“華麗なる一発屋!!!”今回はトヨタの壮大なる一発屋兄弟ミニバンである『♯CH10系グランビア、グランド・ハイエース/♯CH40系ハイエース・レジアス、レジアス、ツーリング・ハイエース』をまとめて取り上げました!
尚お断りですが4つ子となりますのでそれぞれに特別仕様などの追加もありますが何せ数が多く全てを取り上げるのは困難なのと把握不足でありますのでおおまかな概要と思って頂けたら と。。。(汗)
まず最初に登場したのが『グランビア』になりますねー、グランビアは95/8に次期1BOXとして今やすっかり定着した「ミニバン」という言葉がまだ日本では馴染みのない時代に産まれています。
当時、将来の衝突安全基準改正が決まり既存1BOXではこれのクリアが不可という点が歴然となり各社既存型に代る新基準の次期1BOXタイプを続々開発を始める中、日産が91yに旧世代台のバネット系→セレナ/ラルゴ、三菱が94yに(旧)デリカスターワゴン→(新)デリカスペースギア、マツダが95/6に(旧)ボンゴワゴン→(新)ボンゴフレンディを発売、安全基準適合の為ボンネット/ノーズを付けたこれらの車種が出始めこれにオデッセイや等も絡みこの頃から“ミニバン”の通称で呼ばれるようになったと記憶しています。
こんな中でのトヨタミニバン第1号がグランビアでした!
トヨタ初の“ミニバン”としてデビューした前期型グランビア
グランビアは既存ハイエースに代るトヨタ最上級1BOX(ミニバン)としての役割を背負って登場、89yに登場以来高い人気と圧倒的販売量を誇る好評100系ハイエースのエクステリアを基本踏襲しながら3ナンバーボディとノーズ付きミニバンスタイルを取り入れたモノでした。
グランビアは先記のセレナ/ラルゴ、フレンディが鼻が付いたのみでエンジンはアンダーフロアという基礎的には従来型キャブオーバーの造りだったモノに対してデリカスペースギアと同様にエンジンをせっかく付けた鼻の中に収容した新世代のモノでした。
ハイエース100系は5ナンバーサイズでしたが鼻が付いた分、同じサイズでは当然室内は狭くなってしまう為3ナンバーサイズ化、これ以降ラージクラス(ハイエース、キャラバン/ホーミー)はこの後3ナンバーボディに移行、広大な室内を損なう事なくミニバン化しましたがこれらの下、つまりタウン/ライトエースノア、セレナ/ラルゴ、フレンディ等は5ナンバーボディのしがらみから旧型と較べ高い安全性と引き換えに室内は単なる多人数乗車ができる 程度のモノとなってしまったので旧1BOXユーザーからも広さを重視するユーザー層からは新たにこのラージクラスミニバンが注目される分野になってゆきました。
ただ、まだ当時は従来型1BOXが許されている時代でもあり新カテゴリーとなるグランビアは“未来”の多人数乗車のパイロット的モデルという役割が強く当時安定株であった100系ハイエースを扱うトヨペット店ではなくエントリー1BOXのライトエースしか持たないオート店扱いとされいました、このためトヨタではオート店扱い<トヨペット店扱い車の方が高級 という戦略上、車格はハイエースを抜いていながら各部意匠やデザイン、材質等は上級グレードでもハイエースに較べ良く言えばシンプル、簡素、悪く言えば劣る味付けがなされていました。
↓グランビアのインパネと室内、広大なスペースは100系ハイエース以上!
グランビアの概要ですがエンジン、脚廻り他は次の通り。
(エンジン)
・ガソリン直4気 3RZ-FE型 ハイメカツインカム2.7L 145ps/23.2kg-m
・ディーゼルターボ直4 1KZ-TE型 3L 130ps/ 29.5kgm/2000rpm
(サスペンション)
Fr:ダブルウィッシュボーン Rr:セミトレーリングアーム
(ミッション&駆動)
・4AT
・FR/4WD
グランビアの自分流のインプレはサスは柔らか過ぎて頼りなかったですね、車重(2t弱)があるこの手のクルマで乗り心地重視すればこうした結果なのでしょうが重い分ロールも酷くこの部分では後発のエルグラのハイウェイスターに完全に負けてましたねー。
エンジンですがガソリン3R-Zは明らかにアンダーパワー、ストレスない走りをしようと思えばがさつなエンジン音がこもりその割にはあまり進まない感じでトルクも不足、これを嫌いDを選んだ場合、やはりD特有の騒音は多少気にしなければなりませんが加速、巡航や気になる黒煙も新世代Dエンジンだけありガソリン以上に魅力的でした!
