
今週の水曜日、ようやく親父が入院先の病院を退院することができました。この日、市のケアマネージャーさんや介護用品を扱う業者さん、そしてヘルパーさん達との打ち合わせを済ませ、そのおかげで何とか自宅での介護生活を進めることができています。

その水曜日から山口は雪に。東京など関東では大変な状況だったようですが、人口が多いからか、雪に見舞われると本当に大変な状況に陥るようですね。

その翌日の木曜日は山口市内でも結構積もりました。

しかし、うちの会社がある瀬戸内寄りに近づくと全く雪がなくてびっくり・・・。
そして金曜日も山口市内は薄っすら積もり・・・

土曜日である今日はまた少し多めに積もりました。
本当は今日休日出勤するつもりでしたが、諸々の事情によって休日出勤はとりやめになりました。
奥様は今日出勤だったので、ダンクの雪をのけておいてあげようかと思って外に出たら既に自分で手の届く範囲だけのけていました。手の届かない天井だけは私が取り除いておきましたけどね。
奥様は先日の雪の日、市内の小さな交差点を曲がる時に飛び出してきた自転車を避けようとしてフロントを滑らせ、電柱に刺さり掛けたらしく雪の道を怖がっていたので、ちょうどセブンで朝食用のパンを買いたかった私は奥様の後ろをついて走ってあげることにしました。

川沿いの一部はそこそこアイスバーンでしたが、それでもそこまで怖がるほどの路面状況ではありませんでした。

一度家に戻って朝食を食べ、いつものリサクルゴミ出しと灯油注ぎに行こうとしたら訪問入浴のスタッフが来られました。さすが介護のプロ、部屋の床を水一滴も濡らす事もなく作業され、介護中も笑顔を絶やさず本当に優しく接してくださったようです。
そういえばリサイクルゴミを捨てに行った時に見かけた車。
赤の70スープラ!!
最後は追いつくことができずグレードは確認できませんでしたが、後期型のワイドボディであることは分かりました。2000GT-ツインターボかなぁ・・
さて、ここからやっとお題について。
エコ意識が高まっているこの時代、車のエンジンはハイブリッドだのダウンサイジングターボだの、気持ちの良いエンジンを求めていた昔とは大きく変わってきていますね。しかし、残念ながらそのエコとはあくまでもガソリン消費量についてのみであって、俯瞰的な視点でのエコというわけではなさそう・・・。私はそう思うことが多くなりました。
私のアコゴンは現在23万Kmオーバー。補機類など大物の消耗品は大半のものを交換していますが、エンジンユニットそのものは特に不調も無く、実際走らせていてもパワーが落ちたとかメカ的に異常な音がすると言うような事も今のところはありません。
そして最近よく考えます。もし今のアコゴンに最新のエンジン・・・、つまりハイブリッドやダウンサイジングターボ、アトキンソンサイクルといった今時のエンジンを搭載していたら果たして23万Kmオーバーまでノントラブルで乗っていられただろうかと。通勤距離の長い私は10万Kmなどすぐに到達するので、この先新しい車を買っても20万Kmという距離をまた経験する可能性は充分にあり、そう考えるとやはり耐久性が心配になるのです。
そこで今回は久しぶりに「易しいエンジンの話」カテゴリーの更新の意味も含めて、最新エンジンの耐久性への懸念というものを技術的な面から見て自分なりに思った事を書いてみたいと思うので、興味のある方は覗いていってくださいね。
まずは最新のエンジンについて少し触れておきます。

まずはハイブリッドエンジン。
言うまでもなくモーターをサポートする脇役的なエンジンですが、共通して言えることはどのメーカーもアトキンソンサイクル(=ミラーサイクル)エンジンを採用している点でしょうか。アトキンソンサイクルについては
こちらで詳しく説明しているのでここでの詳しい話は省きますが、いつもいつも排気量分の燃焼をこなしているオットーサイクルに対し、走行シーンによって必要なぶんだけの燃焼しか仕事をしない、つまり状況によっては排気量を落として燃焼をするのがアトキンソンサイクルエンジン。ハイブリッド車のエンジンはこれをモーターの補助として、或いはモーターの発電用として使っています。故に通常のエンジより稼働率は低いと言えます。
そして、そのアトキンソンサイクルエンジンはかなりの確立で直噴(ダイレクトインジェクション)を採用している・・。ここが今回のネタにおける一つのポイントでしょうか。

そしてダウンサイジングターボエンジン。これも国産では少しずつ増えてきました。
ところでダウンサイジングターボってこれまでの普通のターボエンジンと何が違うのか。
知っとるわい!
と言われそうですが、あくまでも易しいエンジンの話を目指しているので知らない方のためにちょっと詳しく、でも分かりやすく書いておきます(笑)。

