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2012年05月18日 イイね!

保存版“華麗なる一発屋!!!”…ルーチェロータリークーペ編

保存版“華麗なる一発屋!!!”…ルーチェロータリークーペ編
1960年代中盤~後半、高度成長に湧きかえる日本はようやく一般市民が軽自動車から6、800~1100ccの所謂“大衆車”と言われるマイカーを手に入れられるようになった時代、東京オリンピック以降の東名や名神高速の開通により“ガマン車”と言われた軽では難しかった高速連続走行、長距離ドライブがこれら大衆車の普及で現実になりました!

ようやく日常に「車」とうモノが手に入った日本が次に夢見たのは欧州や米国の外車達!!
ピーンと背筋を張ったGMやフォードの高級車や流麗なスタイルで夢のような高性能を背負うジャガーやポルシェ、アルファ等…

そこで日本の各メーカーは大衆車開発が一段落すると米国セダンに倣った高級車や欧州を手本としたスポーツカー/パーソナルカーの開発に取りかかりました。
前者は既存のクラウン、セドリック、グロリアをよりアメリカンナイズし新車種として三菱デボネア、いすゞベレルが参入、そして後者はトヨタ2000GTやスポーツ800、日産初代シルビア(CPS311)やホンダSシリーズ、マツダコスモスポーツ等が挙げられますね!!

前置きが長くなりましたがこんな最中の69/10に東洋工業(当時マツダ=以下これにて記載)から67yのコスモスポーツ、68yのファミリアロータリーに続くロータリー車第三弾として発売されたのが66yレシプロの中級セダンである初代ルーチェSVA型をベースに新開発したのが『ルーチェ・ロータリー(以下RE)クーペM13型』でした!

“華麗なる一発屋” 今回はこのクルマを取り上げたいと思います!!

ルーチェREクーペ、『クーペ』の名前ながらこれは後にメジャーになるドアサッシュ/センターピラーレスのHTボディのスタイルをまとっています。
既存セダンのデザインは基本形がベルトーネ所属の鬼才、Jアーロ、セダン同様クーペもこれを基に内製デザインながら見事にJアーロのラインを崩さず美しいHTボディを実現、当時は当たり前だった三角窓すら廃しすっきりしたサイドビューは伸びやかなデザインに一役買っていました。

ただ、デザインこそ66yデビューのセダンを踏襲していますがREクーペの中身は全く別物のクルマ、シャーシはもちろん搭載エンジンも全てREクーペの為に開発したもので2代目以降のルーチェ(LA型)にもHTは存在しましたがこちらはスタイルのみセダンとは異なるも中身は全く同一モデルでしたのでREクーペにおいては後継もおらず僅か1代で消えながらRE初期のマツダのイメージリーダーの役割をしっかり果たした正に“華麗なる”一発屋に相応しいモノと勝手に認定させて頂きました(^^;)

鬼才、Jアーロのデザインが目を見張るルーチェREクーペ


REクーペは67y、68y、69yの過去3回のモーターショーで『マツダRX87』としてショーモデルが展示されており69yのショーはワタクシもかすかに記憶があり当時は普段見慣れていたルーチェが2ドアになるとこんなにカッコいいものなんだ~ と非常に興味持って眺めていましたね~。
3回のショー出品にて市場動向を見分した上で69yの発売となります。
ショーカーのRX85とは部分的に変更がなされてはいましたがあらゆる点で衝撃的なREクーペは大きな話題と羨望の目で迎えられました。

原型となった66yデビューの初代ルーチェ(セダン)デザインは共通ながら似て非なるモデルでした!


