カーク艦長のブログ一覧

賀茂川若しくは加茂川或いは鴨川とも書く。
馬場俊英の唄に「鴨川」という切ない歌がある。
私はその歌を聴く度に若きあの頃のことを思う。
最初鴨川という題名を見たとき、千葉県の鴨川だと思った。
なぜなら、京都の賀茂川にこの字は使わないと思っていたからだ。
しかし、実際の表記は鴨川らしい。
でも青春時代の淡く苦しい思い出の時の名前は「賀茂川」若しくは「加茂川」なのだ。

恋多き青春時代を過ごした京都の街
あの苦い思い出の年から祇園祭からは遠ざかり、賀茂川に行くこともなくなっていた。
かつて高瀬川のほとりにあったクラシック喫茶、そして加茂川の土手で
僕と彼女は手と手のぬくもりを感じあいながら、愛を育んでいた。
しかし、友人たちとの友情を深めあう旅から帰ってきたとき、
彼女は別の男と手のぬくもりを感じあっていた。
「だって、寂しかったから・・・」
あまりにも大きな衝撃で、木屋町で飲みつぶれて倒れて、友人に救われて…
人生の何かが変わった時だった。
それから二十数年後、僕と彼女は同窓会で再会する。
既にそれぞれの人生の道を歩んでいたはずなのに、その再開がきっかけにもう一度あなたとやり直したいと。
死んでしまいたいと思ったほどの失恋の大ショック、それほど好きだった人からの言葉。
時計がぐんぐんと逆戻りする。
でも、僕の心の時間は戻すことはできなかった。何をいまさらと・・・
四条の橋から賀茂川を眺めながら、もう戻ることのできない時間を感じている二人。
そこにあったのは、かつてあったはずの愛の思い出だけだった。

二人で鴨川へ行こう、真夏の水辺に行こう
優しかったあの夜の川の流れを見に行こう
さよならはそこで言おう
悲しかったね、苦しかったね、でも頑張ったね、僕ら愛のために
好きだよ・・好きだよ・・

　馬場俊英「鴨川」より

以上の物語はフィクションであります。―◎◎―