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2011年09月01日

保存版“華麗なる一発屋!!!”…バモスホンダ・ホンダZ・ホンダライフステップバン編

保存版“華麗なる一発屋!!!”…バモスホンダ・ホンダZ・ホンダライフステップバン編
“華麗なる一発屋!!!”、今回は60年~70年代のまだ在野精神旺盛な時代のホンダの名作ミニ3車種をを取り上げます!

1967年(昭和42年)に発売以後、軽自動車の概念を変えたN360は爆発的ヒット作となり今では名車に数えられる一つであるのはご承知の通りですがあれだけ売れまくり人気も高かったN360、当然のように派生車種が次々にデビューします。

同じエンジンを使うキャブオーバー型トラック/バンのTNシリーズ(現在のアクティ)やN360後続(つまりは同じシャーシ)を使うユニークかつ実用性の高いライフステップバン(ピックアップ)、雰囲気のみながらバギー調で遊び精神旺盛なバモスホンダ(現在のバモスとは一切関わりなし)、スペシャリティカーのホンダZ等がそうなのですが今回はこの中からバモス、Z、ステップを取り上げたいと思います。

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(バモスホンダ)

“華麗なる一発屋!!!”、ホンダのカルト車?変態車?…実にマニアックな『TN360型バモスホンダ』になります。


バモス、現行でもありますねー ホンダの軽ミニバン…
但し現行は「ホンダ・バモス」が正式であり「バモス」が前に付くか後ろに付くかで全く異なるクルマになってしまします。
ホンダ・バモス(HM1/2型)はTN360の軽箱バンをルーツにする99yに発売された旧アクティストリートの次期型であり現在も人気の軽ミニバンの一つ、結構やんちゃ気味にドレスUPされた個体をよく見かけます…
ホンダバモスとバモスホンダではクルマ的脈略や殆どなく生い立ちに一部関連がある程度(先祖がT/TN360と言う軽トラ)で先日取り上げた“華麗なる一発屋!!!”…42のホンダZ同様、ホンダ製の軽自動車 という点が2車を比較した時、唯一の共通項!?って感じです、従ってバモスホンダは立派な『一発屋!!!』に認定しちゃいます!!

バモスホンダは70/11に登場した形式上は“軽トラック”となります。
但し普通に想像する軽自動車とはイメージを異にする出で立ちが大きなポイントです!
当時はアメリカで流行っていたサンドバギーというオフロード車に日本も注目し70年の大阪万博に限定で発売されたダイハツフェロー・バギーが登場、結局このバギーは日本では広まらなかったようですがこの時にホンダが提案したのがバモスホンダでした!

国産市販唯一のバギー車、ダイハツフェロー・バギーを意識!?


バモスホンダは既存の軽トラであるTN360のシャーシに個性的なボディを載せたモノ、軽ジープ(商標権の関係で“ジープ”とは名乗れませんでしたが…→ジープは三菱がライセンス生産の為)として高い注目を集めたスズキジムニー(70/4発売)とユニークなバギースタイルそのもののフェローバギーの中間のような性格で非常に独創的でした。
ジムニーのような本格4駆ではないながオープン、オフ車的要素がありながらら実用もある程度こなせフェローのような完全遊び車でもなくオールラウンダー的にオーナーが自由に使える楽しさがありスタイリング的にはあえて先記の2車に捉われない新感覚、Frにスペアタイヤを取り着けたにこやかな顔付も非常に個性的なモノでした、ワタクシは後年に2代目ミゼットが出た時はすぐにバモスホンダを思い出してしましました~(^^;)

ワタクシ、幼心にこのクルマは非常に強く印象に残りましたネー、ユニークな顔付とドアがない!というワイルド感は遊園地の乗り物の様で町に停まってるとシゲシゲ眺め暫く動きませんでした(笑)
今見るとゴルフ場のカートみたいな頼りなさですがコイツは行きつけの長野県のペンションのオーナーさんに頼まれ、昔納車で横浜~長野に納車した事がありその時初めて乗りました!
もうこのクルマに関しては力とか乗り心地とかを語るレベルではなくただただ楽しい(スリル満点)の一言!冬は乗れたモノではないと思いますが(ヒーターなんて当然空冷オープン商用車には設定されてません!!)走行時に“ガチャン”と装着する転落防止のバー1本だけで地面はすぐそこ、狭まっ苦しいキャビンとオープンにした時の解放感はクルマというより遊戯物、おもちゃに乗ってる気分でした。
走りは360ccながら軽い(データでは540kg!!)のとオープンor幌なので体感速度は実際の倍位に感じました!

