
偉大なる“UP! DOWN! 野郎たち”!!! 引き続きチェイサーの歴史を振り返ります!
今回は『2代目TX/RX/SX/LX/GX/MX60系チェイサー』を取り上げます。
60系となっても先代同様にマークⅡを若向けにリ・デザインし“高級なマークⅡ”に対する“スポーティなチェイサー”の路線はそのままでライバルもマークⅡvsローレル、チェイサーvsスカイラインという図式もそのまま、当然FMCもマークⅡと同時の80/10で完全なる双子兄弟車です!
ただ、60系両車のパイロットモデルとして半年早い同年4月に『X50系クレスタ』 がデビュー、型式をマークⅡ/チェイサーと同じ“X”を使用しているのを見れば解るようにこの2車にもう一つ兄弟が増えています。
↓2代目チェイサーより一足早く新ボディで先行発売された兄弟の『X50系クレスタ』
40系マークⅡ/チェイサーのモデルライフの兼ね合いとクレスタを販売する新チャンネル『トヨタビスタ店(現ネッツ店)』の立上げの関係上(新設店を目立たせる為、新型車効果を活用する等の政策)、後から加わったクレスタが一早く新ボディで登場、80年代のトヨタを象徴する直線美が冴える鋭角的なスタイリングとマークⅡ/チェイサーにはない4HTのパーソナル性高い高級な雰囲気、そして永らくトヨタの看板だったM型に変わる新開発6気筒の“LASER 1Gエンジン”の初搭載が大きな話題と高い注目を集め既にモデル末期の40系マークⅡ/チェイサーを一気に古ぼけさせこの半年間はさすがの高人気を誇る本家マークⅡもクレスタの前ではかなり霞んでいましたねー…
このような前事情があるマークⅡ/チェイサーも80年10月、40系のモデルライフ経過を迎えようやく新ボディに生まれかわる事ができマークⅡは4代目、チェイサーは2代目となり先行したクレスタの『X50系』に対して『X60系』の型式が与えられています。(後のMCでクレスタも60系となります。尚、以下マークⅡ/チェイサーを60系、前期クレスタを50系と表記)
↓80/10、クレスタに半年遅れで新型2代目となった『X60系チェイサー』 (前期4HT2000アバンテ)
当時の一部自動車誌等では先行発売された50系と三つ子になるという噂もなされたりして新型60系、既に見慣れた50系のフェイスリフトだろ?的な空気がありましたが蓋を開けてみると50系クレスタとは似て非なるモノ、シャーシやエンジンは予想通りの“三つ子”ながら外板パネルではクレスタのFrドアが60系マークⅡ/チェイサーの4HTと共通する以外は60系と50系では全体のデザインを異にするものでこれにより一層50クレスタのパーソナル性が高まり後発の60マークⅡ/チェイサー発売後もクレスタは独自の人気を掴んでいました。
50は4ドアピラードHTボディのみながら比較的背も高めで正統派のペキっとしたノッチバックのスタイルを取るのに対し60の同じ4HTではルーフを低く、Rrガラスも50より寝かせ先代まで存在していた2HTの代替えを意識した流麗な味付けがなされていました。
60にはセダンと先記のように4HTがラインナップ、セダンは6ライトのヨーロッパ調で落着いたデザインで4HTはアメリカン調の派手さを醸し出しています。
トヨタらしく見事にバランスが取れていたのは60セダンはどちらかと言えば地味、50が60セダンにやや遊び心とフォーマルさを味付けし60 4HTはより派手にと棲み分けされていましたがチェイサーではセダンと4HTの顔は同一、マークⅡセダンとクレスタが角目4灯でイメージが共通していました。
↓コチラは本家マークⅡの新型4代目X60系セダン(2000LE)
しかしチェイサーで不幸だったのは“スポーティ”が宿命付けられたモデルでしたので4HTはともかくもセダンでは派手なスラント顔で地味な6ライトサルーンというスタイリングがどうにもアンバランス(個人的見解)、チェイサーセダンはまず現役時代も滅多に見かけない、カローラセダンに対するスプリンターセダンなんて比較できない程不人気DOWN!!でした。