室内はさすがに広大で後部は“一つの部屋”ほどのスペース、横方向も100系ハイエースより広がりかなりの余裕、但し運転席(助手席も多分そうだと・・・)はウォークスルー時のスペース確保の為、ギリギリまで隅にシートが配置され慣れるまでは非常に違和感を覚えました~。
隅っこに座らされ右肩口が常に窮屈な感じで年に何回あるか分からないウォークスルーの為にこの思いを常日頃するの?と少々疑問を感じました、小柄な方やウォークスルーの機会が多いご家族ならいいのかもしれません…
このグランビア、先記のようにハイエースより意識的に下のレベルと設定した為、前期(初期)に限っては非常にシンプルな味付けでありエクステリアに派手さはなくインテリアも最上級グレードであってもハイエースの中級グレード程度の味付け、トヨタ車の割にはシンプルなイメージに少々驚きましたねー、もちろんそれなりの値段がするクルマですから質素までは言い過ぎですがクラウンやマークⅡの絢爛豪華を見慣れていると拍子抜けって感じ、個人的にはこういった部分は好感持てましたがやはり高額車ですしトヨタ派には受け入れられず発売後の評判は今一つな感じでした。
こうした点のテコ入れで96年には上級Qグレードに「エクセレントパッケージ」「ラグジュアリーパッケージ」の豪華仕様を設定、特別仕様車としてより豪華なG-Limited、同パールマイカセレクションが追加されやや豪華さが味付けされています。
↓旧来型ながらグランビア上級はお馴染100系ハイエース!
97/5、同社のエスティマと同ルシーダ/エミーナを倣ってグランビアの兄弟(外板共通)ながら5ナンバー枠とした『ハイエース・レジアス』が発売されます!(あくまで寸法という意味の5ナンバーで実際は一部3ナンバー)
名前の通りこちらはトヨペット店扱い(ビスタ併売)で既存100系ハイエースの先行モデル的位置付けがなされたハイエース・レジアスは車庫他事情により5ナンバー枠を守りたいユーザー向けのモノ、エスティマ同様に主に幅を狭めたグランビア、スタイルバランスは意外に崩れておらずまたグランビアよりスポーティで若々しい味付けがエクステリア/インテリアになされグランビアより主にヤングファミリーに高評価でした。
ハイエース・レジアスにはグランビアにはなかった4ナンバー、商用バンモデルも設定。(エンジンなど乗用と異なります=ガソリン2L 1R-Z型 D=3L 5L型)
↓97/5追加のグランビアの5ナンバー版「ハイエース・レジアス」
↓ハイエース・レジアスのインパネ&室内
ハイエース・レジアス、搭載エンジンや脚廻りはグランビア共通です。
97/5、ライバル日産が従来のE24型キャラバン/ホーミーをモデルチェンジさせ『キャラバン/ホーミーエルグランド』(E50型)を発売、グランビア同様にフルサイズミニバンとなった新星エルグランドはグランビアと較べスタイル/エクステリアが直線基調の非常に若々しくスポーティかつ押し出しの強い迫力ある顔付で大人気となり後発ながらグランビアを一気に上回る爆発的な人気、評判を得ました、慌てたトヨタはまず97/9、グランビアをマイチェン、中期型となりました(タイトル画像)、エルグランドの迫力に少しでも対抗しようとグリルをハニカム調→横線基調の力強いイメージに変更、テールランプもガーニッシュタイプも豪華なデザインになっておりエルグランドが搭載して絶賛のV6エンジン(VG33E)に対抗し新エンジンのV6 5VZ-FE型ハイメカツインカム 3.4L 180ps/30.5kgmを新搭載、ようやく大柄ボディをストレスなく走らせるに相応しいパワーを得ています。
5VZはトルクフルで充分パワフル、4発のがさつさはなくなり静粛で力強い走りを実現していますがそれなりに走るとガスがぶ飲みは覚悟しなければならなかったですね、知人がこれを乗っていましたが嘆きをよく聞かされました(汗)
尚V6搭載により4発ガソリンの3R-Zは98年にカタログ落ちしています(ハイエース・レジアスにエンジン変更はなし)
しかしこのマイチェンでもエルグランドの足元にも及ばず99/8、更にトヨタはテコ入れを行います。
以下がこの時の変更点です。