血に滲むような苦労でREエンジンを実用化したマツダが最初に放ったREカーはその特性を最大限アピールするスポーツカーであるコスモスポーツ、誰もが目を見張る近未来的なスタイルと高性能ながら148万という当時としては超高額(参考=67y MS50クラウンスーパーDXが112万円、66y KE10カローラ1100DXが49.5万円)だった為こちらはマツダのシンボル的存在で一部の恵まれた階級の方のみしか手にできないモノ、そこでマツダはREを一般普及させる為に大衆車ファミリアにもREを搭載し70万円で発売し大喝采を浴びました。

そしてこのルーチェRE! このモデルはコスモスポーツが一つのRE頂点=スポーツカー としながらもう一つ頂点として高級パーソナルカーとして登場、二つのグレード設定がなされ標準のDXでコスモとほぼ同等の145万円、上級スーパーDXではコスモを上回る175万円という驚きの金額でしたがその高額の理由には訳があり先記のように名前とスタイリングは既存ルーチェを踏襲しながら全くの新開発車である事が一点、当時の日本には馴染みの薄い新技術や新機構をふんだんに盛り込んだと言う二点目が挙げられますね。

尚、同じjアーロのデザインでやはり注目高かった高級パーソナルのいすゞ117クーペが172万円、こちらは構造設計は冒険を避け当時としては平凡な部類ながら「ハンドメイド」と言う点でREクーペ同様の高額です、この時代にこれらを手にできた方々って凄いですよねー、今みたいな長期ローンなんてまだないですし(汗)

さて、REクーペですが心臓となるREエンジンは655cc×2ローターの13A型RE 126ps という新開発でRE最大排気量でコスモやファミリアの10A/Bとは比較にならない高性能、当時としては重量級のルーチェREクーペの1.3t近い車重(スーパーDX)をものともせず前期型コスモを上回るMAX190kmまで引っ張り『ハイウェイの貴公子』とマツダマニアには有名なキャッチコピーが光っていました!

↓ルーチェREだけに搭載された13A型REエンジン


また更に驚くのが駆動がFFだった事!
既存セダンのルーチェは当時は基本だったFR車でしたのでこの時点で既に別物ですね。wikiその他文献でも何故マツダがこのクルマにFFを採用したかは不明との事、確かに当時は生産性が悪く経験もない(マツダ初のFF車)モノですし高額になったのもこれが一因だと思いますしねー、諸説では欧州のREお手本となったNSUバンケルに倣ったとかセダンのルーチェが当時の1.5Lセダン(後期は1.8L)としては大柄で大人6人が楽に乗れる、というのをセールスポイントにしていた為、例えクーペ(HT)と言えどもルーチェの売りを踏襲したく室内スペースが有利だったFFを採用し話題を得たい、いう意見もあるようです。個人的には後者の説がもっともらしいかな? と・・・。
FF採用のいい点としてこれによりデザイン(ホイールベース等)の制約が少なくセダンとは比較にならないワイド&ローの伸びやかなデザインとなり当然、プロペラシャフトがなく広々した室内はワタクシも一度座りましたが(ドライブは残念ながらしていません・・泣)セダンをも上回る広さとHT形式がより解放感を与えていました!!

↓FF化により2ドアと言えども広い室内


↓インパネデザインは基本セダンと同一 


またFFとした事により脚廻りも高性能で高級パーソナルに相応しい4独サスとなりFrウィッシュボーン、Rrセミトレーリングアームというモノ。

バリェーションは先記のように2種、上級のスーパーDXはラジアルタイアやディスクブレーキといった当時では憧れの装備は当然、レザートップ、各オート装置(パワステ、パワーウィンドゥ他)等がフル装備、この時代でエアコンまでもが装備されていたのが目を見張ります!そりゃ高い訳ですよね~~。

このように何もかもが衝撃的だったREクーペですが実際に市販されると様々な問題があったようです。
まだまだ未熟だったパワステの操作感覚とFF化によるFrヘビーによる尋常ではないアンダーステア、強度不足のドライブシャフなど耐久/信頼性のに不安がつきまといそのあまりに高額すぎる価格も相まって販売は不信を極め似たような価格帯ながら設計が平凡だったが故に信頼性が高く少量生産ながら販売も順調だった117とは逆の運命を辿り発売から約3年の72/9、僅か976台の生産でENDとなってしまいます。
この時マツダは既にRE普及をファミリアに続いてカペラ、サバンナにて果たしておりREクーペと前後してコスモスポーツも生廃、二つの“イメージ・リーダー”はお役御免となった感じでしたねー!

