
あのクルマの系譜シリーズ、第21回は時のスポーツカー衰退の流れ、メーカー自身の不祥事の煽りも受けて2001年に製廃となった三菱GTOを取り上げます。
1970年、三菱が本格的ツーリングカーとして従来のコルトギャランをベースにして仕上げたスポーツモデル、コルトギャランGTO(以下ギャランGTO)が三菱スポーツの原点、以後そのDNAを着実に受け継ぎGTOまで絶える事のなかった三菱スポーツのイメージリーダーの立ち位置はもう長い事空席になっております。
GTO廃盤以降の三菱は社会的にもシュア的にもかつてのように販売台数の見込めないスポーツモデルをイメージリーダーに据えれるような環境下ではなく特に近年、日産ルノーアライアンスに組み入れられた事により自社でのスポーツモデル開発=GTOの復活というのはほぼ絶望的、そんな部分もあり三菱が華々しかった頃、70~90年代の三菱スポーツを振り返ってみます。
【GTO】

(最終型 1998~2001)

(中期型 1993~1998)

(前期型 1990~1993)
・三菱スポーツの原点である「ギャランGTO」から17年ぶりのネーミング復活で話題を呼ぶ。
・ベースをディアマンテとしギャランGTO同様に一般普及型セダン系をベースとするスペシャリティカー。
・日本車離れしたスーパーカー的出で立ちと大柄でグラマラスなボディは輸出先の北米では「3000GT」の名で大人気を誇るも国内では全種4WDや重量級のV6エンジン等が要因のヘビーな重量からライバル陣と比較し俊敏さに劣り意図した人気は得られず。
・デビュー後の91年からはスタリオンに続きレース活動にもGTOで参戦、N1耐久選手権(クラス1)では一番のライバルとされたR32型スカイラインGT-Rと互角の勝負を演じた。
・ボディは2ドアHBクーペのみ、エンジンは通算してV6 3LのNAとツインターボ、ミッションは5/6MT(途中追加)/4AT、駆動は4WDのみ。
・11年のモデルライフの中で大きく分けて3タイプが存在(2度のMC)、前期モデルではアメリカの規制前でありリトラクタブルライトが採用され中期以降は固定式プロジェクターに変更、また中期型デビューの翌年には三菱の伝説的グレードである「MR」をギャランGTO以来で復活させた。
【スタリオン】

(2600GSR-VR 1988~1990)

(2000GSR-X 1982~1984)
・GTOの前身に充るのがスタリオン、GTO発表前には「スタリオンGTO」のネーミングも候補であった。
・シャーシはこれ前後の三菱スポーツの定石通りA160系ギャラン/エテルナΣ・Λを使用。
・スペシャルティカーながらリトラクタブルライトを採用したウェッジの効いたスポーツカー然としたスタイリングで一見2シーターにも見える出で立ちは精悍ではあったが三菱らしくゴツゴツした武骨さが当時のライバル、セリカXX、フェアレディZ、サバンナRX-7と較べ流麗さを欠きスポ車ブームの中でも地味な存在。
・ボディは2ドアハッチバッククーペのみ、エンジンは4気筒2L SOHC 同2L(キャブ/ECI)、同ECIターボ、同ECIシリウスダッシュターボ、同2.6LECIターボを搭載。
・ミッションは5MT/4AT、駆動はFR。
・競技に於いては国際ラリーを始めとしループA、グループN、全日本ツーリングカー選手権等に参戦。
・ベースとなったギャランΛ/エテルナΛも車種編成により82~84年まで併売。
・88年以降はブリスターフェンダーで3ナンバー化された2600GSR-VRのモノグレードのみとなる。
・石原プロ制作のアクションドラマ「ゴリラ警視庁第8班」で特別仕様のガルウイング2600GSRが劇用車として登場、同仕様が限定販売で市販され話題となる。
【2代目ギャランΛ/エテルナΛ】

(1980~1984)
・スタリオンの前身となるのがギャランΛ/エテルナΛ(以後Λ ギャランとエテルナ販売店別の双子車でエテルナΛは初代ギャランΛエテルナから改名)、セダンであるΣのHTバージョンでセダンがファミリー向けとされΛはスポーツバージョンの側面も持ち当時の三菱最高峰である2.6Lエンジンを搭載しイメージリーダーを務めた。
・先代(初代)Λからボディ外板は一部キャリーオーバー。
・ボディは2ドアHTのみ、エンジンはガソリン4気筒1.8L SOHC 同2L 同2L ECI 同2L ECIターボ 同2.6L ディーゼル4気筒2.3LSOHC 同Deターボ。
・ミッションは5MT/4AT、駆動はFR。
・82~84年は車種編成(ターボモデルのみ)の上、居住性で優位なΛもスタリオンと併売し2代目Λとしての通常(当時4年)モデルライフを終える。
・Λのスポーティな部分はスタリオンに、ラグジュアリーな部分は次期型Σ E10系で設定されたΣ HT(4HT)に継承された。
【初代ギャランΛ/ギャランΛエテルナ】

