
“華麗なる一発屋!!!”…今回は『L100S(セダン)/L100V(バン)ダイハツリーザ』となります。
リーザほ70年代の軽ハイパワーブームの終焉以来、各メーカーが軽自動車をセダン(ボンバン)タイプのみにシフトしていく中、スズキがフロンテクーペを継ぐ軽スペシャリティ、セルボを残しこの分野では独走状態、そこでバブル入口の86年に好調ミラ/ミラ・クオーレをベースにセルボに待ったをかけようと登場したのがダイハツの軽スペシャリティカーとして発売されたのモデルです!
86/11、L70型ミラをベースにして“半円球+オーバルフェイス(卵型)を組み合わせた特徴的なスタイルで登場しました!
86/11、ダイハツとして初の“スペシャリティカー”としてデビューした『リーザ』(前期型バンY タイトル画像も同様)
70年代、スズキはフロンテクーペ、三菱はミニカスキッパー、ホンダはZとそれぞれセダンベースのスペシャリティモデルをラインナップしていましたがダイハツは既存フェローMAXをHT化しただけのスポーツバージョンであった為リーザはダイハツの軽としては初のスペシャリティカーでした!
↓リーザ、Rrビュー
↓ベースのL70型ミラ(TR-XX)
スタイリングはL70ミラに丸味を持たせRrを切り詰め全長をや々縮めFrグラスを寝かせミラ同様に基本的にはHBモデルでありましたがRrの傾斜もより角度を付けクーペに近いイメージ、個人的には短か過ぎてルーフ部の長さが寸足らずに感じ軽の枠という問題はありますがもう少し長ければかなり“カッコイイ!”と思えるスタイルだったかな?と思います。
余談ながらこれのヘッドライトの形状がカレーライスの皿の形に似ていたのでワタクシ周辺ではリーザを“カレーライス”と親しみ込めて呼んでました(^w^;)
実用性はこのスタイルの為、ほぼ二人乗りと割り切りが見られ一応お飾り的なRrシートは設置していましたがこれは赤ちゃん用と思った方が良いという程度、その代わり前席は幅は限度ある為他社と変わらないモノの縦方向はかなりの余裕で軽としては驚きの余裕、Lカー並でした。
当時はまだ物品税が生きていて4ナンバー商用登録であれば圧倒的に新車登録時の税制が有利であった為、元々後席を飾りにするほぼ2シーター的なクルマであった事も働き4ナンバーバン登録モデルを主力とし5ナンバーも一応用意されてはいましたがバリェーションもバンが充実していました。
完全セダンタイプの軽に関しては5と4の後席の違いは天と地でしたがリーザの場合5であってもそれは殆ど機能しないため圧倒的に4が有利です、何故5を用意したのかが理解できませんでした。。。
ただバンは当時の法規からRrウィンドウに荷崩れ破損防止用のバーが義務付けられていたのでミラやアルトではこれが窓から覗いていてもそう違和感はなかったのですがリーザのような“スタイリッシュ”を訴求するデザインだとこのバーが非常にアンバランス、これ考えると5の存在価値もあったのかも…
インテリアやインパネのデザインは凝った外観の割には至って普通の印象、ミラでは評判の良かったトレイタイプの2段式インパネではなくごく普通の一体型、仕上がりはさすがトヨタグループ!当時の軽自動車としては異例なフルトリムのインテリアは軽としては上等な出来だったと思います。
↓インパネはごく普通の印象、スポーティなイメージは感じないながら上質な仕上がり。
エンジンや脚廻りはベースのミラからの流用、搭載されるEB型水冷3気筒OHCは普及タイプがシングルキャブ32ps、スポーツモデルのバンZターボにインタークーラーターボ付き50psを搭載、ミッションは4/5MTと2ATがグレードにより載せ分けられています。
バンを主力としていたのでターボモデルは4ナンバーに設定というのもこの時代特有のラインナップでした!
