先週の日曜日にダンクの点検のためディーラーに行きましたが、そのときN-ONEに試乗したので試乗記を残しておきます。

カタログも貰わずグレード等の情報が頭にないまま試乗したのですが、ディーラーのサービスマン曰く一番ベーシックなグレードだそうです。
何やらディーラーオプション品を付けた試乗車のようで私の趣味ではありませんが、車のキャラクターがキャラクターだけあってオプション品が豊富に揃えてあるのは理解できますし、多くの方の好みに応えられるようにしてあるのは良心的ですね。

個人的にこのN-ONEは素の状態が一番可愛いと思っていて、その素っ気無さが魅力的だと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか。
そしてホンダは昔からボディカラーに黄色を用意することが多いですが、正直色が頑張りすぎていて車がついてきていないものが多く感じますし、事実途中から廃止されることも多々あります。
しかし、N-ONEに関してはその例に当てはまらないと思いました。これほど黄色をすんなり受け入れてしまうデザインやキャラクターの車はそう多くはない・・・。ディーラーの店頭に飾ってある黄色のN-ONEを見ていつも感じることです。

少し上目づかいなこの表情がなんとも愛らしいですよね。NⅢの現代版とされたN-ONEですが、レトロな雰囲気を残しながら今風にデザインされていて、ここ最近のホンダ車にはないとてもスタイルから訴えかけるものを感じます。
なんというか、この顔を見ていると、エンジンがどうとか足がどうとか書くことをためらってしまうというか・・・。まぁ、そうは言っても書きますが(笑)

背が低いようで実は高い。カテゴリー的にはミラとかアルトとか、そのあたりに感じていたのですが、近づくと結構背高なんですね。
ボディラインも、ここ数年トレンドとなっているブヨブヨした肥満系デザインではなく、飽きがこないとてもシンプルなものですね。

後ろもシンプル。若干ダイハツのエッセっぽい?
シンプルだけどLEDが点滅した表情なんかは悪くないし、シンプルなのに好感が持てます。ただ、やっぱりディーラーオプションの付いていないノーマル車を用意してほしかった・・・。多分この車は素の状態をストレートに見せる売り方をしても充分いけると思うし、そのほうがウケもいいんじゃない?と思ったりも・・・。

内装も車のキャラクターにピッタリなデザイン。レトロな感じを今風に再現していると思うし、色使いもなかなか。

メーターフードはN-BOXのように各メーターを独立させたものですが、コンパクトで綺麗にまとめてあるなぁと思いました。

N-BOXのように奥行き感のあるメーターは視認性という面ではやや劣る気がしますが、それでもN-BOXよりは断然見やすかったです。フードのフチの色使いの違いか、奥行きがやや浅いのか。まぁ、どうであれデザインが車のキャラにマッチしていると悪い印象を受けないわけで(笑)

助手席側を見渡すと、現行型ライフのような逆反りのデザインのインパネが目に入ります。ただ、全体的なデザインはライフとは似て非なるもので、質感は結構高いですね。
インパネ全体がアイボリーだと締りの無い印象だったと思いますが、焦げ茶色のパネルでインパネ全体を囲うようにデザインされていて、部分的にメッキで光沢感を出している・・・。
ホンダは現行型フィットRSのように、ボディカラーに関係なくオレンジ色のシートを平気で持ってきたりと、時に信じられないことをしますが、今回のN-ONEはアイボリーに同系色の締まった焦げ茶色を使ったりと、色使いをかなり意識していてなかなかいいセンスだなぁと感じます。

ただ、今回のN-ONEで私が好みなのはプレミアムと呼ばれるモデルのブラック内装です。ホンダは昔から“スポーツモデル=黒い内装色”という短絡的な発想で内装色の設定をしてきましたが、黒い内装というのは一歩間違えると非常に安っぽくなってしまいがちで、ホンダのやり方に私はあまり賛成できませんでした。しかし、プレミアムのこのブラックの内装は渋い紫色である「バーガンディ」という色のパネルがインパネ前面に使われていて、しかも目の前に広がる黒い樹脂はつや消しのヘアライン風であしらわれるという、このあたりはとても軽自動車とは思えない抜群のセンスを感じます。私のアコードにも部分的に採用してほしいくらいの色使いです。

そろそろゲップが出そうな青色LEDのメーターも、この内装のセンスなら許せます(笑)。
でも、この色使いなら赤メーターのほうが全体のまとまりとして良かったんじゃね?

