‟あのクルマの系譜”その12、今や完全なるトラックメーカーとして内外でも好調ないすゞ自動車、そのいすゞもかつては乗用車も生産、2000年迄ラインアップしておりました。(SUV&ワゴンは除く=純粋に当時乗用車という概念→セダン系という意)
国産車創成期の1950年代はいすゞ、トラックも去る事ながらイギリス・ルーツ社から乗用車のノックダウン生産を行い人気を博し~トヨタ(トヨペット)・日産(ダットサン)・いすゞ~と国産3大メーカーに数えられた時代もありましたが70~90年代と時代が進むにつれこれ以外のライバルメーカーも台頭、元々本業?がトラックを主としていた関係上、開発費、生産設備、販売網もその間に他社に抜かれ最後はバブル崩壊後のいすゞ自身の生存を賭け利益率の低い乗用車の撤退という道を選び現在に至る訳です。
そのいすゞ乗用で最大のヒット作でありかつ有名なモデルが『ジェミニ』、いすゞ乗用はマニアックで独特な機構(特に足回り)や時代を先取りした斬新なスタイリングでコアなファンは少なくなかったですがジェミニは一般訴求も充分に行い一時は横綱であるカローラ、サニーをも慌てさてた事もある程のメジャー車種でしたが生廃から約20年、今やそのネーミングも忘れられつつの今ですがスポットを当て振り返ってみます、 あのクルマの系譜・いすゞジェミニ やってみましょう!
【5代目ジェミニ(最終)】

(1997~2000)
・ジェミニにとってもいすゞにとってもセダン型乗用車の最終モデル。
・先代から引き続きホンダドマーニ(2代目)のOEMモデル、主にいすゞ社員需要と過去ジェミニの代替えユーザー対象にラインアップされ積極的販売はなされず。
・搭載エンジンはガソリンエンジンのみで直4 1.5L 同1.6L、駆動はFF/4WD、ミッションは5MT/4AT。
・ボディタイプは4ドアセダンのみ。
・ホンダドマーニの他にインテグラSJと三つ子モデル、先代同様相互OEMでありドマーニ-ジェミニに対しビッグホーン-ホライゾンが対象。
【4代目ジェミニ】

(1993~1997)
・先代をもってジェミニは自社生産を諦め代替えユーザー、同社関連乗用需要に応えるためホンダと結んだ相互OEMによりホンダドマーニの供給を受け4代目ジェミニとして販売、積極的販売政策はとられず。
・ドマーニとの差別化はFrやRrのエンブレム(ステッカー)やステアリングのマークのみ。
・搭載エンジンはガソリンエンジンのみで直4 1.5L 同1.6L、駆動はFF/4WD、ミッションは5MT/4AT。
・ボディタイプは4ドアセダンのみ。
【3代目ジェミニ】

(セダン前期1990~1992)

(クーペ 1990~1993)

(セダン後期1992~1993)
・自社生産最終モデル。
・先代から続きスポーティモデルと経済モデルを両立訴求、ニシボリックサスやグリルレスのアメリカンな出で立ちで個性を放つも市場には受け入れられず。
・3代目ジェミニは不振もあり3年で終了となるがその背景にはバブル崩壊による深刻ないすゞの状況もあり利益率が低く更に人気/販売が芳しくないジェミニを生産し続ける余力を失っていた事が大きな要因。
・当時の提携先であるGMの意向を汲んだデザインが国内では不評ながら経済性訴求のDeモデルとスポーツユーザー向けイルムシャーやZZハンドリングバイロータスはマニアには評価が高かった。
・搭載エンジンはガソリン直4 1.5L 同1.6L、ディーゼルターボ直4 1.7L駆動はFF/4WD、ミッションは5MT/4AT。
・ボディタイプは4ドアセダン、3ドアHB、クーペのラインナップ。
・93年以降はベースグレード以外はすべて受注生産化、尚93年にセダンのみ不評のグリルレスを止めグリル装着がなされるも時既に遅しの状況。
【2代目ジェミニ(FFジェミニ)】

(㊤セダン/㊦HB前期1985~1987)

(後期セダン1989~1990)

↑2代目ジェミニの大きな話題となったCMの一部
・歴代ジェミニの中で最多販売、最高人気を博す。
・「街の遊撃手」のアクロバット走行を披露するシリーズCMは巷で大きな話題にある。
・1987年迄は先代初代ジェミニと併売、先代はFR、2代目はFFとなった為識別のため1985~1987年の前期型2代目は「FFジェミニ」が正式名称、87年以降初代廃盤後は「いすゞジェミニ」に名称変更。
・先代から引き続き経済性の高いDeモデル、スポーツファンに訴求するDOHCやターボ等高性能エンジンを搭載するZZやイルムシャー、そして一般訴求型と幅広いバリェーションが人気の秘訣で一時はカローラやサニーも警戒する程の人気を獲得、しかし生産能力、販売網の不足からこれらライバルを脅かすもTOPに立つ事は果たせず。
・後に主にスポーツマニアには人気となるロータス社がチューニング(足回り)したZZハンドリングバイロータス、ZZとは異なるスポーツイメージを訴求するイルムシャーがこのモデルから設定される。
・いすゞ独自開発の自動ミッション(NAVI 5)をアスカに次いで搭載、現行スムーサーの基礎となる基本オートクラッチ。
・搭載エンジンはガソリン直4 1.5L 同1.6L、ディーゼル/同ターボ直4 1.5L 駆動はFF、ミッションは4MT/5MT/3AT/NAVI 5。
・85~90の販売期間で2度のMCで前期・中期・後期モデルが存在。
・ボディタイプは4ドアセダン、3ドアHBのラインナップ、尚、商用バンモデルとして2代目~3代目ジェミニにかけてジェミネット/ジェミネットⅡもラインナップされたがこれらはそれぞれスズキカルタス、スバルレオーネバンのOEMでありジェミニのバンという立ち位置ながら脈略はなし。
【初代ジェミニ(ベレットジェミニ)】

