以前ブログで書いたアイドリング振動の件です。
Dレンジにおいてエアコンを入れた時の振動が随分と大きくなったため、手始めにプラグをデンソーのイリジウムタフからイリジウムパワーに交換したものの振動軽減には繋がりませんでした。そしてその次にお友達のアドバイスによって行ってみたECUリセット。これがどうして、エアコンが入った時のアイドリング回転数がいつも550rpm付近だったのが650rpm付近まで上がり振動が激減。しかし残念なことに時間の経過とともに振動が増えてきました。アイドリング回転数も550rpmまで下がる日が増え、日によって多少振動レベルが違うものの、恐らくECUの学習によってこのあたりの回転数が私のエンジンにとって適正と判断しているのでしょう。
昔はこれほどの振動はなかったし、やっぱり吸気系の堆積物を除去したい気持ちは消えてなくて、RACVの洗浄を近いうちにしてやろうと思っていたのですが、数日前にパーツカタログを眺めていてある事に気がつきました。

24E系にはRACVがあるも

私の24T系にはRACVが見当たらない…
ありゃ?!!
ひょっとして、電子制御スロットルだからか??!!(汗)
ってか、エレクトロニックコントロールスロットルボディって書いてある…
で、ちょっと調べてみると、電子制御スロットル(=DBW(ドライブバイワイヤー))にはアイドルコントロールするRACVがない事が判明。なるほど、よく考えてみればそりゃそうかも。
アクセルを踏んでないスロットル全閉時において、エンストしないギリギリの空気を吸い込ませる迂回流路であるRACV。電子スロットルならECUの指示によってモーターがスロットルバタフライの開閉をするわけだから、アイドリング時もその指示によってわずかに開けてるってことなのでしょう・・・。てっきりアイドリングはRACVによって制御されてるのかと思ってました。
まてよ~~。そうなると、スロットルバタフライの周囲に堆積物が付着していたとすると、ワイヤースロットル式よりもアイドリング時に与える悪影響がデカイんじゃね??だからって、スロットルにエンジンコンディショナーを吹き付けるとモリブデンコーティングが溶けちゃうだろうし…。
どうすりゃいいんだろう…
と悩みながらDBWのスロットル洗浄をされた方のホームページを探すと、なんだか気になる内容が…。その内容を要約しますと
近年、電子制御スロットルのクレームが結構多いらしく、メーカーに戻された不具合品を見るとその多くがスロットルボディそのものには全く不具合がなく、バタフライのシャフトが固着してモーターで動かすことができなるというものが多いそうです。その主原因がエンジンコンディショナーの吹きつけによるもの。
電子制御スロットルのバタフライにはモーター駆動が滑らかに行えるよう駆動軸にグリスが塗布されているらしく、よく見られるエンジンコンディショナーの吹きつけ洗浄を行うとこのグリスを落としてしまいシャフトが錆びたり、又は軸穴に入り込んで洗浄剤が残ったまま固着し、バタフライが動かなくなってしまうとのことです。洗浄剤を吹き付けた数日間はまことに調子が良いいけど、徐々にバタフライの動きが悪くなるというのも特徴のようです。
もちろん、電子制御スロットルではない通常のワイヤー式でも、RACVやEACVの穴に吹き付けてアイドルスクリュー部に入り込むということはありえますが、暖気運転を済ませていれば大丈夫でしょうし、ベルクランクをワイヤーで動かすためモーターよりは多少なり大きな力で動かせるはずです。エンジンコンディショナーを吸わせたもので、後にアクセルワイヤーの動きが渋く感じる事があるとすると、バタフライのシャフトが洗浄剤によって固着しかけている可能性はあるかもしれませんね。
ってことで、アコードの24T系を含む電子制御スロットルエンジンは従来からあるエンジンコンディショナーを吸い込ませる方法はご法度のようです。ウエスにクリーナーを染込ませて慎重に汚れを取り、シャフトしゅう動部やモリブデンコート部はクリーナーを付着させない注意が必要なようですね。
となると、スロットルボディを取り外して清掃ですかい・・・。
分解すりゃ、ガスケット交換は必至・・・
でも、たった240円…

