
好評(?)“華麗なる一発屋!!!”シリーズ、再び三菱車になります(^^;)
いやー、結構条件厳しく考えてもあてはまる『一発屋』が我が三菱に多いのは喜ぶべきか悲しむべきか????
今回取り上げたい『一発屋』は現役時は決していい評価は得られずスポ車不人気の代表格とされていながら今現在、菱マニアから火が付き最終型ではマニア以外でも結構注人気高い注目の『A182/183A型スタリオン』です!!!
スタリオンは82/5に発売されたモノ、70yのギャランGTO→76yのギャランΛの三菱のスペシャリティカー路線を継承したモデルです。
82/5、Λに代る新車種として登場したスタリオン初期型(GSR-X)
シャーシやエンジン、機構は80/5発売のA162~164,167系の二代目Λをそのまま流用、これに流行のリトラの顔を持つスポーツカーの衣装を着せたのがスタリオンです!
ΛはセダンであるΣの2HTバージョンとして初代は大ヒットしましたがキープコンセプトでフルチェンされた2代目はあまりにも外観が先代と変わらず中身は大幅に進化はしていながらΣも並んで初代ほどのヒットにはならず特に82年頃には2HTの人気が急速に低下、各車(社)これまでスポ-ティの花形だった2HTをカタログモデルから落としたり当時これに代る注目を集めた4HTに移行したりという時期、2HTだからこそのΛはこの頃から行き場を失いかけており三菱は土台は残してよりスポーツ度の高いスタリオンとして登場させた訳です。 (尚、Λは車種整理しGSRのみ暫く併売され84yに生廃)
よって厳しい視点ですと代替わりが行われたΛのネーミング変更でないの?とも取れますがΛ時代パーソナルカー的コンセプトからスポ根路線に変更された事、これにより対象ユーザーの変更もありネーミングも違いまた立ち位置的に後続のGTO(Z16系)はディアマンテベースの4WDという全く別系統の新車種となりますのでスタリオンは一代限り!これにて『一発屋』として認定、一件落着です(^▽^;)>゛
↓ベースとなったギャランΛ/エテルナΛ(前期81yギャランΛGSRターボ)
さて、スタリオンですが機構やエンジン等はΛから流用され搭載エンジンは2種。
メインとなるのはΛ/Σでお馴染のシリウス80 G63BT 4気筒OHC-ECI 三菱重工TC05ターボチャージャー付145ps/22kgと廉価版用にG63Bの1キャブレターNA 110psを設定、これをオーソドックスに縦置き+FRというのもΣ/Λと当然同一です!
この種のモデルとしては当初グレードが多く上からGSR-X、GSR-Ⅲ、GSR-Ⅱ、GSR-Ⅰ、GXの5モデルがラインナップされていたのは驚きでライバルとしたZやセリカXX、サバンナRX-7等より一時は多いモノでした。
これらはGXを除き装備の差でして一番初期モデルで見かけたのはやはり最高峰のXとⅢだったかなと思います。
↓GSR-Ⅲ
脚廻りはGXを除いてΣ/ΛのGSR系で好評だったオールストラットの4独、GXはRrがリンク式リジット…。
スタイリングはやはり三菱!って感じですね~、Z、XXやRX-7のような流麗さはなく一言『ゴツイ』。。。
流行のリトラの顔はいいとしてもバンパーから下の処理はお得意の“ガンダムチック” インパネなんかも他ライバルに較べるとゴツさがありまたはどちらかと言うとファミリーカーと大差ない?って感じで個人的には迫力不足を感じました。
インパネはまたもやクラスタースイッチの登場(写真は終盤GSR-VR、基本は初期からほぼ変更なし)
余談ですがルーツのギャランGTO、初代Λがズラリと並ぶ連メーターで非常にスポーティムード満点でしたからこのインパネはセダンのΣと大差なくガックリがワタクシ正直なところでしたが後続のZ16系GTOではその連メーターが復活しかなり嬉しくインパネだけでも買ってもいいかな?なんて思えたクルマでした(汗)