(初期Ⅰ型セダン 1974~1976)

(Ⅲ型クーペ 1979~1981)

(最終Ⅳ型セダン 1981~1987)
・60年代に人気を博した『ベレット』の後続モデル。
・1975年までは「ベレットジェミニ」、以降は「ジェミニ」として販売。
・提携先米・GMのオペル・カデットをベースに世界戦略車として開発され日本、韓国、アメリカ、オーストラリア等で販売されるグローバルカー。
・お家の事情もあるが比較的好調なセールスが続き13年の長寿を誇る。
・販売期間が長い為、大きく分けて3回のMC、4モデルが存在。
・当初はベレットから受け継ぐG161型1.6Lエンジンのみでデビューするが高性能DOHCエンジン、低燃費のDeエンジンモデルを順次ラインナップしワイドバリェーションを展開。
・搭載エンジンはガソリン直4 1.6L 同1.8L、ディーゼル/同ターボ直4 1.8L 駆動はFR、ミッションは4MT/5MT/3AT。
・ボディタイプは4ドアセダン、クーペのラインナップ
・2代目FFジェミニデビュー後もDe及びDOHCモデルは87年迄併売。
・I-CAS(いすゞクリーンエアシステム)にて昭和51~53年規制適合。
【ベレット】

(前期型4ドアセダン 1963~1971)

(GTタイプR 1969~1973)

(GTファストバック 1967~1970)
・50年代にノックダウン生産されていたイギリスの『ヒルマン』分離後続モデル、ヒルマンの上級モデルは『ベレル』、庶民向けモデルにこのベレットが発売された。
・当初は2/4ドアセダン、15Lガソリンと1.8LDeエンジンモデルにてデビューするも後に1.3Lや1.6L、1.8Lを順次搭載された。
・64年に日本で初めて『GT』を名乗るクーペモデルのベレットGTを追加(当初は「クーペ」名称モデルも存在)、この種のパイオニア的モデルで若者を中心に”ベレG”の愛称で親しまれた。
・GTにはファストバック、117クーペからG161W型DOHCエンジンを移植した「GTタイプR(発売当初はGTR)」等マニアックなスポーツモデルを設定、GT、GTタイプRは競技でも活躍。
・ダイアゴナルという凝った足回りが特徴ながらクセが強く初心者等には扱いにくいという評価もありセダンモデルにはオーソドックスなリーフを採用する「Bタイプ」も設定、ボディもRr外板まで変更されていた。
・11年の長寿を誇りMCは2度、特に前期(63~71モデル)では排気量、車型、グレードにより顔付やテールをリデザインする等差別化が盛んだった。
・搭載エンジンはガソリン直4 1.3L 同1.5L 同1.6L 同1.8L ディーゼル直4 1.8L 駆動はFR、ミッションは4MT/5MT。
・ボディタイプは4ドアセダン、クーペ(GT)、商用バン(ベレットエキスプレス)、商用トラック(ワスプ)のラインナップ。
【2代目ヒルマンミンクス/ヒルマンジュビリー】

(1956~1964)
・ベレット/ベレルに繋がる基礎モデル、実質的に生産期間の長い2代目ヒルマンミンクスにて乗用車製造をいすゞは学んだ。
・本国イギリスルーツ社のヒルマンFMCに合わせいすゞヒルマンもFMC、先代同様のノックダウン生産。
・57年にはいすゞによる完全国産化、但しボディ製作は三菱自動車(当時三菱重工)に委託生産。
・後に各社のスポーツグレードに定番となるフロアシフト、タコメーターを国産量販車として初採用。
・ヒルマンジュビリーはヒルマン50周年の記念モデルで細部の意匠がミンクスとはリデザイン。
・搭載エンジンはガソリン直4 1.5L 駆動はFR、ミッションは4MT。
・ボディタイプは4ドアセダンのみ。
【初代ヒルマンミンクス】

(1953~1956)
・ジェミニ←ベレットの元祖モデルがこの初代ヒルマンミンクス。
・戦後自由化された乗用車生産にいすゞも参画、トヨタは独自、日産はオースチン、三菱はカイザー、日野はルノーでCKD(ノックダウン生産)を開始、いすゞはイギリスのルーツ社と提携しその主力であるヒルマンミンクスをCKDにて販売。
・当初前時代的SV(サイドバルブ)1.3Lエンジンでデビューするも55年よりOHV1.4Lの新エンジンに換装、当時乗用車の主要顧客であったタクシー業界にも導入が進んだ。
・搭載エンジンはガソリン直4 1.3L 同1.4L 駆動はFR、ミッションは3MT。
・ボディタイプは4ドアセダンのみ。
あのクルマの系譜~いすゞジェミニ編~…
終
※ベレットについては
こちら ベレルについては
こちら もご参考に!!