今回はギャラン=5代目、エテルナ及びΣとしては3代目となる『E12/13/15/17/18AギャランΣ・エテルナΣ』を取り上げます。
A50系↑(UP!!!)NG↓(DOWN!!)初代Σ(Λ)↑2代目Σ(Λ)↓とまさにジェットコースターのようなUP/DOWNを繰り返すコルト~ギャラン系の人(車)生!今モデルははいかなる展開となるのか!?!?!?
3代目E1系Σ、これはちょうどこの時期三菱の車輛型式改訂期にあたり以前は三菱の場合乗用車であればモデルに関わらずに『A』が頭文字、以後の数値でモデルを表す方式を改め車種が増えた事に対応する為、最初のローマ字でモデルを判断する表記に改訂、これにより『E』→ギャラン・エテルナ系、『S』→デボネア、『C』→ミラージュ・ランサー系、『D』→シャリオ、『H』→ミニカ、『P』→デリカと分類され3代目Σはこれが適用された型式を名乗ります!
E10系Σは83/8、先代の寿命を大幅に残しながら時代の要請からFF化されて新たな局面に入ったΣとなります。
FF化によりシャーシはもちろん隅々まで新設計、先代があまりににも好評だった初代Σを外見上キープコンセプトにした為2代目デビュー直後から飽きられた感の強かったスタイリングは大幅に見直されています。
尚、ギャランとエテルナの違いは先代までと同様で販売店違い、エクステリア意匠違いとなります。
↓83/8登場の新星FF Σ!(ギャランΣ1800スーパーツーリング前期型)
↓ギャランΣ1800スーパーツーリング(前期)
初代~2代目ではセミファストバックでセダンとしては背を低くし多少キャビンスペースを犠牲にしてでもスタイリッシュにこだわったスタイルが特徴でしたがE10系ではFF化による居住スペース拡大を最大限アピール、高さも上げサイズも大きくし従来型までの弱点だった“車室空間”の余裕をアピールします!
スタイルは完全ノッチバックの正統派のセダン・スタイル、直線基調でスラントノーズやサイドウィンドゥの処理やRrホイールアーチのデザインに従来の面影は残すもイメージは90年代を見据える新鮮なモノでした。
↓最高級グレードのギャランΣ2000ロイヤル(前期)
それでは車両概要です。
(サイズ)
:全長4560全幅1695高1385ホイールベース2660(以上mm)
(車重)
1120kg =GSR-X
(エンジン)
1800シリーズ:サターン G37B型 直4 OHCシングル電子キャブ105ps
1800ターボ:シリウス G62B型 直4 OHC ECI ターボ 135ps
2000シリーズ:シリウス G63B型 直4 OHC 電子キャブ110ps
2000ターボ:シリウス G63B 直4 OHC ECI ターボ 145ps
(以上全て横置き搭載)
(駆動)
FF
(ミッション)
4速・5速MT/電子制御(ELC)3速・4速AT
(脚回り)
Fr:ストラット/Rr:3リンクト-ションアクスルコイル
(グレード)
1800(E12A):LS/LG/LXツーリング/スーパーツーリング/スーパーサルーンエクストラ
1800ターボ(E13A):スーパーツーリングターボ
2000(E15A):スーパーサルーンエクストラ/ロイヤル
2000ターボ(E15A):GSR-X
上記の通りホイールベースがFF化の為10cm以上先代より伸び逆に全長は若干短くなっています、横方向(幅)は5ナンバーいっぱいまで広げられ先記のように全高も大きくなり数字だけでも居室の拡大を連想させますね!
実際E10系の乗車体験ではとにかく広いという印象でした。旧型までがやはりどことなく窮屈な印象があったせいもありますが数値以上の広々感で特に後席のゆったり度は先代と較べ隔世の感アリです、ただ当時は既にライバル車もFF化しておりこの中の一つ、82y登場のトヨタSV10系カムリ(ビスタ)はクラス最大の車室空間を誇っておりこれに較べると劣る感じ、Σはカムリより前方視界が低く特に後席から前方を眺めた視界はカムリ以上のモノは当時なくこの点でもカムリはより広大な空間を体験できたのもあると思います。
ただΣがクラスで極端に劣るとかではなくあくまで“広さ”では秀逸だったSV10カムリとの比較であり他ライバルのU11ブルや150コロナと比較しても全く遜色ない空間を得ていました!
