
先日私のアコゴンのセルモーターが瀕死の状態となりリビルト品での交換をしてもらいましたが、どう考えても以前のセルモーターとは音質も軽快さも違い、ちょと驚いております。こういったことに関しては全く鈍感なうちの奥様も、聞いてもいないのに「あ、なんか前と全然音が違うね」なんて言ってきましたし、娘も「車が変わったみたい~~!」と言うほどですから、相当な違いなんだと思います。
今日エンジンルーム内を覗いてスターターを見てみましたが、メーカーを知る表示を確認することはできませんでした。保証書の型式はパーツリストに載っている純正のミツバの型式でしたが、とても同じに思えない音質なんですよね。クランキング時の静かさもこの車を買った当初と比べても断然静か。エンジンをかける事に嬉しさを感じるのって、本当に久しぶりかもしれません。まぁどうであれ、これは嬉しい誤算と言えます。
さて、そのセルモーター交換の時に新型フィットのハイブリッドを試乗することができたので、いつものごとく個人的な意見を好き放題書かせてもらっている試乗記をアップしたいと思います。
因みに会社の帰りに寄ったので、既に薄暗くて手振れな写真が多いのですがお許しください。

試乗車はハイブリッドのLパッケージ装着車。それに最近流行の事故回避支援自動ブレーキ機能と誤発進抑制機能を持ったシティブレーキシステム+前席サイドエアバッグを加えた“あんしんパッケージ”が装着されたものでした。
この色はCMでも使われていますが、イメージカラーなんでしょうね。ビビッドすぎるカラーに加えベッタリ貼られた試乗車ステッカーのせいでオッサンは終始恥ずかしくて仕方がありませんでした(笑)。
さて、まず第一印象。
登場前の社外秘カタログで初めてみた時はどうにも受け付けないものでしたが、その後雑誌やCMで見慣れてきたことと、この車も他のホンダ車の例に漏れず“写真写りの悪さ”もあって、実車は最初ほど悪い印象は持ちませんでした。

ただね、かっこいいかと言われたらそうでもない。
初代から2代続けて縦方向に大きなライトを採用したフィットだけに今回の横長の細いヘッドライト採用は正直予想してはいましたが、もうちょっとグリルを含めて精悍な顔つきだと良かったんですけどね。確かに男っぽさがあって悪くはないんですが、以前のフィットが女性でも男性でも似合っていたのに対し、今回はちょっと男性寄りにしすぎ?しかも、先代はフィットという独自の世界を感じる、ある意味クラスレスな印象があったのですが、今回のはしっかり1.3L付近のコンパクトカーという印象です。これはヴィッツにも全く同じ印象を感じていました。今のヴィッツには先代のようなヴィッツならではの世界と言うものを感じず、そのへんの普通のコンパクトカーになった感じがしてなりません。
すみません、のっけから辛口で・・・。

今回のフィットのフロントマスクでケチをつけるなら、このバンパーの開口デザインですかね。新型アコードハイブリッドと全く同じで、なんでこれ?って感じです。一言で言えばデザインが雑。吟味されたデザインには思えない。いや、実際は時間をかけてこうなったのだと思いますが、それが全く伝わらない。ダイナミックとかいう言葉で片付けられそうですが、ライトが細くなって持て余し気味のバンパー下部をどうデザインするか困り、結果バックリ穴を開けただけ。私にはそう思えました。もっとかっこいいデザインがあったんじゃないでしょうか。きっとMCあたりでここをかっこよく丁寧にデザインしたものが出てきそうですけど・・・。

FパッケージにはLEDヘッドライトが標準になりますが、アコードの片側2連に対しフィットは1つ。これで明るさが充分ということは、2連や4連、或いはアキュラなんかの8連とか、あれってどういう違いがあるんだろう・・という疑問が沸いてしまいました。夕暮れ時の試乗でしたが、結構しっかり明るいと思いましたし。

一方のリヤ。
真後ろからだと結構ワイドに感じますね。少しストリームにも似た筋肉質な感じで、フィットと言う感じじゃない迫力があります。

しかし、ちょっと斜め後ろになるといきなり印象が・・・。
なかなか新しいデザインを受け入れられない私の古い感覚のせいもあるのでしょうけど、それにしても面のつながりが複雑・・・。それにやっぱりバンパーの開口部がね・・・。ふくよかな面構成という意味ではマツダも現在相当取り入れてますが、正直天地の差ほどのデザイン力の差を感じます。

フィットらしさという意味では、ガラスに追加されたランプ類は不要だったようにも思いますが、すでにこれありきなデザインになっているのでこれがないと不自然になるのかもしれません。

先代も結構丸めのお尻でしたが、新型はもっと丸い。丸くなればなるほど、テールゲートに取り付けるスポイラーは派手に飛び出したものじゃないとバランスが悪くなるでしょうね。
それにしてもこれほど波打ったようなテールゲートじゃなく、もう少しシンプル面にならなかったのなぁ。

先代はウエストラインが低く、例えば横から抜かれる際チラッと横を見たとき結構かっこいいなと思ったものでしたが、新型はかなり腰高に見えますね。腰高な車はホイールを大きくしないとバランスが悪く見えがちですが、このフィットも16インチを履いてやっとスポーティに感じるという感じかも。このハイブリッドはまるでだんご虫のように感じました・・・

サイドステップは何やら空力を意識したようなデザインですね。特にリヤフェンダー部はフォーミュラーカーっぽい?