足はFr:ストラット/Rr:セミトレの4独で普及型は可もなく不可もないモノ、しかしターボモデルでは明らかに役不足で最低ショックはもう少しハードなものに変えてやりたいところ、ただハンドリングはラック&ピニオンの為、前期のパワーアシストがない時代でも重々しくなくFFの悪癖も顕著でもなく満足、逆に後期でパワステが用意されましたがこれの感覚、何と言うか…飛ばすと頼りなく前輪の位置がつかみにくい感じがして個人的には重ステ時代の方が好きなフィーリングでした。
このリーザのターボ(後追加のTR-ZZ EFI)は友人が乗っていて何度か借りましたがコレは速いです、とにかく!!
ミラTR-XXも初めて乗った時は危険を感じる速さで驚きましたがリーザも同様、着座位置のせいかミラほど不安は感じず、さりとて安心して飛ばせるまではいかないながら楽に1.2~1.3Lクラスのスポーティモデルならカモれる実力がありあの“韋駄天ターボ”で鳴らしたEP71スターレットターボやマーチターボでも出足では互角、1.6LでもNAなら苦労せずついてゆけました!
ただシャージもボディも大パワーに追い付いてなく少しハードに振るとキシミ、ユガミが嫌でも分かってしまいこの意味での危険さはミラと同様でパワー感は大差を感じないながらシャーシではやはりワークスやダンガンが少し上に感じましたネー。
リーザは発売後、特に女性に支持されたと記憶しています。
ミラもミニカ、レックス等より女性の支持が高いモノでしたがリーザは特にスタイリングが女性的だったのもあるのでしょう、男性では少々恥ずかしい感じでしたがリーザは女性がよく似合う、そんなイメージをワタクシは持ってます・・・
スズキのセルボも女性ターゲットでしたから良きライバルで激戦だったようで人気、販売とも一定の数字は出したようですね、ただ当時はミラがあまりにも人気だった為コレには及ばなかったと元ダイハツマンは申しておりましたが。
リーザの改歴ですが発売後、女性支持が多い という部分から87y~女性をターゲットにした特別仕様の「チャチャ」と男性にもアピールしたエアロ付き「オキシー(OXY)」を設定、89/1に初のマイチェンを受けます。
全般的にはお約束のフェイスリフト(テールはほぼ変更ナシ)と内装デザインの変更がなされましたがこの時最上級グレードとして「TR-ZZ」を設定します。
TR-ZZは本格エアロのいかつい出で立ちで人気のミラTR-XX同様に従来のTOPグレード「Z」をより鋭いエアロで武装しながら高級感を持たせたモノでした!(TR-ZZによりZは廃版)
↓89/1追加の最高峰「TR-ZZ」
TR-ZZには従来のZと同一のキャブターボ50psとEFIターボ64psの2種を設定、前年ミラTR-XX EFIターボの心臓をそのまま移植したスーパーミニでありその実力は先記の通りです。
尚この時同時に上級ATモデルには3ATを設定しています。
89/4、一時5ナンバーモデルを廃版にしますが同年10月に特別仕様車「ケンドーンS」として1グレードのみ復活、90/8に一部変更を受けます。
変更の大きな点は“エンジン”、この年は軽自動車の規格改正が行われダイハツもミラや軽トラハイゼット等は既に(90/3)フルチェンジとマイチェンにて新規格化(550cc→660cc)していましたが遅れる事半年でリーザも新規格660となりました、これにより型式は「L111S」に変更、そう、型式「S」が示すようにこの時からリーザは5ナンバー・セダンのみのラインナップとなっています。
これは消費税導入の代りに物品税が廃止され軽商用4ナンバーはこれまでの有利さがなくなってしまいそれならばと5ナンバーに絞った訳です。
尚ボディはL100時代と同様ですが前後バンパーの大型化により全長がやや伸びています。グレードも大幅に整理され廉価版RとOXY(オキシー)、女性向けチャチャの3種、エンジンや駆動系はベースのミラ(クオーレは消滅)がL200系に代替わりしたのを受けベースをこれに変更、搭載エンジンも一旦はL200の普及タイプ660cc EF-HL型直3 OHC キヤブ50psのみに一旦統一しています。
↓後期型660OXY
91/1 、ミラTR-XXと同一のEF-JL型直3 OHC EFIインタークーラーターボ64psを搭載するOXY-Rを追加し91/11、オープンモデルの「スパイダー」が追加されました!