スタリオンはこうして第二次ハイパワーブームの中、華々しくデビューしましたが三菱の目論みとは異なり激戦のライバルが次々にハードモデルを発売、追加してゆく中これに埋もれたようにあまり話題にはならず当時現役のスポ車○チ○イのワタクシもXXやZから目を向ける魅力は正直なかったです。。。
そこで83/7、GSR-ⅡとⅠにG63BTに日本初の空冷式インタークーラーが装着され175ps(グロス)としパワーUP、この時廉価版GXはカタログ落ちしてますがワタクシ、GXって多分実車見た事ありません?今の世でお目にかかってみたいものですが以前みんともE33さんの調査では現存6台との事!意外に残ってる?感じですがどんなヒトがお持ちなのか興味深々です。。。
84/6、マイナーチェンジが行われフォグ埋め込みの大型スモール&ターンシグナルのより迫力ある顔となり同時に可変バルブ式3バルブ化した「シリウスDASH」とネーミングされたG63BT、インタークーラーターボ グロス200psのハードモデル、GSR-Vを追加、これはかなりの注目度でシリウスダッシュはワタクシ、同じく新搭載されたE1系Σで経験しましたが後のVR-4の荒々しい加速とは異なるモノのこめかみを掴まれてグイッと引っ張られるような加速が非常に魅力あるエンジンでしたねー。
VR-4やエボで名機と謳われたDOHC4バルブインタークーラーターボの4G63が後にあまりにもメジャー化したので忘れかけられていますが非常に印象にあるG63系エンジンのもう一つの傑作だと思います!
そしてスタリオンは85/9に小変更を経て87/2、特別限定車としてGSR-VRを追加します。
GSR-VRは性能等はGSR-Vを踏襲しながらワイドボディ化され3ナンバーボディを手に入れました!
これは北米仕様のボディ、ブリスターフェンダーとなりその迫力はそれまでのスタリオンが一気に色褪せる程のイメージ一新で5ナンバー時ではゴツイさだけで迫力は感じなかったモノが一気にマッチョ化し相変わらず流麗さでは劣るモノの一層のド迫力という点でライバルに勝負を挑みました!!
84yに追加されたGSR-V(写真は85y~モデル)と87y追加の限定車GSR-VR
しかしスタリオンは度重なる変更や高性能化、ハードモデル追加がなされながら人気は三菱が期待する程の上昇はならず更なるテコ入れ策としてモデル終盤にきて思い切った策を取ります!
88/4に前年限定で発売したGSR-VRが一定の評価があった事と税制が変わり3ナンバー車が有利に流通するようになった背景を捉え車種編成を見直しモノグレード化、ボディはワイドボディーとし何と搭載エンジンを86年までA30デボネアに積まれていた古いG54B型4気筒2600ccOHCにインタークーラーを装着した2600GSR-VRのみのラインナップとしました!
88/4、終盤になり思い切ったグレード整理の末モノグレード化された2600GSR-VR
この2600には驚きましたねー心底( ̄□ ̄;)!!
「スタリオン、ヤケクソか?」ってな具合で…
これはエンジン、せっかく気合を入れ新開発したシリウスダッシュを捨ててまで忘れかけていたデボネアのエンジン、G54Bを積むとは何で今更こんなん引っ張り出してきたん?と思いましたがコレは日本ではイマイチながら人気の高いアメリカ市場を意識した政策で馬力よりはトルクフルを重視する米人好みに合わせたモノ、もちろんデボネア時代のNAではなくこれにインタークーラーターボを組み合わせNAの120psという頼りないものから175ps/32kgというまさに“アメリカン”的ツアラーに味付けされていました!