特にセダンはマークⅡやクレスタ、チェイサー4HTの横長な立派なテールランプは付けてもらえず先代をイメージした角型の、上記モデル達に較べ貧相な感じのデザインがなされこれも嫌われた理由だと思います。
全体的にチェイサーのセダンはスタイルと顔、お尻がマッチしておらずクレスタ、マークⅡセダンにあるパーソナル、フォーマルなイメージは皆無でマークⅡ/チェイサー4HTのようなシャープさも感じられず“安っぽさ”だけが強調され“手抜きマークⅡ”的なイメージが先代前期から残念ながら復活してしまった感がありましたネ~。(“安っぽい、安物”はあくまでイメージ的な部分で実際マークⅡとチェイサーの相当同グレードでは価格は逆にややチェイサーが高い設定でした=少量生産/販売の為という建前)
↓チェイサーのセダンボディ、 顔付はHTと同一ながらテールはいかにもアンバランスで不評を極めました(㊤GX61 2000SXL/㊦RX63 2000GT)
また、チェイサーは4HTでもスポーティさを表す、といったメーカーの思惑通りには受け入れられずマークⅡの手の込んだデザインに対しいかにも“手抜き”的に受け取られセダン程ではないにしろマークⅡ4HTの人気の何分の1?何十分の1?という感じでした。
個人的には4HTで較べるとチェイサーのテールはマークⅡの大型コンビに対し細い目付きでなかなか迫力感じていましたが…。
↓4HT、マークⅡに較べテールは細目の睨みを利かす迫力ながらグリルは貧相なイメージでやはり不評でした。
↓コチラは本家マークⅡの4HT、グリルを始めチェイサーにはない凝った豪華な味付けがなされていました。(4HT2000グランデ)
尚、60チェイサーもイメキャラは先代に続いてイケメン正雄が担当しています!
↓先代に引き続きイメージキャラクターを務めた草刈正雄氏、但し前期型のみの起用でした!
それではチェイサーのモデル概要です。
(サイズ)
:全長4640全幅1690高(セダン)1425(4HT)1395 ホイールベース2645(以上mm)
(車重)
1180kg(4HT2000SGツーリング)
(定員)
5名
(エンジン)
13T-U型 水冷直4 1800cc OHV ツーバレルシングルキャブ 95ps
21R-U型 水冷直4 2000cc OHCツーバレルシングルキャブ 105ps
18R-GEU型 水冷直4 2000cc DOHC EFI 135ps
1G-EU型 水冷直6 2000cc OHC EFI 125ps
L型ディーゼル 水冷直4 2200cc OHC 72ps
(以上psはグロス値、全種53年排ガス規制適合)
(駆動)
FR
(ミッション)
4MT/5MT/3速、4速AT
(脚回り)
Fr ストラット/Rr 4リンク(普及型 )
Frストラット/Rr セミトレーディングアーム(GT、SGツーリング、アバンテ)
(ボディ)
4ドアセダン /4ドアHT
(バリェーション)
1800 (型式TX60)
DX/XL
2000 4気筒 21R-U (型式RX60)
XL/XG
2000DOHC (型式RX63)
GT
2000 6気筒 1G-EU (型式GX60/61)
SXL/SGツーリーリング/アバンテ
2000 ディーゼル (型式LX60)
DX/XL
※DX=セダンのみの設定
以上から見て分かるようにまずサイズでは先代ベースのシャーシの為、ホイールベースは旧40系と同一ながら横はこれまでクラウンとの棲み分けを守り5ナンバーフルサイズの一歩手前で止めていた部分を遂に破り小型枠いっぱいを取っています、全長も延ばされ4HTでは低く、長く、幅広くを文字通り実現しました。
先に述べた通りセダンと4HTの2種をラインナップ、30/40で一定の人気を得ていた2HTは時代の移り変わりから廃止され新たな4HTが“スポーティ”のステータスになっています。
60系となっての注目は3種の新搭載エンジン!