“スパイダー”はダイハツのかつて人気が高かったオープンカー「コンパーノ・スパイダー」にちなんで久しぶりのオープンにちなんで命名されました、この年のモーターシューに参考出品され評判が良く市販化に踏み切った事。
↓91/11追加の本格オープンは由緒ある“スパイダー”を名乗る!
スパイダーはショーモデルではセダン同様Rrのミニマムシートが存在してましたが市販化では思い切って2シーターに変更、これは英断だったと思います!!
このようなモデルだからこそ2シーターに非常に意味がある!ワタクシは思っています、元々実用性のないRrシートをほんの少しの実用を考え残したところで役には立たず完全遊びクルマのスパイダーだからこそこういった贅沢さが許されてオッケーだと思います…
スパイダーはセダンのルーフをバッサリ切りボディを補強、このため車重は90kg増加、エンジンはターボ仕様のみ。
このスパイダーもあるテストで乗ったのですが完全に雰囲気を楽しむモデルとしてダイハツが掲げたライバルのカプチーノやビートが走りの部分にかなり真剣だった専用設計に較べるとどうしてもセダン=ミラベースの為これらには劣りましたねー、ボディ剛性も普通に走る分には問題ないですが波状路や連続コーナーではすぐボディが音を上げてしまいゆがみが怖くて飛ばせないナ~が実感、そういう走りをするモデルではないので欠点ではないと思いますが少し不安の残る仕上がりで幌使用時の快適性も今一歩でした。。。
パワーは元々危険に感じる程のモノですからセダンと較べるとウェイト増の分、損ですが殆どそれを感じさせない機敏さは失ってなかったと思います!
↓スパイダーのキャビンは雰囲気満点!
スパイダーのスタイルは賛否両論でワタクシ的にはベースのデザイン、しつこいですがルーフ部の直線部分が足りなくてこのクルマのスタイルを破綻させていたと考えていたのでその問題部分がバッサリなくなり“なかなかじゃん!!”と思っていました、しかしオリジナルデザインが好みだった層には不評、実用性も低く最大の売りである“スタイリッシュ”という部分でも!?評価だったらしく僅か380台の生産で93/5、本流のリーザ製廃と同時にスパイダーもお亡くなりになっています。
リーザ製廃の前年92/1にダイハツはやはりミラベースのスペシャル軽として「オプティ」(L300S型)を既に発売しており後継はこのクルマ充たると思いますがオプティはリーザとは異なるコンセプトで実用性も考慮されモデル全体を完全に女性ターゲットに絞っていました、立位置的に ~ミラの分身~ という部分で共通しますが車的、性格的にはリーザとは異なる為、リーザを立派な『一発屋!!!』に認定しました!
↓後継となる初代オプティ、1年以上リーザと併売
一方のスパイダーは現行コペンがその意思を継いでいますネ、スパイダーの欠点を見事に修正し現在実用、ハイト系全盛の中で一人オープン、スペシャル系として気を吐き見かける度にリーザ・スパイダーの存在が無駄でなかったと思うとホッとします(^^)
リーザ、出だし(発売時)はそこそこ売れ評判良かったんですげねー、イマイチこの時期のスペシャリティとしては思い切りがなくミラと大して変わらず訴求性が低かったかもしれません、最後はこのメーカーの得意の1代限りで終了しましたがバブリー軽時代の遺物、コイツは『軽スペシャリティになりきれなかった一発屋!!!』として憶えておこうと思います!