↓1800スーパーツーリングの室内
インパネデザインはかつてのように冒険はなくスクエアな至って平凡なレイアウト、乗った感じは使い易く上質で何の不満もない代りに刺激もないです、まーファミリーセダンですからこれでいいのですが個人的には“スポーツセダン”のイメージがやはり強いギャラン系のインパネはもう少し派手であって欲しかった と。。。
↓1800スーパーツーリングのインパネ
そうそう、E10系からはワタクシの嫌いなクラスタースイッチも採用(理由→こちら)されています。
↓よせばいいのに流行りの“クラスタースイッチ”を採用!
↓最高級「ロイヤル」のインパネ&インテリア
搭載エンジンは全てFF化の為、横置きとされておりほぼ先代からの継承ですが全エンジンを“エレクトロジェット”、つまりは電子制御化しており1800のみシリウス系からサターンエンジンの発展型であるG37Bに変更して電子キャブを採用、他は従来型のシリウスECI(NA/ターボ)となりこの段階ではディーゼルはラインナップ外となっています。尚、記載していませんが全て80(サイレントシャフト付)で当然53年対策です。
↓新搭載された1800 G37B型サターン電子キャブエンジン
E10系はシリーズ全体がマイルドなイメージになり普及グレード、高級グレード共に必要異常な派手さや悪趣味キンキラ要素は抑えシンプルな印象がgood!! 先代ではターボの追加等もありやたらスポーツ度を宣伝していましたがこれを下級ランサーターボやΛの生まれ変わりのスタリオンに任せスポーツグレードのGSR-Xですら素っ気ない程のシンプルなイメージになっています、走りですがE10系の初期は1800スーパーツーリング(NA)の経験があり極めてフツー。
”スーパーバランスサス”と銘打って新設定された脚廻りですがあまり好きな乗り味ではなくロールが結構出ており酔う迄は大袈裟でも初のFFミドルクラスと言う点を差し引いてももう少ししっかりとした主張が欲しい設定でしたねー、GSR-Xやターボ系ではまた違うでしょうし後で触れます後期モデルでは別印象の脚になっいましたが…
ただE10系は他ライバルに較べるとさほどFFを意識させる事はなくフツーに走る分には従来型FRからの乗り換えでも戸惑う事はなかったと思います。
コロナも比較的それを感じさせませんがU11ブルやホンダのアコード等の同年代はトラクションやハンドリングにまだまだFFを色濃く主張する部分がありFF嫌いのワタシでもさほど抵抗なく乗れました!
↓新開発のサスはFF化により特にRrは見た目頼りなさげの3リンクに!
それではモデル改歴です。
(84/2)
E10系となって途絶えていたディーゼル(以下D)シリーズと廉価版1600シリーズが追加されます。
Dは新開発の1800Dエンジンであるシリウス4D65型インタークーラーターボ直4 OHC
85ps/17kgを搭載、これも経験ありますがDに関しては明らかにアンダーパワー、やはり排気量の差もありNAながら旧4D55 2300Dの方が個人的には“快速”の感はありました、4D65はターボ付きなので加速に不満はありませんでした瞬発力や登坂での不満が大きかったです。
1600はお馴染サターンG32B型でこれも電子キャブにより92psにパワーを上げて参戦、LS/LXを1600に移しています。
(84/6)
菱ヲタにとっては伝説のエンジン、可変バルブ式3バルブ化した「シリウスDASH」とネーミングされたG63BT、インタークーラーターボ グロス200psという強大スペックエンジンを同社のスポーツカー、スタリオンと共に頂点となる「スーパーエクシード」に新搭載しています。
スーパーエクシードはそれまでのスポーツグレード最上級、GSR-Xの更に上級に位置しより豪華にかつGSR-Xよりその高性能を受け止めるべくスーパーバランスサスも強化、固められたその脚は1800で経験した頼りなさは感じられず大袈裟なロールもなくなり真っすぐ走る分には不満なく安心して飛ばせるモノでした、ただ200psのパワーには特に峠などワインティングではパワーに負ける、と言うかFFでは明らかに役不足でFRで同時にこのエンジンが搭載されたスタリオンの方が駆動に慣れてる分荒く乗れた印象大ですネ。
シリウスダッシュは独特な加速感で従来のG63Bターボの ~スーーッと加速~ または後年のE30系VR-4の荒々しく獰猛な加速とは異なる、何と言うかこのこめかみを掴まれてグイッと引っ張られるような感覚が非常に魅力あるエンジンでしたねー。
VR-4やエボで名機と謳われたDOHC4バルブインタークーラーターボの4G63が後にあまりにもメジャー化したので忘れかけられていますが非常に印象にあるG63系エンジンのもう一つの傑作だと思います!
