが、途中部分が地面に埋め込まれておりボイラーの手前側は別途やってある事から、今回は大掛かりな電熱線は行わず様子見とします。

去年~一昨年の厳寒が異例なのか、それとも恒常的に厳しく冷え込むなら表の配管全てに凍結防止の電熱線を巻き付ける必要があります。

発泡スチロールの保温材を被せます。


後はテーピング。


普通は黒のテープなのですが、黒だと日光を吸収して劣化するのでは?と白い物にしています。はたしてどうかな。

同じ部材なので足洗い場の方も交換します。


こちらは購入直後に施工したのですが、発砲スチロールが収縮してきています。
今回台所に用いたものがワンサイズ太いので、こちらに交換します。

表層のテーピングは伸縮性がありました。ひょっとしたら一回巻きなおしているかも。

スチロール材を外すと日光に当たる側が委縮して痩せています。


こちらも壁際なのでテーピングが難しく何回かやり直しました。


駐車場側の庭木。


こっちが二階のひさしを超えて育ってしまったため、親戚に上部を切り落としてもらい、高さに合わせて強剪定したものでした。

以前はカーポートの柱を超える枝ぶりでしたが、今はクルマを停めて乗り降りするスペースはあります。

しかしかなりの強剪定をしたため枝ぶりが荒ぶっていて、今の段階で整理するのは難しい印象でしたので、今年伸びた高さの出ている枝を切り落とし、残したい枝をどう残すか検討しながら間引いておく程度にします。

気温はともかく、湿度のせいで滝のような汗。

取り合えず、仏壇にお供え。位牌は持って来るのを忘れてしまいました。


たたみや板の間の雑巾がけをして汗だくに。

月は出ていても台風の接近で雲が取れません。



翌12日、金曜日。
破れた網戸の張替えをします。
これは保温材を巻きなおした上の台所の窓用で、元々経年劣化していた所に伸びた枝などで破れが出来ていました。

これも枝を払ったので張替えにこぎつけました。


網戸の張替え自体は何度もやっているので残してある部材だけでできそうですが、以前の住人が目張りの為かテープで張り付けていたため、粘着成分が残ってベタベタします。

東京には綺麗に落とせる溶剤もあるのですが生憎手元にないので、手指消毒用のアルコールでべたつかない程度までこそぎ落としました。

張替えは一辺ずつ決めるというよりは各辺を仮で固定ゴムを押し込んでおき、最終的に本固定するとピンと張ってシワが綺麗になるのですが、とにかく屋内だと風が無いので今しがた自分が座っていた形状に濡れているくらい大量の汗をかきますので休み休み作業してて二枚張り替えるのに二時間以上掛かってしまいました。


やはりこういう作業は夏以外が良いのでしょう。


翌13日、土曜日。
どうも気仙沼には台風は直撃しないようなので、お墓参りを済ませてしまいます。

今回は買い物の道順を考えて親戚の方から。


普段は自分が一番乗りで軽く掃除などもやるのですが、台風の様子見をしている間に従兄が来て済ませているようでしたので花を供えて線香をあげるだけ。

同じ寺の「本家」


こちらはまだのようでしたが軽くふいた程度で綺麗になったので花を供えて線香をあげて母の方の寺に移動します。


フィット君のリアが下がり過ぎているため、気仙沼に置いている純正スプリングを持ち帰るのも今回の帰省の目的の一つです。



どうも売っている花の中のチョイスだと毎回微妙な感じになるのですが、注文で作ってもらうのは法事のスペシャル感があって良いかな、と。

夜はやはり雲が広がっています。この後台風に刺激されて大雨となります。



翌14日、日曜日。
どうも天気がはっきりしないので屋内作業。

トイレの照明スイッチをセンサースイッチに交換するため、線材なども買い込んであります。

現状は人感センサー付きLED電球にしてあり、トイレに入ると勝手に電気が付くスグレモノなのですが、点灯時間の設定が出来ないため、少し長くトイレに籠っていると照明が消えてしまうのと客人がトイレを使う時、分からないためドア横のスイッチを弄ってオフにしてから入る為、電気がつかないと言われるため、壁スイッチそのものを人感センサーにしようというものです。