ユニークなスタイルがカルトオーラ出しまくりの『バモスホンダ』(フォー)


↓「ツー」


↓「フルホロ」 


↓ベースは軽トラの「TN360」


バモスホンダは先記のように商用軽トラックのTN360がベース、エンジン/サスペンションも全て共通。
エンジンはN/TNで好評のお馴染N360E型空冷2気筒OHC、商用TN用にデチューンされた30psタイプを搭載、TN同様水平横置きで後輪駆動です。
脚はTN同様Fr:ストラット、Rr:ドデオンアクスルリーフ方式。

↓エンジンはN/TNでお馴染空冷N360E型エンジン


ボディは計3種類のボディが用意され全て取外し可能の幌車、2人乗りの「ツー」、4人乗りの「フォー」、4人乗りで荷台部まで全て幌が被る「フルホロ」が用意されていました、ワタクシ乗ったのはフォーという写真のヤツでしたが幌は雨よけ程度の効用だったと思います、走行感覚は幌を装着しようが外そうがオープンそのものでした。価格も比較的安価で「ツー」が321,000円、「フォー」が351,000円、「フルホロ」で369,000円というもの。

「フォー」のRrビュー


「フォー」幌開閉時


インパネ…と言うより計器盤と言った方がピッタリのメーター周りはワイルドそのもので鉄板むき出しでメーターがポンと付いてるだけながらオープンカーの為防水防塵だったとの事です。
運転操作に必要ないものは一切ない運転席はジープのそれに近いイメージですが惜しい事にジープや初代ジムニーのようにFrスクリーンは可倒式ではなく固定でした。

↓ワイルドそのもののインパネ


↓バイクのようにフラッシャーも左右点灯はなく[TURN]ランプ一つのみ


このクルマは一応?トラックですので立派な荷台も備えていたのも特徴的で「ツー」で約160omm(長さ)、TNにはないWキャブ的に荷物と4人の移動ができる「フォー/フルホロ」でも790㎜の内寸を持つ荷台は結構重宝していたようです。

こんなユニークでおもしろ車だったバモスホンダ、後年のバブルのような時期ならば生きる道もあったと思います、しかしこの時代では感覚的にこのような実用不向きなクルマはやはり評価は得られなかったようで発売2年半後の73年中旬には製廃となってしまします。
トラックとしてはオープンで冬場の使用が躊躇われジムニーのようなクロカン使用や当初ライバルとしたフェロー・バギーのような本格的な遊び車には徹しておらず故にその方面での評価も得られず“ハンパ”なイメージが災いし販売も伸びなかったとの事、本格4駆のジムニーが発売以後そのスタンスを永年貫き根強いファンに支えられているのとは正反対の運命を辿ってしまったように思います。
バモスホンダも4駆を発売する計画もあったらしくその証拠にシフトレバー前の丸い皿のような小物入れ?の部分にが2←→4のトランスファ切り替えシフトが付く予定だったとか!
実現はしなかったながらコイツの4WDが登場していたらジムニーの良きライバルとして魅力的でありまた生きる道も違ってたかもしれませんネ~。

↓軽4駆のパイオニア、ジムニーの敵にはなれず…


しかし今振り返れば充分にこのクルマも楽しさ、ユニークさ満点であり70年代初頭ならではの市販車でもありながら少し出るのが早過ぎた感がありますね矛盾しますが…
ステップバンといいこのバモスホンダといいユニークなクルマを送り出してきたホンダの独創性は時として失敗作、無駄と言われたクルマをも出したりしてましたがホンダのチャレンジ精神旺盛な青春時代を振り返ると実用と合理性、コストダウン一辺倒の現代が非常に淋しく感じてしまいます。。。

バモスホンダ、コイツは“華麗なるユニークミニ一発屋!!!”として忘れたくないクルマです!

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(ホンダZ)

“華麗なる一発屋!!!”、サブロク時代の軽の傑作車!名車!と言われる『SA型ホンダ・Z』を取り上げます!