個人的には、三角窓の下端をもっと直線的に下げてウエストラインを低く見せたデザインのほうが良かった気がします。あと、これも個人的な好みですが、ドアミラーがドアからニョキッと出てるのが嫌いな私。先代はこのあたりを上手く処理していて足の長いドアミラーに見えましたが、新型はまたミニバン風に。

ホイールはシュリケン風のキャップ。一応空力を考慮したデザインだそうで。まぁ私なら即社外ホイールに交換ですが・・・

さて、内装です。
フィットに限らずこれまでのホンダ車の多くは大きなガラスがバルクヘッド付近まで伸び、見晴らしの良い低いインパネを見下ろす感じのものが多かったですが、新型フィットは明らかにこれまでのホンダデザインとは違う感じを受けました。とりわけ運転席側はメーターフードの上面が高めで、しかもその高さの両脇にエアコンの送風口が並んでいるので、少し窮屈な感じもあります。
デザインが良いか悪いかは正直微妙で、例のごとくカタログでは最悪と思いましたが実際はそこまで悪くない。雑誌で書かれてるほどクオリティが高いかといえば、確かに高いけど私が思うクオリティとはちょっと違うかなぁと・・・。
これは私が昔から感じている個人的な印象ですが、昔からホンダ車のインパネ周りは使ってる材質とか表面のシボとかのクオリティはあまり高くないけど、造形面(デザイン面)ではクオリティが高いと思っていて、それはドアとの連続感だとかスイッチのシンプルな配置だとか、視界との相関関係だとか、つまりトヨタとは違うクオリティの高さがあったと思っています。トヨタは逆で、デザインじゃなくスイッチそのもの質だとか色使いだとか、ステッチの見せ方や材質などがいい。でもデザインは安心感はあるかもしれませんが、正直平面的でぜっぺき感もある。スカッとした爽快感のあるデザインは昔からホンダが上だと思っていました。その魅力が今回のフィットにはない。でも丁寧に作られたパーツや材質感という面でのクオリティはかなり高い。そんな印象です。

助手席側から見ると、一層ホンダ車であることを忘れそうなデザインです。爽快感よりも、高いダッシュパネルで包まれる安心感をこれほど重視したホンダ車は他にはない気がします。

助手席から前を眺めると、かなりのクオリティ感ですね。ソフトパッドが採用されていて、見た目も触り心地もフィットとは思えないです。

メーターの表示類は、アコードハイブリッドやIMA車とそれほど違いはなし。先代のハイブリッドは低燃費状態になると速度計の目盛りがグリーンに変化して、ちょっと派手すぎで統一感がない印象がありましたが、新型はしっとりした感じでGOODです。

速度計の右側には色々な情報を表示できるマルチインフォメーションディスプレイが。
見慣れた平均燃費計と瞬間燃費計や

燃費履歴

エネルギーフロー表示や

タコメーターもあります。

速度計の左は、これも見慣れたパワー/チャージメーターが。

インパネ中央のナビと空調関係は、全てタッチパネルでした。内装面での売りの一つですね。

見た目はとてもすっきりしていてスマホっぽいのがいかにも今風ですが、操作性という面ではまだまだと言う感じです。タッチしたレスポンスが鈍く、また夜間など手探りで押す時なども分かりにくいですね。指先で操作感を感じないというのは運転中においてあまり好ましくないと思いますが、まぁこれもこの先当たり前になっていくんでしょうね。

ただ、こういったタッチパネル式で嫌なのは操作感よりも指紋の付着。この試乗車も相当な数の指紋があって撮影のために少し拭いたのですが、性格的にディスプレイ面にベタベタ白い指紋が大量に付くのがちょっと苦手です・・・。
高級感があるだけに、私としては悩ましいという感じです。

