先日のブログで、アコゴンのメンテを行ってもらうためにホンダへ預けたことを書きましたが、代車の手配の問題もあって結局工場長である幼馴染の愛車「インスパイア」を借りることになりました。昨日今日と二日間の通勤で約130キロ乗る事ができましたので、今回久々のインプを書いてみます。

CP3と呼ばれる現行型インスパイア。無限のフルエアロ仕様です。

S2000に勝るとも劣らない、かなりのV字ノーズですね。わが町内の狭い路地をそれなりに曲がれてしまうのもエッジのきいたコーナー部のおかげかもしれません。

ヘッドライトの造形は個人的には可もなく不可もなくという印象です。レジェンドのようにお金がかかっている感じはしないし、先代インスパのような凝りに凝ったデザインでもない。あっさりした普通のマルチリフレクターヘッドランプだなぁという印象です。

以前も書きましたが、FFのロングノーズ車はこのフロントオーバーハングの長さがガンだと思っています。寸詰まりに見えて高級感が足りないんです。FFミッドシップだった初代、2代目の方がはるかに伸びやかで高級感を感じるサイドビューでした。

全長4940mm。
借りた直後に狭い町内の路地を曲がるのに少々びびりました…。
ホイールとエアロのおかげで、少々…、いや、かなりヤン車の雰囲気がありますね。相当いかつい印象です。

フロントよりもリヤの方が私は好きです。ボリューム感があって真後ろから見ると迫力があるなぁと。ちょっとだけBMWっぽくもあります。「V6」ていうエンブレムは何とも時代を感じますが…

内装はこんな感じ。
北米アコードと共通なわけですが、私は以前北米アコードが登場した時に内装を獄評しました。好き嫌いの話ではあるのですが、今回改めて同じ印象を持ちました。

全体的にデザインが大味というか、大きなダッシュ面を持て余しているというか、同じ幅である新型アコードの方がデザイン的に数段上だと思いました。特に奥まった場所にあるナビ周りと、助手席側のダッシュボード上面の意味不明な段差など、いかにもアメ車のデザインだなぁと。

国内版アコード(欧州アコード)と似たデザインのインパネセンター部。
スイッチの多さで高級感を感じさせるとこがちょっといただけませんが、この部分がなければ間延びしたインパネデザインになっていたかもしれませんね。

シフトノブ、かっこいいなぁ。

メーターです。
新型アコードのような外周指針ではありませんが、こちらの方がすっきりとしており私は好きです。
欲を言えば、V6-3.5L車らしい高級感あるメーターにしてほしかったかな…。
このインスパイアも私のアコードのようなブラックフェイス式の自発光メーターではありません。最近の車はホンダに限らずどれも「なんちゃって自発光式」になってきていますが、なんでだろ…。

因みに夜はこんな感じ。
純白に見えますが、実際は僅かにブルーががってます。癒される色ですが、赤いメーターに慣れてしまった私には意外とこの薄いブルーの混じった白色光が散らばって見えて、赤やアンバーの方が密度の高い光に感じて見やすいと思いました。
ただ、赤い色のメーターはやはり奇抜ですからね…。ユーロRやタイプRだけでいいような気がします。

エンジンはJ35A。
アメリカ生まれであるこのJ型はホンダ初の正回転エンジン。アメリカホンダ製のインスパイア&セイバーから積まれたと記憶してしています。結構古いですよね。
当時は2.5Lもモデルもあり、今ではレジェンドの3.7Lまでカバーしているのですから、かなり頑張ってますねぇ。
3.5Lの大排気量とはいえ、シングルカムでレギュラーガソリンを燃焼して280psのパワーと34.9Kg・mのトルクを発生するのですから凄い性能です。走行インプは後述しますが、正直ぶったまげました…。
メカ好きな私ですので、このエンジンのメカニズムをもう少し紹介しておきます。
i-VTECと称していますが、ホンダ車全般に使われている可変バルブタイミング&リフト機構に可変位相機構(VTC)を加えた技術とは根本的に働きが違います。よく耳にする可変シリンダーシステム(VCM)というやつで、通常の6気筒を低負荷時に3気筒や4気筒に切り替えて運転するシステムです。
3気筒運転時は冷却作用の高いフロントバンクの3気筒だけで運転させ、4気筒運転時はフロントとリヤの各2気筒で運転。つまり休止させるための可変機構はリヤ側3気筒全てとフロント側1気筒(4番シリンダー)に仕組まれています。その仕掛けは通常のバルタイ機構に通じるもの。書くとややこしいので割愛しますが、要はカムを空打ちさせて4バルブとも開閉をさせないというものです。故に、吸気側だけでなく排気側のカムにも可変機構が付いています。休止しないシリンダーはフロントバンクの5・6番のみで、当然ここにはバルタイ機構は付きません。
6気筒を3気筒で運転させるのは等間隔燃焼ですが、4気筒で運転させるとなると不等間隔燃焼となります。そこでアクティブコントロールエンジンマウントと呼ばれる振動打ち消し対策が行われています。先代は気筒休止時にだけソレノイドを作動させていましたが、新型は全回転域で制御しています。
いかん…。エンジンの話になるとつい長くなる…。
さて、最後に走りのインプを。

