華麗なる一発屋!!!”、今回はコレを取り上げたいと思います→富士重(以下スバル)の『KA-5/KA-6型スバルジャスティ』!!
完全に忘却の彼方のまたその向こうに行ってしまってまして言われて“そー言えばあったな、ジャスティ!”って感じ、国内はとっくに消えましたがその後スズキやダイハツOEM車で現在でも海外では現役ながら国内で終了、スバルオリジナルという点では立派な『一発屋』ですネ!
さてジャスティ、これは84/2に発売されたモノで当時先発のダイハツシャレード(77y)が火を付けた第二次1Lカーブームが訪れ、シャレードの他日産マーチ(82y)に一部1.2~1.3Lモデル(スターレット、ミラージュ、ファミリア、シティ等)と後発スズキカルタス(83/10)が絡みこのコンパクトカテゴリーは激戦区となっていました!
この為各社、いかに自社モデルを目立たせるかに躍起で元祖1Lシャレードでは他に類を見ない1Lディーゼル/同ディーゼルターボエンジンを武器に、トヨタはKP61のFRならではの走りを、シティはユニークなCMや原チャリとコラボさせる作戦を、マーチは人気歌手近藤マッチをキャクターに『マッチのマーチ』で大売り込みを、後発カルタスは西部警察で大人気の舘ひろしを起用し『オレ舘(タチ)、カルタス』と言うダジャレ、ミラージュはえりまきトカゲの力借りてました~(爆)
このような並居るライバルとの激戦の中、スバルが他にない特徴としてジャスティに用意したのはスバルらしい『4WD』(パートタイム)でした!
75年に国内で初めてセダンタイプの4WDをレオーネに設定以来、雪国=スバルの乗用車が認知/人気を集めて以降三菱がパジェロ/デリカ4WDで台頭するまではすっかり“4駆はスバル”のイメージが雪国でなくともあった時代、この先輩レオーネによって作られた最大の武器を用意したのでした!
84/2、クラス初の4WDを武器に登場したジャスティ(↓3ドア4WD・RS)
当時バリバリの若者だったワタクシめは“走り”にしか目が行かない時期だったのでこのカテゴリのクルマにはKP61以外、それほど興味なかった(後にターボやらコンバーチブルとか楽しいモデル追加には注目しましたが)のでジャスティもこの例外ではなかったのですが若き日にスキーに行き群馬の三国峠をスパイクタイヤ履いたFRで必死に走ってると地元群馬ナンバーのジャスティ4WDにあっさり抜かれ羨望の眼差しを送った事もありますネ~(;^_^A
さてジャスティの概要ですがベースやパーツを格下の軽自動車であるレックスから流用、外板もドア等はレックスそのもので開発費を抑えています。
5ドアFF・LJ(84/2~88/10)
↓こちらはベースとなった軽自動車、レックス(KM1/KF1型)
インパネまわりは兄貴のレオーネ同様この時代に流行ったクラスタースイッチが採用されておりコレはワタクシ的には慣れもあるのでしょうがジャスティに限らず使いにくくて好きにならないスイッチです。
とっさの時に考えて操作するスイッチってどうよ?って感じですし流行った頃はスバルを始めいすゞやトヨタなんかにもありましたがどれも操作が固くこれなら70年代のタンブラー式やノブ式の方がよほど使い易かったとこれらに乗ると腹立ててたのも懐かしい。。。
~♪クラスタスイッチはスバルだけ! という唄は歌われてませんでした(失礼!!)
搭載エンジンはFE10型1000cc3気筒OHC63ps、脚廻りはオールストラットでこれにFFと4WD
が組み合わされています。
4WDは先に登場しているレックス4WDと同様にシフトの頭のスイッチで2駆(FF)←→4駆がワンタッチにできるモノでよいしょと長く堅いレバーをどっこいしょと操作したり寒い外に出てフリーハブを操作する必要は当然ない80年代の4駆です(笑) 尚、ボディはHBで3ドア/5ドアの設定。
「4駆」以外はライバルに遜色ないのと同時に今イチ目立たないジャスティ、そのせっかくの4駆も1000ccFFでは普通でもアンダーパワーで頼りないという意見が雪国からは多かった様子、そこでスバルは85/10に4WDのみに10psパワーUPの1200cc3気筒OHC73ps、FE12型エンジン搭載モデルを追加しました!
FE12はFE10の単なるスケールUPではなくFE10の2バルブを3バルブ化しより200ccアップ以上の力強さを実現、脚廻りもパワーUPに対応してより固められスタビ追加、LSDのop設定も行われています!