しかし、どうも現状の配線が分からなかったので中断していました。

今回もしばらくたっていたため、スイッチを観察するところから再開します。


二個のスイッチングに対応している配線で勘違いしていましたが、このスイッチで制御している器具は現状ではトイレの照明のみ、つまり照明の配線の片側に割り込ませているスイッチという事です。

今回交換したいセンサースイッチは


センサーユニットに常時電源が必要なため「電源1」と「電源2」は必ず必要になります。

つまり現状の配線だけでは足りないのでどこからか引き込む必要がありそうです。

裏側の洗面台のコンセントなどから調達できそうですが、けっこうな電気工事になってしまうため、今回は照明器具を交換するだけにします。

これまでのものはカバーが欠落していましたので一式交換。


しかしソケットサイズが違うというミスで人感LED電球は使えなくなってしまいました。

廊下とか風呂場とかどこかには使えるかも。


翌15日、月曜日。
終戦の日です。

この日はようやく完全オフ。
昼間から東京から持参したゲームをやったり本を読んだり。

と言いつつ、サッシの壊れた交換部品があるのでは?と気仙沼中のホムセン巡り。
窓の内側の曇りが気になって窓ガラス掃除を始めて結局汗だくに。


翌16日、火曜日。
職場の夏季休業も本日が最終日なので東京に戻ります。

休みの期間フルで気仙沼に滞在していたのって上京してから初めてかも?ちょっと記憶にありません。

もっとも、普段は有休で埋めて11連休とかザラだったのですが、今年は遅れている前工程が休日返上?で休み明けから引き継いで作業開始しないといけないような雰囲気のため、なるべく東京から離れていたかった訳で。

もっとも、オフィスも手じまいしてリモート体制を目指すという事で勤務地と言うか居住地は関係なくなれば気仙沼のこの家で仕事してても変わりないのでは?と庭の草むしりをしながら思ったり。

この家なら普通車二台は置ける訳だし。

夕方の渋滞に捕まらないように午前中に出発します。

その途中、イオンで昼食と東京に戻っての食材を買い込みます。
その程度なら道中のコンビニや道の駅、SAでもいいのですが、宮城県の方がお米が安いので来るたびに10キロ買って帰っている都合もあります。

イオンを9時頃出発。

そのまま三陸道から常磐道なら道すがらなのですが、少々遠回りしていつもの東北道コースに修正します。


途中、岩手県で大雨による警戒水位を超えた北上川を越えます。


混雑でペースが落ちる事はありましたがほぼ渋滞らしい渋滞はありませんでした。


今回、満タンから針が動いたのは240kmを過ぎた地点で過去最長を記録しました。やはりフロントリップがエアダムでかなり空気抵抗が増していたようです。


それほど飛ばす訳ではないので風切り音の位置が変わったのが分かる以外は微妙と言うところか。

ちなみにその地点での燃費は21.5km/Lと突出して良い方ではありませんでした。


15時半頃では外環は普通でした。


高速燃費は22.7km/L、外気温24~34℃でした。


リフレッシュと言うよりは墓参りや布団干しといった労働で汗だくだった記憶しかない今年のお盆休みでした。
Posted at 2022/08/16 20:30:56 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2022年08月15日 イイね!

終戦の日

今日は先の大戦で日本が敗北した終戦の日です。

言葉尻を捉えて「終戦だから敗戦していない」と言ってみたところで連合国に降伏した事に変わりなく、その点を争ってもあまり意味はありません。

今年はロシアのウクライナ侵攻もあって、より一層、戦争と言うものが身近に感じられました。

この21世紀に過去の最大版図を取り戻すという大義で隣国に攻め入るなど少し前には第三世界の出来事に思えましたが、今や日本の隣国がその暴挙を行っている事実に愕然とします。

戦後日本はこれまで他国と交戦することなく過ごしてきました。

ある人は憲法9条の賜物と言い、ある人は日米同盟による抑止力であったと言います。

どちらの側面もありましたが、米ソ冷戦が終了して新なパワーゲームが始まった現在において、日本が不戦を貫き通すためにはどうしたらよいか。

これまでのように憲法9条を掲げていたとしても、隣国の気分一つで戦争に巻き込まれる事実をウクライナに見ました。

護憲派はそうさせないためにも隣国には妥協し続ければよいと言いますが、尖閣や竹島に手を掛ける隣国に妥協したところで、次は壱岐だ、沖縄だ、北海道だと際限なく領土を切り取られる上、平和が保たれる保証はどこにもない状態が続きます。

