2022年10月02日
プーチン大統領はロシアがウクライナに侵攻し支配していた南東部の4州で「住民投票」を行い、ロシアに併合する大統領令に署名しました。
この一方的な宣言に西側を中心とした国際世論は反発しましたが国連「常任理事国」であるロシアを止める事は出来ずにいます。
今後、併合された地域では動員や徴兵が行われ、ウクライナ人とウクライナ人が戦うように仕向けて来るでしょう。
一方で、ウクライナ軍の反撃によってロシアが支配していた要衝が次々陥落、解放されています。
5月にロシア軍に奪われていたドネツク州の都市リマンをウクライナ軍が奪還し、立て籠もっていたロシア軍は壊滅させられたようです。
現地義勇軍に参加している日本人などのSNS情報からすると「壊滅」というよりは虐殺に近い戦闘だったようです。
彼のTwitterは攻略戦が本格化してから、それまでの解放された住民から歓迎されたというような牧歌的な日々の報告が直ぐに、目の前に砲弾が落ちて死ぬかと思った、とか後で見たらヘルメットに砲弾の破片が刺さっていた、とか、行動を共にしていたアメリカからの義勇兵部隊で犠牲者が多いなどと緊迫したものになりました。
リマン周辺のロシア軍はリマン市街に逃げ込みましたがウクライナ軍が市街に突入すると、唯一残されていた街道で市民から奪った車などで脱出し始めたロシア軍でしたが、地雷が設置されていた事や盆地地形のリマン周辺部からその街道を狙い撃ちして掃討戦が展開されロシア兵は殆ど生き残らなかったようです。
この日の戦闘では2000人近くのロシア兵が死傷したされたとされていますが、攻略戦が始まってからの数日で8000人ほどが「無効化」されたと推計され、これはロシア軍が被った最大級の損害になるようです。
かつてインパール攻略に失敗した日本軍が敗走した街道は後に「白骨街道」と呼ばれましたが、それに匹敵するような戦闘がこの現代に起きている事に戦慄を覚えます。
ただ、これまで投降したウクライナ兵や住民を拷問したり虐殺して来たロシア兵に同情する声はあまり聞かれません。
死んだロシア兵の中には最近発表されたロシア動員令によって連れて来られた新兵などで、最初から使い捨て前提で殆ど訓練もないまま最前線に投入されていたようです。
装備は軍服や武器以外は持参するように、また救急手当のキットはないので家族から生理用品を送ってもらい、負傷したらそれで止血するようにと言い渡されている動画も拡散されていました。
これは以前、FSB(ロシア連邦保安庁)関係者の情報リークにもあった「ロシアには動員を実行できる能力もない」という証言と一致します。
動員はモスクワでも行われており、医師ですら一兵士として扱われ、また今回出番がない戦略ミサイル部隊の兵士も最前線に送られているとの事で、ロシアはいよいよ負け戦の様相を呈してきています。
こうなると懸念されるのがロシア軍のウクライナでの核使用ですが、可能性は低いと思っています。
まず核兵器を使った場合、それ以上恫喝する材料が無くなります。
これはロシアが西側やアメリカと対等に対峙できる根拠を手放す行為であり、ロシアが崩壊するとかプーチンが捕らえられそうになるとかいう局面になれば話は別ですが、そういった判断はしないと思います。
それ以前にシリアなどで西側が「黙認」した実績がある化学兵器を使う方がまだハードルが低く、核のボタンをプーチンと共有しているゲラシモフ参謀総長やショイグ国防相が失脚するなどがあれば核攻撃が差し迫ったと見て良いかもしれません。
我々がイメージする都市を丸ごと吹き飛ばす「戦略核」は強力過ぎ、また西側の反応が予測不能である事から、もし使うならまず「戦術核」になるでしょう。
これは戦場で敵を攻撃する為の低出力核兵器で、威力は広島型原爆の数十分の一程度であり、超強力な通常爆弾と同程度となります。
もっとも「核兵器」である事には変わりなく、使われればどのみち核報復がエスカレートすると見られてきた事から核保有国間では使われる事はないというのが前提でした。
しかし今回は非核保有国であるウクライナに対して使うのかどうかが懸念されています。
2014年のアメリカ国防計画見直し報告書(QDR)では
「大量破壊兵器で武装した潜在的敵国が地域紛争での通常兵器での侵攻に失敗し(大量破壊兵器で)エスカレートさせた場合、米国は対処困難である」
としており、まさに今回のウクライナ侵略がこれに当たります。
したがって核使用すればアメリカもNATOもそれ以上介入して来ず、ロシア側有利に転換させられるという誘惑からプーチンらが判断ミスをする可能性は否定できません。
ロシアでは放射能体内被曝を防ぐ「ヨウ素剤」の大量購入などが言われていますが、実際に使用する為と言うよりはロシア国民に核攻撃される、ロシアは被害者と思わせるための欺瞞ではないかと思います。
ただ気になるのはもしロシアが核を使用した場合、これを止める手立てがありません。
NATO加盟国ではないウクライナの為に米英が高度なミサイル防衛や核報復を提供するとは思えずされるがままという事になりかねません。
また、今回のロシアの併合を歓迎する声が日本国内からも上がっている点も気掛かりです。
今回のウクライナへの理屈を日本に向けられたら、アイヌ民族は日本政府の弾圧を受けておりロシアが保護する事が決まった、とか琉球民族の自決権にしたがい琉球王国独立を承認する、というように分断に使われる事は明白です。
どのようにプーチンの言い分を正当化して受け入れているのか全く理解不能です。
それだけ浸透工作が効果を上げているという事なのでしょう。
はっきり言って日本でリマンのような戦闘は絶対に起こしてはなりません。
プーチンの体面の為に犠牲になった全ての魂に安らぎがありますように。
Posted at 2022/10/02 19:52:38 | |
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