シフトレバーはプリウス風?シフトバイワイヤーとでもいうべきでしょうか・・・
試乗する一番最初に行う操作ですが、迷った迷った・・(笑)。いや、DとかRとかセレクトはできるんですが、Nにするには?とかパーキングは?とか、まぁ色々と考えながら操作する必要がある。うちの会社の会長がプリウスに乗ってますが、購入当初社員が移動しようとしても動かせないって者が数人いましたけど、分からないまでもないなって思っちゃいました・・・。
試乗を終えたあと駐車場にバックで入れ、そこからPに入れようにもない。「あれ?パーキングどこだ?」となり、Pはボタンであることを知り、更にエンジンを切るのにボタンだったことも忘れ、いっとき車内であたふたしてスムーズに車を降りれませんでした(恥)。高齢化社会なんだから、おっさんに優しい車作りしてくれよ~~って言うのは我がままですね・・・

身長171センチの私のドラポジで後席はこれほど。全長4.7m越えのアコゴンよりも広いです・・・
アコゴンが狭すぎなんですが・・・

さてさて、なんといってもFIT3の話題はハイブリッド。小さなボンネットフードを開けると話題のハイブリッドシステムi-DCDがぎっしり詰まっていました。
i-DCDのドライブモードはアコードと同じく3つのモード。しかし、その伝達メカニズムは全く違います。

まずはEVドライブモード。
EVドライブモードでは、左の二つのクラッチはエンジンとは完全に切り離された状態となり、駆動はモーターに委ねられることになります。そのモーターは7速DCTの奇数段メインシャフトに直結されていて、奇数段のどこかのギヤを使ってカウンターシャフト→駆動輪へと出力されるようです。そして、図の通りモーターの駆動伝達は奇数段からしか行えないようですね。よって回生モードも奇数段のみで行われることになります。発進は原則としてモーターだけで行うそうです。
1速ギヤは他のギヤと違って遊星ギヤとしてモーター内に内蔵されていて、その機構の詳細は省略しますが、メインシャフトと遊星ギヤ1速の中心ギヤが結ばれていて、3速は遊星ギヤのプラネタリーキャリヤと中空軸で結ばれていて、3速と中空軸を拘束すると1速の速比が得られ、遊星ギヤの外輪ギヤを拘束すれば3速が得られる仕組みになっています。3速からあとは全て平行軸式なのでここは割愛。

こちらはエンジンドライブモード。
図は4速なのでセカンダリーシャフト→カウンターシャフトという流れで出力されていますが、奇数段であればメインシャフト→カウンターシャフトという流れで伝達されます。メインシャフトやセカンダリーシャフトと各ギヤはもちろん固定されておらず、使用するギヤのみシンクロナイザーで拘束することになります。

ハイブリッドモード。
奇数段での駆動の場合、エンジン出力とモーター出力がメインシャフトで合流しカウンターシャフトへと流れますが、図のように偶数段での駆動だとエンジン出力はセカンダリーシャフトからカウンターシャフトへと流れ、モーター出力は空転していメインシャフトを伝ってカウンターシャフトへと流れここで合流することになるようです。

7速DCTの機構はこんな感じ。エンジンのすぐ横に奇数段と偶数段の二つのクラッチを持ち、奇数段のメインシャフイトの末端に1速、或いは3速を選択する遊星ギヤ群のアッセンブリが配置されています。そこから逆にエンジン側に戻るようにメインシャフト、セカンダリーシャフト、カウンターシャフトが平行に並べられています。モーターは遊星ギヤを囲むように取り付けている、つまりモーター内蔵という感じで付いていますね。EVドライブモードでは奇数段でしか出力されないのがこれで分かります。

今回のエンジンはLEB型と呼ばれるもので、1.5L-DOHC16バルブ i-VTEC仕様となっています。アコードと違って、基本的にはやっぱりエンジンが主役なi-DCD。なので簡単にですが触れておきます。
低燃費エンジンのスタンダードになりつつあるアトキンソンサイクルエンジンで、VTCを採用するためDOHCとなっています。アトキンソンサイクルとする遅閉じ機構はVTECではなくVTCで。ただし、VTCはアコードハイブリッド用の様な電動式ではなく油圧ベーン式。1.3Lエンジンが電動VTCなだけにちょっと意外です。VTEC機構は低回転で2バルブ、高回転で4バルブの切り替えを行うバルブ休止作動に使っています。
ボア×ストロークは73×89.4。アコード同様完全にロングストローク型で圧縮比も13.5と高い。得られた馬力は110psとまぁそれなりのものですが、モーターと合わせれば137ps。スポーツモデルのRSよりも少しですが高い数値となります。
電池がニッケル水素からリチウムイオンになり余裕ができたことから、エアコンのコンプレッサーとウォーターポンプが電動化されました。つまり補記類のベルトがなくなったわけで、このあたりはアコードと同じですね。これで信号待ちのたびに生ぬるい冷風を浴びなくても済むわけです。

