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イイね!
2009年01月18日

吸気量とポンピングロス

吸気量とポンピングロス 先日ちょっと嬉しいことがありました。お友達ではありませんがみんカラのとある方(ブログはされていない)から私の書いた「ストリームのアトキンソンサイクル」というブログを読まれて痛く感動してくださいまして、わざわざメッセージをいただきました。確かにメカ解説って雑誌等ではいまひとつ分かり辛いものが多く、素人の私が書いたものだからこそ伝わるものがあったのかもしれません。

で、そのブログに書いている「ポンピングロス」という事と「吸気量」についての解釈が若干違っておられたので、活字数制限のあるメッセージでの返信ではなくこのブログにて説明させてもらう事にしました。
その他リーンバーンについての質問もありまして、これらを一度にまとめるのは少々大変なので、リーンバーンはまたいつか分かり易く書いてみたいと思います。ついでにカテゴリーも「易しいエンジンの話し」というものを新しく追加したので、時々ネタを思い出した時にでも何か書いてみようかな…。私が書くエンジンの話しはイメージとして分かり易くするために多少強引な例えやざっくりとした書き方にしていますが、その方が分かりやすいと思うのでご了承ください。

因みに冒頭で書きました「ストリームのアトキンソンサイクル」というブログですが、先日調べてみたら460近く書いてきたブログの中で40位(2009年1月)。更に「フィットって本当にi-VTEC?」というこれまたマニアックなエンジンネタも現在4位。エンジンネタって関心がないだろうと思っていただけにこの結果は意外でした。




さて、アトキンソンサイクルの説明でも書きましたが、内燃機関を分かりやすくするには「エンジンはいつも外気を吸いたがっている」ということを頭におくといいと思っています。加圧過給するターボも、吸い込みをなくしては始まりません。まずこれが大前提です。今回は分かりやすく解説するために自然吸気エンジンでの話しに限定しますけどね。


よく雑誌等のメカ解説で「4バルブ化によって、より多くの空気を取り入れる」とか「吸気ポートの研磨で、吸気量がアップした」などの言葉を目にします。要するに「吸気量が増える」というこの書き方ですね。これが誤解を生んでいるという事が今回分かりました。

吸気量が増えると聞くと、あたかもシリンダーの中に入る空気(混合気)が多くなったり少なくなったりするものかと錯覚しますね。しかしこれは違います。シリンダーに入る吸気量は加速中であろうがクルージング中であろうが基本的にはいつも同じです。つまり2000ccの4気筒であれば1個のシリンダーは500ccであり、どんなにデキの悪いエンジンでも500ccの混合気を吸い込んで爆発します。
※アトキンソンサイクルは吸入量自体が変わります。もちろんターボも。



この説明を分かりやすく…。

エンジンの動きは針の無い注射器で例えると分かりやすいです。

注射器のニードルキャップを連続的に引いたり押したりすると、筒の中に空気が入ったり出たりします。これはエンジンのピストンの動きと同じですよね。そして空気の取り入れ口の先端を指で少しずつ塞いでいくと、抵抗が増えて空気の出し入れがしづらくなる。この塞ぐ部分をエンジンのスロットルバルブと思えば分かりやすいでしょう。このあたりは「ストリームのアトキンソンサイクル」のブログで説明しましたし、よく聞く例えだでしょうからきっとご存知だと思います。

で、穴が小さくなっていって空気の出し入れがしづらいという事は注射器のニードルキャップを上下させるのが重たくなるということですよね。つまりニードルキャップを連続的に動かす時間が遅くなってしまう。でも時間は遅くなっても最終的には空気を目いっぱい入れる事はできます。
注射器の先端を少しづつ塞がれることによってニードルキャップを上下させる速度が抑えられる…。これがエンジンのスロットルバルブとピストン速度(つまりエンジン回転)との関係です。


エンジンは爆発してピストンを押し下げます。その爆発力は理論空燃比で爆発する一般的なエンジンであればほとんどいつも同じです。ですから爆発によるピストンを押し下げる力(クランクを回す力)もいつも同じ。じゃぁなんで回転が速くなったり遅くなったりできるのかというと、先程のスロットルバルブですよね。
シリンダー内で爆発するとピストンは勢いよく押し下げられる。その勢いを更に加速させるためにはスロットルを開いてやらないといけない。注射器でいえば先っぽの塞ぐのをやめる。じゃないとせっかく押し下げる勢いがついたのに吸い込む時の抵抗が大きすぎて勢いがつかない。塞ぐ量を減らしていけば、勢いは弾み車のようにどんどん勢いが増す。

