先日のこと息子のBMW118のヘッドカバーガスケットの交換をした。
BMWの欠陥の一つとしてヘッドカバー周辺からのオイル漏れが起きやすいということがある。
買ったときは10年落ちだが距離は15000kmほどで、トランクなど若干新車の臭いが残っていたほど(大げさ?)
当初は問題がなかったが半年5000kmほど走ったところで駐車している地面にぽつりとオイルのシミが。
とうとう来なすった。
以前からヘッドカバーからのオイル漏れがあると聞いていたので残念だったがある意味安心した。
そのまま1年放置していたが、最近ますます激しくなって、オイル交換した時の感じではオイル量自体はそれほど減っていなさそう(通常時はレベルゲージがないので分からない)なので量の問題ではなく、地面の汚れとエキマニにかかるようで発煙の問題で重い腰を上げざるを得なくなった。
中古車を買ったところに尋ねたら、ヘッドカバーガスケット、エンジンの後ろにあるバキュームポンプ周辺、特にオーリング、それにオイルフィルター取り付け部の三カ所から漏れやすいとのこと。
見たところオイルフィルター周辺はどうもなさそうなのであと2カ所からの可能性が強い。
ドイツ人のメカ偏執狂ぶりを以前のゴルフのタイミングベルト交換に続いてここでも経験することになった。
とにかくすることががっちりきっちりしている。
配線などはプラのホースのようなものに入れて各所で留めておくのが我々の常識だが、ドイツ人は違った。
まず専用のホルダーを形が合うように作り、内部にきれいに出っ張りを作って配線一本一本がしっかり収まり止まるようにしている。
更にそのホルダーが念の入ったことに何か所もパチンパチンと留めて蓋をするようになっている。
我々の常識では、蓋をするなら普通二カ所で留めて反対側は蝶番のようにつなげて開閉できるようにすると思うのだが、ドイツ人は形に添って都度留めるところを作り完全に外れるようにしている。
ヘッドカバーの上に更にBMWと書いたエンジンカバーを取り付け、下側のコイルなどや配線が完全に見えないようにしている。
保護の働きあるいは防音の意味はあるだろうが、おそらく格好つける為が主な理由だろう。
私から思えばそれは無駄だし、もしもするならばゴルフのようにエアーフィルターを入れるとか出来ないかと思うのだが、彼らにはそういう感覚は無い様だ。
ま、ゴルフもドイツだが。
ヘッドカバーは普通に止めてあるのだが、形がまた凝っていて日本なら(イタリアもそうだった)四角い弁当箱の蓋のような形だが、相当歪んだ凝った造形だ。
それほどメカにこだわるのなら始めからオイル漏れなどないようにすればよいと思うのだが、そういうところは設計とは違って部品の問題なのか?
開けて分かったのだがエンジン後ろ側の円形のバキュームポンプの取り付け部、ヘッドカバーが半分だけ覆い、残りはヘッド側に付いている。
それでカバー側の付け根のところの半円形のガスケットが90度に曲がっているので、そこからも漏れやすそうだ。
メカにこだわるならこういうところの設計は何とかならなかったのか?
