
フィットが登場して約2週間経ちますが、試乗車も用意されてるようで私も来週乗れればと思っています。

さて、フィットが登場して以来、ず~っと疑問に思っていることがあります。カタログではフィットのエンジンは1300、1500ccともに
「i-VTECエンジン」と謳われていますが、
なんでi-VTECなんですか?!
ちょっとマニアックな話しです…
きっとエンジンに興味がある人しか受け付けない内容です…

そもそも、VTECからi-VTECに進化した初めてのエンジンはK20Aを積んだ初代ストリームだったと思います。i-VTECの「i」とはインテリジェンスらしい。
大きさや形状の違う卵型のカムを2種類用意し、その2種類のカムでバルブのリフト量とタイミングを変化させていたVTECに、カムシャフトそのものをグリ~と回して連続的なタイミング変化をもたせる「VTC」を追加させたのがi-VTECです。VTC自体別に珍しくもなんともない技術です。国産だと、確か日産のNVCSが国産初。でも有名なのは後発のトヨタVVT-i。
この連続可変バルブタイミング機構に共通していることは、いずれもDOHCじゃないと採用できないということです。
なぜDOHCじゃないと無理なのか。興味のない方、又は知っておられる方はこの項を飛ばしてください。
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エンジンピストンが上死点でプラグ着火・爆発し、ここからピストンが下死点に向かう状態を想像して下さい。下死点まで下がったピストンは当然今度は上死点に向かいます。この上死点に向かう途中に排気バルブが開き燃焼ガスが押し出され排気バルブが閉じます。そして上死点にあるピストンがまた下死点へ向かい始める時、今度は吸気バルブが開いてピストンが空気(ガソリン混合気)を吸い込みます。そして吸気バルブが閉まります。
この排気が始まり吸気が終わるまでのバルブ開閉タイミングがミソなわけです。
低回転時は吸排気の流速が遅いので、バルブの開いている時間は短くしなければなりません。なぜなら低回転域での燃焼にはスワールという空気の渦が有効的なのです。そのスワールを作るには吸気口を絞ってやらなければなりません。スワールによってプラグ付近からシリンダー下部までの燃焼伝達を円滑に行えるわけですね。
分かりやすい例え話だと、ストローで息を吸うのと口を大きく開けて息を吸うのとでは、明らかにストローの方が口の中に空気の渦を感じますよね。大きく口を開けて吸うと、吸った空気が口の中でグチャグチャになってしまう感じがしません?
吸気バルブも同じです。吸い込む時はできるだけ短い時間だけ開いて一気にス-ッと渦を巻く様に吸い込むのが効率的です。長く開くと燃焼ガスの動きが最後は止まってしまう状態に近づき、完全燃焼がしづらくなります。これは、ピストンが上死点と下死点に近づくほどピストン速度が遅くなる(つまり空気を吸い込む力がなくなる)という性質にも関係しています。
つまり、低回転域では
・排気バルブは遅いタイミングで作動開始
・吸気バルブは早いタイミングで作動終了
つまり!!
360度の円グラフでバルブ作動角を表せば、扇子を少し開いたような範囲で作動しているわけです!
分かり辛いか…
では高回転ではどうか。
回転が速くなるということは空気の流速も上がるということです(NAなので流速が上がるだけで吸い込む空気の量はほとんど変わらない)。流速が上がるのにバルブの開いている時間は低速時と同じというのでは困ります。人間だって、ストロー咥えて2秒間で口いっぱいに空気を吸えと言われれば出来ても、0.5秒で同じく口いっぱいに吸えと言われたら無理です。秒数を長くするか、ストローを2本にするか、又はストローを太くするかですよね(これがVTECの原理ですが…)。
ですから高回転で沢山の空気(というか予定の空気量)を吸うには、吸気バルブを長めに開いておかなければなりません。もちろん排気だって長めに開かないと排出しきれません。
つまり、高回転域では
・排気バルブは早いタイミングで作動開始
・吸気バルブは遅いタイミングで作動終了
つまり!!