ホンダZ…このネーミングは最近もありましたネ、98y~2002yに存在、床下にミッドシップエンジンを搭載した軽SUV!!  ん?ならばこれが2代目Zなので『一発屋』じゃねーべ!!
はい、その通りです。
その通りなのですが初代Zと2代目Zでは“軽自動車” “ホンダ製” と言う事以外全く共通項がなく性格や味付けも方や軽ハイパワーブームに呼応したスペシャリティ・ミニ、方やフルタイム4駆の背高SUV…
ですので名前のみの復活(初代と2代目では24年もの開きがあります!)と判断し初代Zは(2代目もですが…汗)一発屋として独断と偏見ながら認定させて頂きました~!!

な訳でホンダZ、先記の通り70年代前半に起きた軽ハイパワーブーム真っ只中の70/10にセダン(ホンダN360)ベースの軽スペシャリティカーとして登場しました!

そもそも軽ハイパワーブーム、これの先駆けとなったのがこのN360でN以前の軽と言えばせいぜい20ps、当然の如く2stエンジンの為白煙モクモクでようやく100kmを必死に達成する、そんな時代にいきなり4stのOHC、31ps、最高速度115kmというスペックで登場した訳ですから一躍人気者になりライバル他社がこのNを標的にし次々とパワーアップやフルチェン、ちょうど普通車の世界でもDOHC、ツインキャブ、RE等のハイパワー化が訪れこれに相応しいスポーツ、スペシャリティカーがもてはやされこの流れがNをきっかにしたヒパワー化が軽市場にも押し寄せていました。
Nを撃沈すべく各ライバル車はNの後発新型車でツインキャブを装備、リッター/100ps超のスーパーミニを次々に発売、ホンダも黙っておらずNに同様のスポーツモデル(N360TS)を追加して迎撃してましたが年々エスカレートする中、Nの鮮度落ち(67y発売)から後発三菱ミニカ、フェローMAX、スバルR-2等に見劣りし始めた為ホンダはNの車台、機構をそのままにスポーティなボディを載せた所謂“スペシャルティカー”を開発しホンダZとして発売したのでした。

70/10、軽初のスエシャリティカーとして登場!(前期型)


機構やエンジンはもちろんN360を踏襲し開発費を抑えています、横置きFF駆動やFrストラット/Rrリ-フリジットの脚廻りも当然Nそのもの、あの単車(CB450)のエンジンをそんままポンとボンネット内に収めたような空冷エンジンに単車そのものだったドッグクラッチもNそのままです。

↓Nで大きな話題を呼んだバイクそのもののN360E型空冷エンジン


↓ベースは“名車”の名を欲しいままにするN360!!


ホンダZはそのスタイリングが特徴的かつ実用性に優れており後発のスペシャリィティ・ミニがよりスポーツ度の高いボディ(フロンテとミニカがクーペボディ、フェローMAXはHT)で対抗してきましたがZはこれらとは異なる3ドアHB!しかしながらロングノーズでFrウィンドゥも傾斜を強めHBとして “どファミリー” 的な印象はなく小さいボディながら見事に 低く長く を実現していました。しかもこのボディ形式の為、ライバルが後席は赤ん坊以外使い道にならないモノだったところ大人がきちんと座れルーフもきちんと頭上までありしかも可等式シートと合わせると広大なる!?カーゴスペースまで用意され実用性/スポーツ性を兼ね添えたモデルでした!
尚、HBのRrハッチ部分がABS樹脂製そのままの黒色、この形態から『水中メガネ』の愛称で親しまれました(^^)

↓独特なハッチ形状で“水中メガネ”の愛称で親しまれました!(前期型)


Zはこの種のモデルとしては珍しいワイドバリェーション、当初4種の設定(上からGT、TS、PRO、ACT)で71/1に最高峰GSが追加され5種を誇るモノとなっています。

ACT/PROが N360E型空冷2気筒OHC 360cc シングルキャブ31psを、これ以上が同ツィンキャブ36psエンジンを搭載、最上級のGSはまだ普通車のスポーツグレードでも少なかった5MT(軽初搭載!)が奢られ他にもハードサス、145ラジアルタイヤ、前輪ディスクブレーキといった本格装備で人気を得ました。

71/1追加の最高峰GSは普通車スポーツをもアッと言わせた本格装備!


