ヒマなので、古典的な名著「疫病と世界史」上下巻・(ウィリアム・マクニール著。1976年刊)、を読了しました。
人間っていう動物は増殖力が強いので、数十年に1回は人口を半減以下に追い込むような疫病が現れて人口が調整されていたという史実など、示唆に富むエピソードが山盛りでした。
戦争で人間が死ぬ。
でも実際には、人類史上、19世紀に至るまで、戦争で戦って死ぬ人数よりも戦病死者のほうが圧倒的に多かったという指摘には、目からウロコでした。
敵が持ち込んできた疫病が蔓延し、あるいは敵地での未知の疫病に感染し、戦えなくなって負けてしまう。それが人類の歴史だったのでした。
この常識を打ち破ったのが日本で、1905年の日露戦争では、病死者数が戦死者数の4分の1に過ぎなかったのです。
この事実はすべての先進諸国に衝撃を与え、10年後にはすべての先進国の軍隊が日本方式を取り入れるようになったという点など、たいへんに驚きました。
ほぼ同じ頃に英国が南アフリカでボーア戦争を戦いましたが、その病死者数は戦死者数の5倍だったのですから、世界中が驚いたのです。
日本軍は、どのような革新的なことをなし遂げたのか。
ひとつは、すべての軍人に、上下の区別なく、予防接種を行ったこと。
天然痘やハシカを始め、当時、考えられるものはすべて接種を済ませていたのです。
もうひとつは、軍の規律を高め、整理整頓や清潔の維持を極限まで叩き込んだこと。
このことによって、昆虫が媒介する、いくつもの壊滅的な病気を未然に防ぐことにつながったのだとマクニールは指摘しています。
そういえば、ここのところ、人口が半分になるような悪疫が出てこないので、地球の人口は増える一方。
悪疫が流行することこそが、歴史的には正常なのかも知れません。
人類は、今、歴史に対してまで、挑戦しようとしているのかも知れないのですが。
Posted at 2020/03/14 17:05:37 | |
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