この時、間違ってはいけないのが先程書いた通りシリンダーに入っていく混合気の量は毎回同じということです。決してシリンダー内の混合気の量が増えて勢いが増しているのではなく、ピストンが押し下げられる勢いを邪魔しないようスロットルを開いたために勝手に勢いが増したのです。つまり、スロットルを開くという事は吸気量そのものが増えたのではなく単に回転が速くなるということ。回転が速くなるという事はすなわち「時間あたりの吸気量がアップする」という事です。そりゃそうです。1000rpmと2000rpmじゃ同じ1分間で2倍の回転差があるんですから2倍の吸気量差がある。当然ですが、燃料消費も1回の爆発に使う燃料は同じでも、時間当たりで考えれば2倍の速さで爆発させる方が2倍燃料を食う。実際はポンピングロスなど色々な条件が加わり、理論通りにはなりませんが、簡単に言えばそういうことです。

エンジンというのは結局いつもいつも空気を吸いたがっている。吸いたがっているものに栓をしている。つまり、せっかくの爆発力を殺している。逆に言えば栓を塞がなければいくらでも回ろうとするし、ガソリンはそれだけのエネルギーを持っている。吸い込み口に栓をしているアイドリングがいかに無駄で効率が悪いかが分かると思います。この話、ストリームのアトキンソンサイクルの時にもしましたね。ポンピングロスというやつです。

吸気量とポンピングロスの関係は切っても切り離せないものですね。
ブログ一覧 | 易しいエンジンの話し | 日記
Posted at 2009/01/19 00:12:27

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この記事へのコメント

2009年1月19日 1:23
摩擦や空気抵抗等で押さえつけられるのは致し方ないとしてもエンジンにとって一番自由なのは全開で回っている時。
さあ、エンジンをエコ運転というストレスから解き放ってあげて下さい。ヽ(´▽`)/
コメントへの返答
2009年1月20日 0:16
つぼさん、こんばんは!

エンジンは基本的に回りたがっている!ホンダエンジンのオーナーなら尚更それに応えてあげなければいけませんね!

でも、ガソリン代が…。環境とお財布のために抑え気味です(~-~;)。
2009年1月19日 2:19
間違っていたら教えてください!

アクセルを閉じた状態や、エンジンブレーキの状態などだと、負圧がかかり、△0.9などの真空状態になりますよね。
逆にアクセルを完全に開けると大気圧に近い値になりますよね。
負圧0と、△0.9ではシリンダー充填効率は10倍違うのかと思っていました。

でもシリンダーの充填効率は同じと言うことは・・・
ピストンが下降して吸気行程における負圧に比べれば、バルブ前の負圧差(0-△0.9)などあまり違いがないと言うことでしょうか?
コメントへの返答
2009年1月20日 0:18
katochさん、こんばんは!

Δ0.9とは負圧の数値でしょうか。負圧計を付けたことがないので実はその数値をよく知らないのですが、空気を吸い込む経路は通常マイナスですよね。シリンダー内もピストンが下死点になるまではマイナスです。しかし下死点の状態ではシリンダー内は理論的には充填されています。真空という状態はざっくり言えば無いです。もし真空状態があるとしれば、それはピストンが下死点になる前に吸気バルブを閉じた場合です。実際、僅かですが下死点手前で吸気バルブを閉じているはずです。しかし今回は細かい話を避けた内容にしているので、あくまでも上死点から下死点までの話しにしています。

因みにエンジンブレーキ時ももちろん真空状態ではありません。きちんとシリンダー容積分の空気を吸っています。エンブレの燃料カットの話しはまたいつかしてみたいと思います。
2009年1月19日 17:35
~より多くの空気を取り入れる
~吸気量がアップした

この辺の表現は、僕も若干に
違和感はあったんですよね?

僕的に、「量」と言うより
「効率」のUPじゃ無いかと
思っていましたが・・・?