ステアリングポスト周りのデザインがちょっとゴチャゴチャしてるけど、それでもN-BOXよりは遥かに洗練されているように感じます。あくまでも主観ですが・・・
センター付近のデザインはN-BOX風ですね。シンプルで整然と並んだスイッチ類は質感が高く感じます。プッシュスタートSWは、どうやら左側に落ち着くようで・・・。
なんで右じゃないのかな・・・

純正ナビを選択すると、下部のスイッチパネルはただのポケットになるようです。

その純正ナビの表示画面。逆反りになっているインパネと面を揃えるため、あえてナビ画面の前にブラックフェイスの成型パネルを貼り付けているようです。上部にはCD挿入口が・・・。
なかなか凝ったことしてますよね。逆反りの黒いパネル面に垂直に表示するナビ画面。なんとも不思議な感じを受けました。

ベーシックグレードだというのにVSAが標準・・・。確かにVSAは高級装備ではなく安全装備ですが、まさか軽自動車のベーシックグレードに標準装備されるとはね・・・。

後席足元の広さも素晴らしいです。身長171cmの私のドラポジでこの程度ありますから、小さなうちの奥様が運転すれば運転席の後ろが特等席になるわけです(笑)。
その代償として、荷室はやっぱり狭い。まぁ、スペース制約の多い軽自動車なだけに何もかもが100点というわけにはいきませんし、この車は広さが全ての車じゃない。愛らしい顔と高い質感の内装だけでも「買い」と言えますかね・・・。

さて、最後はいつも好き放題書いている試乗記です。
冒頭でも書いた通り、その存在感からしてエンジンや走り云々などどうでもいい気がしますが、ちゃんと書いておきます(笑)。
エンジン、煩すぎ!!!(爆)
いや、これホントにそう思いました。N-BOXの試乗でもこのエンジンのザラザラしたフィーリングを書いていますが、それよりも更に煩い・・・。見た目がいいだけに非常に残念です。
クルージング中はとても静かだし、軽い加速でもそこまで酷くはない。トルクもあるし謳い文句の1.3L並みの走りというのは少々大袈裟としても、これまでのNAエンジンの軽自動車からすれば随分と力強く感じます。しかし、ちょっと多目にアクセルを踏み込む加速やフル加速をすると、低い回転数であっても質の悪いエンジン音が容赦なく室内に入り込んできます。
このS07というDOHCエンジンですが、VTC(可変バルブタイミング(位相)機構)付きということもあって非常にトルクがあります。また、現行型ライフのP07型エンジン同様にロッカーアームとカムの接触面にはフリクション低減のためにローラーが埋め込まれています。軽自動車としては間違いなく一歩進んだエンジンだとは思いますが、一方で激しい軽量化も進んでいてブロックの薄肉化もかなりのものではと思っています。
うちのダンクはE07Zという少し古いターボエンジンですが、そのエンジンと比較しても滑らかさと静かさは天地の差。断然ダンクが滑らかで静かでして、最新のエンジンなのにこれいかに?という感じです。
車体の遮音性よりも私はS07エンジンそのものの問題なのではと感じているのですが、果たしてどうなのでしょうね。
N-BOXを代車で借りた時にも書きましたが、このS07型エンジンはフロアを揺するほどのアイドリング振動を発します。残念なことにそれは今回のN-ONEも同じでした。
ただ、エンジンが完全に暖まってきたらアイドリングストップが働くためこの振動を感じずにすみます。低燃費を求めるあまりアイドリング時までも限界の空燃比で燃焼しているという話を聞いたことがあるのでなんだか釈然としない思いですが、これが今の低燃費エンジンの考え方なのかもしれません。
そのアイドリングストップの再始動もN-BOX同様短めのセルモーター音で目覚め、発進に何ら問題ありません。結構長めの停車でもエンジンが始動することはなく、このあたりは外気温や室内温などをコンピューターが判断して時間を決めているのでしょうね。
その他走りの印象はN-BOXとそっくり。CVTの減速時のエンブレも似た感じで停車寸前で妙な減速感があったり、高周波ノイズも聞こえます。しかし、これらはN-ONEの可愛さで私としては帳消し。小さなことはどうでもいいと思えるものをこの車は持っているように感じます。
ただし、エンジンの煩さだけはマジでいただけない(笑)

ってことで、もし私が買うならプレミアムのターボモデル。値段云々抜きで(笑)。
小排気量エンジンではNAとターボでは随分と静粛性や滑らかさが違うのは確かで、それはダンクでも同じです。ノーマルライフのエンジンがベースになっているとはとても思えないほどの違いがありますから。ですから、このS07エンジンもターボだと随分と静かなんじゃないかなぁと期待も込めて(笑)
いや~、しかしN-ONEはノーマルグレードの可愛いさも魅力的であり、プレミアムの男っぽさも魅力的ですね。くじら顔一辺倒だったホンダが、まさかこんな表情の車を出してくるとはね。
この調子で新型フィットのデザインも洗練されたものでお願いしますよ~、ホンダさん♪
値段は安めでお願いします・・・