下級グレードは1800 13T-U、2000 4気筒21R-Uが40系からキャリーオーバーされますが中級/スポーツ系は全て新搭載エンジンになります。
一つはクレスタで一足早くお目見えした軽量新開発の1G-EUを上級2000 6気筒に新搭載し歴史があり信頼性も高かったながら排ガス規制でどうにもならなくなったM型を引退させました。
1Gエンジンはその後のツインカム24(1G-GEU)やツインターボ(1G-GTE)等に慣れてしまうと誠に平凡なエンジンですがM(M-EU/M-U)型で慣れていた当時、1Gの吹け上がりの軽々しさには舌を巻いた記憶があります。
M-EUと同じスペック、53年規制、2L、OHC縦6EFIと何ら変わりないのに何でこんなにフィーリング違うん?って感じでさすが20年の開発年の違いを感じたモノでしたねー、シリンダーの肉厚が違いエンジン弄る層には1Gはガッカリされていました(シリンダー肉 厚がMや日産L型に較べ余裕がなくボアアップ等ができない)がノーマルの観点からすればこれはもう勝負アリアリで53年規制という逆境があったからこそ産まれたトヨタ縦6の名器だと思います、M-EUに較べ音質もシリンダー同様薄っぺらでしたが燃費も吹けも良く後付け排ガス対策がどうしようもなく痛々しかったM型の悲劇を忘れるに充分な名作だったと感じます。
↓クレスタで初搭載され話題となった『1G-EU型』新6気筒OHCエンジン、チェイサーにもメイン搭載されました!
実に良く回るエンジンで1Gのフィーリングは個人的に今も好きですネ~。この時代の縦6 2Lクラスとして走りも及第点以上で決して“速い”とは言えないながら安心感と信頼感は抜群だったのではないかと思います。
二つめはチェイサーとしては初のDOHCながらトヨタの各モデル2L最強として君臨した18R-GEUを搭載するGTグレードの新設も走り屋層には驚きでした…
↓チェイサーには初お目見えのDOHCは当時のトヨタスポーツ定番の2L DOHCの『18R-GEU型』を搭載!
18R-GEU(18R-G)、本家マークⅡはこれを搭載した元祖でチェイサー発売以前、元々コロナのスポーティモデルとしてデビューした経緯がありDOHCをトヨタ2000GTでイメージリーダーとしたトヨタがこれの普及型としてマークⅡにGSS (初代RT72 1900GSS) グレードとしてDOHCを一般化したもので言わばマークⅡが18R-G搭載の元祖(1900GSSは10R→後に8R-Gに改称、その2L版が18R-Gで2代目マークⅡRX22に搭載以後コロナ/カリーナ/セリカ2000GTが搭載しました)であり60系(RX63)マークⅡGTは久々の18R-G復活、元祖でありながら30/40以降の高級化路線ですっかりコロナ以下のエンジンとなっていた18R-Gの搭載は30/40よりもデカく重く豪華になった60系での復活は「何を今更?」って感じでしたが走り屋層にはある意味1G搭載よりも目の離せない出来事だった気も!?
