
正月休み二日目。
今朝もお雑煮とおせちから一日が始まり、天気がそこそこ良かったのでようやくですが初詣に行ってきました。その後グータラ生活もほどほどにしておき、ダンクへiPodを移植するための段取りをしておきました。そして夕方から奥様の実家で義姉家族と合流。11人の賑やかな夕食を済ませ、21時に戻ってきました。
明日からは奥様が仕事ということで、夜更かしも今日はせずに早めに寝床に就いていました。
さて、今日は特にネタになる一日でもなかったので、以前書きあげていた「懐かしみシリーズ」をアップしておきます。ぶっちゃけ、正月に全然相応しくない内容ではありますが、逆に時間に余裕のある正月なので興味のある方は懐かしんでみてください。

2011年、最初の懐かしみシリーズはワンダーシビックでいってみたいと思います。
しかも1984年10月に追加で発売されたSi限定で。
「シビックといえばスポーティ!」
そんな印象を強烈に植え付けられたモデルがこのワンダーシビックのSiですよね。
以前書きましたが、このワンダーシビックSiは
私の奥さんの最初の愛車であり、うちのすぐ裏に住んでいた幼馴染みの最初の愛車でもありました。故に、この車にはとても親しみがありますし、また峠道で随分と走らせた想い出があります。昭和62〜平成元年にかけてのことですけどね…。

シビックSiといえば、私の中ではこの真っ赤なボディカラーが強烈に印象に残っています。なぜなら前述の幼馴染みがこの色に乗っていたから。夜になっては峠道に走りに行っていたため、運転席に座るたびに緊張感みたいなものを感じていました。どうってことのない薄化粧顔でありながら、やけにレーシーな車に見えてカッコよかったなぁ…。
カムシャフト駆動プーリーのカバーが収まらなかったため、ボンネットフードの「こぶ」を作って押し込んだのもSiの証拠でしたね。

白いワンダーはうちの奥さんの愛車を思い出します。しかも3ATだったんですよねぇ。
このリヤスタイル、本当に斬新でした。こんな特徴的なリヤスタイル、普通はヒットしそうに思えませんが、歴代シビックの中では最も個性的でしかもかなり売れました。
前期型はテールゲートアッパーガーニッシュが黒だったんですよね。

マイチェンした後期型。前後バンパーが大きくなり、フロントグリル部もほんの少しですが形状が変わりました。

後期型は先の テールゲートアッパーガーニッシュがボディ同色になりました。私はここが黒のほうが好きでした。

3ドアから少し遅れてセダンのSiもデビューしました。
この型のセダンは物凄くコンパクトでボクシーなセダンでしたが、めったに見れないこのセダンSiを発見したときは、目が釘付けになりました。カローラセダンGTよりもレアものだった気がします。

ワンダーのSiがデビューした1984年の夏は、ちょうどウィリアムズホンダのF1マシンがケケ・ロズベルグによって優勝を果たしました。ホンダの市販DOHCエンジン搭載車はこのSiが実に21年ぶりという事になったわけですが、この年からちょうどF1で頭角を現しはじめた頃なので、タイミング的にもホンダ=F1というイメージが固まりつつありましたね。

こちらは後期型のカタログでの一面。1.5L・V6DOHCのツインターボエンジンを駆る暴れん坊“ナイジェル・マンセル”です。もはやこの方の偉業を私が語る必要もありませんね。
マニアじゃないので多くは語れませんが…
この頃のF1は楽しみで楽しみで毎回見ていました。

コックピットは実にシンプル。当時、ホンダ車の多くが採用していたトレー形状のインパネです。
今見るとおもちゃみたいですが、夜峠道を攻めている時に見るアンバーの計器盤がやけにスポーティで、質感云々なんて気にしたこともなかったんですよねぇ。

エンジンは言わずと知れた“ZC”。
◆最高出力 135ps/6500rpm
◆最大トルク 15.5kgm/5000rpm
個人的にはB16Aよりもこちらの方が名機だと思っています。今思えば、なんの変哲もないDOHC16バルブエンジンでしたが、その内容は実に意欲的なもので、先発の4A-Gに対し闘志剥き出しなとこが大好きでした。

エンジンの話になるとつい長くなってしまう私ですが、ワンダーシビックSiを懐かしむともなると、ZCを熱く語らないわけにはいきません(笑)。
なんといっても、ホンダDOHCといえばこのヘッドカバーです。ホンダF1・F2エンジンのヘッドカバーそのもので、洗練されたデザインながらどこかキャシャな印象の4A-Gと違い、ZCは男臭い筋肉質なかっこよさがありました。そして、ホンダはトヨタのように“ツインカム”という造語を絶対に使わず、あくまでも本来のエンジン用語であるダブルオーバーヘッドカム、つまり“DOHC”という言葉に今尚拘っています。
ボア×ストロークは75×90(mm)。ライバル4A-Gは81×77。
90(mm)というロングスロークがある意味ZCの一つの特徴でもありましたね。

ZCのシリンダーブロックです。
ベースになったのはワンダーシビック25iなどで先行デビューしていたCVCC12バルブエンジン(1気筒あたり3バルブ)のEW型。故にオールアルミ合金ブロックです。
因みにZCのエンジンの整備重量は102Kg。鋳鉄ブロックであるライバル4A-Gよりも20Kg近く軽く仕上がっています。そして、それ以上に驚くのがベースになったEWの重量とほとんど変わっていないことです。排気量がアップし、更に頭デッカチな4バルブになっていながらの結果ですから驚きです。

DOHCとしては異例の小型&軽量に仕上がったZCですが、なんといっても軽量化とハイレスポンスを実現させた仕掛けの一つであるこのカムシャフトを語らないわけにはいけません。ホンダ好きな方ならご存知ですよね?