これまでのターボといえば、タービンが回った時はバカっ速だけど燃料もバカ食い=燃費が悪い、そういうイメージですよね。
ターボの燃費が悪い理由は、シリンダー内にNAよりも1.5倍程度もぶち込む空気量に対し、それに見合う分だけの燃料も噴霧する必要があるからでして、更にノッキング対策として冷却代わりに多めのガソリンを吹き込ませるからということもあります。それでもノッキングを恐れてNAよりは随分と圧縮比が落とされているわけですが、そうなるとターボの効いていない状態でのドライバビリティが相当悪くなってスムーズに走れない・・・。しかし、一旦ターボが効き始めてからの加速感はNAの比ではなく、結局は同排気量のNAを大きく引き離すだけの馬力とトルクを得るための麻薬的道具として使われてきた・・・。ターボがスポーツユニットとして存在していたが故の発想でしたよね。

一方のダウンサイジングターボ。
シリンダーに排気量分以上の空気を取り入れ、それに見合うほどの燃料を使うことはターボである以上さして変わりはないのですが、排気量を1~2ランク小さくする代わりにターボ車の最大のネックである低圧縮比をせめて従前のNAエンジン並みにまで上げてドライバビリティを向上させ、且つターボの最大の武器でもある大トルクをより低い回転域から効かせて従来の同排気量NA同等かそれ以上のトルクフルな走りを低回転域で得ることができる、そういう発想ですね。
>圧縮比をNA並みにしてやること。
これを可能にしたのが直噴化で、これなくしてダウンサイジングターボという発想は成り立ちません。まぁこれはターボに限ったことではなく、今やNAでも11以上を達成していますし、それこそスカイアクティブGを含む多くの直噴アトキンソンサイクルでは13以上を平気で達成していますから、エンジン技術として圧縮比というのは相対的に高くなっており、もはや今の数値は驚くほどのものではないのかもしれません。
もちろんターボですからアクセルを踏めばそれなりに燃費が悪くなるのは当然ですが、従前のターボと違うのは最大過給となるインターセプトポイントが極端に低く、例えば現行型ステップワゴンのVTEC-TURBOエンジンだと1600rpmというかなり低い回転数からすでに最大トルクを発生し、しかもそれを5000rpmまで維持し続けます。最大トルクをより低い回転域で発生させることができれば当然アクセル開度が小さくなり、低回転域から楽に加速でき燃費だって従前のターボよりも随分良い、という事になりますね。
画像拝借・・・
ターボにとって何よりも大敵なのがノッキング。前述のようにダウンサイジングターボは圧縮比がかなり高いのが特徴ですから尚更です。
実はノッキングというものは何もターボエンジンだけに起きるわけではなく、高圧縮比エンジンのピストンをスロースピードで上昇させて負荷をかければNAでも起こりやすくなります。逆に言えばノッキングの発生前に燃焼を素早く終わらせばノッキングは起きないわけですが、それをしてやる一つの手法としてシリンダー内の燃焼空気の流速を早めてやる、ということがあります。
前出のステップワゴン用L15Bではインテークを工夫してシリンダー内の縦スワール、つまりタンブルの流速を大幅にアップさせて火炎伝播速度を上げています。爆発燃焼をする際、未燃ガスの末端まで素早く燃え広がらせるにはガスそのもに速い動きがある方が素早く燃え広がるに決まっている、という道理です。
画像拝借・・・
最近のエンジンはほぼどれもボアを小さくしたロングストロークエンジンになっていますが、そうする理由の一つに先ほどのタンブルでの流速アップを狙っていることがあります。ストロークを長くすると同じ回転数でもピストン速度が速くなり吸気の流速が上がる、つまり火炎伝播速度が上がります。逆に狭くなったボアのおかげで燃焼室末端まで火炎が広がる時間も短くなり、ノッキングが発生する前に燃焼を終わらせることができるわけです。
画像拝借・・・
もう一つターボエンジンでよく聞く言葉でウエストゲートバルブというのがありますよね。
ピストンが下がることでシリンダー内に外気を吸い込む自然吸気(NA)エンジンに対し、排気の力を借りて回されたタービンによってシリンダー内へ空気を無理矢理ぶち込むのがターボエンジン。その構造上、過給しすぎてしまうとエンジンブローやタービンの焼き付けを引き起こしてしまいます。その事故を防ぐために、排気流路の途中にあるタービンよりも手前で過大な排気圧を逃がすためのバイパスを設け、タービンよりも後ろ側の排気ラインにつなげてタービンへの過大な負荷を避ける・・・、これがウエストゲートバルブですね。
ダウンサイジングターボの中でも、例えばホンダはここを電動化にして低回転域での効率を極限まで上げています。