驚きはチェイサー/マークⅡとも4HTだけではなくセダンにもGTが設定されており渋さで有名?だったコロナセダンGTよりもよく言えばいぶし銀、悪く言えば変態な?モデルでありワタクシも実車、特にチェイサーセダンGTは過去一度だけの遭遇でした…
しかしやはりマークⅡにしろチェイサーにしろセダン/4HTに関らずGTモデルは何とかこの種を好むユーザー向けにデコレーションはしていましたがやはりイメージにそぐわなく前期(~82/8)のみの短命に終わっています。
18R-GEUは2T-Gと違い特にEFIになってから(未対策時代はソレックス×2)DOHCのイメージからなる荒々しさはなくむしろトルクフルのジェントルでマイルドな特性に変貌していたので決してマークⅡやチェイサーに合っていない訳ではなかったのですがどうしてもセリカやカリーナに較べオーバーウェイトでしたしその後のツインカム24 1G-GEUデビューまでのワンポイントリリーフ的な存在でした。
そして三つめは先代期はマークⅡのみだったディーゼルモデルをチェイサー(セダンのみ)にも設定、LS100クラウン/LX40マークⅡでお馴染みのOHC2200ccのL型ディーゼルエンジンが搭載されました!
↓クラウン、マークⅡに続いてチェイサーにも遂にディーゼルエンジンを搭載! (L型ディーゼルエンジン)
“スポーティ”“若向き”を謳うチェイサーでしたので先代ではDの設定は避けられた感が強かったのですがこの時期、78~79yの第二次オイルショック以降急速に低燃費、省燃費の観点からかつてはトラックのモノだったディーゼルエンジンが乗用車にも次々に載せられてており一つのブーム、そんな中あまりイメージ的にそぐわないチェイサーにもDモデルがラインナップされました!
もっとも79yにはいすゞ117、80/5には三菱ギャランΛ/エテルナΛという2ドアモデルのD車も発売されていたのでセダンの存在するチェイサーのDは全く違和感はなかったですが。。。
L型ディーゼルは当時ではガソリンエンジンですらタイミングチェーンが常識の時代に早くもタイミングベルトを採用しDエンジンの泣き所である騒音と振動を軽減、フロアやフード(ボンネット)、ダッシュパネル等もガソリンンモデルより騒音対策を強めDと言えども車格に相応しい静粛性を実現していました。
このDモデルも何回か乗りましたがお世辞にも『静か』とは言い難いながら従来からあるフローリアンや330セドリックのDと較べると“新世代D”を強く感じ音さえ聞かなければガソリン1800クラスのドライバビリティは得ておりD乗用車の進化に感動しました~。
グレード設定もほぼ40系を継承しますが先述のGTが旧SGSの置き換え、そして30/40では設定されなかったマークⅡの最高峰“グランデ”に充たる“アバンテ”が最高グレードに据えられました!
アバンテにはGT/SGツーリング同様の4独+ハーダーサスが与えられ更にミシュランタイヤも奢られています、マークⅡグランデよりは内外装の色調やデザインに若々しさをイメージしながらもグランデに準じたフル装備の豪華モデルでこれまで“グランデコンプレックス”だったチェイサーオーナーに夢と救いと希望を与えました(笑)
但し、マークⅡには相変わらずの3ナンバーで最高峰の『2800グランデ(先代4M-U/EU 2600→5M-EU 2800にスケールアップ)』が存在、チェイサーにはこれがなくやはりマークⅡ>チェイサーの図式は生きていましたがメインは2000グランデ/アバンテでありマークⅡ2800の存在=チェイサーのイメージダウンにはならなかったのは幸いでした!
チェイサーのGT/SGツーリング/アバンテの“ハーダーサス”ですがそこはトヨタの味付けですから当時のスカイラインGT-ESと較べると全然柔らかく更に旧MX41 SGSよりもマイルドな乗り味で『どこがハーダー?』なんて思ったモノでしたが高級車として考えるとそこそこシッカリしていたと思います、1Gエンジンとの相性も良く峠道や悪路でもそれなりの運動性能は発揮、GTにしてもチェイサークラスにもはや18R-Gと言えどもオーバーウェイト感は拭えなかったのでい意味でも悪い意味でもフィーリング的にはマッチしていたと思います。
↓上級グレードには先代から引き続いて4独+ハーダーサスを装備!
