
今回の“華麗なる一発屋!!!”『KK/KW/KY型スバル・ヴィヴィオ』となります!
尚あらかじめお断りしますがこのクルマ、比較的人気の高い軽自動車でそれ故にバリェーションが豊富で6年強生存、この中でモデル改歴も数多い事から全てを詳細に記述できませんのでやむなく割愛する部分がある思いますがその辺はご了承願います…m(_ _)m
さて、ヴィヴィオですが92/3に登場、車名の由来はなかなかいいとこ突いてる?って感じの有名な名付けです!
初の新規格軽自動車(90年に軽の排気量550cc→660ccに改正)として開発された事から新排気量「660」をローマ字表記した場合、”VI VI 0” となりコレをそのまま車名とした小ジャレた憎いネーミングだと思います。
先代に当たるのは1972y~92yの長い期間、富士重の軽乗用を支えた『レックス』となりレックスはこの以前が旧R-2←スバル360という由緒正しい系統を血筋に持っています。ただ、新規格となりシャーシ等が全て新設計のヴィヴィオは1代限り、後続はハイト系になりこれまでのボンバン/HBタイプとは異なる思想の『プレオ』になるので『一発屋!!!』に認定した次第です!
92/3、富士重の新星軽自動車として登場した『ヴィヴィオ』(㊤3ドアセダンex㊦3ドアセダンRX-R 前期型)
↓前任は20年間、富士重の軽自動車代表として親しまれた『REX』
(90y最終型CX-i)
ヴィヴィオはワタクシも一時、1カ月程ですが中期型のGXというグレード(ECVT)を足に使っていた事もあり非常に印象に残っています。とにかくこのクルマは軽自動車として富士重らしい真面目で良心のこもった設計、出来に感心し使い易くまた“速さ=快適”も文句ないモノ、これは上級のミニ・スーパーウェポンであるRX-R等というような特殊モデル以外でも充分あてはまる数ある軽の中でも秀作に感じます!
残念ながらスズキのワゴンRの爆発的ヒットから軽乗用はハイト系が主力になり前時代?的になってしまったこの種(所謂セダン系)は現在廃れてしまいましたが軽本来の使い易い「道具」、サンダル代りの「足」としての機能は充分持ち合わせていて気軽に使えたこのタイプ、ヴィヴィオに限らずミラ、アルト(フロンテ)、ミニカ等の衰退は残念に思います…
ヴィヴィオのスタイリングは曲線を生かしグラスエリアを広く取った平凡ながら嫌みのないオーソドックスなHBスタイル、先代REXと比較しても丸味帯びたデザインと高級志向のカラーリング等全体的に高級感を漂わせたイメージに変更していました!
ボデイタイプは3ドアと5ドアのHBに4ナンバー貨物登録のバン、バンは基本を3ドアHBとしながらRrゲート開口部は別設計(専用テールランプや大型ゲート)し積載を考慮したモノとなっていたのも節税軽だけではなく真面目に商用車としても考えられていたのも見逃せませんネ!!
冒頭で記載の通りヴィヴィオはスバルの軽では初めて軽新規格対応の新設計がなされこの時期の軽自動車の衝突保安基準=時速30km安全確保という部分では10km上回る時速40kmでの衝突安全を確保、ライバル他車の中でも抜群の安全性生、強度と剛性を誇っていました。
また、「ドライバーズ・ミニ・コンセプト」を設計の旗印に挙げ ~軽自動車は1名乗車の機会が多い~という調査結果を基本に運転席重視(居住性)の設計=「ドライバーズ・ミニ・コンセプト」により前席のレイアウトを設計、更に助手席と較べても運転席空間を広く取りシフトやサイドブレーキにフロアトンネルまでもが左側にOFFセット配置されるという徹底ぶり!!
これは現代のボディまで拡大された新規格の軽にはかなわないながら当時では運転席の余裕はライバルに較べかなり余裕があるもので男性には高評価でした!