なんといってもこの車はエンジンの存在感が凄いです。
3.5Lで280ps。これを前輪だけで駆動するわけですが、その加速はバカッ速です。オーナーである彼は
先代の3.0Lインスパにも以前乗っていましたが、250psだったその先代の加速とは比べ物になりません。それもそのはず、300馬力オーバーの現行レジェンドのパワーウェイトレシオが5.9Kg/ps。対してこのインスパは5.2です。2ドアスポーツ真っ青な数値でトルクも当然太い。特に5000rpmあたりからの加速は暴力的で恐怖感さえ感じます。どうして前輪だけでこれを駆動できているのか不思議にさえ思えてきました。恐らく中間加速はホンダR軍団にも負けないのではないでしょうか。
その加速中の音がまた凄い。まるでNSX。どこかで聞いた記憶があると思ったら、以前試乗したことがある先々代インスパType-Sとそっくり。あれもJ型で、ハイオク仕様の3.2L-260psのハイチューン版。高回転域の豪快な音はまさにそっくりで、いかにもV6らしい音を奏でます。
反面、ゆったり静かに走るシチュエーションではやや詰めの甘さを感じます。
先代インスパの3LはV6らしからぬまるで絹のようにシルキーなフィーリングでした。とにかく音を意識することがなく、僅かに聞こえるか細い硬質な音は本当に高級感を感じるものでした。レッドまで回しても最後までマナーの良いエンジンで、キメの細かい硬質なサウンドはとても気持ちがいいと感じました。
対して現行型は意外と賑やかです。アイドリングは日産のVG型に似た「グルグル」というV6ならではの音がし、加速は少しざらついたフィールと太い排気音がし、それはまるでアメ車のV8のようです(乗ったことないけど…)。もちろん絶対音量は低いのですが、明らかに先代よりも音が聞こえます。
同じ型のエンジンで排気量を大きくするとどうしても大味なフィールになるのは致し方ないのですが、同時に太目の音がしてくるのも避けられないのでしょうか。以前ハリヤーの3.5Lに乗った時も同様の印象を持ったんですよね…。
アコードのK型も2.4より2.0の方が滑らかなんですよねぇ。
アクティブノイズコントロールとのマッチングがイマイチなのか。先代のあの静かさは捨てて欲しくなかったと思いました。
進化したシリンダー休止システムということで燃費が気になりますよね。
先代インスパを借りていた時はいつも平均燃費計が8Km/L台を表示していたのですが、今回このインスパを借りた時は7.3Km/Lを表示していました。流れの良い私の通勤路を二日間走って8.0Km/Lまで戻りましたが、正直良い燃費を維持するのは厳しいと感じました。
というのは、60~70Km/h程度の速度だとエコマークがあまり点灯しないんですね。速度をキープしようとほんの僅かにアクセルを踏んだだけでもすぐにエコマークが消灯し、瞬間燃費バーグラフも10Km/Lを割ってしまいます。私のアコードであればバーグラフが15Km/L付近を保つ状況でですから、やはり排気量の大きさを痛感しました。このクラスになると、得意なステージは一般道ではなく高速道路なのでしょうね。
因みに、いつ6→4→3気筒に切り替わったのかは全く分かりません。先代はメーター中央部の表示色が変化していたので意識できたのですが、新型はわかりません。それともどこかに表示されてるのかな…。
ボディ剛性は抜群です。大きなボディは剛性面で不利ですが、さすがノッチバック。ガッチリとした乗り味は私のアコゴンと比較になりません。
ハンドリングについてはどうこう書けません。ダウンサスが入っており、そもそも基準になるものがないので今回は省きます。ただ、ダンパーは結構締め上げられている感じは受けました。
ロードノイズは素晴らしいと感じました。幼馴染曰く、純正のミシュランはうるさかったがレグノに替えて静かになったとの事。タイヤって大事なんですね。
とまぁ、こんな感じです。突出しているのがエンジンで、ほとんどそのことばかりを書いてしまいましたが、それほど凄いエンジンだと思いました。
あ、帰ってきたアコゴン君ですが、両面テープの剥がれたドアバイザーは吹っ飛ぶ寸前だったそうです…。ドアを閉める音が普通になったのが嬉しかったり(笑)。
補記類の駆動ベルトは4000円。工賃無料。
ブレーキ鳴きはパッドの面取りをしてくれていて様子見です。もちろん無料。
いつも助かります…。
あ、それと今日タイヤの溝を調べてくれたのですが、4輪とも編磨耗を起こしているようです。磨耗の仕方が4輪バラバラで、中央が減っているところもあれば内側が減っているところもあるとのこと。ゴーというロードノイズではなく、唸るようなパターンノイズがする場合、こういった編磨耗が原因のようです。アライメントを取るとまた違ってくるのでしょうけど、総じて安いタイヤはこういう傾向があるようですね。