基本的には自国の安全保障は他国の意思決定にゆだねるのではなく、自国が守るべきもので、そこには相応のコストが必要になります。

それは国によっては軍事費であり、また兵士の生命かもしれません。

しかし、他国の挑戦を毅然として撥ね退けると言う国にあえて侵略しようという国は余程酷いと言わざるを得ません。

こういった国がある限り、相手にもコストを強いるというのが防衛の基本的な考え方です。

台湾はもし侵略された場合、防戦すると同時に侵略国を弾道ミサイルや巡航ミサイルで報復攻撃を実施るという戦略をとっています。

例えばもし台湾がいかなる状況でも交戦しないし侵略されたら降伏すると宣言していた場合、台湾を欲する国は台北や主要空港に空挺部隊を送り込めば台湾を掌握する事は可能でしょう。

確かにそこでの戦闘による死者は発生しないことになりますが、その後の占領政策がどういったものになるか、は中国のチベットやモンゴルにおける「再教育」と言う名の民族浄化、また香港の民主化弾圧といった事が占領台湾でも起こり、そこではどれくらいの人命が失われるか分かりません。

それをいうとナチスドイツの侵略をすんなり受け入れたノルウェーは死者が出ない占領だったと言われるでしょうが、実際はレジスタンスの摘発やユダヤ人に対するホロコーストなどを黙認したものであり、人道的見地から、それを理想として掲げてはいけないと思われます。

ペロシ米下院議長の訪台で一気にヒートアップした中国の台湾侵略の野心は、まだ演習というプレッシャーで台湾人の心をへし折ろうという段階ですが、過去には演習を皮切りにした軍事侵攻の例はナチスドイツやロシアのウクライナ侵攻など、いくらでも例に挙げられます。

これらは演習を口実に軍を配備し、空域や海域を封鎖し、油断している相手国に一気呵成に雪崩れ込む常套手段でもあります。

したがって今後中国は台湾を封鎖するような軍事演習やパトロールを常態化させると見られます。

国際海峡である台湾海峡についても中国はこれを認めないと宣言しており、日本の物資やエネルギー輸入の生命線であるシーレーンが脅かされる形になっています。

先の大戦でも、アメリカなどの日本に対する禁輸政策が日本を追い詰め開戦の流れが決定的になったように、中国の行動は戦争を見据えた危険なものであると認識されるべきです。

日本は日本国憲法で国際問題の解決に軍事力を行使しないと宣言している以上、これを止める確実な手立てはありません。

以上、現在の日本の制約下では日本と事を構えるのはコストが掛かり、割に合わないと思わせることくらいでしょう。

日本が敵基地攻撃能力を持つべきか否かという議論も、相手国が嫌がるのであればそれは有効性が認められることになります。

技術論で言えば、中距離ミサイルによる報復攻撃が挙げられます。

現在、中国、ロシア、北朝鮮、そして韓国や台湾もこれらの中距離ミサイルに準ずるミサイルを保有しており、アメリカはINF条約による地上配備の中距離ミサイル削減以降は潜水艦と爆撃機から投射される中距離ミサイルに依存し、これに該当するミサイルの開発段階で戦力としては劣っています。

中距離ミサイルは弾道ミサイルの場合、発射から着弾まで10~15分程度という速さ故に脅威度が高く、近年は単なる弾道ではなく、大気上層を高速滑空したり、軌道を変則的に変えて迎撃を困難にする技術を獲得している国が増えてきています。

よく誤解されがちなのは日本の敵基地攻撃能力は敵国のミサイル攻撃力を狙う物ではありません。これはアメリカ軍のイラク侵攻やロシアのウクライナ侵攻でも移動式のミサイル発射装置を探知、撃破する事が殆ど成功していない事から現実性に乏しいばかりか反撃を招くことになります。

高度な防空でこの攻撃を阻止しつつ、敵の重要拠点を破壊する事が主要な目的となり、ハイレベルでの米軍との共同作戦になるため現在の憲法、及び自衛隊法で可能なのかは議論され、法整備される必要があります。