とりあえずサクションパイプ抜いてスロットルを覗いてみよう。そのまま作業できそうだったら松居棒ならぬダブル棒で拭き拭きしてみるか・・・。

まずはサクションパイプのバンドのネジを緩めます。ネジは全て外さず1センチ程度緩めたらサクションパイプを抜くことができます。

吸気温センサーと思われるカプラーを抜いて

サクションパイプを引っこ抜きます。抜く前にサクションパイプ周りの砂埃は取っておいた方がいいでしょう。なぜならスロットル内に異物を入れたら大変です。
因みに、左下隅に見えるカプラーは空気の負圧を測るセンサー。私はてっきりこのK24Aに空気の量を測るエアーフローセンサーも付いていると思っていたのですが、どこを探しても見当たらず。どうやらこのK24Aは空気の負圧によってスロットル開度を決めるDジェトロ式のようで、エアーフロセンサーを併用しているホンダ車はフリードや新型フィット、インサイトやCR-V、シビックRなど比較的新しい車にしか使用していないようです。

サクションパイプの反対側も抜かないと作業がしづらいので、こちらも外します。そのためにまずは1次側のブローバイのパイプを引っこ抜きます。これを抜くと空気やブロバイガスがここを出入りしているのが汚れで分かります。でもベトベトじゃなくカラカラに乾いているので、ここを通るブローバイは少量であることが伺えます。やはりPCVのある2次側が多いってことか…。

エアクリ側は単純に引っこ抜くだけでOK。

他のチューブ類は外さないので、とりあえずこの状況で作業することに。

見えてきたスロットルバタフライ。スロットルボディの右側にあるのが恐らく駆動モーターですね。そしてご覧の通り、ドライブバイワイヤー式にはアイドル調整をするRACVの穴が見当たりません。

となると、このバタフライ外周を僅かに開けてアイドリング時の微調整をしてるってことですよね…。なんだかバタフライ周囲は黒く焦げてますが…。

この角度で見ると分かりますが、バタフライはスロットルボディのボアに対して垂直には取り付けてありませんでした。上部が奥に、下部が手前に傾斜しています。よって、バタフライは上部が奥に入り込みながら開いていく構造になっています。

スロットル外周部を見るためにバタフライを動かします。バタフライを突っつく棒を用意。名づけてダブル棒(笑)。絶対にバタフライの奥にウエスや異物が入り込まないよう、インシュロックでしっかり固定します。
因みにこの作業はエンジンが熱い時はしない方がいいと思います。色々とリスクの高いこと間違いなしです。

ゆっくり押してみると、ボアに僅かな堆積物が…。段差になってますがな…。

更に全開。確かに汚れてます。でも正直これだけ?って思いました。もっとべっとりなのかと…。しかしアイドル付近の空気の調整ですから、この汚れは馬鹿にできない可能性大。
これならスロットルボディを分解しなくても汚れを取ることは可能と判断しました。

前から話していたエンジンコンディショナー。キャブクリーナーっていうのもあったけど、万が一シリンダー内に吹き込む事をさせるかもしれないとも思い、これを選択。

間違っても、バタフライに吹き付けたりはしません。ダブル棒の先端や横面へ作業毎に少量付けて拭き拭きです。

ダブル棒をもう1本作って、バタフライの片側に突っ込んでおき、反対側を掃除します。じゃないと、バタフライの戻ろうとする力が意外と強く、作業が大変です。
因みにバタフライの全閉位置は機械的に位置が決められているようで、勝手に元に位置に戻ります。まぁアイドル状態での位置はECUで微調整するんでしょうけど。

反対側も同様に。

作業完了。最初の状態と比べると随分と綺麗になりました。
あとで思えば、バタフライにもボアにもモリブデンコーティングされた感じが最初からなかったんですが…。K24Aにはないのかな?K20AのR仕様はあるようですが…。