Zはインパネも兄貴分『ホンダ1300クーペ』が採用した“フライトコクピット”で武装、機能一辺倒だったNのそれとは違いソフトパッドで覆われた豪華な造形とされN同様のダッシュチェンジ(コラムとフロアの中間)ながらNよりはフロアに近い位置までシフトレバーを下げ最上級GSでは普通車並にセンターコンソロールまで採用し操作性と見た目の豪華さも実現させています。

↓GSのインパネ


このような充実度満点のZは発売後、Nが低下した戦闘能力を補い後発フロンテ・クーペとハイパワー・ミニの1、2を常に争う高人気を得、これを維持する為様々なバージョンUP!!と新モデル追加が矢継ぎ早に行われてゆきます…

まず、71/2にゴールデンシリーズを発売(以下G)、Gは外見を大人しくかつ高級イメージ化しておりシルバーのホイールとボディ同色ハッチ(例の水中メガネ部)が特徴、エンジンは31psチューンのみでした。
GにはATも設定しておりこれを一つのグレード化、他にカスタム、ホリディと高級版GTLがGの内容。尚、従来型はこの時にダイナミックシリーズ(以下D)と名付けられています。

71/12、Zは大きな変革がなされ時代の要請からいよいよ水冷化となります!
ベースのN360の進化版、NⅢ360が71/6、ホンダ・ライフにフルチェンジ(NⅢは車種整理して72yまでライフと併売)、ライフはハナから水冷で設計されておりシャーシも新設計、この為Zはボディスタイルはそのままにプラットフォームをこのライフのモノに変更、この為若干ホイールベースが延長となりよりロングノーズ化しています。 脚廻りには変更なく(形状的に) ストラット/リーフ式。
尚、この時に前後を意匠、FrグリルをHマーク&横線基調のデザインとしテールランプに赤一色から保安基準変更に合わせアンバーを追加、他各部小変更のマイチェンも実施され中期型に移行しますが71/12はまずDが、年が明けて72/1にGが中期になっています。

↓ライフべースになりよりロングノーズ化、グリルにHマークが入りやや大人しめのイメージとなった中期型


換装された水冷エンジンはライフのモノを換装、EA型360cc 直2 シングルキャブ30ps/ツインキャブ36psという性能でシングルで1psダウンながらツインではリッター/100psを維持!!

↓新たに搭載された水冷EA型エンジン


↓中期型以降はN360の後釜『ライフ』をベースに!


水冷化と同時にエンジン換装=ミッションも換装により例の特徴的だった“ダッシュチェンジ”が改められ通常のフロアシフト化がなされおり水冷になりN/Zでの最大のウォークポイントであったヒーターの機能が強化されています。
時代の要求による進化には間違いなく一つの完全なる自動車としてはこれが正しい道、しかしながら創意工夫のたまものであったNの特徴が次々に消されていったZに淋しさを感じたホンダ・ファンも多かったとか。

ワタクシZは後期の水冷しか経験ありませんがNは以前セカンドカーで乗っていた時期もあり確かにやかましくて高速時の熱ダレ感、登坂/渋滞での不安、冬場のエンジン熱ダイレクト送風のヒーターでOIL/ガソリン臭が酷い空冷(N)に較べごく普通に乗れ中期以降のZは安心でしたがNや前期Zのおもしろみさが消え去ったのも事実、荒々しさも空冷時代が強くて空冷→水冷を乗り較べるとあのフィーリングが味わえなくなった当時のファンの淋しさが実感できましたね~。

ただそれでも(中期以降)のZもサブロク特有の気の抜けないドライビングは健在でスズキや三菱の2stツインキャブ(3キャブ)程ではないにしろ狭いパワーバンドに合わせるようにギアチェンジを繰り返し少したあの感覚は懐かしいですな~~。

↓デザイン変更はないもののダッシュチェンジ→フロアに変更された中期型以降のインパネ


この後Zは72/11に二度めのマイチェンを実施し後期型となり普通車でブームになっていたHTボディを手に入れています。
従来型のフォルムはそのままにセンターピラーを廃し、ドアサッシュレス、Rr巻き上げサイドウィンドゥを新たに採用しました。
またFrとRrを以上変更、Frはハニカム二分割の彫の深いデザインに変更し高級感をUP!! テールはそれまで下部にスペアタイヤ収納の開口式取り出し口があったものをこれ(スペアタイヤ取り出し)をラゲッジ取り出しに変更、このため一体式Rrパネルとなり分割バンパー、ナンバプレートの下部への移動を行いイメージを一新します。
尚、これまでGとDに分けていたシリーズを一体化し旧Dシリーズの外装に統一、“水中メガネ”のみのボディエクステリアになりグレード名も一新しSS/GL/GT/GSSとされました!