このように自国への攻撃力を有した日本は単独でも攻撃するのにはコストが掛かる事が予想されますが、更にはアジア版NATOのような防衛機構の枠組みがあれば、日本周辺の加盟国に対する攻撃の対価は格段に大きくなり、攻撃を躊躇させるだけの実効性の確度を高めることが期待されます。

これはおそらく安全保障コミュニティの示す方向性であろうと思います。

今後、日本が戦禍に晒される事がないように平和の対価としてどれくらい負担する覚悟があるのか、そんな事が問われる終戦の日であったと思います。
Posted at 2022/08/15 18:11:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2022年08月05日 イイね!

ペロシ下院議長アジア歴訪が残したもの

アメリカ与党・民主党のナンシー・ペロシ下院議長がアジア歴訪で訪日しました。

アメリカ下院議長は大統領権限継承順位で副大統領兼上院議長に次ぐ第2位にあり、実質アメリカのナンバー3と言われる程の重鎮です。

今回のアジア歴訪は今年4月に来日する予定だったものが新型コロナウイルスに感染して延期されたものでした。

最大の注目は台湾を訪問するのかどうか。

アメリカは中華人民共和国を承認して以来、中国に気兼ねして台湾については積極的に関わろうとはしませんでした。

いわゆる「あいまい戦略」を堅持してきたため、訪台する政府高官としては25年ぶりの出来事となります。

多くの人がflight tradar24でペロシ搭乗機を追跡して見守る中、2日深夜台湾入りしました。


台湾空軍や嘉手納のアメリカ空軍は厳戒態勢であったようです。

アメリカ空軍は嘉手納に空中給油機を22機送り込み、またアメリカ海軍の原子力空母艦載機「C-2 グレイハウンド」も姿を見せ、近海に空母打撃群が居る事をアピールしていました。

対する中国は事前に台湾入りしないよう最大限の牽制を行い、ペロシ訪台に対抗して大規模軍事演習を行い、このうち弾道ミサイル数発が台湾上空を通過し、日本の排他的経済水域に着弾したと見られます。
これは台湾有事には与那国島をはじめ、沖縄も攻撃する意図の表れと見られます。

中国弾道ミサイル発射について
https://www.mod.go.jp/j/press/news/2022/08/04d.html


中国もアメリカも空母艦隊を派遣する大騒ぎになったペロシ訪台ですが、蔡英文総統や最大半導体製造請負TSMC会長訪問はあったものの、特に目新しい物が出る事もなく、次の目的地韓国に飛び立っています。

その韓国では新与党が中国の圧力を恐れてか、空港に出迎えた政府高官はゼロで尹大統領とも電話会談のみと「迷惑」を如実に体現したものでありました。

その後の日本でも大きな話は出て来ず、結局何のためにアジア歴訪したのかと各方面がいぶかしんでいます。

バイデン大統領も軍は良く思っていない、と発言するなどアメリカ政府としてはこの微妙な時期にアメリカ高官が訪台する事で摩擦が生じる事を避けたいようでしたが、ペロシ氏が強行したとも言われています。

ペロシ氏は人権強硬派としても知られており、天安門事件の後、中国で抗議行動をするなど筋金入りの対中強硬派でもあります。

従って今回の台湾電撃訪問もパフォーマンスではないかと言われています。

訪台計画は夏休みに合わせた、単なるペロシの政治的パフォーマンス?

台湾では天安門事件の民主化リーダーで活動家ウーアルカイシ氏(台湾人と結婚し台湾在住)と面会するなど、成果を強調していますが、中国側は必ず報いを受けさせると息巻いています。

また1995年の台湾海峡危機の時よりも台湾寄りに、さらに台湾を取り囲むように飛行制限空域を設定し、台湾海峡の中国大陸と台湾の中間にアメリカが設定したアチソンラインを超えて空域に戦闘機を送り込んできました。