とにかく壊しては困るのでネットや動画を参考にしながら外していくのだが、プロの動画は我々素人にとって知りたい肝心な外し方を解説してくれない。
例えばヘッドカバーのBMWカバーを外すときにはオイルフィラーキャップを取り外すのだが、その外し方が分からない。
プロはそういうところは無視してただ外すということだけで素通り。
みんカラでの作業を探して、三角マーク同士を合わせて引くと外れるということが分かったが、実際そのようにしても外せない。
結局、フィラー側に出っ張りが3カ所あるがキャップを回しながら順に外せばよいとわかった。
BMWと書いてあるカバーは、2か所で差し込んであるだけなので上に引けばよいのだが、これも知っていなくてはかなり時間がかかりそう。
ヘッドカバーを外すのに、コイルを外すのだがその外し方が分からない。
これは動画で、カプラーを外してその時上側に上がっているカプラー止めの真ん中に空いている穴にドライバーなどを差し込んで引けばよいとわかったが、その通りにしてもかなり硬く、一つは引っ掛けるところが割れてしまった。
プラにはそういうことがよくあるので注意するのだがどうしても事故は起きる。
引き方にもコツがあって、ガンッと引けば割れやすいのでじわっと徐々に力を入れていく。
更にヘッドから未燃焼ガスを取り出すホースの外し方が分からない。
結局引けばよかったのだが、相当硬くてプライヤーで挟んだりしているうちに周囲のプラが割れてしまった。
かように外すのに時間がかかって2時間ほども経ってようやくカバーが外せた。
ヘッド内部はオイルが汚くこびりついていてオイル管理が悪かったことを表していた。
買ったのが15000km程度だったが、そのあとは3000km毎に交換しているのでおそらく買うまで一度も交換していなかったのだろう。
ウエスで拭いてみても硬くこびりついて容易にきれいにできなかった。
その後ろにある丸いのがバキュームポンプだが、これはブレーキの倍力装置に働くものでOリングから漏れやすいそうだ。
動画では取り外したものを分解して内部のOリングを取り出したり、バキュームポンプの作動などの解説をしていたが、私にとって肝心なのはポンプそのものの取り外し方が分からないということ。
プロはそんなの常識かもしれないが、素人には分からない。
ネジを外しても、固着していることがありドライバーなどでこじないと外れないことが多いが、そうしてはだめで更にどこかを外したりしてから外れるものの場合、無理にドライバーを使えば壊してしまう。
結局そこはあまり漏れていそうになかったのでパスして、ヘッドカバーのガスケットだけを取り換えて終了した。
そうそう、一番怪しかったのはあらかじめ指摘されていなかったヘッドカバーの前側に付いている、おそらくカム角センサーの信号取り出し口のカプラーカバー。
ここは確実に漏れていたので、買った部品に交換分が入っていたのでしっかり交換しておいた。
エアーフィルターも見たかったので分解したが、これまた異常に凝った作りで日本車ならネジよりバネのフックでパチンパチンと外せるようになっているのだが、ドイツ人は異常に凝る。
まずフィルターホルダーを完全に外さないといけない。
これがまたスペースぎりぎりでボルトを外してもなかなか取り出せない構造になっている。
あと数ミリ小さく作れば問題ないのだが。
更に取り出したホルダーを裏返しにして7カ所トルクスネジで止めてあるのを外してようやくフィルターにご対面。
こんなに凝る必要はないと思うのだが、ドイツではこれが普通なのか?
いずれにしてもドイツ人の凝り方は私から見たら異常レベル。
日本はよくガラパゴスといわれるが、ドイツもある意味メカガラパゴスではないのか。
いろいろ発見があり参考になったヘッドカバーガスケット交換だった。
しかし疲れた。
凝っている割に抜けているところのあるドイツ人はお茶目か?
それと、最近この118を運転する機会があった。
最初のイメージから変わったものもあれば変わっていないものもあるので報告。
まずハンドルの重さ。
これは変わらない不愉快さ。
これだけでこの車を選ばない理由にはなる。
ハンドルのセンター付近のきっちり具合が強すぎて安心して運転できないという点は、印象が変わった。
あれ以来30000km走ってきて少しあたりが着いたのか、センターの遊びが若干増えたように感じた。
それによって運転時の緊張感も減り、それほどのストレスにはならなくなった。
エンジン後端をフロントガラス付近まで下げたりバッテリーをトランクに置いたりしてまでこだわった前後重量配分50:50は確かに素晴らしい。
フロントの重さを感じることなくすいすい曲がってくれる。
非力なエンジンだが、踏むに応じて素直に回ってくれて気持ちが良い。
室内が狭いのは相変わらずだが、一人~二人乗りなら問題ない。
理想を言うなら、頭が重くならないように排気量は増やさずターボでパワーを倍くらいにあげて、パワステの制御をもう少し軽くなるように変えてくれればとても楽しく欲しい車になりそうだ。