エンジンと7速DCT、そしてミッションに内蔵されたモーターの組み合わされた外観は意外とでっかいのですね・・・。
今回発表した7速DCT化はホンダにとってある意味一石二鳥なトランスミッションだったかもしれません。つまり、DCTは走り出せば抜群にレスポンスの良い機構ではありますが、スタートや低速段階の微妙な変速ショックの逃がしが難しいといわれていて、そういう意味ではモーター発進させる今回のハイブリッドには適しているのかもしれません。
そして、これは以前から何度も書いてますが、ホンダは他社の遊星ギヤ式トランスミッションと違って平行軸式。DCTは平行軸式ですから、これまでの技術や生産設備も生かせます。しかも一気に多段化できる。ちょっと大きいのがデメリットですが、1速を遊星ギヤ式にしてモーター内に収めるなど、かなり工夫されています。このクラスで7速が入ったのですから、とりあえずこの先の展開は一安心と言えるかもしれません。

さて、最後にやっと試乗記です。
~一般的な加速フィーリング~
普通に優しく加速すると、DCTがどうとか意識することはまずないですね。
基本モーター発進ですが、20Km程度ですぐにエンジンが始動。ゆっくりゆっくり加速すれば40Km程度まではモーターだけで粘りますが、思ったほど粘りません。
走り出せばIMAとの違いをほとんど感じませんが、IMAとの決定的な違いは、始動のたびにエンジンがかかるあのウザさがあるかないかの程度でしょうか。正直モーターだけで発進する感動はそれほど大きくなく、アコードのように最後までモーターで加速しきる感動とは大違いですね。でも走り出してそこそこの走行ノイズが出てきてのエンジン始動ですから、エンジンの存在を可能な限り減らしていることには違いありません。
違和感を感じたことも記しておきます。
普通にゆっくり加速していくと、50Kmあたりまででしょうか何となく軽いスナッチのような息つきっぽいような加速をしました。これはエンジンが暖まっても同じで何度も感じました。奇数段しかモーターアシストしないから?DCTの制御に何か迷いがある?でもフル加速ではこんな症状はない。理由は分かりませんが、とにかく速度的にも一番使うところだしシチュエーションとしても一番ある状況なので気になりました。
~フル加速~
これがビックリなほど速い。正直、ここまで速いとは思いませんでした。
加速した瞬間は、正直DCTならではのダイレクト感というものはあまり感じないのですが、あるところから急にダイレクトな感じがし、「おお!なんか急にDCTらしくなったぞ!」という感じでした(笑)。下手すると、RSのCVTよりは速いんじゃないですかね。こうなるとRSにも乗ってみたくなりました・・・。
~変速ショック~
やはりちょっとありますね。特に低速ギヤで感じます。まぁホンダのトルクコンバーター式と似ている程度ですが、CVTには敵わないのは仕方が無いと思います。むしろこの程度なら全然問題ないといえるかも。
できれば、一定速で走っていてグイッと加速するとき、ガツンときてもいいからダイレクトな変速と加速をしてほしいです。アクセルに対するツキが今ひとつで、ダイレクト感が薄いんですよね。
~足回り~
それほど沢山運転できたわけじゃないので何ともいえませんが、ストローク感のある足でしっかりしています。タイヤがエコタイヤなんだろと思いますが、その割には乗り心地がいいです。

ただ、こういった凸状をまたぐ道では、前からも後ろからもポコンという軽い変な音がしました。これは安っぽい。明らかに足回りの何かから音がしてます。相当気になりました。
~その他~
シートの高さは先代と違って自然でした。いや、もしかしたら変わっていないのかもしれませんが、頭上空間とインパネの高さ、それに視界との相関関係から違和感を感じないのかもしれません。
静粛性は抜群。先代のハイブリッドは荷室あたりからちょっと妙な音が聞こえた記憶がありますが、新型はとても静かです。
ハンドルの重さは・・・、あまり覚えていませんが、恐らく軽すぎず重すぎずだった気が・・・。
そろそろ曖昧な記憶になってきたので、試乗記はこのへんで。
幼馴染には、もしRSの試乗車が回ってきたら教えてねって言っておいたのですが、果たしてそんなの回ってくるのだろうか・・・。

早速今日、市内のCDレンタル屋で新型フィットを発見。
奥様に言うと、食い入るように見ていましたが
「う~~ん、結構好きかも。でもライトとライトの間の黒いとこはちょっとかっこ悪いね」
とのこと。基本細目の顔が好きな奥様なので、なんとなく好きだろうなぁとは思っていましたが・・。

新型を眺めていたらちょうど先代ハイブリッドもやってきました。
低くどっしりして安定感があるのはこっちですね。特にドアミラーが開いている時はそう感じました。
でも、そのうちかっこよくカスタマイズされた新型フィットを街中で見るようになるんでしょうね。
そういうフィットを見かけるのを実は楽しみにしています。