今日の山口は雨。昨日までの出張の疲れもあってゆっくり部屋で過ごそうと思っていましたが、そうはいっても少し買い物もあったりで結局車で出撃。ホームセンターに行ったついでに行きつけのホンダに寄ってフィットのハイブリッドを試乗してきました。毎度のことながら好き勝手にインプを書かせてもらうので、お気に召さない内容もあるかもしれませんがそこはお許しを…。

試乗車の色はプレミアムホワイトパール。自分の中ではハイブリッドの試乗車はイメージカラーであるグリーンなんだと勝手に思い込んでいたため、実車を見て拍子抜けしました。
MC前に比べて顔にメリハリがついた感じで、私は嫌いじゃありません。聞くとこによると、MC前とはバンパーが違うだけではなくライト形状やフェンダー形状までも違うそうで、これも空力を考慮した結果だそうで。
私のアコードもそうですが、後期型のユニットに気軽に交換…なんて事は最近はできなくなってきていますね。

ヘッドライトはハイブリッドのみ薄いブルーの着色が施してあります。
どこかのメーカーと同じようなことをしているのが残念でなりません…。

ハイブリッド専用のグリル。ベーシックモデルの黒い樹脂のグリルと比べると、確かに格が違うんだぜ的な雰囲気は出ていると思いました。

リヤコンビランプもオールクリアレンズ。しかも部分的にこれまた薄いブルー着色が…。ついにホンダもここまできたかという印象です。まるでT社と同じ手法で、もっと違う手法でハイブリッドである識別方法ができなかったのでしょうか。

この車はハイブリイドのベース車にHID、フロントハーフシェードガラス、ナビが付いていました。カタログを見た感じではスマートセレクションというオプション品の抱き抱え装着グレードに単品でナビが装着されているようです。

個人的には現行フィットの内装はこのクラスとしてはとても質感の高いものと感じています。少々コッテリしたデザインですが、インサイトと比べてもフィットの方がデザイン的に新しく感じ、ダッシュ上面の奥行き感もあります。

メーターはホンダIMA車お得意のコーチング機能を設けた色使い。つまり、パーシャル領域はグリーンに発光し、リーン領域を外れるとブルーグリーンに変化、強く加速するリッチ領域だと濃いブルーに変わります。

インサイトでは気にならなかった事ですが、フィットは3連メーターの中央部にあたる速度計にコーチング機能が設けてあり、パーシャルで走行しているとご覧のように速度計だけが全体的にグリーンに発光します。これが妙に“ちんどん屋”状態に感じ、派手というか統一感がないというか、コーチング機能を重視しすぎたために逆に視認性への詰めの甘さを感じました。

身長171cmの私がとったドラポジだと、後席はこの程度のレッグスペースがあります。
インサイトはもちろん、私のアコードと比べたって広いです。
先発のIMA車、インサイトと比べて歴然の差なのが後席の居住性。インサイトはなんたって頭上空間が足りない。その上背もたれが短くてヘッドレストが肩甲骨にあたるのでとてもじゃないけど快適とはいえません。加えてクォーターピラーの傾斜がきついため乗降性も悪く、リヤドアの後端形状も飛び出ているので自然な開閉動作がとれない…。下手をすると自分の体にドア後端をブチ当ててしまう事もあると思います。
こういう面においても全てフィットは優れており、デザイン優先のインサイトとの差はかなりのものに感じました。

さて、肝心の走りですが、実は試乗を待つお客さんが数名いて私のあとも何名か待っていたようなので、いつものように色々な路面で走りを試すことができませんでした。ですので、あくまでも一般的な路面での印象になります。
(エンジン)
加速力はインサイトよりも力強いと思いました。エンジンとモーターの出力はインサイトと全く同じとのことで、そうなると60Kg程度軽い車重の違いからそう感じるのでしょうか。大きな差ではありませんが、加速に余裕を感じます。
(静粛性)
トータル的にはインサイトとどっこいな印象です。しかしその内容はインサイトとは少し違います。
エンジンの透過音は少しだけフィットの方が静かに感じます。特に低い回転をキープして加速する際、こもったような音を発するのがホンダCVT車の悪い癖ですが、これがかなり少ないです。まぁ時間の経過とともにこもってくるのかもしれませんが。
ロードノイズはインサイトと逆転。フロントはそうでもありませんが後ろからやけに賑やかなロードノイズが聞こえます。加えてパターンノイズのような妙な音も聞こえてきて、決して静かな車だとは思いませんでした。少なくとも
以前試乗した1.5RS(アスペックの16インチタイヤ装着)の方が格段に静かでした。今回一番気になった点です。

因みに試乗車のタイヤはダンロップのエナセーブで175/65R15というサイズでした。もし他のモデルがこのタイヤと同じで、しかもハイブリッドよりも静かだったとすると、IMAの何かが音に関係しているのかもしれません。
(足回り)
非常に乗り心地がいいです。
インサイトの試乗で真っ先に感じたトランポリンのように跳ねるあの足と比べると天地の差です。フィットも硬さはありますが、角の丸い硬さでしかも車の重量で突き上げを殺している感じ。小さな凹凸に対してもよくダンパーが動いている感じで、質感の高い走りに一役買っています。
参考までに、インサイトはショックそのものの動きが渋く、とにかくヒョコヒョコ落ち着きの無い硬さでした。これまで数台のインサイトに代車として乗っていますが、どの車も同じ印象で未だに改善されていないのだと私は認識しています。インサイトの走りの質感はダンパーを見直さない限り、フィットの走りの質感には遠く及ばないと私は思っています。
(気になった点)
パワステがめちゃ軽い…。正直スピードレンジが高くなると少し怖いです。もう少し重たくてもいいんじゃないかと思いましたが、女性だとそう思わないのかな…。
(気になるのはインサイト)
同じIMAということで今回インサイトをかなり引き合いに出しましたが、「乗り心地」「居住性」という面においてはインサイトはもう敵ではないと思いました。フィットの方がお金と開発時間をしっかりかけている印象です。そしてハイブリッドという特別な車を運転しているんだという意識がほとんどないこともある意味素晴らしいことなのかもしれません。特に今回の試乗車のようにボディカラーが白だと、それこそただのアイドリングストップ車とさえ思えてきます。ここがIMAの狙いだとすれば、私はインサイトの行方のほうが気になります。
インサイトはフィットと同じシステムであれだけの価格差があるわけですから、少なくともその価格差分の魅力なり性能がないとその存在意義が問われてしまいます。果たして次期インサイトはどういう車になるのでしょうか。個人的には誰にでも手軽に買えるハイブリッドという役目はフィットに全て任せ、インサイトはフィットにはない絶対的な価値観を感じる魅力的な4ドアクーペに路線変更してほしいなと…。どうせワゴンはフィットワゴンなるフィットブレイクが来年登場すると言われています。中途半端な居住性をもつ4ドアセダンなど今時売れないことはホンダも分かっているでしょうし、その危険なポジションは次期型シビックが当てられるでしょう。だったらインサイトのすすむべき道は選択肢として限られてきます。
とにかくホンダにはインサイトを大切に育ててほしい。フィットハイブリッドの素晴らしさを確認し、今日改めてそう感じました。