いすゞプラザ訪問記念、、第5弾は『WFR51、62/WFS51、62型ファーゴ(ワゴン=WFR:2WD WFS:4WD)』を取り上げます!
※2011年9月UP
ファーゴ…憶えてますか? てか若い方はご存じないクルマかもしれませんね・・・
今や乗用車生産/販売から撤退したいすゞは有名な乗用車=ジェミニや117/ピアッツァだけではなく多人数乗車可能&RVの1BOXも造っていました、それがファーゴワゴンです。
ファーゴはバン/マイクロバス(15人乗り)とトラックもラインナップ(むしろバンがメイン)してましたがココではワゴンを中心に取り上げバン/トラ/バスの詳細は割愛させて頂きます。
ファーゴワゴン、一般的にはレア車になるかもしれませんがいすゞ勤めの友人がかつて愛用しておりレジャーではよく借りコイツが1BOXの楽しさを教えてくれたワタクシには結構思い入れ深いクルマです。
尚、ファーゴは95年に2代目が発売されてますがこれはネーミングのみを継いだモノ、実質はそれまでのライバルの一つである日産キャラバン/ホーミーE24型のOEMとなっていますので初代ファーゴは立派な『一発屋』認定ですネ!!
初代ファーゴ、発売は大昔の81/1、いすゞ初の1BOXワゴンとしてバンと共に発売されました!
↓カプセルのような流麗スタイルが特徴的だった81/1発売のファーゴ・ワゴン(期型)
ファーゴ、いすゞではそれまで重量級運搬用にトラックベースのエルフルートバンが唯一のキャブオーバー型クローズドボディの貨物車でしたが当時、需要の高まった宅配用/小口配達用に小型キャブオーバーのバンとして開発されました、しかし70年代後半から始まった1BOXブームにも参画しようとバンに加えられて乗用ワゴンとして手直しされデビューしています。
サイズ的にはフルサイズ1BOXでありライバルはトヨタ・ハイエース(♯H20系)や日産キャラバン/ホーミー(E23型)となっていました!
この為室内はとにかく広大でカプセル型のボディと広いグラスエリアのおかげで実寸以上に広々した明るい室内が印象的でこのクラスになるとさすがに最前席でも窮屈感はなく全体がゆったり座れました(但し3人掛けするとキツキツ…汗)
当初はバンの付属的存在だった為グレードは3種、搭載エンジンは1種、ミッションもコラム5MTのみというラインナップで当時ライバル車達は1BOXブーム到来でベースはファーゴ同様バンながらATやフロアMT、サンルーフ、回転対座シート等のRV装備、イージードライブが常識化していた中でファーゴワゴンはこれら装備や設定がなく非常に不利、バンはそれなりの販売台数を記録しながらワゴンはあまり見かけずどちらかと言えば送迎用のマイクロの方がバン以外では見かけるのでは?という状況でしたねー。
ワタクシの地元はいすゞの地元(神奈川県)ですので他県より比較的多いとは思いますが初期型ワゴンは非常に少なかったです・・・
↓お膝元の神奈川県、川崎(当時)と藤沢はいすゞの聖地なので公用車に多く見られました。
(写真は中期型消防指揮車)
さて、ファーゴワゴンの概要ですがスタイリングは当時としては先進的でカプセルのようなスタイリッシュなモノ、個人的にはスタイルだけはライバルよりは美しくお洒落だったと思います!