中国は台湾海峡は国際海峡ではない、と宣言しており、つまりは中国のものであるという事を意味し、日本のシーレーン防衛にも大きく影響する形になりました。

今回の一連の弾道ミサイル発射や領空侵犯は台湾侵攻を想定したものとみられる事から、今後台湾でのTHAAD導入議論が再燃する可能性もあります。

台湾はかねてより水際で中国軍の侵攻を防ぐ事は難しいとして、台湾有事には中国沿海部の主要箇所をミサイル攻撃するとして独自の弾道ミサイルや巡航ミサイル、そして台湾版THAADを開発してきています。

また台湾第二位の半導体メーカーであるUMCの名誉会長、曹興誠氏が30億元(約135億円)を国防強化のために寄付するそうで、台湾ではこの国防意識が高まりそうです。

今回のペロシ氏訪台を口実に中国がこれらの演習や領空侵犯を常態化させてくる事は必至と見られるだけに、慎重派は問題視しており、また香港などの株式市場も有事を懸念して株価が下落しています。

得られるものがあったとすれば、台湾軍とアメリカ軍が共同でペロシ氏を迎え入れる空の回廊を確保した事で、これは台湾有事の際にも軍事物資の輸送などに使える協力体制を実地で再確認できた他、アメリカ軍の電子偵察機RC135Sコブラボールが今回も近海で情報収集にあたっており、中国軍の動静を探っていましたのでこの情報は後々役に立つかもしれません。

いずれにせよ、中国の台湾に対する態度は一段階エスカレートしたと見るべきでしょう。

日本では日本などに理解を示したトランプ大統領に辛辣にあたり、また「人権」と言う事で韓国の主張する従軍慰安婦問題で日本を批難するなど、困った人物と言う感じでしたがウクライナを巡る危機が、なんだか急に日本近海に降って湧いたようなそんなペロシ氏のアジア歴訪だったのではないかと思います。
Posted at 2022/08/05 20:20:53 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2022年07月30日 イイね!

フェイク ウソ、ニセに惑わされる人たちへ 中野信子著

フェイク ウソ、ニセに惑わされる人たちへ 中野信子著フェイクニュースが蔓延る昨今、人間がウソをどのように編み出して来たのかを脳科学者、医学博士である筆者が分かりやすく解説した本。

まず、ちょっとボリュームが少ないかな、という印象でした。
前日に注文して届いたその日のうちに読み終わってしまいました。

出版業界の「活字離れ対策」として読みやすくするために文字大きくして行間の隙間を広くして1ページの文字数を少なくしている影響でしょうか。
またなるべく平易な文章に努めているので主張の大枠を語っているくらいの感じでした。

人は10分に3回は嘘をつく、という冒頭から「ウソ」というのは生物の敵やライバルを欺くと言う生存競争の過程で発達してきたものとしており、その中で「良いウソ」と「悪いウソ」に大別しています。

純粋に学術的に考えれば「悪いウソ」も自分の利益を最大化しようと言う戦略ではあるので、結局は自分と他者との関係性や力関係の表れと言えるかもしれません。

それでも我々は小さい頃から嘘をつくと酷い目に遭う、嘘は自分の為にならないという寓話で育ち、また身近な宗教も大体において嘘をつくと相応の報いを受ける教えが共有されています。

これは「悪いウソ」はコミュニティーの調和や規律を乱し、嘘つきであるとパージされ生きにくいという事なのだろうと分析しています。

一方、「良いウソ」は人間関係を円滑にする、常に正直である事もまた生きにくくなるとの事。

例えば「あなた無能な上司ですね」と言ったり「髪型変えたの?前の方が似合ってたのにお金と時間を無駄にしたね」なんて言って暮らしていればそれは正直ではあっても大抵の場合ギクシャクして関係が壊れてしまうでしょう。

思っている事でも言わない、あるいはお世辞を言う事は生存戦略の上で自分を不利にしない為の工夫であり、社会では必要とされるものです。

情報過多社会において「嘘」や「騙し」で得をしようと言う、いわゆる「悪徳行為」については、もう少し深掘りして欲しかったのですが、「悪徳商法」やSNSなどの「フェイクニュース」として扱っています。