↓“ハーダー4独サス”を装備した一つ、No2グレード『4HT2000SGツーリング』
尚、先行した50クレスタにもグランデに相当する『2000スーパールーセント』が設定されており一時期(80/4~80/10)、チェイサーのみTOPグレードがこの2車に劣っており30/40時代から何かにつけてグランデに相当するグレードがなかった点が最大のコンプレックス、“安物”の烙印を押された一つの要因でしたからようやくチェイサーがマークⅡ(クレスタ)に肩を並べられるようになったのがこの『アバンテ』新設からですね、その後最終までアバンテはチェイサーのメイングレードとなります。
尚、この代から急速にイージードライブ化率が高まったのも特徴、先代後期でクラス初のロックアップ機構付2ウェイ4速ATミッションを搭載し燃費や走り的にもMTと大差なくなった4ATはGTや廉価版を除き急速に普及、現代の完全イージー化の素地をここで造りATの優位性=トヨタの優位と言う図式が出来上がっていました。
↓他社と大きな差を付けた4ATを高らかにアピール!!
60ではまだ4ATのオーバードライブON/OFFが現代のシフトノブ脇のボタンで行うタイプではなくインパネ内のスイッチで行う方式で先代のノブ式よりは進化するも使い勝手はイマイチ、しかしまだ日産が様々な事情からATを4速化できない時期でしたのでこの時に圧倒的にATの分野ではトヨタが優位に立っています。
実際旧30/40系で前期3速ATと後期4速ATで乗り較べると静粛性は天と地!燃費も高速乗るとかなり違いこの差が40後半~60時代でそのままトヨタと日産の差でこの時に付いた日産のマイナスメージは決して小さくなく現在の両社の立ち位置の差になっている一つの要因と言っても過言ではないでしょう…
↓ATセレクターとインパネ内のODスイッチ
尚、80年代らしく今ではオモチャと笑ってしまうドライブコンピューター(クルーズコンピューター)がアバンテにOP設定され三菱がこの分野に先んじ日産も積極的でしたのでトヨタも「うちにもありますよー」的に出してきていました(笑)
↓ドライブコンピューター
また、この時期からオーディオの進化は目を見張るモノがあり電子チューナー、フルロジック、録音機能とまるで家庭のオーディオのように進化!
先代位の頃はオーディオは社外品でパイオニアロンサムカーボーイ、クラリオンの黒人エマニエル坊やが憎いダンスで人気を得たシティコネクションシリーズ等を装着するのが流行りでしたがメーカー純正品がココまで進化するとわざわざこれを外して社外品を付ける、という儀式が減ってゆきました~。。。
↓当時の考えられる機構は全部付けオマケにグライコまで付いた富士通テン製コンポーネント ステレオ(アバンテにOP設定)
それではチェイサーのモデル改歴です。
(81/10)
日産や三菱のターボ攻勢に応ずるべくチェイサーにもターボモデルが追加されました!
79yに日産が430セド/グロで国産初のターボ車を発売以来、世は正にターボブームでありこれまでDOHCで推してきたトヨタも遂にその流れには逆らえなくなり“TURBO”で勢いづくセド/グロ、ローレル/スカイラインに対抗してクラウン、マークⅡ/チェイサー/クレスタの4車(ソアラ/セリカXXのも相前後してM-TEUを搭載!)に一気にターボモデルをラインナップしています。
チェイサーにはセダン/4HTそれぞれのアバンテとSGツーリングにこれをラインナップ、外観は日産や三菱ほどこれを誇張せずグリルとトランクリッドのエンブレム追加程度で他はNAと全く同一でした!