この後ルーチェはセダンのみのラインナップに戻り同年11月にはフルチェンジ、2代目LA型となりこの時に再度HTが追加されるもこれはREクーペとは異なるセダンと全て(デザイン以外)を供用した大量生産モデルとなっており同じルーチェの名を持つ2ドアモデルでありながらクルマ的には何の脈略もありません…

2代目ルーチェHTは量産型となり価格も常識化、REクーペと較べ普及率は格段に上昇しました!


まぁREクーペ、このモデルはトヨタ2000GTやシルビアのようにハナから量産するつもりも大量に売る気もなかった言わばマツダの、同社の当時の持てる技術力や理想を掲げた究極なるイメージ・リーダーカーですから3年、1000台近く世に出たという事実だけでも充分存在理由があったかとは思います、その証拠に僅か3年の存在ながらその存在はしっかりと今でも生きており流麗なるデザインの美しさは現代レベルでも色褪せず国産10傑の秀逸デザインにも入るのではないでしょうか・・・

驚きの価格で幻のような存在だったルーチェREクーペ、これぞ正に“華麗”という言葉が似合う『一発屋』だと信じて疑いませんです!!
Posted at 2017/11/18 16:40:57 | コメント(0) | トラックバック(0) | 一発屋 | クルマ
2012年05月15日 イイね!

保存版・ 草ヒロ34

保存版・ 草ヒロ34
取引のある大型車の整備屋さんヤードに鎮座するいすゞTD型ボンネットのレッカー車!

最初発見した時はただただ驚きでした、戦後~60年代は隆盛を極めたボンネットトラックですが60年代にキャブオーバー型に圧され79年をもって製造廃止となったTD、かつては故障した大型車のレスキューで活躍したのでしょう、今はただ土に還る日々を静かに送っている様子…

子供ですら中型~大型はほぼキャブオーバー、ボンネットが見れたのはダンプやミキサー、現車のレッカーや重トレ、そして軍用車位でしたんで錆びれた個体とは言えじっくり拝見しちゃいました(^^;)


現車、TDの末期のモノと思われます、70年代後半のモデルと推測、40数年経過ですがその割には痛みは少ないかな?10~20年ン位前までは現役だったのかもしれませんね1

原型↓(現車のMC前モデル、ダンプモデル)


神奈川の比較的田舎地区ですがそれにしても県内にこれが居たとは!地方ならさすがに現役はいなくとも草なら発見できそうですがね、貴重な1日を味わいました(^^♪

Posted at 2018/02/15 22:31:51 | コメント(0) | トラックバック(0) | 草ヒロ | クルマ
2012年05月12日 イイね!

保存版・珍車PART63

保存版・珍車PART63
今日見かけた珍車はこれも結構珍しい…『S110型ガゼール』

勿論、ベース・と言うか兄弟車は長い歴史を持つシルビアで1979年〜1983年まで生存した3代目シルビアとの双子でこの型から次期S12の途中までラインナップされていました!
西部警察・小暮課長専用車でもお馴染ですね。(西部のは特別仕様のオープンモデル)

S110、当初は雰囲気のみのモデルで大した走りはせず(NA,SOHCのZ18/Z18E/Z20Eのみ)最大の焦点にしたライバルのセリカ(A40系)に較べ心臓は頼りなかったですがその後ブル910と相前後して当時の日産お得意のターボ(Z18ET)を追加したり81年のMC後はFJ20型DOHCを積んだ“RS”(HTのみ)、WRC・グループBホモロゲ用のFJ24型DOHCを搭載した日産240RS等、どんどん過激になりスポ車ファンは当時大注目!
シャーシが310サニーなのでやたらトレッドが狭くタイヤがボディ内側に極端に入り込みワイドタイヤ履かないと超みっともない!と騒がれたのも懐かしい。。。
HTとHBクーペの2種が存在、硬派仕様がHT、ナンパ仕様?がHBと味付けされていたような…!?