このシリウスダッシュは当時の最速と言われたDR30スカイラインのRSターボ(205ps)に継ぐ2L 200psエンジンでもあり性能や専門誌のドライビングテストデータ
ではほぼ互角な実力を示し注目度も高いものでしたが見た目が大人しいΣでは“羊の皮を…”的存在だったかもしれません。
↓3×2 可変バルブインタークーラーターボという強烈なシリウスダッシュエンジンが追加!
↓シリウスダッシュを搭載した「2000スーパーエクシード」
(84/10)
新たに4HTが追加されます(型式E15A)
当時は2HTブームが消え去りΣの2HTバージョンであったΛも細々販売されてはいましたがこれを製廃としトヨタのマークⅡをTOPとする人気が沸騰する“4HT”市場にΣも名乗りを挙げました。
4HTは従来のセダンとはデザインの基本は同一ながら6ライトや各部意匠には差別化がなされいかにもターゲットとしたマークⅡ(GX71)やローレル(C31)を意識した内外装でスッキリしたセダンをややゴテゴテにし個人的には「マークⅡになりたかった」感が見え見えであまりいい印象はなかったです。
4HTは2000のみの設定、バリェーションはセダンとは別展開がなされ上からVR/VX/CX/CS/VS/VCをラインナップ、VRにダッシュ、VX、CXにターボ145ps、他がNA電キャブ110psを搭載していました。
↓新追加の4HT、内外装とも人気絶頂だったGX71マークⅡをかなり意識
(4HT2000VR)
(84/11)
セダンのみMC、豪華仕様のロイヤルとスーパーサルーンエクストラの顔付を変更、大型グリルにしより外観上の豪華さを強調、1800スーパーツーリングターボにエアロパーツをまとった「スーパーツーリンブエアロターボ」(ともに搭載エンジンに変更なし)を新設定しています。
↓84/11~ 大型グリル化された「2000ロイヤル」
↓新追加の「1800スーパーツーリングエアロターボ」
またこの時、先代のまま生産されていたエステートバンとタクシー仕様のうちタクシーのみE10系にFMC、以後このタクシー仕様は6代目ギャランE30系~8代目EA/EC系半ば(99y)まで生きた長寿車でした!
FFのタクシーであったため都市部より地方、特に雪国での導入が多かったようです。
↓84~99yの15年生存したE10系Σタクシー
(85/6)
4HTにVRエクストラを設定、従来の4HT VRをベースにこれが5MTのみだったところにELC 4ATを搭載しクルーズコントロール、オートライト等より豪華装備がなされています。また、セダンにギャラン生産300万台達成記念グレードの特別仕様車「EXE」を設定。
↓4HTに新追加のVRエクストラ(㊤Fr㊦Rr)
(86/2)
セダン、再度のMC。
Fr/Rrの意匠変更が行われ後期型となります、最もここで変わったのが一部モデルの搭載エンジンが変更され前月に三菱が自信を持って発表した新開発である「CYCLONE(サイクロン」エンジンがデビューします。
これは従来型G63Bの燃焼室を大幅改良、吸気系を新設計して強力な流れ=最高速流れ=サイクロン流を発生させ低速トルク向上、レスポンス向上によりドライバビリティ向上を果たしたエンジンで当初はダッシュのG63Bと1800Dを除いてこれに換装、後にダッシュも変更されシルウスダッシュ→サイクロンダッシュにネーミング変更されています(エンジン型式やスペックに変更なし)また、ECI→ECIマルチに変更。
フェイスリフトはこれまでボディ一体ヘッドライトを角目4灯に改めグリル変更も行われています、Rrも従来型がテールランプ間にガーニッシュ1本で結びバンパー下にナンバープレ-トというレイアウトだったものに対しナンバーをバンパー上にレイアウト、テールランプ間に装着しています。
↓86/2~ 後期モデル(1800LXサルーン)
(86/10)
4HTのMC、前後意匠の変更がなされています、内訳はグリルデザインとテールランプのデザイン変更のみで大きな変化はありません。
大きい変化は搭載エンジンで永年サイレントシャフトの80エンジンで並居るライバル6発の向こうを張ってきましたが遂に、と言うかやっと6発エンジンがΣ(セダン/4HT)にも搭載されました!
