三菱電機の換気扇の、寿命の短いベアリング問題についてです。
新築のマンションを買ったら、コンクリートが完全に乾燥し切るまで1~2年は換気扇を常時回して換気して乾燥させたほうが、のちのちの室内の状況がまったく違うから……と先輩に聞いていたのです。
ですので、マンションを買って1年間は、トイレの換気扇を常時ONにしていました。
そうするとですね。
1年経つか経たないかで、換気扇(三菱電機 VD-10ZS2)から、ガーガーグォグォと酷い異音が出るようになったんですね。
当時の私はまだ若く、クレームで交換してもらうという発想(生活の知恵)を持ち合わせていなかったので、その後はトイレを使って臭いが残った場合に限り、数分間だけ回して止める生活を続けてきました。
騒音に耐えられず、このやり方で何十年も住み続けてきたわけです。
さきほど三菱電機のサイトを見たら、モーターの設計寿命は1万時間だとのこと。
1年24時間365日作動させると、それだけで8,760時間。
保証期間が過ぎた頃に壊れる「ソニータイマー」設計ってことでしょうか。
感心ばかりもしてられません。
先週、
家庭用ルームエアコンの室外機のモーターのベアリングをDIYで交換し、ベアリング交換で失敗しがちな落とし穴も、成功するコツも、ひととおり経験できたので、それじゃ、と調子に乗って、トイレの換気扇もベアリング交換するかと思い立ったのが今回のチャレンジです。
ネットをザッと検索しましたが、三菱電機の換気扇のモーターベアリングをDIYで交換した記録が見当たりません。
こうなれば、DIYに必要なのは、人柱精神です。
まず、フードカバーを引っ張ります。
フードは本体にバネで止まっているだけなので、バネに指を伸ばし、押さえ込むと取り外すことができます。
フード本体が見えてきました。
天井の裏側に埋め込まれています。
良く見ると、新築時に、先にフードを取り付けてから天井の石膏ボードを貼り、壁紙を貼ったようです。
新品フードに交換するためには、石膏ボードそのものを切開手術して本体を取り出す必要があるようで、苦労が目に見えています。
外形がまったく同じ後継品を三菱電機が出しているとはいえ、1個2万円近いわけですから、モーターベアリング交換で済ませることができるなら、そっちのほうがずっとリーズナブルだし、楽でもあります。
この黄色い○印の3箇所のビスと、
こちらの○印のビスを外します。
ファンの外周を囲む部品を取り外すことができました。
取り外した瞬間、数十年分の激しいホコリとススとが塊となってあたりを襲います。
覚悟と準備はお忘れなく。
次に、電線を取り外します。
単なるモーターですから、電線の極性には意味がないと思いますが、念のため、白線側にW、黒線側にBとマジックで印を付けておきました。
取り外しに、ラチェット型のドライバーが活躍してくれました。
このラチェットは、のちに全く別の用途で使うことになります。
真ん中のカゴ状の「シロッコファン」を取り外します。
再び、激しいホコリが鼻腔を刺激します。
実は私はマスクをせずに作業をしていたため、全身ススだらけになり、とりわけ鼻の中が真っ黒になって、ほんとうに閉口しました。
次回はマスクをして作業しようと思います……と言いつつ、私が生きているうちに再度工事をするような状況が来るか来ないか半々だろうと思うんですけど、これはその時に備える備忘録です。
ファンを取り外すと、フードの裏側の部品が、単なるクリップ2本によってぶら下がっています。
特殊なクリップなので、折損するとあとが大変。
プライヤーを使って慎重に慎重に取り外します。
整流板を取り外すと、モーターの全容が見えてきました。
モーターが計6本のビスで天井に止まっている、ように見えます。
しかし実際にはモーターを本体に固定しているビスは4本だけで、2本のビスはモーターの殻を止めるビスです。
マジックで本体とモーターの位置に合い印を入れたら、固定ビス4本(黄色い○印)を外します。
これで、ゴソッとモーターが取り外せました。
テーブルの上で、外殻に合い印を入れてから、残り2本のビスも取り外し、外殻の隙間に100均の精密ドライバーを叩き込んでいき、隙間を徐々に拡げて行きます。
やがてパカンとモーターは二つに割れ、回転子を取り出すことができました。
ベアリング交換の際に、軸に錆びた部分があると不測の事態に陥るというのは経験済みですので、錆を紙ヤスリで丁寧に削り落します。
ベアリングの中心部分にCRC556を浸透させ、数時間後、プーラーを掛けて、スポンと抜くことに成功しました。
これでようやくベアリングの規格を把握できました。
内径5mm、外径16mm、幅5mmの商品で、安っぽい品物です。
なにより激しく錆びていて、こりゃ轟音も出るわな、と思いました。
そこで今回は、元の品物よりもおそらく5倍は高いミネベア製「DDR-1650HH」を手配しました。
総ステンレス製なので、もう錆の心配もありません。
高級品ですが、税込で2個で818円。
たまには贅沢しても、バチは当たらないでしょ、神様。
嵌め込み作業です。
万力の上にラチェットを載せ、軽く固定します。
この穴をベアリングの中心リング部を支えるための治具代わりに使おうという作戦です。
ゆっくりとゴムハンマーで押し込むことができました。
ショックレスハンマーがあると、より良さそうです。
後日、買おうと思います。
組み立て終わったら、錆落としをした部分に「さびチェンジ」を塗布しておきます。
右側にスナップリングを組み込んでしまっていますが、これは失敗例。
モーター外殻の中に回転子を組み込むまでは、スナップリングを装着してはいけないのです。
二度手間になりました。
あとは以上を逆向きに元通りに組み立てれば完成です。
実は、取り外している最中は、ほとんど写真らしい写真も取れず、ホコリの大群に襲われたりしたシーンは残っていません。
なので、ほとんどの写真は取り付けの途中撮った写真を、逆回しで貼り付けています。
つまり写真の部品はすべて清掃後。
きれいに見えると思うけど、実際にはホント真っ黒で酷かったです。
作業には、マグネットで付けられるライトがあると、重宝です。
これだけのことですが、何十年も悩んでいだ轟音が、まったく消え去りました。
費用も800円ちょいで済みました。超快感です。
というわけで、三菱電機の換気扇の、寿命の短いベアリングの問題で悩んでいる人は日本中に無数にいると思うので、自己責任で挑戦してみるのも解決策だと感じました。
新品のユニットを2万円で買っても、モーターの設計寿命が1年ちょっとなら、どう考えたって、モーターベアリングの交換こそが正義だと思えるのです。
ところでこのブログは自動車ネタのブログなので、車関係のお話もしておきます。
実は一昨年に
ベアリングをDIY交換した私の車のオルタネーターですが、早くも鈴虫が泣き始めた気配です。(交換した品物は、たしかに安物でした)
今回、ベアリングの耐久性について学んだことでもあり、近日中に同一サイズの高級品に交換し、あわせて電極ブラシも交換しようと目論んでいます。
前回交換した時は、22万キロまで持つかな、なんて太平楽を書いていましたが、一番早くダメになったのが、やっぱりベアリングでした。