
“華麗なる一発屋!!!”…今回は『MA8P(E)/MAEP(E)型マツダ・ペルソナ及びユーノス300』となります!
ペルソナとユーノス300(以下300)はFrとRrのデザインや各部味付けが異なる兄弟車でありペルソナがマツダ店、300がユーノス店扱いとなっており、まずペルサナが88yに、300は1年後の89yに発売されております。
ペルソナは88/11、「インテリアイズム」というキャッチフレーズの元女優のイングリッド・バーグマンをイメージし87yに5代目となったGD/GV型カペラをベースにデザイン最優先に造られたモノです。
88/11、“インテリアイズム”を最大の売りにしデザイン優先を公言して登場した「ペルソナ」 、Frオーナメントには七宝焼き!
↓ベースとなった5代目カペラ
当時は85yにデビューしたトヨタ・カリーナEDが火を付けたスタイリッシュ4ドアHTが人気の時代、従来の4HT(セド/グロ、クラウン、マークⅡやローレル等々…)がセダンよりはスタイル優先ながら”4ドア”として大人4~5人が満足に乗れるという設計をしていたのに対し“エキサイティング・ドレッシー”をキャッチコピーにして登場したEDはそれまでの4HTの概念を崩し完全なるスタイル優先、ないよりはマシ程度にRrドアがある4HTで思想は完全なるスタイル優先だった2ドアHTやクーペのモノ、それまでどうしてもファミリー臭を消しきれなかった4HTを完全若者向け都会的デートカーとしてにイメージ固定し大成功していました。
この成功により各メーカーはEDを意識した4HTモデルを次々に発売、EDの人気にあやかろうと雨後のタケノコのようにこの種のクルマが増殖、マツダもこの『ペルソナ/ユーノス300』でこの市場に名乗りを上げげました!
スタイリングは背を出来る限り低くしセンターピラーをレス、着座も非常に低くて“地を這う”まではいかないながら当然視点も低くて4ドア車のドライブ感覚とは思えないのはライバル車と同一。
しかしこのようにEDをまんまパクったこの種のモデル、マツダだけでなくホンダのインスパイア/ビガー、日産プレセア、三菱エメロード、そして本家もカリーナの兄弟車=オヤジ車の代表みたいなコロナにまでエクシィブという同様モデルを追加、「EDになりたかった」クルマ達が数多く出現、しかしながらもどれも駄作?は言い過ぎですが本家EDを上回る魅力、EDを上回る評価は得られずに消えてゆきましたねー。ホンダ位ですかね?お家の登り調子の時代に重なりましたからある程度の人気を博したのは… どれもどちらかと言うと男性より女性の支持が強かったように感じます。
ペルソナの概要ですが搭載エンジンは下記の通り
(搭載エンジン)
・1.8L F8型(前期) 直4 OHC 3バルブ(12バルブ)EGI 97ps
・1.8L F8型(後期) 直4 DOHC 4バルブ(16バルブ) EGI 115ps
・2L FE型 (前期) 直4 DOHC 4バルブ(16バルブ) EGI 140ps
・2L FE型 (後期) 同 150ps
シャーシはGD(カペラ)の派生MAプラットフォームを採用、脚廻りはALLストラット、グレードもパーソナル性を表すかのように基本は2種類のみ、内装が通常(クロス張り)の『A』とレザー張りの『B』となっています。
駆動はFFのみ、エンジンは横置きとなります。
このペルソナも何度か乗っていますが走りには何の特徴もない=可もなく不可もないもの。1.8(前期・後期とも)ではトルク不足からなる瞬発力がや々物足りなくこれを補おうとすれば出で立ちに似つかわしくない荒々しい騒音が発生、やはりこれを選ぶなら力も余裕がある2Lは欲しいと痛切に感じました。
脚も見かけから想像するよりはしなやかでしっかり感もあり以外に?コーナーで結構大袈裟に突っ込んでも限界は高かった気がします…
ただこのクルマはそんな事よりもメーカー自ら述べるようにスタイルと内装のデザイン命のモデル、確かにインテリアは非凡なモノで個性豊かなインパネには灰皿/ライターもこの当時で廃されていました!