結構な汚れですね。
メインのダブル棒にクリーナーを染みこませバタフライとボアを洗浄。そしてもう1本仕上用のダブル棒で拭き取りました。

バタフライの汚れの原因の一つにブローバイガスがあります。知らない方で興味のある方は
こちらと
こちらを覗いてみてみてください。発生メカニズムやブローバイの流れが分かりやすいと思います。
で、エンジンヘッドから出入りする1次側のブローバイはスロットルを直撃してしまいますが、だからってここをどうこうする事は出来ません。

ではPCV(赤丸印)のある2次側はどうかというと、ご覧のようにスロットルから更に先のインジェクター手前で吸い込まれています。
もしこのPCVが目詰まりしてくると、エンジンケース内にガスが溜まってきて、どうにも逃げ場がなくなると常に1次側から吸い取られることになります。しかも常にケース内の圧力が高いままで。
ですので、PCVの掃除もすることにしました。

PCVは単に引っこ抜くだけです。
トロリと一滴ほどオイルが垂れてきました…。

ホースバンドをプライヤーでずらし、固着したホースをプライヤーで掴んで捻って回すと外れていきます。単に引っこ抜くなんてことは無理です。

パッと見は、オリフィスに汚れが付着しているようには見えません。本当はきちんとオリフィスの役目をしているか口に咥えて息を吹いてみたかったのですが、さすがにオイルを拭きとってもちょっとね…

ってことで、一応両側からエンジンコンディショナーを少量吹き込んでおきました。
でも、PCVって1000円くらいしかしないので、妙な洗浄剤吹き込むより買った方がいいかもしれませんね。
さて、これで全ての作業を終了。まずは例のECUリセットを行わないでどうなるか試してみました。

まずはPレンジでの比較。
エアコンOFFでは極普通の状態でしたが、エアコンONにするといきなり回転が高くなりびっくり。アイドル補正でここまで違うとなると、やはり堆積物の除去による効果はデカイかも。

今度は問題のDレンジ。
エアコンOFFでは極普通ですが、エアコンONでも振動激減。
しかし、Pレンジでの回転数が高いため、やはりECUリセットをすることに。結構時間がかかるので面倒臭い…。

ECUのリセットには長いアイドリングと2回ほど冷却ファンの作動確認が必要なため、庭でボ~っとしていると娘が寂しがって降りてきていて、玄関先にチョコンと座って草木の絵を描いていました。この作業が終わったら一緒に買い物に行く事にしていました。
ECUのリセット方法は
こちら。

ECUリセットを終え、状況確認。
まずはPレンジ。エアコンOFFだと結構低めの600rpm。エアコンONだと850rpm。

Dレンジ。
エアコンOFFで550rpm。やはりこの回転数だと振動が出ます。
エアコンONだと700rpm。
こりゃ落ち着くまで少々時間がかかりそうです…。

ってことで、出かける前に簡単洗車をすることに。

バリアス様様。
で、娘と買い物に行き、息子の塾の送り迎えなどでそこそこ走らせてみたのですが、アイドリングはほとんど安定していて、振動はかなり少なくなりました。特にエアコンが入っても回転数が落ちることがなくなり、とりあえず一安心です。でも、まだ数日間は様子見ですね。なんとなく今回はこのまま安定してくれる気がしていますが…。
因みに今回、もう一つプラスに働いている要素があります。オイル交換を金曜日にしたことです。エンジンマウントが劣化しているであろう私の車は、エンジンオイルやATF、そして今回のようなスロットル洗浄など小さなメンテの積み重ねが結構影響している事がよく分かります。DレンジでエアコンON時の振動が顕著だったので、現在5万Km走っているATFということでこれを交換すると更に軽減されることは容易に想像できますし、エアコン添加剤を入れるとコンプレッサーフリクションが減って軽減される事も期待できます。行き着くところはエンジンマウントだという事は分かっていますが、根本的な原因を消していくことは決して無駄ではないので、この先も考えられるものは少しずつ改善させていくつもりです。
もちろん、エンジンマウント代を溜めていこうと思ったのは言うまでもありませんけどね…。