360度の円グラフでバルブ作動角を表せば、扇子を大きく開いたような範囲で作動しているわけです!
やっぱダメですか?…
ここでやっとVTCの話しです。
ここから難しいかも…
気付かれた方もおられるかもしれませんが、低回転時と高回転時って、お互い理想のタイミングが逆相なんです。時計で表すと、低回転時の作動範囲が10時10分であれば、高回転時は9時15分とか。短針を排気とし、長針を吸気とするなら、排気である短針は左に回転させ、吸気の長針は右に回転させる必要があるんです。
VTCはこの動きをカムシャフトをグリ~っと回転させています。吸気用カムと排気用カムをそれぞれ独立させて逆相に回してるわけです。
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まぁ、そういうことで吸気用カムシャフトと排気用カムシャフトをそれぞれ独立して2本持つDOHCじゃないとVTCは成立しないわけですが…
で、話は戻って「i」ですが、その後SOHCエンジンであるインスパイアがi-VTECエンジンだったので、「??」と思ったら、どうやら可変シリンダーシステムを採用しており、雑誌等でも「i」とはこれまでのVTECに何か新しい付加価値的な技術を盛り込んだエンジンに付くのだと分かりました。
確かに新型シビックや新型ストリームもSOHCだけどi-VTEC。アトキンソンサイクルを採用しているからでしょう。
逆に、レジェンドではインスパイアと同じJ型エンジンだけど、普通のVTEC機構だけなので「i」は付けてません。
で、やっと本題!
なげ~~…
フィットのエンジンって、これまでのVTECと何も変わらないんですよね。
別にそれがどうのってわけじゃないんです…
なぜ「i」なのか?!これが知りたいんです!!
で、随分前にホンダのお客様相談センターに「なんでフィットはi-VTECなの?」という趣旨でメール質問してみました!
で、今日回答を頂いたんですけど…その回答が…
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・i-VTECエンジン
バルブタイミングとバルブリフト量を低回転域と高回転域で切り換えるVTECの技術をベースに、目的に応じてさまざまな機構を加えて高知能化したエンジン・シリーズ。
“i”は「Intelligent=知性のある」を意味する。
VTECとVTC(連続可変バルブタイミング・コントロール機構)を組み合わせた物になります。
参考ですが下記URLをご参考にして頂ければ幸いです。
・VTEC制御、VTC制御
http://www.honda.co.jp/tech/auto/engine/typer/index.html
http://www.honda.co.jp/factbook/auto/fit/200710/09.html
よろしくご検討をお願い申し上げます。
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丁寧な返信なのは嬉しかったのですが、全然回答になってませんがな!
VTECもVTCも知っておりますわい!
しょうがないので、本家の方を前にしてエンジンのウンチクを添えて「SOHCエンジンなのに本当にVTCが付いてるんですか?」って再び問い合わせたら…
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この度はご説明がたりず大変申し訳ございません。
早速ですがお問い合わせについてご案内いたします。
1本のカムシャフトで1シリンダーの吸気側に2個の違ったカム山をもうけ使用する山を変える(ロッカーアームの連結を変える)事によりバルブの開閉タイミングを変えております。
よろしくご検討をお願い申し上げます。
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ホ、ホンダさん…
これって普通にVTECの説明やん…(~-~;)
世界に誇れるエンジンメーカーのホンダさん!
お願いします!ちゃんと説明できる方を窓口にしてください!
もうこれ以上質問すると嫌なヤツになっちゃうのでやめましたが、メカ好きの私はどうしても納得できません。
フィットがなぜi-VTECなのか、どなたか教えてください!
掲示板には書き込みたくないし…
それにしても、ホンダの回答にかなりショック受けました…
あのBMWに、「自分達のライバルとなり得るエンジンメーカーは、世界を見てもフェラーリとホンダだけだ」と言わせたホンダですよ…
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易しいエンジンの話し | 日記
Posted at
2007/11/08 23:30:47