センターをや々左にOFFセットされたヴィヴィオのインパネ&室内
搭載エンジンはREXから引き継ぐCLOVER4 と呼ばれた直列4気筒のEN07型(チューンは4種)を横置きに搭載、駆動はFFを基本に生活4駆にパートタイムの4WD、スポーツ4駆にビスカスカップリングのフルタイム4WDを設定していました。
(搭載エンジン)
EN07型 660cc OHC NA 1キャブ42ps(KW3/4=バン)
同 同EMPI(電子燃料噴射)48ps(MTは52ps KK3/4=セダン)
同 同 同+スーパーチャージャー64ps(ECVT用)
同 DOHC 同 64ps(5MT用)
以上が基本、但し改歴過程でSOHC+5MTやDOHC+ECVT等組み合わせ変更も行われています。
スーパーチャージャーモデルはご存じREX時代に他ライバルがターボで武装する中、飛行機屋さんらしくダイレクト感にこだわったモノでREXから引き継ぎヴィヴィオでもモータースポーツ(ラリー)等で活躍、フルタイム4駆モデルで代表的なグレード、最高峰RX-Rは現代までにおいても「最速軽」の名を欲しいままにしており今でもスバリストを始めとしたファンは多いですね!
RX-Rは並居るミニ・ウェポン=ミラ・TR-XXやアルト・ワークス、ミニカ・DANGAN等と比較してもとても“安心感”を持てる速さがあり他車が危険を憶えるような速度域や極限走行パターンでも限界が高くライバルと“速さ”的には同じながら不安が極端に少ない、そんなモデルでレガシィやインプで鍛え定評ある4WD技術のフィートバック が成功、同じような機構を持つH3系ミニカDANGANと比較して重心が低い分コーナーも安心でエボvsインプでは互角?に思うもミニの世界では正直我が三菱、RX-R転がすと明らかに“負け”てたように思います(-_-;)
↓今でも最速ミニとしてファンの多い『RX-R(96y型、タイトル画像=92yRX-R)』
↓スパルタンなRX-Rのインパネ&インテリア
ヴィヴィオの脚廻りは伝統の4独、ALLストラットながらレガシィで好評のRrはセミトレ→デュアルリンク式に進化、スポーツモデルはパワーに応じて強化は当然です!
尚、ミッションは5MTとトルコン方式の3AT、そしてスバルお得意の無段変速ECVTを用意、ECVT後期(97y~)には6速マニユアルモード搭載の「スポーツシフト」も設定されました。
ECVTはジャスティにて商品化されたスバルの苦心作ですね、ただジャスティ時代より出来は確かに良くはなってますがそれでもワタシは生理的にやはりこのECVTは苦手です、フィーリングは我慢したとしても相変わらず耐久性には不安が残り実際7、8万㎞走行したECVT車はガタが酷かった部分が目に焼き付いてますし…
これはメーカーも承知していたらしく4ナンバーバンでは当初ECVTを採用しながら比較的早い時期に3ATに換装、知己整備業者等の話を聞いてもECVT車は故障したらごまかしきかなく理念は唸るも問題は耐久性と申しておりました。。。
ヴィヴィオの特徴としてベースモデルは地味なイメージでそれ程話題にはならなかったものの派生モデルが非常に魅力的or高人気、大きく分けて二つの派生が誕生、一つが遊び心満載で実用としては不向きながら大きな話題となった『T-Top』、そしてもう一つがクラシカルな意匠を各部に取り入れながらかつ軽自動車にこれまでなかった英国風の気品とお洒落な感覚を上手に表現させ大人気を得た『ビストロ』シリーズですね~~。
まずはT-Top(KY3型)、これは93/5に3000台限定で富士重工40周年記念車として追加、タルガTOPとするためボディは強度を持たせる3BOXの設計、電動格納リアウィンドウとベースにはないサッシュレスドアでオープン仕様を始め4種類のオープンエアドライブが選べたのが売り!
