
今回はギャラン→Σから発展したディアマンテ/シグマ取り上げます!
ディアマンテ/シグマへの発展前の歴史は前出ギャランブログの通りで長い歴史を持つ“ギャラン/エテルナ”という一つのモデルが当時の好調だった三菱及びセダン市場の拡大を適えるべくこれまでのギャラン/エテルナの高級部分(上級グレード)を新星ディアマンテ/シグマに、ベーシックや普及、スポーツ路線をE30系ギャラン/エテルナに分離した片方のモデルが今回取り上げる『F11/12/15/17/25/27A型初代ディアマンテ/シグマ』及び『F31/36/41/46/47A 2代目ディアマンテ』です。
ディアマンテとシグマの違いは前者が旧ΣHTの流れである4HT、後者が旧Σセダンのながれから来る4ドアセダンとなります。
尚、シグマに関しては “華麗なる一発屋!!!”…30 にて詳細を触れましたので割愛、以下ディアマンテを主体に記述、初代ディアマンテと2代目で分けて記載します。
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【F11/12/15/17/25/27A型初代ディアマンテ】
ディアマンテは90/5、上で触れました通り小型車枠からはみ出し年々高級路線化していった旧Σ4HT上級を独立させ新たなネーミングを与えられた3ナンバー専用ボディを持つパーソナル4HTとして登場しました!
従来、このクラスは当時2L 5ナンバークラスでもFFが常識になる中、マークⅡやローレルに代表されるように駆動はまだまだFRが常識でしたが先代ΣやS系デボネアでラージクラスもFF化した三菱が普及型FFラージクラスとして本腰を入れて開発したのが初代ディアマンテでした!
↓90/5、高級パーソナルHTとして登場した初代前期ディアマンテ(30R-SE 4WD タイトル=30R 4WD)
また、それまで税制の関係で3ナンバーはとても一般庶民の乗れるクルマではありませんでしたが外圧の影響もありがめつい政府も重い腰を上げ税制を改め3ナンバーの税金が安くなったタイミングにドンピシャのデビューとなったディアマンテ、87yに新たな思想と独特なデザインが話題で人気だったE30系ギャランとデザインテイストを同じにしかえって3ナンバー化による大型ボディはE30系のデザインをより広く、長く、低くをノビノビと大胆に演出、セダンだったE30と較べセンターピラーのあるピラードHTながらスタイリッシュ/スポーティで高級感溢れるそのデザインはE30系に負けない注目と人気を集め当時のこの種のモデルの定番だったライバルのマークⅡを持つさすがのトヨタを慌てさせたのは有名な話です!
ギャランから受け継ぐ精悍な逆スラント&2分割グリルの顔付に流麗な4HTのスタイリング、テールの味付けもE30をベースに高級感が高められフォーマルな印象さえも!!
インテリア等も車格に相応した豪華なモノながら一世代前のようなキンキラキャバクラ風味ではなくシックで好印象でした!
↓“シックな豪華さ”演出するセンスのいいインパネ&インテリア(25V)
それでは車両概要です。
(サイズ)
全長4740全幅1775高1400ホイールベース2720(以上mm)
(車重)
1580kg =30R-S
(エンジン)
2000シリーズ:サイクロン 6G71型 V6 OHC ECI 125ps
2500シリーズ:サイクロン 6G73型 V6 DOHC 4バルブ ECI 175ps
3000シリーズ:サイクロン 6G72型 V6 DOHC 4バルブ ECI 210ps
(駆動)
エンジン横置き搭載+FF/フルタイム4WD
(ミッション)
5速MT/電子制御(ELC)4速AT
(脚回り)
FFモデル=Fr:ストラット/Rr:マルチリンク
4WD= Fr:ストラット/Rr:ダブルウイッシュボーン
(型式)
2000FF:F11A→F12A
2500FF:F13A/F15A
25004WD:F25A
3000FF::F17A
30004WD:F27A
以上のように全てV型6気筒のエンジン群は全てシリウスを名乗ります、中でも注目&売れ筋は税制改革の産物で産まれたこれまでにはなかった排気量である2.5でして従来のメジャーだった2Lに較べ余裕のあるパワー、そして高級感も感じられ上級3Lと比較しても静粛性、パワー感もさほど劣らずにそれよりも低燃費と言う点がウけ人気を呼んでました!この2.5Lディアマンテの成功でマークⅡ(GX/JZX80系)やローレル(C33系)、スカイライン(R32系)等も次々に同排気量を設定していきました。
2.5の実際のドライブフィールもワタクシが感じたのは決してトヨタや日産のV&縦6に較べて「静か」ではないながらパワーは充分で1.5t超のボディでも難なく快調に走ってくれていました、これが2Lですとワタクシ、シグマでしか経験ありませんが明らかにオーバーウェイトで一人二人では加速でややストレスを感じる程度ながらフル乗車では下はスカスカ、廻せばやかましいだけでパワーは感じられなく「やっぱり廉価版」を強く意識させられましたねー、ディアの3Lは経験ありませんがGTOのNAでの経験の予測からすればGTOよりはいくらか軽い(FF)のと2.5での充分なパワーから察して多分“速い”部類ではないかな と。。。
↓最高峰となるV6 3000の6G72型DOHC 24バルブエンジン㊤と一番人気
のV6 2500 6G73型DOHC 24バルブエンジン㊦
脚は4駆は経験ないので語りませんがFFですとスポーツ系のR系グレードではややゴツゴツ、高級系のV系SEではフワフワ感があり全体的には同様に可もなく不可もなく“フツー”な印象でしたが「高級車」としては何ら問題がなくE30系の下級や旧Σと較べたら進化は明らかに感じられました!
尚、上級グレードではE30系ギャランでお馴染となった電子デバイス&ハイテク装備もなされ4WSやアクティブESC等もラインナップされています。
それではココからはモデル改歴に移ります。 (限定車追加等は一部省いてます)
(90/8~90/9)
新グレード(30V、30R-S)追加設定
(90/10)
セダン版となる「シグマ」発売
(90~91)
カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)受賞
(90/11)
可変スポイラー付モデル追加
(91/6)
COTY記念モデル設定
(91/10)
アクテイブ・フォー(25V-SE 4WD)モデル追加
(92/10)
MC、人気モデルに付大幅な変更は避けFrのバンパー&フォグランプ形状とテールランプ配置の変更とインテリア一部の小変更に留めています→中期型へ。
この時、エアコンは代替フロンに変更、6A12の2LもOHCながら24バルブ化がなされpsを145psと高めますがこれを搭載する20Eは注文生産とされています。(2.0の型式F11A→F12Aに変更)
↓スポーティ感が増した中期型のRrビュー(30R 4WD)
(93/3)
豪州三菱製である『ステーションワゴン』(以下ワゴン)を追加設定。
ワゴンは従来も国内のワゴン人気に対応し旧Σ時代に豪州三菱がこれをベースに車幅を拡大してワゴン化した『マグナ』というモデルを輸入販売していましたがディアマンテワゴンはこれの後続に当たります!
型式はK45型となり顔を国内需要に合わせてディアマンテ顔としながらベースはセダンであるシグマを採用、Bピラーまでのラインはシグマそのものでした。
↓ワゴンブームも花盛りの頃オーストラリアから追加輸入された「ワゴン」
ワゴンはエンジンをOHCの3L 6G72(豪州表記のY7型が車検証表記)のみでモノグレード、駆動はFFのみ、脚はFrはストラット/Rrは積載を考慮した5リンク式とされていましたが輸入車という特殊性と少量販売による高額が災いし販売/人気ともDOWN!!状態、当時ライバルとなる高級ワゴンだったステージアや王道人気のレガシィと較べこれらの売れ筋グレードより50~100万近い値段の開きがあったディアマンテワゴン (340万)、注目はされスタリングもディアマンテの美しさを崩さない出来栄えながらこの高額さが全てをブチ壊した感じでorz・・・
(93/11)
MCで後期型となります!(ワゴンを除く)
前回MCが小規模だった為、今回のMCはFrフェイスを中心にイメージ変更がなされました。(テールは中期型を継続)
↓Frを一新した後期型
後期型からは従来顔付を異にしていたシグマと共通化がなされています。新たな顔は従来型とデザインの基本は同じながらメッキ→ボディ同色グリルとなり個人的にはどこか安っぽくなってしまった印象で残念感が強かったです、発売以来3年を経過し飽きられたのもあるとは思いますがこの顔になり人気/販売もDOWN気味になってしまったような…
モデル展開もそれまで“高級路線”で良く言えば品位を保った、悪く言えばお高い商売だったディアマンテが「エスパーダ」と呼ぶ従来の低グレード(Eシリーズ)を前面に押し出すなどの路線変更があり一気にディアマンテの価値を下げてしまったような印象が個人的に残っています。
エスパーダは当然の如く装備や味付けにコストダウンが顕著でありエスパーダ上級グレードは従来の装備を踏襲しながらも先記のような顔付の変更でコストダウン感が否めなくこのMCは“失敗!?”だった気がしますネー(あくまでイメージですが。。。)
(94/11)
ワゴンのMC、Frフェイスを4HT版と同一化、安全対策も準じてABSやエアバックを装備。
あまりの高価さが災いし販売が伸びないのを反省し従来型の装備を簡略化した「30V=249万」(従来のモノグレードは「30R-SE」とされています)
↓94/11~はワゴンも後期型となる!
(95/2)
FMC、ワゴンは従来型を継続。
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【F31/36/41/46/47A 2代目ディアマンテ】
95/2、好評だった初代ディアマンテ、5年目してFMCがなされ2代目に突入します!
この時点でセダン版のシグマは廃止、ワゴンに関しては従来型を継続販売しています。
2代目はデビュー時は税制改革の追い風もあり好評で人気もUP!!だった先代、後半はライバルの猛追もあり苦戦気味になりながらも一定のオーナーを築き成功作でしたので基本キープコンセプト、4HTのボディスタイルは先代のE30譲りのイケイケなイメージからよりフォーマルさを強調し先代に較べやや軟らかいラインで構成されるスタイリングとなっています。
挑戦的な逆スラントの顔付は直立気味にされながらもその中に伝統の2分割グリルが三菱車の主張、テールはかつてのランサー(A73時代)を彷彿させるようなL字型テールランプを採用、古いワタクシなどは懐かしくそのテールを眺めたモノでした(汗)
↓“キープコンセプト”ながらよりフォーマルさを強調した2代目ディアマンテ
前期型のFr㊤とRrビュー㊦(30M-SE)
2代目での注目は衝突安全ボディ「RISE」を採用、当時トヨタは「GOA」の名称でやはり衝突安全を謳っておりこれらの一種のブームに対抗したものでした。
インテリアやインパネも先代ノイメージを継いではいますがインパネに関してはオンダッシュのナビやエアバック(助手席)の影響もありデザインの自由度は減り従来型と較べると“らしい”特徴は薄れていました、まぁこれは何もディマンテに限ったモノではなくこの頃のNEWモデル全体に感じられた点ですが。
↓30M-SEのインパネ&インテリア
それでは車両概要です。
(サイズ)
:全長4785全幅1785高1435ホイールベース2720(以上mm)
(車重)
1510kg =30M-SE
(エンジン)
2500リーンバーン:6G73型 V6 OHC 4バルブMVV ECI 175ps
2500シリーズ:6G73型 V6 DOHC 4バルブ ECI 200ps
3000シリーズ:6G72型 V6 DOHC 4バルブ ECI230ps(MIVEC=270ps)
(駆動)
エンジン横置き搭載+FF/フルタイム4WD
(ミッション)
電子制御(INVECSⅡ)4速AT/同5速AT
(脚回り)
Fr:ストラット/Rr:マルチリンク
(型式)
2500FF:F31A
25004WD:F41A
3000FF::F36A
30004WD:F47A(30R-SE)/F46A(30R)
以上から分かるようにホイールベースは先代と同様ながらサイズはやや大きくなっていますが全体的にに軽量化、エンジンも先代に設定されていた2.0Lは廃止されオーバー2Lのラインナップがなされ“走り”の部分を重視しています!
2.5には新たにリーンバーン省燃費型エンジンが設定、これのみ従来の6G72と同等psですが他は全てパワーupがなされ特に3Lではミラーシュやランサーのスポグレードでお馴染の“可変バルタイ“=MIVECが与えられNAながら実に270psを誇るハイパワーエンジンも設定されています。
↓ディアマンテ史上、最強のMIVEC機構が搭載された6G72型270ps!!
このMIVECの270ps版もあるテストで少しですが乗った経験があります、コイツはもう当たり前に“速い”ですが大排気量NAらしくトルクフルなのは当然ありますが印象としては他社や同じ三菱の非MIVECと較べると小排気量のDOHCのカムに乗るいい意味でがさつなフィーリングも特に高回転では見受けられメカ的部分に惹かれる層には魅力的ですがこの種のモデルを選ぶユーザーさんにはハッキリ言ってどうでもいい部分なのかな?って感じです。
ランサーやミラージュとは性格が異なるディアマンテにはいささかミスマッチな印象は否めなく勿論秀逸なエンジンではありますが性格上非MIVECの6G72で充分ではないかと感じました…
ミッションは先代まで細々と存在していたMTが遂に廃止、ATのみとなりますがE5系ギャラン/エテルナで搭載された学習能力(INVECS)付4速/5速ATとされています。
他に脚廻りが先代ではFFと4WDで別の設定をしていましたがこれをストラット/マルチリンクに1本化してコストダウンしています。
それではモデル改歴です。
(97/8)
MC、Fr/Rrの意匠変更。
Frはバンパーデザインが主でさほどイメージに変わりないもののテールはL字を踏襲するものの分割式とされています。
この時は外見よりもエンジン変更が主眼であり当時三菱が売りだし中であったガソリン直噴エンジン“GDI”化がなされています!
GDIとなりエンジンは3Lに単一化、6G72GDI 240psのみとされています(グレードは3Lに統一されながらもデビュー時と変わらず全5種の設定)、駆動はFF/4WDを継続。
↓97/8~GDI 3Lのみとなった中期型SE-G
(97/10)
ワゴンもFMC、ここまで旧型を継続していたワゴンも2代目ディアマンテをベースにした新ボディに切り替わりました!
ワゴンはやはり豪州三菱からの輸入という点に変わりはなく先代同様に2グレード(ベースモデルの「ES」と高級版「LS」)、エンジンは先代のワゴンのV6・3000のOHC 6G72エンジンを継続搭載、FFのみ、リヤサスが5リンク式という点も旧型同様でした。
ミッションはシーケンシャルモード5速AT化がなされています。
↓2年半遅れで2代目となったワゴン(LS)
(99/9)
二度めのMCにて後期型となります。
外見上の大きな変更点はテールのみ、顔付は中期型とほぼ同一ながらテールランプはL字型をやめ上級のプラウディア/ディグニティと同意匠の縦型テールに変更、上級車のイメージもあり安っぽさまでは感じませんでしたがう~んどうなんでしょ!?
個人的にはこのRrスタイル、イマイチかなーと。。。
↓ナンバーの位置さえ見なければまんまディグニティのお尻となった後期型(30R-SE)
尚、このMCでGDI化された2.5Lが2年ぶりに復活、6G73型GDI 200psを搭載した2.5シリーズが再設定されています。
(01/3)
ステーションワゴン人気の衰退と一連の不祥事の煽りを受け販売低迷するワゴンの輸入を停止、国内ではカタログ落ちとされ4HT単独モデルとなる。
(02/12)
デビュー7年を経過しながらも不祥事からなる販売の激減、排ガス規制の関係及び社運を賭けたGDIエンジンの数々の問題から新エンジンの必要性も高まりながら新モデルやエンジンの新開発などできる余裕のなかった三菱はエンジンを既存の6A13型V6 OHC 170psへ換装して排ガス規制をパス、代替需要策、イメージ維持などの理由からグレードを「エスパーダ」と「25V-SE」の2種に絞ってディアマンテを継続、最後の三菱ファンに訴求しています。
この時点でグレード消滅からこれまで売りにしていたハイテク装備はほぼ失っておりATも4ATのみという淋しいラインナップになってしましました。
(04/12)
小変更、グレードを「25V」「25V-SE」とし主にインテリアのデザインを変更しています。
(05/12)
長引く不祥事からなる販売低迷と折からセダン型需要の低迷もあり遂にディアマンテは三菱セダンの老舗であったギャランと共に製廃とされディアマンテ15年の歴史に終止符を打ちました…
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以上のようにディアマンテ、初代デビュー時は三菱バブルの勢いと税制改革のタイミングを捉えて一気に人気絶頂にUP!!、後期型で失速気味となりながらも根強いファンを掴み順調に2代目にバトンタッチしましたが00y以降に起こった三菱及びファンには不幸な出来事が起きて以来今度は逆に一気にDOWN!! したディアマンテ、一時はコンセプトカーのショーモデルの誕生やら復活の兆しも見られながらもエコカーブームや日産との関係強化もありその行く末は絶望的?な感じすらしますが“イケイケ三菱”の象徴のようなモデルだったディアマンテの存在感は今でも不滅ですね~。
次回は“本流”であるギャラン(エテルナ)に戻ります!
(次回7代目ギャラン及び5代目エテルナ、エメロード(E52~57A/72//74/77/84A型)に続く)