新たに搭載されたのは22年ぶりにFMCされた上級車デボネアV(86/8登場)に搭載された新開発の6G61型サイクロンV6 OHC ECI 105ps(ネット)を移植、ライバルに遜色ない静粛性とスムーズさを武器に加えています。
ただこのV6 2000は静かでスムーズではありましたがパワーはイマイチで縦6のトヨタ1Gや同じV6の日産VG20Eと比較して後発でも飛び抜けた性能ではなく個人的にはG63Bの方がエンジンが軽量な分、俊敏さは上だったと思いますネ。
↓86/10に追加されたセダンV6 2000エクシードエクストラ
↓86/10~後期型4HT(CSエクストラV6)
↓後期型4HT VRエクストラのRrビユー
尚、このV6発売により2000 4気筒はターボ以外(G63B電子キャブ版)は廃版となっています。
(87/10)
次世代の6代目E30系ギャランが登場、Σは車種整理をしながら継続します。
この時点でFMCに当たるのは下級グレード(セダン1600~2000 4気筒モデルの殆ど)でE30系にこのクラスでのラインナップを任せ最終的にΣは上級車(V6や4HT)を90yにディアマンテ/シグマ(シグマはカタカナ表記)を後続にFMCして完全製廃となっています(E30系ギャランについては次回、ディアマンテ/シグマにつては次々回に取り上げる予定です)
つまりはE10系Σは一つの車種がギャランと90y発売のディアマンテに分離した訳で6代目ギャランはそれまでのΣよりクラス的には下位に位置、三菱の場合はこのクラス=ランサー~Σ間にはあのトレディアが存在していましたが売れ行き不振で製廃されており立位置的にはこれの後釜にもあたりますが「Σ」の文字を消し久しぶりに“ギャラン(エテルナ)”だけのネーミングになった8代目は新たなモデル=新星として迎えられています。
↓87/10に“新星”ギャランとして登場したE30系6代目ギャラン
三菱得意の新旧併売はここでもやっていますがこの時点でセダンで4年、4HTで3年経過しておりもう末期ですから思い切ってFMCすりゃいいものの(汗)
しかもこの頃はモデル末期でセダンは完全にもうDOWN症状、特にE30系が発売と同時に高い人気を示していたので果たしてΣセダンを残す意味あるの?って感じでした。4HTは低値ながら細々とした人気があった状況ですから4HTはディアマンテまでの繋ぎ役で存在価値はあるとも思いますが…
(88/2)
セダン/4HTともに小変更、最終型となります。
両モデルともグリルのフェイスリフトが行われ1800が4HTに新設、セダンの1800 G37Bが搭載されますがpsはネット表示となり85psとなります。
↓88/2~最終型セダン1800EXE
↓最終型4HT2000VRエクストラ
(89/5)
税制改正により3ナンバーの税金が大幅に引き下げられた事により4HTにデボネアVの3000cc 6G72型 V6 OHC ECI 150ps(ネット)を移植した最高峰「V6 3000デューク」(E18A型)が追加されます。
デュークはそれまでのVRエクストラをベースに更に豪華な内外装が与えられ2L V6ではやや物足りないパワーも3Lで23.5kgmというトルクフル、これの経験は残念ながらありませんが1300kgを超える車重としてもそのスペックと2L V6の経験から推察してかなりの余裕だったと思います!
↓89/5に追加されたV6 3000デューク、僅か1年の存在でディアマンテへの中継。
(90/5)
4HTは次期型初代ディアマンテ(F10/20系)にFMCとなり製廃となります。
↓Σ4HTのFMC版である初代「ディアマンテ」
(90/10)
Σシリーズで残っていたセダン2000V6(1800EXEはE30系ギャランEXEへ継承)も新星シグマ(ディアマンテベースのセダン)にFMC、ここで76年以来サブネームに「Σ」をネーミングしていたギャランΣ・エテルナΣは先記のように「Σ」が消えE30系ギャラン・エテルナ及F10/20系ディアマンテ・シグマへ完全にバトンタッチしました。(但しセダンのタクシー仕様のみ99yまで生存)
↓Σセダン上級(2L V6)のFMC版である「シグマ」
以上のように最後の「Σ」となった3代目Σ・エテルナ/5代目ギャランは発売~2、3年程度は爆発的ではないながらそれなりの評価は得て菱ファンを中心に安定的な売れ行きで決してNGや2代目Σのような失敗ではなくそれなりの街中でも見かけました、ただ後年モデルライフの4年を過ぎてから、特にE30系ギャランの発売以後は「まだコレ造ってるの?」状態で4HTでも急速に古ぼけた印象がありココからはDOWN!!でしょう、先代Λでも見られましたがやはり後続が出てしまうと仮にモデルライフがまだ4年に達していなくとも陳腐な印象になってしまうのは否めなくお家の事情や車種編成の都合理解できますが新旧併売、旧型を理由に大幅値引きという利点以外はやはり大した存在理由見つかりませんです。。。
このモデルはこれまでのように急激なDOWNではありませんが緩やかにDOWNし静かに消えたと言ったところですねー(=_=;)