①ハイエース・レジアス→レジアスに車名変更
②グランビア/レジアスのマイチェン(意匠変更)
③Dターボ(1KZ-TE)をインタークーラー装着により130→140psにパワーUP
④新車種(兄弟)の追加設定→グランド・ハイエース/ツーリング・ハイエース
この変更(マイチェン)は対エルグラを徹底したもので①は従来のハイエース・レジアスをビスタ/トヨペット店併売から分離、トヨペットには④のツーリング・ハイエースを設定、ビスタ専売となったレジアスにハイエースの名前は冠されなくなっています。
ツーリング・ハイエースはレジアスをよりスポーティなイメージに振ったモノでこれはシリーズの新車種も含めエルグランドを意識した押し出し強い顔付と豪華なテールが与られ従来型のシンプルさがなくなった代り立派な、贅沢な顔とお尻でライバルに挑んでいます。
↓新車種でペット店の若者担当の「ツーリング・ハイエース」(レジアス双子)
また④、もう一方のグランド・ハイエースはグランビアのトヨペット店バージョン、これまでオート店扱いという部分でどこか地味だった事もありで販売力もより強いトヨペット向けに設定、100系ハイエースの上位モデルとしてグランビアに較べより豪華絢爛となりある意味トヨタの本領発揮の派手なイメージが与えられ初期のグランビアとはまるで違う印象となっていました。搭載エンジンはグランビアと同一。
↓トヨペット店 絢爛豪華担当の「グランド・ハイエース」(グランビア双子)
②、グランビアもグランド・ハイエースに絢爛豪華は任せながらも大型グリルを装着し従来型の大人しいイメージをやや派手めにチェンジしています。
↓グランビア後期も押し出し強いルックスに変更
②、レジアスはツーリング・ハイエースがデビューした事もあり従来のスポーツイメージはこれに譲りグランド・ハイエース寄りの高級感がプラスされています、搭載エンジンは旧ハイエース・レジアス~レジアスと同一。
↓レジアスのRrビュー
一気に4車種に増殖しているので各車の役割をまとめると・・・
・グランビア=嫌味のないシンプルさを維持しながらより質感をUP
・グランド・ハイエース=グランビアを基によりTOPミニバンとして豪華、高級さをアピール
・レジアス=従来の若々しさと高級感を折衷
・ツーリング・ハイエース=従来型ハイエース・レジアスのスポーティさをより強調。
尚、③はやはりエルグランドの好評ディーゼルに対抗し戦力を高めたモノながらエルグランドのQD32ETi3.2L 直4 150psというスペックにはまだ敵わずフィーリング的にワタシも乗り較べた経験ありますがQDあっぱれでした!
以上のように4車種、3つの販売店連合軍でエルグランドに勝負を挑んだグランビアファミリー、2000年代に入ってからも小変更、特別仕様、装備充実等の様々な攻撃をライバルに仕掛けましたが近年のトヨタvs日産では珍しい程の日産強し!!でエルグラに全く歯が立たず02/5にて4車は新車種のフルサイズミニバンのアルファードG/Vに譲り揃って製廃となります。
↓02/5~は打倒エルグランドに後続アルファードがバトンタッチ!!
連合軍と言えば聞こえは良いながらあまりにも車種乱立がエルグランドに対して選ぶ方が混乱し販売、人気とも最後までエルグラに差をつけられましたがLクラスミニバン第2世代となったアルファードはこちらもフルチェンで2代目E51型に進化したエルグラに対してハイブリッドや廉価2.4Lモデルでようやくこれを超える人気、販売を実現、グランビア連合時代の雪辱を果たし今や2代目アルファードと兄弟車ベルファイアでミニバンTOPシュアを誇るモノとなっているのはご承知の通りです、グランビア連合時代はさすがのトヨタも大慌てし無造作、無節操な車種展開から4車種が揃ってコケルという醜態を晒しとても愉快・・・いや、心配しましたが現況を見ると笑い話ですねー(^_^;)
グランビア、グランド・ハイエース、ハイエース・レジアス、レジアス、ツーリング・ハイエースとタイプするだけで疲れちゃいますがこれらの失敗あってこそアルファードの大成功ですよね!? 『王者の壮大な失敗ミニバン“一発屋”!!!』として記憶しておきたい、そんな連合軍です!