このガゼール(シルビア)は今の時代なら電卓?と思えるようなドライブコンピュータを初搭載したりシートがやたら動いたり(確か6wayだったかな?)夜間になればあちこち凝った照明が光り輝きこれも二十歳そこそこの若造(ワタシです…汗)の心を充分ときめかせたモノでした。

現車はMC後のHBターボXE-?(これがシルビアだとZSE-X)
RSを除くシリーズ最高グレードで個人的にはアイアン衝撃吸収大型バンパーの付くマイナー前のモデルが好きでしたが(後期はウレタン)今見ても個性的で実にカッコいい!
ストア済か?と思える程光り輝く『○○(地方)・110』のナンバーも素敵でした!

またしても日産旧車(珍車)の目撃、やはり旧いのは日産車の率が高い気が…

↓横浜の官庁街を行く真っ黒なS110は異彩を放ち通行人もガン見でした(笑)
Posted at 2019/06/06 23:15:47 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日産 | クルマ
2012年05月05日 イイね!

保存版・燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!(117クーペvsコスモ)

保存版・燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!(117クーペvsコスモ) 燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!

今回はJ・アローの美しいデザインで今でも愛好家の多い元祖高級クーペ、『いすゞ117クーペ(PA9♯系)』と排ガス規制を中心に自動車界が青色吐息の時期に颯爽と登場!オイルショックで傾きかけた東洋工業(現マツダ、以下マツダで記載)を救った『マツダコスモ(CD系)』をガチンコライバルとして取り上げたいと思います!
日本では支持される環境のなかった時代に117は一人『高級パーソナルクーペ』として名をはせていましたがそんな独占状態に同じ“高級クーペ”として挑戦したのがマツダコスモ!
当時を知る人間にとって正にこの2車はガチンコで数年歩んでいきましたので今回、その歴史を振り返ります。

GTOvsセリカの項で述べたようにこの昭和50年を知る自動車ファン、特にスポ車ファンにとっては忘れもしない悪夢の年!
憎っき?日本版マスキー法である昭和50年排ガス規制が翌年から実施される前夜でありメーカーさんは勿論、一般ユーザーが「車が動かなくなる!!」と本気でうろたえた時代でした…。

しかしそんな中でも各メーカー、夢を届けるスポーツモデル、スペシャリティカーの継続には必死に取り組み排ガス規制で多かれ少なかれ牙を抜かれてはいましたが今の様に“エコ・環境一辺倒”とは傾きはしませんでした。
しかし2大メーカーである西の横綱、トヨタはそれまでワイドバリェーションの拡充や見かけの豪華装備の追及ばかりに捉われたツケがまわり排ガス対策が後手後手に!各社、50年規制を飛び越えた51年規制の目途がついた時期でさえも他社パテント(ホンダCVCC→トヨタTTC-V)を導入したりして取りあえずの規制適合に目途を付けその後51年目前でようやく自社開発(TTC-C/TTC-L)にてブービーにて50年規制適合が叶ったという有様。
一方、東の横綱であった日産も比較的早い時期に51年規制には触媒方式の(NAPS)にて適合はするもののツインキャブは全滅、これに変わるEGIと排ガス対策による大幅な車輛価格UP、加えてドライバビリティの極端な低下が著しくつい先日までL20型ツインキャブやA12型ツインキャブでワクワクさせたローレル/スカイライン/ブルーバード/サニー等の人気ブランドも魅力半減、2大メーカーには暗雲が覆いかぶさっていた時代、造る側も乗る側もお先真っ暗?的空気が立ちこめていた時期に正に颯爽と、停滞した空気をブチ破るように登場したのが75/10の『マツダコスモ(C-CD2♯C/VC型)』でした!!