シリウスダッシュの200psを失ったのは残念ですが性格を上記のように高速ツアラーに変更した最終モデル、見かけ同様トルクでグイグイ走る別の存在価値を見出したかのように最終に来てこれにより人気も上昇、皮肉にも性格変更した最終型スタリオンが一番輝いていたと感じましたねー。
性格を表すかかのように2600になりAT率が高かったのももはやマニュアルでガンガン攻める走りは87年に発売されたE39AギャランVR-4に潔く譲った結果だったと。。。
さて、スタリオンは三菱らしくモータースポーツでも大活躍していました!
詳細はwikiを見て頂く事として(手抜き…汗)グループA/Bへの参戦と実際には諸般の事情で実戦参加はなかったもののWRC制覇を見込んでスタリオン4WDラリーを開発、当時WRCで最速と言われたアウディ・クワトロの走行性能をも上回る片鱗をのぞかせていました。
この4WDラリーはその後WRC以外の実戦走行も行われその後も研究、開発は続けられその成果は後のギャランVR-4→ランサー・エボリューションで花開く事となります!!
Gr.B参戦用に開発された360ps/32.0kg-mを発生する2091ccのイン
タークーラー付シリウス・ダッシュ、ビスカス4WDシステムを搭載し
たスタリオン・4WDラリー
こちらはスタリオンターボGr.A
この他国内ツーリングカーレースを始め海外のサーキットでも活躍しています!
そしてワタクシ目線でのスタリオンのもう一つのスタリオンの活躍→それは“メディアなスタリオン”です(笑)
89年~放送された石原プロ製作のアクションドラマ「ゴリラ 警視庁捜査第8班」!!
このドラマは西部警察を大ヒットさせた石原プロが石原裕次郎氏死去後、渡哲也氏が社長に就任、亡き裕次郎にオマージュの為製作された西部警察を上回るアクションを売りにしたモノ、まぁドラマの中身はイマイチだったのですが大都会シリーズ~西部迄石プロ伝統だった車輛提供(協力)=日産自動車からこれが何故か三菱自動車に変更、ドラマの中では各三菱車が活躍しましたがこの中、主役の渡哲也にE39AギャランVR-4、準主役の神田正輝にデボネアAMG、そしてもう一人の準主役の舘ひろしが操るスーパーマシンとして最終スタリオン2600GSRを採用、ギャラン/デボネアは外観に変更ないがスタリオンはドアを前作、西部警察のスーパーマシンであったS130フェアレディZがそうであったようにドアをガルウイングに改造され大注目されました。
このガル仕様はファンの要望もあり東京三菱自販で限定5台が販売され国内初の市販ガルウイングでありました!
「ゴリラ 警視庁捜査第8班」に登場したスーパーマシン・ガルウイングスタリオン
以上のように81yのスカイラインRSが火を付けた第二次ハイパワーブームにのっかり82yにデビューしながらゴツイスタイルが災いして必死のライバルへの追撃も身を結ばなかったスタリオン、最終になり方針転換しアメリカン的GTカーになり注目されるも時既に遅し、時代は89yに280psで登場したZ32フェアレディを皮切りによりハイパワー路線に向かい始めた日本のスポ車市場に対し三菱はこれに呼応するために80y設計(Λ)の古いシャーシであるスタリオンに見切りを付け新たに4WD+280psの新星GTOに後続を託しスタリオンは90年をもって生廃となります。
振り返れば8年間という長きに渡り三菱スポーツのTOPを受け持ちながら決して脚光は浴びませんでしたが次期GTOの評価が芳しくない事や生産期間の短さ、レア度から最終2600GSR-VRは中古車市場、スポ車専門店でも高額プレミアが付き始めており少ない三菱の【名車】にどうやら入閣か!っていう現在、遅きに訪れたスタリオンの春を現役時のイマイチ人気を知る世代には感慨深いモノがあると思います!
名車列伝には乗り切れないかもしれませんが間違いなく“華麗なる一発屋”であると確信しておりますv(^^)v