72/11、後期型ではHTボディを採用


↓後期型Rrビュー、分割バンパー&ナンバー位置移動でイメージを一新


この後73/8に排ガス対策(48年規制=シャコールキャニスタ等の採用)と安全対策(ブレーキマスターシリンダー強化)を行い74年いっぱい生産されました。

来る昭和50年は軽の規格拡大、排ガス規制の強化などが待ち受けておりホンダはこれのクリアを断念、莫大な開発費をかけてこれをクリアしても採算でペイできない事が一点、急速に去った軽ハイパワーブームも手伝って軽乗用に情熱を失った事が一点、以上の理由と72yに発売した普通車・初代シビックが絶好調で永年の夢であった普通車市場でのメジャー化をようやく果たしばかりでこれの充実安定化と上級車開発(初代アコード)に専念する為、商用、軽トラのTN7(TN360の発展型)を残して軽乗用市場から撤退してしまいました。発売4年経過しながらまだまだ人気の高かったZの製廃は非常に惜しまれていたのを記憶しています。。。
この後88年の初代トゥデイ(JA-1)の乗用5ナンバー発売(4ナンバートゥデイ=JW-1型は85年登場)まで軽乗用市場には沈黙を決め込み冒頭で触れました通りZ製廃後24年を経て98y、新星『ホンダ・Z』が発売されています!

24年後の2代目?Zは全くコンセプトの違う軽SUV


ただ、しつこいですが2代目に初代Zからの継続性、共通性は全くない事からSA型ホンダZは文句ない『華麗なるミニ・スポーツ一発屋!!!』とワタクシは信じて疑いませんです!

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(ホンダライフステップバン/ライフピックアップ)

今回は生存は僅か2年少しでしたが後年、70年代後半~80年代にその変わった?個性ある出で立ちから人気となりわが国では少ない軽商業車ながらの『名車』とされているコイツ→『VA型ホンダライフ・ステップバン』を取り上げます!


ホンダライフ・ステップ・バンはまだ軽自動車規格が360cc時代の72/9に発売された全く新しい思想の軽商用車として登場しました。
ベースをセダンである「ホンダライフ」としこのシャーシに現代のミニバンや軽箱バンで主流となったカタチ=1.5BOXとなる“セミキャブオーバー”のボディをまとってデビューしました!!

見慣れない1.5BOXセミキャブオーバースタイルでデビューした『ステップバン』


新車販売時は鳴かず飛ばず…しかし製廃後や後年に人気がウナギ登りになる、というモデルは他にも多い(特に日産)ですがこのステップ・バンはその最たるモノ、特に軽商用でこのようなケースは少なく他に目立つのは先日 “華麗なる一発屋!!!”…33 で取り上げたスズキ・マイティボーイ位でしようか…

このステップ・バンが発売された時代、ワタクシはまだ小学生でしたが子供心に「変なカッコで最悪~」と思いました!
市場の反応もどうやら子供の感覚と同様だったらしく新車時は街で見かける回数も少なく滅多に当時走ってる;姿って記憶にありません…
しかしながら後年、サーファー(丘含む)を中心にブームが起き、現在製廃30年を過ぎながらも愛用者、クラブ等が存在するという現実を誰が当時想像できたか…それ位の不人気車でした。

当時ステップバンが不人気だった理由は割と単純明快で一口に言えば「産まれたのが早過ぎた」=「異端児」だった事ですね。

当時は商業車の場合、軽バン(トラック)はキャブオーバータイプかボンバン(ピックアップ)が当たり前の形態、前者は同じホンダのTN360(現在のアクティやバモスの先祖)や三菱ミニキャブ、スズキキャリィ、ダイハツハイゼット、後者はライフバン、ミニカバン、フロンテハッチ(アルトの先祖)やフェローバン(ミラの先祖)が常識のところに見慣れないセミキャブの妙に背高のバンでしたから「異端児扱い」も当然の事、この形式は海外等では小口配達専用バンでは既に広まってきていたのですが国内でこの形態を取ったのはステップバンが初!! 当然“ミニバン”なんて言葉はありませんでしたが今見ても全く違和感ないスタイリングでグラスエリアが小さい以外は現代の軽ハイト系や軽箱バン、ミニバンと同じスタイリングでもありFFという点を除くと似たような造りというのも驚き!