↓75yデビューのコスモ、ネーミングは由緒ある日本初のREスポーツカー“コスモ・スポーツ”から継承!(75yリミデッド)


コスモは67~72yに存在した言わずと知れたマツダ1の名車、RE(ロータリーエンジン)を日本で初搭載したコスモ・スポーツからネーミングを継承、一部文献などは「2代目コスモ」と紹介されていますが個人的にはコスモ・スポーツとコスモはあまりにコンセプトが違い過ぎますので“2代目”には少し違和感がありますが少なくともREエンジンを生かしたマツダの最高峰イメージリーダーである事には変わりはありませんネ。

↓日本初のRE、世界では初の量産REを搭載した『コスモ・スポーツ』


排ガス規制で牙の抜かれた他社スポーティモデルの中、コスモの出現はひと際目立ち既存のサバンナやカペラ、ルーチェでAP(アンチポリューション=公害対策の意味)システムにより他社に先駆け一番乗りで51年規制をパスしたREエンジンをメインに搭載、73yのオイルショックでイメージが燃費の悪さから地に落ちた感があったRE、しかしその特性からレシプロと違って排ガス対策を施しても殆どドライバビリティの低下が見られずしっかりとパワフルな点が見直され発売と共に大人気を博し最上級のリミデッドでは180万円(正確には1,795,000円、最廉価1800カスタムスペシャルで1,055,000円)という高額にも関わらず発売半年で累計2万台を超え発売翌年の76y、6万台弱という販売台数を叩き出したのは単一のクーペとしては記録的!実用性の低い2ドアクーペモデルのこの数字は当時この分野では唯我独尊状態だった117クーペの安定的人気と販売台数とされた1万台強という数字を大幅に上回るものでありまさしく『大人気車』でありました!
当時、ハイオーナーカーと呼ばれたマークⅡやローレルは勿論、高級車であるクラウンやセドリックの2L最高グレードよりも高額、それらの3ナンバーモデル(クラウン2600スーパーサルーンやセドグロ2800SGL)より10~15万安いと言う価格帯ながら受注の半分は最高峰リミデッドだった事も驚きでこの現象からオイルショックからなるマツダの経営ピンチを救ったのは有名な話ですね。

コスモ・スポーツがプロトタイプの完全2座スポーツカーだった事に対しコスモAPはファストバックの4座パーソナルクーペであった事も実用にも使え、そのスタイリングも低く・長く・幅広くと教科書通りの出で立ちに加え個性的なスタイリング、センスの良いインテリアも相まって正に飛ぶ鳥の勢いであり76yにはCOTYも受賞、ワタシもこのコスモAPのセンセーショルなデビューから1~2年、他車ライバルを寄せ付けない圧倒的な人気を得ていた時期、鮮明に憶えております。。。

一方の117クーペ、コスモ発売までは高級スペシャルクーペ市場を独占し安定した人気を誇る存在であり68/12の発売以来、J・アローデザインの美しいスタイリングは75y当時で発売7年を経過するも健在!
初期型はお家の事情からなる生産性の悪さからハンドメイドに近い生産であり60年代ではあり得ない1,720,000円という超高額車輛!その後フローリアンやベレットの1800エンジンを移植した普及版の追加でやや?庶民的に寄るモデルも登場、73yの大幅MCより量産化がなされこれに伴いハンドメイド時代は富裕層のものだった117は一般ユーザーでも手の届く存在になりこの2次中期モデルから急速に販売も増えその美しいクーペを街中で見かける事が多くなりました。
手の届く、と言っても最上級のXEでは73y当時の主役であったスペシャリティカー、セリカやGTOを軽く上回りクラウン/セドリック2600と同等の185万円オーバー!しかしワイドバリェーション化により廉価版(XT)では124万円まで下がりこれならばセリカやGTOの上級と遜色ない価格帯になっておりそれらのようなハイパワーエンジンではないXT(1.8L SOHCシングルキャブ)でも117は走りよりその美しいデザインに価値が認められXTの普及率は性能に関係なく高かったようで街中を走る117も上級のXEやXGよりも下級のXTやXCが殆どだった印象があります!

