
(2012.12/9UP)
“華麗なる一発屋!!!”、今回は『H1300/H1300Cホンダ1300&CD/SD型ホンダ145』を取り上げたいと思います!
ホンダ1300と145はネーミングは違いますが車としては全く同じモノ、前者が空冷モデルで69~72y、後者が水冷に換装し72~74yに生産されていたモデルです!
67年、軽自動車N360で本格的4輪市場への参入をセンセーショナルに果たしいよいよ普通車に本格参入を目論んだのが1300シリーズ!
これまでも普通車にSシリーズ、L700、N600等を送りこんではいたもののマニアックなスポーツカー、商用バン、軽N360のスケールUP版(輸出仕様)と量販を見込めるモノではなく言わば普通車の実験販売的なモノであり本格量産/量販を目指して本田宗一郎氏の肝入りで開発されたのがホンダ1300です。
何と言っても1300では本田宗一郎氏の当時の有名な持論“水冷も結局は水を空気で冷やす空冷、ならば余計な冷却装置を伴わないは空冷で充分”と言う意見を「これからの時代は水冷でないと…?」と反対する数多い社員(研究員)を押し切り実用化した一体式二重空冷(DDAC)エンジンが大きな注目と話題になりました。
しかし蓋をあけるとこのエンジン、空冷F1マシンからフィートバックしたDDAC機構は空冷の最大の利点である“ラジエーターなど冷却機能がいらない=軽い“ という基本を外れ熱処理の為水冷のウォータージャケットのような空気の冷却通路を設け、また高出力を実現する為の様々な凝った造りが災いし水冷エンジンと何ら変わりない重さになってしまいまたこれを横置きのFF式にしたのも手伝ってパワステのない時代ですから操縦性はFrヘビーに加えFFの癖丸出しの【曲がらない危険な車】と悪評が立った程のモノでした。
また空冷故に熱ダレしやすくヒーターも満足でないといった欠点が強調されてしまいユーザーのみならずホンダ内部からも総スカンを喰ってしまい宗一郎氏の引退のきっかけになったというのは有名な話です。
尚このエンジンはH1300型OHC4気筒で1キャブで100ps/7200rpm、4キャブだと実に115ps/7500romという当時の1300ccとしては飛び抜けたスペックでで他社が50~60ps台の性能の中、実にREや2000ccクラス,DOHC並の高回転で叩き出すその数値は“バイク屋”のホンダらしいものであまりの桁外れに当時のカーマニアはド肝を抜かれN360がクラスTOP馬力で登場し軽の革命児とされた普通車版でし…いや、なる筈でした(汗)
本田宗一郎氏のこだわり作であり型破りのH1300型DDAC空冷エンジン(㊤1キャブ㊦4キャブ)
尚1300は当初セダンのみで69/5に発売し77(セブンティセブン=1キャブ)シリーズと99(ナインティナイン=4キャブ)シリーズを設定していました。(以下説明上分かり易い「セダン」と表記しますが正式名称は「ホンダ1300・77または99」が正式名称です)
外観上は至って普通の3BOXセダン、77と99はライトで差別化(77=角2、99=丸2)、顔は逆スラント&分割グリルでスポーティなモノ、脚廻りはFrストラットRrクロスビームリーフ←完全にエンジに負けていたようです…
尚ミッションは4MT。
その後70/1、ただでさえ操作性に問題が取りだたされた上N360でユーザーユニオン等(裁判沙汰)のホンダの高出力FF車の危険性の指摘とイメージ低下の歯止めにあまりにもピーキーなエンジンをトルク重視に1/4キャブともそれぞれ5psデチューンを行っています。
さすがのワタクシもこの1300は運転した事がなくわざわざデチューンするようなジャジャ馬!!一度ハンドル握ってみたかったです(^▽^;)>゛
70/2、この桁外れなエンジンに相応しいクーペモデルが追加されます!
クーペは7(セブン)と9(ナイン)シリーズとしそれぞれ“7”が付くものがシングルキャブ、”9”が4キャブというシリーズ分けはセダンと同じ、角ばってたセダンをやや流麗なセミファストバック化し顔はセダンをも上回る逆スラントと分割グリル+丸目4灯で迫力のあるモノでした。脚廻りもセダン同様ながら強化されようやく性能に追い付いた(実際にはまだ足りなかったらしいです)脚を手に入れてます!