↓81/10、“TURBO”モデルをラインナップ!(㊤4HTターボ/㊦セダンターボ)
ターボモデルは「ん?引退したんじゃない?」的なM型が再登場!かつてのM-EUに日産同様に米、エアリサーチ社製ターボチャージャーを装着しNA時代の125ps→145ps/17kgm→21.5kgmという当時の2Lとしては驚愕の性能を得たM-TEU型を搭載していましたが既に日産L20ETが約2年前に登場しており新鮮味はなかったです、またトヨタはこのM-TEUターボ化により自慢の4ATモデルのみのラインナップとしていたのも走りを好むユーザーからはかなりのブーイングでした。
トヨタは“DOHCはMT、ターボには4ATが最適”の主張を崩さず顧客第一主義のトヨタとしてはこのこだわりを珍しく頑固に暫く貫き通してましたねー、まだまだトヨタにも骨がありました(笑)
「マニュアルを乗る方はどうぞGTで!ターボはATのみ!」的な売り方は自社が推してきたDOHCのこだわりもありましたがこの頑固から結構ターボでMTを欲しいユーザーはスカイラインやローレルに流れたようです、クラウンとマークⅡ/クレスタはともかく“スポーティ”を自認するチェイサーのみだけでもMTターボがあったらまたこのクルマの評価も変わっていたかも?しえませんね…
尚、ターボ化に当たり何故に今更古いM型が引っ張り出されたかはお気付きの通りシリンダー肉厚の薄い1Gではターボチャージャーの圧力に耐えられないという問題があり設計が古いながら頑強なM型がターボ化されて戻ってきた訳です!
↓“M型は死なず” ブーム最先端のターボ化に選ばれたのはお馴染のM型! (M-TEU型)
このMターボ、マークⅡでしたが経験あり日産L20ETと正に同じ感覚の所謂“ドッカン”で出足は懐かしくももっさりしたドンガメMのフィーリングながら3000rpmを超えると豹変、日産ほど“ヒューン”というターボサウンドは誇張されてはいませんでしたが1G-EUや18R-GEUでは味わえないロケット加速が味わえました!
ただ、足のセッティングはアバンテですら完全にパワーに負けており直線番町の域を出ずMTターボが選べ脚も強いスカイライン(この時期はもうR30になっています)の敵ではなかったですネ~。
(82/8)
MCで後期型となります。
お決まりの顔とお尻のデザイン変更は勿論、このMCで新エンジンも搭載されています。
ますフェイスリフトはセダンと4HTをそれぞれオリジナルのデザインに分け評判の芳しくなかったセダンは特に手が入れられFrは二段式の彫の深いグリルにフォグ組込ヘッドライトでイメージを一新、テールも一人だけのけものだった横長の大型コンビが遂に装着されています。
4HTはやはりフォグ組込ライトの横線を基調としたスポーツグリルを採用、テールも前期の細目を大型化しています。
↓MCで後期型となり顔もお尻も立派になったセダン(㊤2000アバンテ/㊦1800XG)
↓後期型4HT(㊤1800XGエクストラ/㊦アバンテターボ)
このMCはセダン/HTともに前期よりスポーティ&豪華イメージが高まり成功だとは思いますが同時にMCしたマークⅡ、特に4HTのデザインが良過ぎた!!