ステップワゴンL15Bで世界初採用となった電動ウエストゲートバルブ。
一般的な機械式ウエストゲートバルブは通常スプリングで予圧が与えられて閉まっており、排気圧がこれに打ち勝たないと開きません。つまりその分だけの排気圧が常に余分に必要でその意味での排気損失が生じているわけです。しかし電動式であればこれを意図的に開くことができ、排気損失を回避できまるメリットがあります。更に、スプリング予圧式だとウエストゲートバルブは通常時が「閉」であるため、無過給領域では回っていないタービン部で更に排気損失が生まれますが、電動式であれば意図的な制御で常時「開」にできる・・・。つまり無過給領域ではタービンに排気を通さずウエストゲートを通過させるため抵抗なく排気できるわけです。
そしてスロットルを踏みこむとその開度によってウエストゲートバルブが徐々に閉じられ排気はタービン側へも送られ過給が始まり、インテーク側が負圧から大気圧になった段階でスロットルバルブを全開にし、その後の過給領域ではウエストゲートバルブの閉じ具合によって吸気量を調整できる。つまり過給領域ではスロットルバルブの代わりにウエストゲートバルブを使用するため、その間はスロットル開度の絞り損失(ポンピングロス)をゼロにすることができるというわけです。
この発想はホンダの初代レジェンドに載せられていたターボエンジン「ウィングターボ」に少し似ているかもしれませんね。ウエストゲートバルブを持たずタービン周辺に設けられた可変ウィングで圧力をコントロールしていたアレです。
トヨタはC-HRなどで同じような思想のウエストゲーロバルブを設けていますが、電動式ではなく機械式。恐らくホンダの特許が絡んでいるのかもしれませんが、何らかの機構によって「常時バルブ開→アクセルオンで徐々に閉」という動作が出来るようにしているものと思われます。
ちょっとダウンサイジングターボの話しが長すぎましたが、今回のお題の耐久性という面から見ると、やはりダウンサイジングターボでも採用している「直噴」、そして「常時フルブースト」という点がポイントでしょうか。

そして最後はハイブリッドのところでも書いたアトキンソンサイクルエンジン。別にハイブリッドではない普通のガソリン車でもアトキンソンサイクルは採用されています。有名なところではマツダのスカイアクティブですが、実はそれ以前から低燃費エンジンには割とこの技術が採用されています。
アトキンソンサイクルについては説明があまりにも長くなるので、冒頭で書いた通
りこちらで詳しく書いているので興味のある方は読んでみてくださいね。
さて、これら新技術のエンジン。耐久面においてなぜ心配なのかってことですが、これら大部分のエンジンに共通しているのが直噴であること。昔から直噴はエンジンを汚すと言われていますが、それは技術進歩した今でも解決できない部分があると私は思っています。