健康増進法以前のまだまだ喫煙天国だったこの時代では英断!?であり多分国産初の“禁煙車”だったのでは?と思います。
デザイン優先のグローブBOXを廃しメーターフードに各スイッチ類を集中させたインパネはベース部分からRrシートまで一体のラインを描くこれまでにない造形が個性的、このラインに含まれるRrシートはまるでラウンジシートのような洒落たモノでした。
インテリア&インパネは個性の塊!
Rrのアームレストは何と取外し&持ち運び自由!!
ペルソナのインテリア上(機能)でのもう一つの特徴は前席シートベルトにありテンショナー本体をRrドアに内蔵、前席ヘッドレスト横のガイドアンカーを経由してバックルに固定されるという変則的な方式、これは後継となるアンフィニMS-8にも引き継がれましたがコイツは個人的には大嫌いでしたね~、勿論ELR(緊急時ロック)は内臓してましたがピラーやルーフ等高い位置からベルト本体が伸びる従来方式と異なり低い位置から装着は非常に窮屈な感じがしてダメでした。
これの採用はセンターピラーレスでウィンドゥフルオープンドライブ時の美観を損なわないよう?にこだわったモノだと推測しますが美観を気にして運転姿勢に常に窮屈感を覚えながら走らせるバカバカしさに閉口したものです。
実際にこの時代では既にエアコンが常識でフルオープン走行が所有期間に一体どんだけあるんだか?そのためだけに維持している間、ずっと窮屈を味わうなんてとんでもナイ!と怒りにも似た思いをこのクルマに乗る度に持ってしまいました(汗)
↓変則的なシートベルトを採用した前席
このようなペルソナ、さすがにこれだけ凝ったインテリアは良くも悪くも話題になり88yにはベストカーのインテリア・オブ・ザ・イヤーを受賞したようですネ、ワタクシ個人的には相入れないモノですが良かった良かった(;^_^A
ペルソナ登場の1年後となる89/11に兄弟車である『ユーノス300』が発売されます!
300は当時マツダが進めていたバブル期5チャンネル化に伴う“ユーノス”店向けに登場したモノでペルソナよりもスポーティな味付けとされていました!
300もA/Bグレード、搭載エンジンも2種とペルソナと同様の設定です。
↓ユーノス店版兄弟車の「ユーノス300」300とペルソナとの大きな識別点はFrとRrの若々しいデザイン
300、先記のように意匠以外はペルソナ同一ながらスポーツシートと灰皿/ライターが装備されており喫煙者には大歓迎されたんではないでしょうか?(笑)
上記のように人一倍インテリアに重点を置いて登場したペルソナ/300、当初こそその個性的内装デザインで話題となりましたが人気、販売とも低調の為テコ入れ策がそこそこ行われます。
70周年記念特別限定車「クチュール」をペルソナに90/2に追加、90/3には1.8LをDOHC化、2Lも低速トルクを見直して改良し後期エンジンを搭載、90/9にオータムバージョン、91/3に タイプAスペシャル(ペルソナ) BBSアルミホイール等よりスポーティ度を高めたタイプX(300)が主な改歴です…
しかしこのカンフルも全く効かず両車、販売は苦戦しペルソナは4年、300は3年もたずに92/3製廃となります。
後続となるのはアンフィニ店扱いとなる『アンフィニMS-8』となるのでしょう…
この時期マツダはバブル期の大量車種増殖期で各販売店(マツダ、アンフィニ、オートザム、ユーノス、オートラマ)から各カテゴリーに似たような車種が乱立しており正しい系統はよほどのマツダ・マニアでないと把握できなかったと思います、ワタクシもこの時代のマツダ車、前から走ってきても即座に名前が浮かびませんです(-_-;)
このように需要を無視した無謀な車種乱立状態事が後年マツダが深刻な事態に陥る原因となった大きな要因でしたね。
MS-8は一時期、伝統ある『カペラ』のネーミングを捨ててこれを継承した『クロノス』(セダン)をベースにペルソナ/300の「インテアイズム」の精神を継いだ4HTでしたのでネーミングは異なるもこれが後続だと思います!
後続はバブリー・カー、『アンフィニMS-8』
少々やり過ぎ?感が強く保守層ユーザーには見向きもさずEDには遠く及ばなかったペルソナ/300、華麗なインテリアで派手な出で立ちとは裏腹に鳴かず飛ばずの地味な人(車)生でした、『インテリアだけは“華麗”だった一発屋!!!』って事でまとめたいと(汗)