合ってます?  (・・?
コメントへの返答
2009年1月20日 0:19
V-テッ君♂さん、こんばんは!

その通りだと思います。表現方法が誤解を生んでいるようですね。量という表現よりは効率の方が近いかもしれませんね。バルブ径を大きくしたり、吸気ポートを短く太く、また滑らかにしたりするのも、これらはシリンダーが空気を滑らかに素早く吸い込めるようになるためです。素早く吸い込めるということはレスポンスが早くなるし高回転化にもつながり、結果パワーを得ることができます。

シリンダーが吸い込む量はあくまでもシリンダー容積。細かい話しをすれば吸気バルブの閉じるタイミングによって若干排気量よりも少ない空気量を吸っているのですが…。
2009年1月19日 18:29
このシリーズ大好き!!
今度印刷して読もうっと(*^_^*)

今度もてぎに招待しますので,一緒にコレクションホールをまわってください(^_^)ニコニコ
コメントへの返答
2009年1月20日 0:20
けいいちろうさん、こんばんは!

ありがとうございます!メッセージをいただいた事によって私も「エンジンに興味を持ってる人って多いんだ」と妙に嬉しくなりました。

でも素人が書く内容ですので、間違っているかもしれませんよ。細かい突っ込みを受けたらボロがでるのでお許しを!

でも、内燃機関って本当に面白いですよね!
2009年1月19日 20:54
ついつい読み入っちゃった・・・

こういう説明って、完全に理解していないと出来ませんよ。
面白かったので、続編希望です^^
コメントへの返答
2009年1月20日 0:20
カツオさん、こんばんは!

私は中学生の時にエンジンに興味を持って、しかもうちの親父が内燃機関の勉強をしていたので色々な話しを聞いていました。

最新のエンジン技術やコンピューター制御が絡んだものは正直あまり知らないのですが、もっと基本的な部分というのは今も昔も変わらないと思うので、あくまでも基本的な部分をメインに書いていければと思っています。

ご贔屓に~~(^^)/
2009年1月19日 21:27
こんばんは!

うーん、難しい・・・(汗)
でもダブルさんの注射器の例えは分かりやすいですね!

次回?の「リーンバーン編」が楽しみです!

コメントへの返答
2009年1月20日 0:21
あしおさん、こんばんは!

ちょっと難しかったです?(^^;。エンジンにあまり関心がない方でも理解していただけたらと思ったのですが、もう少し分かりやすい例えを沢山思いついて書けるよう努力します!

でも、リーンバーンはもっとややこしい話しになるかも…
2009年1月19日 21:28
病み上がりの脳ミソにはなかなか難しい内容ですが、説明がわかりやすいのでなんとなく理解出来ました!

てっきりエンジンって回してやるのはよくないことだと思ってましたが、違うんですね
コメントへの返答
2009年1月20日 0:22
農業さん、こんばんは!

なんと、インフルエンザがようやく治った頃だったのですね?!無理してコメントくださって申し訳なっす(~-~;)

単純にポンピングロスだけを考えると回してやった方がいいのですが、でも回せば今度はメカニカルな部分の磨耗が増えてそれもよくない…。そう考えると車に乗れなくなっちゃいますね(~-~;)
2009年1月19日 22:00
凄くわかり易い説明でした!
エンジンとスロットルの関係が、そんな事になってたとは…。
どちらかというと「乗り手」の私はメカにうといので、こういう企画はためになります(^^;
コメントへの返答
2009年1月20日 0:22
トト○さん、こんばんは!

トト○さんは「乗り手」というか「レーサー」?。完全に走る人ですね。(^-^)でも、かなりメカの話しで盛り上がったじゃないですか!

最近車の話しをする相手がいないので寂しいです。休憩場所にも行かなくなっちゃいましたし…。
2009年1月21日 1:06
今回もとっても判りやすかったです!(^^)ニコ

「エンジンはいつも空気を吸いたがっている」

吸わせてあげたい!!(笑)
コメントへの返答
2009年1月21日 22:54
simaumaさん、こんばんは!

やはりエンジンは回してなんぼですね!特にホンダエンジンは上まで綺麗に回りますから、やはり回してやらないと!

でも、エコな時代ということを考えると、やはりあまり回せないですね(~-~;)

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