FFセダンのライフをベースにした事によりエンジン他動力系を全て前方にまとめボンネットを設ける事により乗降性(軽バンでは小口配達などで乗り降り回数が多くこの「乗降性」も立派な設計思想になりえます)と慣れていた乗用車(3BOX=ボンネット付きという意味)から違和感なく乗り換えができる!! を売りとしていたのも現在のミニバン各社がデビューした時にセールスポイントとしていたのも記憶に新しいと思います。
現代車は衝突安全基準によるクラッシユスペースの拡大からこの1.5BOXを採用していったのでステップバンの思想とは異なりながらも結果的に同じカタチになっていってたという点がおもしろいですネ~~。

2995×1295×1620mmというボディ寸法、長さと幅はサブロク旧々規格ながら高さは当時の軽バンとしては超ハイトであり現代の軽とさほど変わりません、もしろんバンですから大事な内寸にしても当時クラス最大高さの1135mmを持っており当然、「商業車」としても立派なモノでした。

↓当時のカタログでは居住性、積載スペース、乗降性をアピール!



このような“新ジャンル”のステップ・バンでしたが結果は見事過ぎる位にスベりました(=_=;)
その要因はやはり違和感アリアリのスタイルと鼻のあるスタイルが災いするカーゴルームの小ささが原因です。
キャブオーバーに較べ鼻がある分のシワ寄せは当然荷台に現れ当時の平均的キャブオーバー・バンの荷台長さ(約1500mm弱)より約20cm短い1270mmという内寸は少しでも荷物を積みたい使用者側には不利も当然、これの裏腹の利点=セミキャブの為タイヤ上に座らず乗り心地がイイ→「乗用車と変わらない乗り心地、操縦性」 という部分は商業車には大したセールスポイントにはならず前者の理由が大きな要因でステップ・バンは嫌われたようです。高さでは有利ながらそれは長さ程有利な条件にはならなかったという訳ですねー。
慣れた乗用車からの違和感をなくすヒンジ式のRrドアを採用したのも逆効果で他箱バンのスライドドアに較べ積載時の実用性で劣っていたのも不評を買ったようです。。。

また当時はFF自体が乗用含めてまだまだ珍しい時代、乗用ならFRより広い室内が実現できるFFという最大の売りも悪点(操縦性)以上のセールスポイントになれても商用車の場合、貨物を積載すると前輪荷重が小さくなり操縦性に変化が出過ぎてしまいFFは適しておらずその証拠にステップバン以降、後年~今日に至るまでワンボックス、セミキャブの商用バンにはFFは採用されていません。

↓「高さ」による積載性をアピールしたが…


このようなステップ・バンですがFF化による利点はもう一つ、当然な事ながら動力機構が後部にない事から低くフラットなフロアが生まれそのフロアと高いルーフ、開口面積の大きなドアなどによって実現しており「積みやすく、乗りやすい」を徹底的な売りにしまた。「アイデアあふれる商用設計」も特徴とし機能的なインパネ設計がなされており車内での伝票処理などを考慮したトレイタイプのダッシュボードに加えセンター集中メーターなど斬新な装備もなされていました。(センターメーターは機能的ダッシュボードを実現する観点意外に実際には存在しなかってた輸出左ハンドルにもコスト安で対応したい という考えもあったようです。)

↓現在では珍しくないトレイ式ダッシュはセンターメーターも斬新なるアイディでした!


ステップ・バンは他ホンダ車のパーツをうまく流用しコストダウンにも挑戦しておりキャブオーバー・バンとしては廉価を達成、バリェーションは2種でベースのSTDが376,000円、上級装備のスーパーDXで403,000円は積載能力が小さい同じホンダのライフ・バン(ボンバン)よりも安かったです!

エンジンもライフのEA型水冷直2 OHC360cc 30psを搭載、国産初のタイベル使用やバランサーを採用した静粛性、スムーズさでは定評のあるものでキャビン内にエンジンを載せない非キャブオーバーの利点がココでも光っていました。尚、脚はFrストラット/Rrリ-フリジットです。