ZCのカムシャフト2本をあわせても、SOHCのカムシャフト1本分よりも軽いと言われた“異形中空カムシャフト”。
中空カムシャフト自体はパイプにカムを焼結させたものが既に世にありましたが、ZCのそれはカムの山形状に沿って鋳抜きされたものです。参考までに書きますと、ベースとなったSOHCエンジンのEW型のカムシャフトが1本2.5Kg。対してZCは2本で2.35Kg。同じ4気筒ながらカムは排気側で計4個多くなってのこの重量です。
一応7500rpmがフェールカットですが、設計上は8000rpmまで可能と言われていました。ショートストローク型のB16A・VTECエンジンと同等の許容回転数を、ロングストロークのZCがあの当時から実現していたのも、こういった努力があったからです。

ヘッド回りを見ると、ここにもライバル4A-Gとの違いが見てとれます。これもご存知な方が多いかと思います。カムのすぐ下に4A-Gにはない仕掛けが見えますよね、スイングアームってやつが。

そもそもベースとなったEW型は1気筒あたり、吸気2・排気1の3バルブエンジンです。当然ですが、高出力化を狙うならば3バルブを4バルブにしたい。4バルブとなるとスペース的にCVCC(副燃焼室)は廃止せざるを得ないですし、嫌でもプラグはセンターになります。ペントルーフ型燃焼室ってやつですね。
さて、レイアウトが決まればあとはこの75mmというボア径の中にいかに目一杯のバルブ面積をとれるかが重要になってきます。これが出来なきゃいくらDOHC4バルブだと威張っても意味がありません。ここでまた先のライバルエンジン、4A-Gとの比較です。
ショートストロークが故に、81mmという広いボアを稼げる4A-G。そこに吸気30.5mm、排気25.5mmのバルブが2本ずつ入っています。対するZCはストロークで排気量を稼いでいるため、ボアは4A-Gよりも随分と小さい75mm。この狭いボアの中になんと吸気30mm、排気27mmのバルブが2本ずつ入っています。この時点で既にハンディをほぼゼロにしていますよね。
そこへもってきて、乗用車では世界初となる前述のスイングアーム方式4バルブです。

吸気バルブの口径面積は確かに広ければ広いほど有利ですが、限られたスペースの中で吸気効率を追い求めていくと結局はバルブ径×リフト量で決まる…。その答えがこのスイングアーム方式です。その理論がいかに正しいかはこの5年後にデビューしたVTECエンジンをはじめ、多くのメーカーが採用し始めた可変バルブタイミング&リフト機構の普及率を見れば明らかです。可変バルブタイミング&リフト機構はスイングアームの発展型ですからね。
ZCの吸気バルブのリフト量は10.3mmです。この数値は当時としては常識破りの数値でした。だいたい世の中、リフト量というのはバルブ径の1/4程度。30.5mmのバルブ径を持つ4A-Gでもリフト量7.56と、相場の域を抜けていません。ところがZCではボア75mmに対する30mmのバルブ径だけでも凄いのに、リフト量はバルブ径の1/3を超える10.3mm。いかに凄いかが分かります。
エンジンを語り始めると止まらないので、このあたりでやめときます…(~-~;)

足回りは懐かしい響きである「スポルティックサス」。
フロントには珍しいトーションバースプリングを使用したストラットを採用していました。これもワンダーシビックならではの特徴でした。要するにボンネットフードを低くしたいがためにコイルスプリングを取っ払い、代わりにシャフトの捻れを利用してスプリング代わりにさせたわけです。
ただ、足のチューニング度合という面では難しい足だったんじゃないでしょうか。

リヤは車軸式。ライバルの86レビントレノもリジットでしたね。4輪独立懸架と比べれば、やはりチューニング面で数段劣るのでしょけど、未だにコンパクトカーでは車軸式が多く、充分な性能を発揮していると感じます。
私が幼馴染のワンダーSiで峠を走っていたころは、まだ免許を取ってそれほど経っていなかったので性能云々などあまり分かりませんでしたが、とにかくひたすら踏ん張ってくれる足だとは感じました。リヤのスライドにビビリながら前を走る友人のハチロクを、いつでも突っつけるぞと言わんばかりにオンザレール感覚でコーナーを曲がりながら追いかける…。そんな若かりし日の記憶が残っています。

そしてシビック(前期型)の諸元表。
この頃、シビック3ドアを決して小さい車とは思っていませんでした。というか、コンパクトカーといえば弟分であるシティでした。
(シビックSi・5MT~前期型~)
全長:3810mm
全幅:1630mm
重量:890Kg
対する現在のコンパクトカーの代表格であるフィットRS(6MT)
(フィットRS・6MT)
全長:3915mm
全幅:1695mm
車重:1050Kg
フィットの方がデカくて重たいとは…(汗)
というわけで、今回のワンダーシビックSiはいかがだったでしょうか。ほとんどエンジンの話ではありましたが、やっぱりシビックSiはZC抜きじゃ語れません。スイングアームやPGM-FIなどF1のテクノロジーを継承したエンジンだし、なんたって最近のエンジンには無い熱いハートを感じます。
こんなホットハッチ、もう出ないですよね…。
正直、本気度が全く感じられないL型エンジンのフィットRSじゃ、いくら6MTでもスポーティもクソもないだろって思っちゃいます…。スカーンと8000rpmまで回る1500ccのDOHC-VTECエンジンを積んだフィットが出れば、最近のホンダを見直すんですけどねぇ~(~-~;)。
個人的には、MC後のフィットRSよりもMC前のフィットRSの方がよっぽど「フィットらしい」感じがして好感が持てます…。
極めて個人的な考えですが…