しかしクーペは個人的に顔付は精悍でなかなか良かったと思いますがお尻が長過ぎてショートノーズ、ロングデッキという何ともアンバランスなスタイルがあまり好きではなかったですねー、これを思う度、あと5cm花が長くて尻が短ければ結構カッコいいのに残念!!と感じてます。。。
クーペ9Sとセダン99S
尚、クーペはインパネも専用設計されセダンの平凡なモノからセンターがドライバー側へ向く「フライトコックピット」を国産初採用、これが有名なワタクシの敬愛するギャランGTOの1年近く前に採用していたという憎いヤツです(;^_^A
70/2追加のクーペ9 S㊤とDX㊦に“フライトコックピット”のインパネ
↓こちらは平凡なセダンのインパネ、Nコロと大して変わらない(笑)
この後70/3、セダン/クーペ共にATモデル(1キャブ80ps)を追加、70/11にはクーペの追加で元々がファミリーユース向けのセダンに無茶があり過ぎたのを反省したかのようにセダンを大人しい丸目2灯/一体式グリルの顔に変更、テールやインパネも変更し99シリーズを廃止し95psの77のみとなり名称を『ホンダ1300』→『ホンダ77』とします。
71/6にはクーペもマイチェン、シリーズ全体的に大人しい方向に進路変更します。
まず名称を『ホンダ1300クーペ』→『ホンダ・クーペ』とし“7”と“9”を廃止、従来通りの分割グリル(若干の意匠変更アリ)を『ダイナミックシリーズ』、セダンと同じ非分割の顔付モデルを『ゴールデンシリーズ』として新設定、見直されたバリエーション設定でクーペの最上級の『GTL』のみ110psの4キャブを残し他は全て95ps仕様とされています。GTLは旧9Sの発展型ながらエクステリアやインテリアは大幅に豪華&スポーティな味付けがなされマイチェン前の赤/黄に加え派手な原色の青、黄緑を加えシリーズ全体がマイルドになる中で一人気を吐いていた感じです。。。
71/6のマイチェンで唯一の4キャブ仕様となったダイナミックシリーズのGTL
こちらはセダン顔となったゴールデンシリーズのDX
GTのRrビュー 9/7に較べセンターガーニッシュやバンパーオーバーライダーが装着され高級感も演出
このようにスタート時のあまりの高性能さから逆に『危険』『扱えない』というレッテルを貼られてしまいそのイメージ改善の為マイルド路線に振りながらも一向にイメージは悪いままで人気は上がらず操作性の改善を主眼に72/11、大幅なチェンジを行う事になります!
72/7に登場したシビックに載せられた新開発水冷エンジンであるEB1型1200ccをスケールUPしたEB5型1433ccに換装、ようやく新エンジンによりFrの軽量化がなされ操作性は改善、当時のFFとして常識レベルに落ち着いたモデルになりました~!!
ネーミングは約1450ccの排気量から『ホンダ145』に変更。
EB5はOHC4気筒水冷で1キャブで80ps、そして目玉となるのがホンダ発の機械式燃料噴射式もラインナップ、こちらは90psとされ旧4キャブに代るイメージリーダーとされ最高グレード『FI』に搭載されていまます!
尚145からシビック同様の自社開発の『ホンダマチック』にATは換装されています。
このホンダマチック、かつてのトヨタの“トヨグライド”と似ていて2速式のセミAT、これは何度もシビックで経験してますが使いにくいと言うか意味のないと言うか。。。
☆(スターレンジ=2速)とLがあり☆で各固定、☆で発進もできるながらLとは違い~もやーん~とトロトロ加速していくのが我慢できず結局手動でL→☆、停止時にLという操作になってしまい自動変速もなければMTより歯切れが悪く最悪の印象しか残っていませんネ、そのせいか80年代後半には消えホンダも目出たく通常のAT化しましたが(笑)
145となり同時にマイチェンも行われますがクーペの顔が角目2灯になったのが一番目立つ程度、他にセダンのグリルデザインの変更もなされていますがインパネ室内はほぼ旧タイプを踏襲しています。
72/7~145クーペ(FI)
72/7~145セダン(カスタム)
145となりようやく完成した感のあるこのクルマ、しかし1300で発売して3年が経過しており時既に遅しといった感は否めないモノがあり人気は145となっても上がらず販売不振は継続、そんな中72年に発売された下級シビックが爆発的な人気を得ており遂にホンダは74年をもって生廃とします…
出た時は凄いクルマが出た!とオヤジに連れられて行ったモーターショーのホンダ館で1300をかたどったデカイ建物?イベントコーナー?で見た映画(商品紹介)に心を奪われたのを今もかすかに憶えています、99とか77とかネーミングにカッコ良さを感じたのも懐かしい記憶。。。
最初だけ“パッ”と咲き以降は地味→ジリ貧→生廃となった打ち上げ花火みたいな1300/145、何故か鮮明に残る『一発屋』です!!!!