外観も1200は何故か?ハイルーフ化、グリルも1000のハニカムから横真一文字の力強いモノに変更しています。
グリルはともかくHB車のハイルーフってシャレードにもありましたが何か…
1BOXでは当たり前でしたがセダンタイプのハイルーフ?当時違和感アリアリでしたねー、ヘッドスペースは広く特にサンルーフモデルでは価値あったのかもしれませんがこれのホワイトカラー車だと何だか雪積ってるみたいで。。。さすが雪国のクルマだなぁ…なんて思いながらスレ違ってましたっけ!(汗)
↓85/10追加の1200 4WD(RT)
このように発売以来主に4駆を主に充実をはかってきたジャスティですが北国を除いてはイマイチの感は否めなく北に限らず全国的にアピールする必要性を感じたスバルは87/2、ジャスティは歴史的モデルを追加します!
今では軽/小型はもちろんミドルクラスまでに従来のトルコンATから主役の座を奪いつつあるECVT(無段変速AT)モデルを世界で初めて1000のFFモデルに搭載し注目を集めます!
87/2、1000に追加された世界初のECVTモデル(1.0LS ECVT)
ECVTは従来のオイルで駆動するトルクコンバータに代ってベルト駆動にて自動変速を行う画期的なモノ、従来型ATの欠点である出力ロスやパワー伝達のタイムラグ、クリープ現象がなくなる等次世代ATとして高い注目を集めたが初期トラブルの続出とコスト高、耐久性の不安と独特なドライブ感覚が受け入れられず商業的には大きな成果は得られませんでした。
ただスバルは血の滲むような改良を重ね今日ではこのクラスでは燃費向上の視点でも欠かせない存在となり他社も続々トルコンAT→ECVT化している点を見るとスバルの先見の明とこの当時には異端児扱いされたCVTの普及努力には脱帽ですネ!
確かにECVTモデルは運転何度かしましたが現代のモノでも時々感じますが独特な変速はまるでMT車のクラッチがスベッているような感覚がどうしても違和感があり初期のモノはこれが特に顕著、減速時のショックもトルコンに較べると大きくて馴染めないモノがありますねー。
ワタクシのような前時代の人間は今もトルコンとECVTの両方設定があるモノなら間違いなくトルコンを選ぶ、その位初期のECVTを知っているとアレルギーがあります。。。
な訳で気合を入れたECVT追加も浮上の助けにはならず88/11、登場以来4年ぶりのマイチェンが行われます。(型式=KA7/8へ)
お決まりの前後の意匠変えと同時に車種編成を見直し1000ccモデルを廃止、全モデル1200としボディもハイルーフ化、これに伴いECVTも1200となったのを機会にECVT+4WDという夢のコラボ(?)も実現します!
88/11、マイチェンで豪華路線に振った後期モデル(㊤3ドア㊦5ドア)
このマイチェンで今までは質素過ぎて格下レックスとさほど印象の変わらなかった顔とお尻が大幅に高級化されレックスの”レ"の字も感じさせない”別物”になりました、世はバブル期でしたから少しでも見栄えを高めたかったスバルの気持ちは分かります、ただ個人的には前期型のスバルらしいスッキリ感がなくなってしまい車格に似合わないオーバーデコレーションに思いました。
市場の反応もこれにより大幅にジャスティが注目される事もなくやはり弱小メーカーの性である大メーカーのライバルが次々とフルチェンするのを横目に“高級化大幅マイチェン”でお茶を濁す、その方程式を教科書通り行っていました。。。
あっ、インパネは遂にブームも過ぎ去りあのクラスタースイッチを止め一般的なモノになっています、ワタクシ的にはこれは歓迎です(^-^)
この後特別仕様車や時代の要求に応えるパワステ付モデルなどを次々に追加してゆくも最後まで地味~ぃな存在だったジャスティ、北国では一定の需要もあったとは聞きますが上級の後発レガシィやインプレッサの好調ももあり92年以降はほぼ放置状態となり94年に遂に生廃、その後は冒頭で記載した通りOEMで名前のみの海外専売モデルとおなりスバルオリジナルはココで終了です。
今となってはスバル・ファン以外は殆ど記憶から消えているであろう(俺だけか…汗)ジャスティ、しかしECVTをひっ下げて出た時は例え一時でも脚光も浴びそのECVTは21世紀の現代で確実に主役になりつつあるという現実だけでもこのクルマの存在価値はあっと断言できる、そんな『一発屋』だと信じます!!!