個人的意見ではなく当時のユーザー層はマークⅡを圧倒的に支持、ワタクシも コチラ で述べたようにこの後期マークⅡには惚れ未だに所有しなかったのが悔やまれる1台です。後続でカローラの販売台数さえ抜いた程バカ売れしたX70系よりもワタクシは好きなデザインでした。
リアル世代の御同輩ならご存知だと思います、当時イーグルマスクで大人気を博した後期X60マークⅡ4HT、街中に溢れながら同じボディのチェイサーは滅多にないという有様、マークⅡはもちろん少数派向けでデザインを異にするクレスタの販売台数4万台の約半分だったチェイサーですから見かける事も少ない筈ですよね。。。
この後期マ-クⅡ4HTとソアラ、クラウン、クレスタがどれもこの時期秀逸なデザインと鮮やかで光り輝く”スーパーホワイト”というボディカラーが大人気となり俗に言う『ハイソカーブーム』を造り出したのも今は昔、しかし今もこの“スーパーホワイト”がトヨタ新車にはラインナップされていたりするのをカタログで見ると懐かしさと同時にさすが30年前に一世を風靡した色だ!と妙に納得しちゃいます(;^_^A
残念ながらチェイサーはまたもメーカーの計算?陰謀?か知りませんがマークⅡと較べると手抜き的なデザインに見えてしまいこの頃はユーザーも「チェイサーはわざとデザインを落としている」と言われるようになっていました…
チェイサー単独で見ればなかなかながらやはりマークⅡと較べるとその差は歴然で双子派生側の悲劇をココでも感じました~。
↓マークⅡ(㊤後期)を見てしまうとやはりチェイサー(㊦後期)は…
ただ、チェイサーにはこのMCからマークⅡにはないお買い得モデル、所謂“なんちゃってアバンテ”と言われた1800XGエクストラが設定されショボイ1800ながら内外装はアバンテとほぼ同じ意匠が施されそれでいてお値段はベースの1800XGに+α程度の価格だった事から結構人気があり販売もこのXGエクストラに限っては好調で街にもよく走っていました。
実はそこそこ裕福ながらもグランデやアバンテには手が届かない友人がもコレを買いよく乗せてもらいましたが走りは目をつぶって雰囲気と豪華な押し出し感、そして上品な内装が100万円台中ほどでしたからアルミ入れタイヤ太くすればこれはこれでれいいナ~ なんて思いました、カローラの最上級とほぼ価格変わらないでチェイサー、しかもアバンテテイスト!貧乏臭いなんてバカにしながらも密かに“いいなー”と。
この成功もありマークⅡ/クレスタにも後年、同嗜好のお買い得なんちゃってシリーズが設定されています(笑)
新エンジンは3種、これに変わる廃止も3種で新旧交代がなされます。
まず最高峰に据えられたのが従来の1G-EUを4バルブツインカム化した1G-GEU型で当時“LASER α TWINCAM 24”のコピーでソアラ(GZ10)、セリカXX(GA61)、そしてマークⅡ/チェイサー/クレスタに搭載、日産が先んじて81yに4バルブのFJ20(スカイラインDR30)でデビューして『スゲー、4バルブ×4気筒で16バルブ!! DOHCもここまで来たか!』という空気がおさまらない時期に何と6発、24バルブで反撃したトヨタ、さすがでした…
これで一気にFJが霞む と思われましたがFJは83yにターボを装着して再反撃!
そしたらトヨタもその後に1G-Gをツインターボ化とどんどんエスカレート!いやー、夢のような時代でした!!
1G-GEUのスペックは実に160ps!! トルクではターボに及ばない18kgmと言うモノながら2バルブの旧18R-GEUがさんざん日産に揶揄された鬱憤をこの1G-Gで晴らした感がありました。
↓18R-Gや2T-Gでお馴染の黒色結晶塗装からいかにも新世代的にシルバーに塗られたツインカムヘッドカバーが眩しい1G-GEU型TWINCAM24!!
↓1G-GEUの透視図
フィーリングは当時としては夢のようなエンジンとスペック、一瞬の体感加速GはM型ターボには敵わないながらもいかにも「メカ」的なエンジン音と高回転までストレスなく吹け上がる様はついこないだまで排ガス規制であっぷあっぷし暗い影が落ちていた暗黒時代の終焉を告げてくれた感じがしたのを鮮明に憶えています。
18R-GEUで感じたオーバーウェイトは全く意識させらず前期より強化された脚廻りもベストに近い仕上がりになりこの辺りでようやくライバルに追い付いた感じがしましたネ!