ご存じとは思いますが、直噴はシリンダー内に空気だけを取りこみ圧縮段階でガソリンを噴霧するエンジン。
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最大のメリットはシリンダー内のスワール流やタンブル流を利用してプラグ周辺にだけ濃い混合気を集めて燃焼できることです(=成層燃焼)。つまり燃焼範囲が狭いため素早く燃焼を終えることができ、それはノッキングに強いという事でもあります。そしてノッキングに強いエンジンというのは圧縮比が高くできる。燃焼技術面においてこれは非常に大きなメリットですよね。もちろん従来のポート噴射式でも成層燃焼は可能ですが、高圧縮比化という面では全く相手になりません。そして燃料の噴射向きや噴射量など、その精度も段違いです。
NAでも13オーバー、そしてターボでも平気で10オーバーまで上げることができるているのは直噴のおかげなのです。
しかし、直噴式にはポート噴射式にはない大きな心配要素があります。
まずはインジェクターの耐久性。
直噴は猛烈な圧縮状態にあるシリンダー内に収められている特別なインジェクターで燃料をミスト状に吹き付けています。耐久性を考慮した高性能なインジェクターとはいえ1000℃を超える燃焼室内に突っ込まれているのですから、温度が低い負圧のインマニに収められているポート噴射式のインジェクターと耐久性を比べた時、とても同等とは思えません。
そして燃焼中の燃料炭化。
昔から直噴はシリンダー内を汚すと言われており、その原因は冷たい燃料を直接シリンダー内に吹き付けるからだと言われていますが、確かにそれはそうですが私はそれが直接的な原因ではないと思っています。
どんなエンジンも最初は設計通りの綺麗な燃焼をしているはずですが、徐々に汚れてきて設計通りの燃焼をしなくなります。
徐々に汚れてくる最たる場所がバルブでしょう。
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ここの汚れはレシプロエンジンであれば必ず起こってきます。何よりも大きいのがブローバイガスによるオイルの付着かと。そして排ガスを循環させているEGRもそうでしょう。バルブは燃焼室に押し込まれるが故にバルブオーバーラップによる炭化もあります。そして低燃費車は間違いなくレギュラーガソリン仕様なので、ハイオクエンジンよりも汚れやすいという事も忘れてはいけません。
バルブが汚れてくるとどうなるか。
スワールやタンブル流頼みの最近のエンジンですから、まずは吸気の流れが変わってしまい設計通りの燃焼が行われなくなるでしょう。
ポート噴射式では、EGRが働くリーン燃焼時に混合気の流れが変わると設計通りの燃焼が行われなくなってくると思いますが、基本は均質燃焼(空気と燃料をごちゃまぜにして燃焼させる方法)。それにポート噴射式は空気とガソリンがミックスになった混合気としてシリンダー内に取り込まれるため、燃焼直前の圧縮された混合気というのは気化された状態。つまり流れがどうであれ、シリンダー内に混合気が入ってしまえば完全燃焼しやすいというメリットが存在します。
しかし直噴だとそうはいきません。バルブの堆積物の影響で空気の流れや流速が変わってしまったところへ気化には程遠いミスト状のガソリンを噴霧するのですから、当然「プラグ周辺にだけ燃焼しやすい混合気が作られる=成層燃焼」という定義が崩れ、そうなると綺麗な燃焼をしなくなり燃え残り起こりカーボンが発生します。そのカーボンはバルブに付着するでしょうしピストンヘッドやインジェクター表面にも付着してくるでしょう。
そして直噴の最大のデメリットは、この悪い状況が
改善されないままずっと繰り返されてしまう
ところです。
混合気の流れなど無視で均質燃焼するポート噴射式はシリンダー内全体を高温で燃やしてくれカーボンを飛ばしてくれますが、直噴は均質燃焼をしないのでカーボンが堆積し始めたらもうそれを飛ばすことが難しく、どんどん調子を崩していくのです。
これらを除去するケミカル剤が存在するのはご存じだと思います。

例えば私が定期的に入れているPEAエンジンコンディショナー。これよりも有名だと思われるワコーズのフューエルワンもそうですが、バルブを含めた吸気ライン、シリンダー内のカーボンやスラッジを徐々に落としてくれるガソリン添加剤ですね。

しかし、直噴エンジンというのはインジェクターがシリンダー内にあります。それはつまり、この手のガソリン添加剤を入れたところでポート噴射式と違ってバルブやバルブステム、そしてバルブシートのカーボンの除去には作用しないということなのです・・・。
こういった直噴に対する不安というのは昔からある話ですが、更にこれを採用する最近のダウンサイジングターボに対しても私は非常に心配していることがあります。
それは各ガスケットシール類の耐久性です。

ダウンサイジングターボは搭載されている車からして、これまでのドッカンターボよりも性能的に大人しく、一見各メタル類やガスケット類への負荷が小さいように感じるかもしれませんが、恐らくそれは逆で、このネタの中盤で書いた通りダウンサイジングターボというのは極低回転域でも即最大過給がかかるようになっているため、フルブーストの状態が従来のターボよりも相当長いのではと推測しています。なんせ1600rpm程度から最大トルクを出すのですからとにかく休む暇もなく最大過給・・・。もちろんすぐすぐに問題は起きないでしょうけど、それなりの距離を走ってくると色々なガスケットの隙間からオイルの滲みが発生してくるのではないかと心配しています。

それ以上に、ダウンサイジングターボ技術を取り入れた激速カー、新型シビックRとかVWゴルフRとかその他欧州のターボ勢など、それこそ耐久性がどこまで確保できているのだろうかと思ってしまいます。
まぁ、このクラスは私にとって全くの無縁ともいえるので、いいっちゃいいのですが・・・・
ということで、技術的な話をしながらも何だかネガティブな方向に持って行ってしまいましたが、今や主流となりつつあるハイブリッド、ダウンサイジングターボ、アトキンソンサイクル、これらエコを謳ったエンジンが早々にトラぶることなく、長い意味でエコなエンジンであることを願うばかりです。
私もいずれこういったエンジンを載せた車に乗る事になるのは間違いないのですから・・・・。
貧乏ですぐに買い替えられないから余計にそう思うのよね・・・・
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。