(2600スーパーツーリング 1979~1980)

(2000GSR 1976~1978)
・三菱上級スポーツモデルを担当したギャランHTとギャランGTOを統合、従来のギャランセダン→ギャランΣにFMCしたのを機会にギャランHT/GTOを廃盤統合して新たにギャランΛとなる。
・新販売店設立と同時に2チャンネル制に対応する為ギャランΛのFr/Rrをリデザインした双子兄弟の「ギャランΛエテルナ」が78年より設定。
・ボディは2ドアHTのみ、エンジンはガソリン4気筒1.6L SOHC 同1.6Lツインキャブ(~78) 同2L SOHC 同2L ツインキャブ(~78) 同2.6L SOHC(78~) 。
・ミッションは5MT/3AT、駆動はFR。
・国産初の角型4灯式ヘッドライト、1本バーハンドル、Rrラップアラウンドウィンドゥ、ロールバーリアルーフ等斬新なデザインや装備でセダン版Σと並ぶ人気車種となる。
・昭和51年→53年規制適合(MCA-51→MCA-JET)
・79年にパーソナルクーペとしてデビューし好評を得ていたトヨタセリカXXの対抗馬として3ナンバーの高級パーソナルカーである2600スーパーツーリングを設定、ショーファーのデボネアを除き一般訴求モデル初の3ダッシュ。
【ニューギャランHT(2代目ギャランHT)】

(1973~1977)
・Λの前身の一つがギャランHT、ニューギャランは2代目ギャランの通称。
・当時ハードモデルにギャランGTO、ファミリーモデルのセダンとギャランGTOの中間の立ち位置でスポーツグレードから普及版を揃え居住性等ではギャランGTOを上廻っていた。
・ボディは2ドアHT、エンジンはガソリン4気筒1.6L 同1.85L 同2L 同2Lツインキャブ
・ミッション4MT/5MT//3AT、駆動はFR。
・昭和51年規制適合(75~ MCA-51)
【コルトギャランHT/ギャランHT(初代)/コルトギャランGTO】

(ギャランGTO最終型 1976~1977)

(ギャランGTO前期型 1970~1972)

(コルトギャランHT/ギャランHT 1970~1973)
・従来の三菱中心車種(セダン)だったコルトのFMC版がコルトギャランとなり当時流行した2HTやスポーツクーペブームによりデビューしたのがギャランHTとギャランGTOとなる。
・ギャランHTはファミリー層もターゲットに据え一般訴求~スポーツグレードまで展開、ギャランGTOはよりコアなユーザー対象で三菱初のDOHCエンジン搭載も行われ「MR」グレードのその性能はスペシャリティーカーながら本格スポーツカーの実力を持つ三菱No1の名車とされ以後GTO、ランサーエボリューションの最高グレードとしてDNAを継ぐ。
・コルトのファーストネームはギャランは71年迄で以降「ギャランHT」、ギャランGTOは77年最終迄正式名称「コルトギャランGTO」。
・HTはギャランセダンをベースに2ドアロールーフ化、センターピラーレスとしたもの、ギャランGTOはHTをベースにクーペ化しながら国産初のダックテールを持つより精悍なスタイル、これは当時米国でブームとなったマッスルカーのテイストを採り入れたもの。
・ボディ、ギャランHTは2ドアHT、ギャランGTOは2ドアHTクーペとなる。
・エンジンはギャランHT=ガソリン4気筒1.5L SOHC 同1.6L 同1.6Lツインキャブ 同1.7Lツインキャブ ギャランGTO=4気筒1.6L 同1.6Lツインキャブ 同1.6LDOHCソレックスツイン 同1.7L 同1.7Lツインキャブ 同2L 同2Lツインキャブ。
・ミッションは4MT/5MT/3AT、駆動はFR。
・昭和51年規制適合(ギャランGTOの75~ MCA-51)
・ギャランHTは70~73年の3年でFMCし2世代となるもギャランGTOは70~77年の7年のロングライフ。
・ギャランGTOは当時まだ珍しかった一般訴求型セダンをベースにスポーツカーの性能を載せる新ジャンルである”スペシャリティカー”をライバルのトヨタセリカと共に認知させ以後各社が追従。
あのクルマの系譜・三菱GTO編…
終