G.W.オルポートは流言について「R=I×A」(流言の流布はその情報の重要さと曖昧さの積に比例する)と提唱しました。

つまり人は自分に脅威がある話題で曖昧な話題ほど注意が行くようになっていそうです。

また人の判断は生存のために必要な速い判断(システム1)とよくよく熟慮する遅い判断(システム2)がありますが、脳はより楽なシステム1を好む傾向があります。

詐欺や悪徳商法、あるいは故意にフェイクニュースを広める手口は、この人間の思考の傾向を逆手にとって自分の思うように人の判断を歪める手法を駆使しています。

情報精査をするトレーニングを受けていたり、或いは人を疑いの目で見る所謂「天邪鬼」はこの手には易々とは乗りませんが、それでも騙そうとしてくる相手を完全に撃退するのは難しいようです。

例えば、人は権威に弱く、権威が言っているのだから、とか高名な学術誌に掲載された論文だから、という理由があれば多くの人は信じてしまうでしょう。

学術誌に寄せられる論文は掲載前にライターやその分野の権威が「査読」してどうも確からしい、誰が追試しても同じ結果になるようだというお墨付きが与えられているからこそ人は無批判に信じてしまうのですが、その論文に引用されているデータは正しい数値なのか、実験手法は正しく行われたのかまでわさわざ確認している人は本当にこく一部に限られます。

当時最先端だった超電導についての論文を寄稿した研究者が論文掲載前の情報漏洩を避けるため、あえて物質名を違えて書いておき、「査読」で指摘されると「記述をミスしていた」と訂正して世に出ました。

比較的厳正な審査が行われる学術論文であっても、一番乗り競争や功名心などから度々捏造や改ざんが行われてきましたが、「査読」が行われない一般メディアやましてや誰がどんな意図で広めているかも分からないSNSの情報などは本来であれば疑ってかかるくらいがちょうどであっても、先のオルポートの公式の様に、センセーショナルな話題であるほど人は信じたいというバイアスが働きます。

日本がコロナウイルス感染者数が世界一になったとして話題になっていますが、日本で変異株が猛威を振るっている他にどうも手に負えなくなった各国ではもうPCR検査を積極的にやっておらず検査結果に上がって来ないだけでそれらの地域でも下水の調査からすると相当感染者数は増えていると言う推定もあります。


これも「もう我慢したくない」というバイアスで見ると「ほら検査や隔離なんか無駄って証明された」となります。

無症状や軽症ならそれでいいですが、検査や病院を受診せずに重症化したり亡くなるケースというのも今後問題になるでしょう。

子供は重症化しないんだからワクチンは必要ない、という意見と、毎日発熱外来に忙殺されており、今日も重篤になった子供を連れた高熱を発症した母親が来たと言う町医者の話。

今はコロナウイルスまん延や戦争、物価高騰など人々が冷静に判断する事を怠り不確かな情報に飛びつきたくなる時代の真っ最中と言えますが、「良い事を言っている」とか「これはまさに知りたかった情報だ」というモノほど、情報の発信源はどこなのか、他にどんな情報(反論)があるのかを冷静に見る「システム2」の必要な時代と言えるのかもしれません。
Posted at 2022/07/30 12:01:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

プロフィール

「今日車検出してきたけど車検時の法定費用先払い、今は後払いになってた。
一回で済むならそれに越したことはないけど用意してた現金を口座の方に戻しておかないと。」
何シテル?   06/14 22:03
ネコとキャブを愛でるのが趣味の低年式オッサンです。
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/11 >>

      1
2345 678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      

リンク・クリップ

TMエキマニに、バンテージを巻いてみた! 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2017/03/29 00:30:55
日光サーキットに注文あり(笑) 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2017/01/21 00:11:18
Torque Pro 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2016/07/23 22:27:58

愛車一覧

ホンダ フィット 二号さん (ホンダ フィット)
助手席が回転するスゴいヤツ。 仙台近辺で走っていたようだけど88,290kmでウチに嫁 ...
アプリリア RS250 アプリリア RS250
DUCATI996を事故で失い、以前に乗っていた2stにもう一度という事で柏のバイク屋か ...
ヤマハ YSR50/80 ヤマハ YSR50/80
登録抹消 人生初の原動機。 田舎で周囲の数人がコレに乗ってたので困った時に相談にのって ...
カワサキ ZXR400 カワサキ ZXR400
事故により廃車 異形ヘッドライトとタンクに刺さるエアラムチューブが格好良過ぎて購入。 ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation