
(2012.4/2UP)
【終息期】
(75/11)
排ガス未対策モデルが販売できるのも75年いっぱい、いよいよトヨタ/三菱も苦心の末75年も押し迫った11月にセリカ/GTOを独自のカラーで規制適合させてゆきます。
まずはGTO、サーマルリアクター方式(後燃焼方式)のMCA-51と名付けたシステムにて50年を飛び越えた51年規制適合モデルがラインナップ、先記のように75年いっぱいは未対策モデルも販売可能な為、これらと併売されますが規制車は減税=優遇税制が適用されまています!
MCA-51モデルは1700と2000シングルキャブのみの設定で排ガス浄化補機装置にパワーを喰われ1700の4G35が105ps→97psへ、2000の4G52が115ps→105psへスペックダウン、それそれ未対策時代の元気は奪われ排気量が300~500cc又は車重が300~500kg重くなったような印象に成下がりGTOの暗黒時代突入を乗ってみると感じざるを得ないモデルでした。。。
↓トランクリッドの左端には排ガス規制車を示す『MCA-51』を示すエンブレムが…(75/11~1700SL-5)
↓クリーンながら残念な出力ダウンは避けられなかったMCAエンジン(75/11~4G52型)
規制モデルは小変更が行われ2分割プロペラシャフトの採用(走行騒音低減)、ミラーをブラックアウト化、旧型では『AstoronN80』のステッカーがあったボンネット先端に『MCA』のエンブレム、追い出された『Astoron80』の文字は グリルにエンブレムとして装着、またトランクリッド左側にも『MCA-51』のエンブレム装着がなされ1700SLは5速化し1700SL-5へ、2000SLはGSR同様のエアダムスカートが標準装備されています!
尚、未対策モデルは75年末をもって廃版、GTOは76/1より上記のMCA-51モデルへ移行、ツインキャブ搭載の2000GS-5と復活するも僅かな生存だったGSRも当然カタログ落ちし涙なくして語れない時期になってしまいました(;_;)
規制モデルは型式が51年規制適合を表すC-とB-が付記され補機装置で1tを超えた200SLが1t超を示すB-A57C、1t以下に納まる1700SL-5がC-A55Cとなっています。
一方のセリカは排ガス規制適合と同時にシリーズ全体を大幅にMC、50年規制達成不可の一部搭載エンジンをカタログ落ちさせながら三菱とは異なる酸化触媒方式の『TTC-C』システムにてこれをパス、この時にバリェーション整理が行われ内外装の意匠も変更、特にインパネは70y以来の旧態化した使い勝手を改善、従来のイメージを継承しつつもワイパーやライトスッチを現代に通じるマルチレバー化しているのが大きな特徴。
また、ボディも主として排ガス対策補機装置を納めるため全長+25mm、全幅+10mm、ホイールベース+70mm、Frトレッド+50mmの拡大がなされています。
エクステリアではLBのテール、バナナを5本→3本に変更、LBの例の給油口がボディサイドにようやく移設(これは追突時の火災の危険性が高いため問題視されており後に保安基準でOUTになっています)、セリカ/LB共にFrターンシグナルをバンパーに埋め込みややFrの印象を変えていますがMCのズレもありセリカのRrは不変でした。
↓75/11~の排ガス対策モデルとなったセリカLB(op装着のLB2000GT)
↓インパネもMCを機会に新設計!(75/11~LB2000GTのインパネ&インテリア)
↓MCされたセリカ(75/11~2000GTV)
↓2000GTのインパネ&インテリア
大柄になったボディと排ガス規制による出力低下でセリカのドライバビリティは目を覆いたくなる有様!
大型化し特に新設op設定された輸出用5マイルバンパー(衝撃吸収バンパー=バンパー内部にショックアブソーバを装備、LBの2000にop設定)装着モデルは迫力を増し従来のLB/未装着とはかなりのイメージ変更がなされていますがトヨタのこの過程(50/51年対策)は他メーカーに較べスペック以上のドライバビリティ低下が著しく三菱が500ccの差ならこちらは10000ccも落ちた感じでしたorz…
カタログ落ちとなったエンジンは1400のT型、1600ツインキャブの2T-BR、同DOHCの2T-GR、2000EFIの18R-E…
Tはあまりの出力低下でセリカには荷が重過ぎて廃止、2T-GRも同様に〝GT”としての走りが失われるという意味で1600DOHCはレビン/トレノに譲り廃止、2T-BRはツインキャブの為排ガス適合不可、18R-Eは販売台数が伸びずにこの機会に廃版とされたものです。
残る適合エンジンは1600の2T(対策記号が付記され2T-U 100→90psへダウン)、2000の18R(18R-U 110ps→100psへ)、2000DOHCの18R-GR(18R-GU 140ps→130psへ)というあれほどにエンジンバリェーションを誇ったセリカも寂しいラインナップになっています…
ただ、最高峰の18R-G(U)がDOHC+ソレックスのまま残ったのはトヨタに拍手したい心境でした!!
当時はセリカに限らず各社のツインキャブモデルが次々に姿を消しRE以外にもう本当の意味のスポーツグレードは存在できないのか?という悲劇的状況、トヨタや日産はエンジンを標準モデル(規制適合エンジン)にしながら装備や外観は以前を継承した〝なんちゃってSRやSSS・GT”をラインナップし続けましたがセリカを始めカリーナ/コロナの2000GTのみが伝統のDOHC+ソレックスツインを持ち続け(いすゞ117のG180Wは早々とECGI化)悲壮な時代の中でもスポ車ファンに希望を与えてくれました!
もちろん10psダウン(感覚的には10psというとスペック以上のダウン)に排ガス対策とソレックスの合性の悪さでそのドライバビリティは2000GTの名を汚す出来栄えではありましたがそれでもGTの名を消さない意地を感じライバル車ながら本気でエールを送っていましたねー!!
↓暗黒時代到来でもギリギリまでDOHC+ソレックスを守った18R-GU型エンジン!
セリカシリーズの排ガス対策型式は50年規制を表すA-が付記(車重別はなし)、この時点でA-TA23(1600)、A-RA23(2000)、A-TA28(LB1600)、A-RA28(LB2000)となっています。
76年も終盤、両車発売6年超となり最大の難関であった排ガス対策にも目途が付きこのために長引いたGTOとセリカのモデルライフも終息期となり三菱/トヨタとも最終モデルの発売及び製廃・FMCを睨む時期に入ります。
ここからは両車の製廃・FMC迄を振り返ります!
(76/2)
75年末からスポ車にとっては暗い話題ばかりの時期、年が開け間もない2月に三菱/GTOファンならずともスポ車/スペシャリティカーファンに嬉しいニュースが訪れました!
それはGTOに再びツインキャブをまとう『GSR』が復活した事…!!
75年中は未対策GSRが販売可能でしたので76年になり2カ月のブランクだったGSR、見事に従来旧型同様ツインキャブ付きで51年規制をパスして復活を果たしました。
もちろんSL系同様のMCA-51システムよりパワーダウン(125ps→115ps)、重量増(1015kg→1040kg)は逃れませんでしたがトヨタほどのパワーダウン感はなくこの時期他車が次々に適合に有利な電子燃料噴射装置に移行する中、従来通りのツインキャブで蘇りファンを喜ばせました。
規制後にツインキャブで復活したのはあれほど多かった同モデル(エンジン)の中でもごく少数、トヨタは18R-GUのソレックスのみ、日産はサニー/チェリーのA型(A12→A14に変更)、そして三菱はこの4G52とランサー/セレステ用の1600の4G32、富士重レオーネRX用のEA71という中、4G52ツインは数少ない蘇りの一つでした!(同じ4G52MCAツインはギャランGSⅡ B-A115型にも搭載、復活GTO GSRの型式はC-A57C)
↓MCA-51となって再度復活の『GSR』(76/2~モデル)
↓MCA-51ながらツインキャブで再登場した4G52型アストロン80ツインキャブ付エンジン
復活GSRはGTO史上最も生産期間が短く同年5月には最終型へとマイナーチェンジされる為僅か3ヶ月の存在でした、意匠等は先に発売されてるSL系と同一の小変更が施されてますが伝統のGSR専用装備は既に2000SLにもエアダム装着がなされていた為カラードグリルと新採用のホイールリングのみになっています、どうでもいい?話しで恐縮ですがワタクシめの1号機がこの時のMCA-GSRで大変レア物に乗っていた訳です(^_^;)
~両車、最終型発売~
(76/5)
発売6年半を経たGTO、いよいよ最終型が発売されます。
今回のMCではボディ新色の追加と若干のエクステリア変更がなされており1700/2000SL-5共にGSR同様にカラードグリル、ホイールリングを装備、1700SL-5もエアダム装着。
一方のGSRは下級グレードとの差別化をウィンドゥサッシュ/サイドシルモール/エアダクトをブラックアウトで示しエアダムスカートに逆文字『GSR』ステッカーを装備しました!
↓76/5~最終型GSR
↓最終型の段階でのグレードは全3種!
他に80年代に向け前後バンパーにコーナーラバーが全種に装着されたのが外観上での新しい部分、細かい新装備は燃料残量警告灯の追加となります。機関面やインテリアは従来型と変更ありませんでした…
(76/5)
セリカも最終型に向けた仕上げに入ります。
76/5にまず1600 2T-Uが50年→51年規制に適合、この時に1600(=51年規制車)はセリカ/LBともにC-TA35型に型式変更。
(76/6)
セリカ、非DOHCの2000 18R-Uが同様に51年規制に適合、型式C-RA35に変更。
(76/12)
50年規制車が販売が可能である76年12月、ギリギリになり2000DOHCがようやく51年規制適合となり翌77/1より販売されます。
ソレックスのままでかなり51年適合は危ぶまれ一時は製廃も検討されながらの滑り込み!トヨタの意地を感じました。
尚、この時点でセリカシリーズも最終型となっており2000DOHCも適合により型式をC-RA35に変更、73年LB追加以来、セリカとLBで分けてきた型式を統一しています。
(77/3)
セリカ、いよいよこちらもモデル末期となりFMC前にセリカファンに贈る特別限定車『BLACK CELICA』が発売されまています。
ブラックセリカは「生産累計100万台突破」記念としてLB2000GTをベ-スに385台、その名の通りブラック専用色にて限定販売されたもの、〝CELCA LIMITED EDITION”のオーナーズプレートには所有者のネームが記入され更に1台ずつの製造シリアルナンバーが刻まれたステッカーがコンソールとRrホイールアーチ前のCELICAエンブレムの下に装着しています。
通常のGTではop設定のAM/FMラジオ、タルボ型電動フェンダーミラー、輸出専用サイドプロテクションモール、衝撃吸収バンパーなどを特別装備!
↓特別限定モデルのセリカ・ファイナルバージョンだった『ブラック・セリカ』
(ホイール・タイヤなど一部社外品装着車)
↓限定車の証、オーナーズプレート
~製廃&FMC~
[GTO]
総生産台数95.720台、7年に渡り三菱のスポーツ部門のTOPを受け持ったギャランGTOは76年暮れの新世代スポーティのギャランΛの発売によりこれの影響が大きく翌77年夏をもって静かに生産中止となりました。
ニャーギャランHT(A11♯系)がΛと入れ替わりに生廃となったのとは違いGTOはΛ発売後も暫く生産、併売されましたがΛ以前の75年に1万4242台、76年は8200台強の販売を記録しながらΛとキャラの被るGTOは77年には一気に1850台迄に激減、商品寿命も切れたと判断され生廃、78年に恐らく在庫整理であろう40台をこの世に送ったのが最後の記録のようです。
Λは搭載エンジン、4G52をGTOから継承(後に1600 4G32も搭載)、一部パーツ流用もありGTOのDNAを継ぐNEWモデルでしたが結果的にGTOはΛにギャランHTと統合吸収=FMCしたカタチとなりました…。
↓GTOはΛにそのDNAを継ぐ!(76yギャランΛ 2000GSR)
”GTO”のネーミングは一旦ここで途絶えその後三菱のスポーツフラッグシップはギャラン/エテルナΛ→スタリオンと進化しながらバブルも終わりかけの1990年、13年の沈黙を破り新星GTO(ギャランは付かない)としてそのネーミングが復活したのは皆様の記憶にも新しいのではないかと。。。
[セリカ]
セリカシリーズ、生産累計100万台と国内登録385000台というパーソナル性の強いスペシャリティカー単独としては類を見ない実績は見事!発売6年を経た76年単年でも35000台強の国内販売を残しており同じくモデル末期のGTOの4倍以上の数字、70~77y累計でもGTOはセリカの1/10ですからこのガチンコ対決は悔しいかな?セリカの完勝・圧勝ででした!!!
セリカも77/8、GTOがひっそりと消える〝一蓮托生”的にFMCが行われ2代目TA/RA40系に移行、GTOはその名を消しながらもセリカは第二章へと発展、その後もトヨタの重要なスペシャリティ、スポーツ部門の中心を担いながら代替わりを重ね2006年まで実に36年間、現役を守り通した日本のスペシャリティカー歴史そのものとなっています!
↓77/8、第2世代にFMCしたセリカ(77y2代目C-RA40型セリカクーペ2000GTV)
~総評~
GTO/セリカとも日本のモータリゼーションに希望が満ち溢れた時代に登場!新ジャンルの“スペシャリティカー”の基礎を造り7年の長きに渡り両翼を担い続けました。
オイルショック、排ガス規制というこのカテゴリーには厳しく立ちはだかる壁も乗り越えながらセリカは常に人気・販売の1、2位を争う位置を守りGTOは三菱という弱小メーカーにいながらもその存在感を示す努力を怠らず最後まで商品価値を維持、この2車は国産車、スポーツ車の歴史を語る上でどうしても外せない歴史的価値があると思います。
GTOとセリカ、製廃から既に35年を経ておりますがその存在は21世紀、2012年の今でも永遠です。。。
“燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!”GTOvsセリカ… 完