エンジンはいすゞらしくワゴンはディーゼルエンジンのみで4FC1型 2L D 直4 66ps(グロス)を搭載、このDは後年に経験ありますが2Lではさすがに非力、友人のヤツは後に換装されたD-T(ディーゼルターボ)だったのでさほど非力感はありませんでしたがNAではDの特徴であるトルク感も不満、元々乗用車(ジェミニ)ベースのエンジンなので1t少々のこれと較べファーゴは1t半、厳しかったですねー。
ハイエース、キャラ/ホーもこの時代はNAですしいすゞのDと較べるとあらゆる面で劣っていましたがこれらはガソリン車もラインナップされており“乗用”としてはまだガソリン車が有利の時代でしたからいすゞのDに対する意地は感じたもののこの面では不利だったかもしれません。(ファーゴもバンにはガソリン設定アリ)
脚廻りはFr:Wウィッシュボーン、Rr:リーフリジット 乗り味はこの形式では容易に想像が付くとは思いますが良く言えばしっかり踏ん張り頼れる足、悪く言えばトラックに近い堅さで後席でもそれが分かる程のハードさ、運転席は悪路では悲惨でした~。
キャブオーバーですのである程度は仕方ないですがバン、エルフ(トラック)とそう変わらない堅さ、ある意味いすゞらしかったかもです(笑)
グレードはジェミニを彷彿させる設定で9人乗りにLS/LT、10人乗りにLDを用意、ミッションは5速コラムのみ、駆動はFRです。
改歴は下記の通り。
(82/7)一部変更=LSにフロアシフト(5MT)と回転対座シート、サンルーフ装着モデルをラインナップしライバルに遜色ない装備を得ます。
↓フロアシフト設定がなされたLSのインパネ
(84/1)エンジン換装=ターボ化 4FC1型Dエンジンはターボ付きとなり66ps→82ps(グロス)パワーUP!! 友人が乗っていたのはこの時期のファーゴで“速い”とはお世辞には言えませんが必要充分なパワーはありこの時代のターボですのでドッカン気味(絶対パワーはないのでほんの少しのドッカン)で音はイイ音してました~!
(84/11)パートタイム式4WDを新設定、バンは前年に4駆設定をしていましたが好評の為ワゴンにも設定しRV要素を強めています。
(86/1)発売5年で初の小変更を除く初のマイチェンを実施、異形ライトと新デザインの顔に変更、新色ボディカラーや新柄シート、内装もスポーティなイメージ化を行っています。
↓5年目でのマイチェンにてより現代的にイメージ変更、中期型に。
(87/1)2駆モデルのみに4速ATを設定、発売6年でようやくイージードライブに対応、この時期からそれまでバン重視→乗用モデルを充実化してゆきます
(88/10)キャブオーバートラックのエントリーモデル、ファーゴトラックを新設定、2tベースのエルフの1ランク下で1tベースとなりエルフが物流関係で信頼性が高くこの下、一般商店の小口配送用に発売。
↓88/10~はトラックもラインナップ(写真は91年型)
(91/1)2度目のマイチェンでフェイスリフトと各部デザイン、味付けを変更します。
グリルをスポーティ化、内外装をより高級イメージにします。
また、エンジンを換装し4FG1型2.4L OHC 直4 85ps/16.2kgm(ネット)を新搭載、ターボ→NA化しておりこの関係から型式を従来の51→62型に変更。
↓91/1~後期型
↓10年ぶりの新エンジン4FG1型を搭載!
(93/8)小変更にて最終型となります!
内外装に大きな変更はありませんが安全対策がなされ再びエンジンをターボ化、4FG1型にターボを装着しpsはそのままにトルクを17.5kgmにUP、このエンジン搭載車は経験ないのですがNAの4FG1でも充分な乗り味でしたのでトルクフルになっている分最終型として完成の域に達していたのでは?と推測します。。。
↓93/8~再度ターボエンジン搭載の最終モデル(4WD LSサンルーフ)
↓最終型Rrビュー、しかしRrは初期からほぼ変更なし。
このようなファーゴワゴン、いすゞの御多聞に漏れず各部リフレッシュを適宣行いましたが発売初期のワゴンモデルの冷遇とバンモデルが一定人気で需要も多く最初から最後までワゴンの存在は広まりまえんでした。しかし細々と15年の長寿をまっとうし95/8、後任をE24型日産キャラバン/ホーミーOEMが2代目を襲名、お役御免となります(これによりバス、トラックは廃版)
↓2代目ファーゴはそれまでのライバル車、キャラバン/ホーミーに!!
E24になり立ての頃はいすゞ社内でも非常に複雑だったようでディーラーさんも昨日までライバル視していたキャラバン(ホーミー)を今日から売るというのに切り替えが大変だったようです、今でこそ各社OEMが当たり前になっていますが95年当時はまだまだ各メーカー、例え売れなくても自社製品で頑張る時代、E24といすゞのエルフ→日産アトラス/UDコンドルの相互OEMでいすゞが乗用車撤退を決めた事によるファーゴのOEM化=OEM活発の走りでした。
初代ファーゴ、横綱ハイエース、キャラ/ホーに果敢に挑戦し最初から最後まで勝負にはなりませんでしたがいすゞが乗用車にヤル気満マン時代の証人ですね、このクルマも見なくなりましたが忘れたくない1台です!