↓エンジンはライフやZのEA型をそのまま流用


このクルマ、後年に後輩が一時乗っていました!後輩が乗っていた時期で既にもう10年を経過しておりボロかったのでドライバビリティはあまり参考にできませんがメーカーが新車時に売りにした程の居住性はやはり旧々規格の“狭さ”だけが印象にあり確かに高さは上級車や当時の550軽箱と比較しても遜色ないモノながら窮屈感は否めなく正直このサイズだとキャブオーバーだろうがセミキャブだろうがさほど変わらない?感じでした。ただボロでも高さのある荷台、後席倒せば結構なスペースがありその能力はバカにできなかった記憶アリです!
30psのEAエンジンは当時のライフやホンダZで馴染みのあるモノ、まだ当時では生存していた2stと較べてももちろん、軽としては静粛でZ等の京浜精ツインキャブに較べれば大人しいながらホンダらしくよく回るモノでした。

ステップ・バンは73/8にボディバリェーションを拡大、バンのボディをトラック化した『ライフ・ピックアップ(PA型)』を追加します。

73/8に追加されたステップ・バンのトラック『ライフ・ピックアップ』


ピックアップはステップ・バンのBピラー以降を切り取り荷台としたモノで今見るとトラック、商用車らしくないお洒落さで個人的にはステップ・バン以上の注目度があると思います! スズキのマー坊も真っ青の豪快なテイストと出で立ちは今ならコレを本来の商用、仕事に使えば物凄いインパクトで文字通り「動く広告塔」になるのでは?と思います。
ただこのピックアップもステップ・バン同様、当時ではやはり“ゲテ物”扱い、実用的にもキャブオーバーの常識的な軽トラ(ホンダTN360、ミニキャブやサンバー、キャリィのトラック)には遠く及ばず荷台の小ささが命取りでステップ・バン以上に市場には受け入れられず失敗作とされてしましました。

↓積載量は軽トラと遜色ない350kgを実現しながら荷台内寸の不足が致命的でした。


マー坊もそうでしたが現役時代に商用として“失格”の烙印を押されたモノに限って後年本来の使用目的ではないお遊びやファッション的には高い注目を集めカスタマイズされながら生き残るというのも現役時代を知る者には感慨がありますネ(^^)

ステップ・バン、ライフピックアップ追加しシリーズも充実させましたが先記に記載の通り市場では失敗作、販売は振るわず月販売計画の数字に対し1/3の実績(計画=月/2000台、実績/700台)という結果から74/10、僅か2年1カ月で製廃となってしまいます。

非常に先見のあるコンセプトとアイディアが詰まったステップ・バン(ピック)でしたがやはり既存の軽商用とあまりにもかけ離れ当時はただ「異端児」にしか受け入れられなかったという点が致命傷で短命でした。
ミニバンなどという概念が影もカタチもなかった当時はお洒落とかアイディアなんて事よりも一つでも多く米や段ボール、ビールケースを積めるのが「いいクルマ」であった時代ですので製廃は致し方なかったと思います。

ただ、現役時は不幸な人(車)生ながらステップバン(ピック)が中古車市場で注目を集め始めたのは70年代後半から訪れたアメリカから「バニング」=サーファーが主にバンをカスタマイズして遊びクルマにする 文化が日本にも飛び火し個性溢れるこのクルマがこれのベースとなり中古価格も高騰した時期がありこの時に道具のように使いまくられて廃車にされた個体も多いですがここを生き抜いた程度のいいこのモデル、現在ではプレミア価値モノとなっいます!

尚ステップ・バン(ピック)は製廃後メーカーそのものが軽自動車に情熱を失い75年以降は軽トラのTNを除いて軽市場から撤退した事もあり当然後続モデルは設定されずこれは現在に至るまで継続しています、ただ冒頭で触れたように現在はミニバンと言われる30年前のステップ・バンのフォルムが常識化していますね!!
これは93yに「新たなコンセプトの軽自動車」として大人気を得たスズキ・ワゴンRが発端ですがこれを見た瞬間に“ステップの焼き直し?”と思ったのはワタクシだけでなくステップ・バンを知る世代は誰でも感じたのではないでしょうか…

↓93yデビュー時にはステップ・バンを真っ先に想像した初代スズキ・ワゴンR


尚、ホンダ自身もかつては泣かず飛ばずのお荷物だったステップ・バンの後年の盛り上がりには驚いたのか96年の乗用ミニバンに『ステップ・ワゴン』=ネーミングを、同時発売のあの“走るラブホテル”『S-MX』のキャッチフレーズで~ステップ・バーン~を使いステップ・バンへのオマージュをしていました!!

このクルマも現役は決して“華麗”ではないながら後年は『華麗過ぎ!?なるミニ・一発屋!!!』として忘れられない存在ですネ。。。
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Posted at 2017/07/29 18:38:58

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