Rrトランクの洒落たキャリア(レスもあり)やカラフルな内装が特徴的でイージーなECVTと走りを楽しむ5速MTを設定していました。今ではスバリストを始め『レア車』として希少価値も付くモデルでありなかなかお目にかかれないモノ、これはワタクシも初めて見た時(ドライブ経験はありません)スタイル的にはイマイチ感が否めなかったものの楽しさは非常に感じ他にもこの時代はご存じスズキ・カプチーノ、ホンダ・ビート、マツダAZ-1/スズキ・キャラ等という楽しく小洒落たおふざけ?モデルの存在が許され、現在実用一辺倒になってしまった軽自動車の世界もバブル期は夢のある世界だった事を今更ながら実感します。。。
↓特別限定車『T-Top』
↓4種のモーターエアドライブが楽しめたのがT-Topの魅力
↓T-Topのカラフルなインテリア
一方の『ビストロ』は95/10に発売されその後のヴィヴィオの販売の主力になっていった程の人気モデルでこれは限定でなく『ヴィヴィオ・ビストロ』として一つのラインナップを形成、シリーズ化され基本のヴィヴィオとは別動したバリェーション展開がなされていました。
↓95/11に追加以来ヴィヴィオ販売の要となる人気シリーズとなった『ビストロ』
↓格調高いビストロのインテリアは軽自動車の概念を破りました!
尚、ビストロシリーズはドア形式、仕様、塗色や意匠の味付けの差で8バリエーション(ベース含み)を展開していました。
以上が派生モデルの概要です。
一方、ベースのヴィヴィオの改歴ですが毎年のように小変更がなされています、バリェーションは普及型の『e』シリーズをベースに高級モデル『M300』、若者向けベースの『GX』、HOT系『RX』、廉価及び商用の『バン』に先記のビストロ等、多彩な展開の為特徴的な変更(マイチェンや特別モデル追加)のみを記載したいと思います。
まず、94yのマイチェンにてNA車のフロントフェイスを変更、安全対策(後席3点式シートベルト標準装備化)が行われます。
↓94yのマイチェンで中期型となったNAモデル
95/6、スバル軽自動車販売300万台達成を記念したM300を追加、こちらもビストロのように『M300シリーズ』とされベースグレード、廉価版~スーパーチャージャーの高級モデルまで装備の差別化がなされた4種が設定されていました !
↓95/6~追加された『M300(tyreS)』
97/9、再度NA車の顔をマイチェンし最終型となります。
しかしこの頃になると93yに新コンセプトで登場したスズキのワゴンRをきっかけにしこれを追うダイハツムーブ、三菱ミニカトッポ、同BJ、ホンダライフなど所謂ハイト系ワゴンタイプが軽乗用の主流となってきており従来型セダンタイプの軽乗用は旧世代と言われ急速に市場での商品力を落としてゆきます。
他社、スズキや三菱、ダイハツ、ホンダに較べ軽自動車のラインナップを多数持つ余裕は富士重にはない事から他社が主にバンタイプや5ナンバーでもHOTバージョンや廉価版はまだセダンをラインナップしながらハイト系を充実してゆく中、富士重は98/10をもってヴィヴィオを製廃する事となってしまします。
↓97/9~の後期型(最終型)
後続はヴィヴィオのシャーシを改良、流行りのハイト系ながらヴィヴィオ代替ユーザーの兼ね合いもあり他社のようにハイト専門車種は設定できず苦肉の策から「セミ・ハイト」とされた『プレオ』となります。
98/10、ヴィヴィオ後続として登場した『プレオ』
プレオは時代の要請とお家の事情からハイト系の使い勝手と従来型からの意向になるべく抵抗のないセミハイト系としてコンセプトを変更、スバル360から長い年月をかけて築いたスバル軽乗用セダン最後の非常に完成度の高かったヴィヴィオ、残念ながら1世代で終わってしましました~。
しかしヴィヴィオ、走りのRX-Rを代表としてその魅力は未だ衰える事なく “一番イイ時代” の軽自動車市場で光った存在だった事は確かであり『華麗なるミニ・一発屋!!!』として憶えておきたいでーーーす!