当然の如くこの1G-GEUは当時の大きな話題となり昭和57年日本機会学賞を受賞しています。
尚、1G-GEUデビューの為、18R-GEUは廃版となっており同時に「GT」グレードも廃止、1G-GEUはアバンテTWINCAM24という従来のアバンテをよりスポーティに味付けしたモデルとされどちらかというと装備も簡素でスポーツ色の濃かったGTとは性格を異に設定されました、これは“ハイソカーブーム”の影響や時代がバブルに向かう好景気の時期だったという部分がチェイサーのような車格からは需要がなくなったというのがGTの引退の背景ですね。
そして廉価/普及版の1800 13T-Uと2000 4気筒21R-Uが廃止、1800は82/3にカムリ/ビスタSV10でデビューした1S型に換装、1Sの性能が旧21Rをカバーしており21Rも廃止されチェイサー(マークⅡ/クレスタも)のガソリン2Lは全て縦6となっています。
SV10はFFのため横置きにされこれを示す『L』がエンジン型式=1S-LUを後期60系では1S-U型とし性能は同一、スペックは4気筒OHC100psでした。
1Sも1G同様新世代軽量化された“LASER”エンジンであり旧世代の21Rや13T-Uとは較べものにならない元気さ!絶対パワーが低い為やはり60系クラスではオーバーウェイト感はあってもキビキビ感もあり軽快で気持ちのいい回転の上がり方は廉価版の走りのイメージを変えこの辺がXGエクストラの人気の一因でもあったような気がします。
尚、1S-U搭載モデルの型式は『SX60』となります。
そしてこれまでディーゼルはL型のみでしたがL型を2.4Lにスケールアップしターボを装着した2400ディーゼルターボ、2L-T型も新搭載 スペックは95psまで高められDモデルの戦力アップをしています。
三菱が国産初のDターボをΣ/Λで発売以来既にDと言っても高性能を訴求される時代になりトヨタもこれに呼応した訳です。
ターボ化の高性能により2L-Tも“LASER”の称号が与えられていたのもトヨタのDに対する入れ込み具合が伺えました!
↓L型では名乗らなかった“LASER”を2L-Tでは冠!!
2L-TターボDは新設定されたディーゼル最高峰のSXL/SXLエクストラのみに搭載。
↓ターボDを搭載する『2400ターボD SXLエクストラ』
このMCではATも全て4AT化しています。
また後期からは初代X30デビュー時からイメキャラを務めた草刈正雄氏に代り当時でもクルマ好きで有名だった夏木陽介氏に交代、60年代の青春スターもそろそろ円熟期、Gメンで小田切警視を演じた同氏、ナイスミドルという言葉がぴったりハマるこの時期、好きな役者さんでしたー。
↓草刈さんよりはイメージに合う?小田切警視が新キャラに!!
尚、余談ですがマークⅡ/チェイサー後期型MCと同時にこれまで「X50」だったクレスタも「X60」に型式進行しています。
(83/2)
上級グレードに電子制御4AT ETC仕様車を追加しています。
(83/6)
一部グレードに認可されたドアミラー仕様モデルを設定。
(84/8)
クレスタ先行発売の関係もありややモデルライフに足りない3年10カ月でチェイサーはマークⅡ/クレスタと同時にFMC、3代目に進化しました。
↓84、8に3代目X70系となりオリジナルティ溢れるデザインとなりました!
初代X30/40が派生車ながら一定の人気/販売を得ながらも2代目は三つ子のクレスタ追加の影響もありDOWN!!となってしまったチェイサー、3代目X70系ではこれまでの手抜きマークⅡの批判を反省しマークⅡとは兄弟ながらオリジナリティを醸し出しまた、スポーティを謳うだけあり思い切ってセダンを廃止しバブル真っ只中に突っ込んでゆきます!
さんざん60では『クレスタやマークⅡに較べチェイサーはねー…┐( -_-)┌』的に揶揄されたチェイサーの逆襲なるか!!!
次回をお楽しみに~。
(次回3代目SX/LX/GX/MX70系チェイサーに続く)