↓68y~73/3までの“雲の上”の存在だった117クーペ前期(1次)モデル


尚、今回はあくまで『117vsコスモ』が主題の為、117クーペについてはコスモ登場(75/10)に合わせ当初から対策モデルとして登場したコスモに真の意味でライバルと言えるのは117も同様に排ガス対策適合モデルだと思います。
75yいっぱいは未対策モデルの販売が可能でしたので117の適合車は75/12の発売、依って117はこのモデル(2次中期排ガス適合モデル)を起点に取り上げてゆきます!


【諸元比較】

[117クーペ(75/12~)]

(バリエーション)
XE/XC-J/XC/XT
※XEはATのみ、XC-JはMTのみ、XC/XTは両ミッションを用意
(型式)
いすゞA-PA95型
(サイズ)
全長4310mm全幅1600mm全高1325mm
(ホイールベース)
2500mm
【車重】
1270~1330kg
(搭載エンジン)
G180Z型 1800cc 直4 OHC シングルキャブ105ps/15.0kgm
G180ZE型 1800cc 直4 OHC ECGI 115ps/16.0kgm
G180WE型 1800cc 直4 DOHC ECGI 130ps/16.5kgm
(ミッション)
4速MT/3速AT
(脚廻り)
Frダブルウィッシュボーン/Rrリーフリジット
(駆動方式)
FR
(価格)
XE:2,111,000円
XC-J:1,722,000円
XC:1,582,000円
XT:1,420,000円
※XEを除きMTの価格

型式A-を見ても分かるように75/12の時点で117はI・CASと謳う酸化触媒方式にて50年規制に適合していますが73~75/12いっぱいまで存在した117の最もハードモデルであった未対策のXG(G181W DOHC+ソレックスツイン125ps 4MT)が消滅、更に最上級のXEは未対策時代もDOHC+ECGIで140psという高性能さを誇っていましたがI・CASにより10psダウン、トヨタ/日産/三菱の例に漏れず排ガス対策の煽りを受けています。
最上級XEはこれを機会にMT仕様をカタログ落ちとしXG廃止により性格をより高級パーソナルに振りAT専用とされておりこの時点でMTのDOHCは選べすまだまだDOHCが夢の高性能エンジンだった時代、トヨタの18R-Gと並び2L級DOHCとして貴重な存在だった117はトヨタと一線を画す方向性が与えられためスポ車ファンとしてはにはただただ残念な出来事に映りました。
DOHC+ATなんて現代と違いゲテモノとしてしか受け入れられない時代でしたから69yのデビュー以来のDOHC+ソレックス+MTが味わえなくなった117、デザイン重視のこのクルマですが走りのイメージも少なからずあった最高峰の方向転換は排ガス規制を契機にしたものでしたが落胆したのを憶えていますしSOHCモデルのMTにしても他車が続々と5速化を発売する中で依然として4MTというのも“走り”という部分では見劣りするものでした。

[コスモAP]

(バリエーション)
REリミデッド/RE・1800スーパーカスタム/RE・1800カスタム/RE・1800カスタムスペシャル
※リミデッド/REスーパーカスタムに5MTとAT、1800スーパーカスタムは5MTのみ、RE/1800カスタムにはは5/4MT、RE/1800カスタムは4MTのみ
(型式)
1800:マツダC-CD2VC型
RE12A:マツダC-CD22C型
RE13B:マツダC-CD23C型
(サイズ)
全長4545mm全幅1685mm全高1325~1330mm
(ホイールベース)
2510mm
(車重)
1120~1220kg
(搭載エンジン)
VC型 1800cc 直4 OHC シングルキャブ(2ステージ2バレル)100ps/15.2kgm
12A型 573cc×2ローター シングルキャブ(2ステージ4バレル)125ps/16.5kgm
13B型 654cc×2ローター シングルキャブ(2ステージ4バレル)135ps/19.0kgm
※全エンジンともマツダAP(サーマルリクター方式)により51年規制適合
(ミッション)
5速MT/4速MT/3速AT
(脚廻り)
Frストラット/Rr5リンクコイルリジット
(駆動方式)
FR
(価格)
リミデッド:1,795,000円
REスーパーカスタム:1,530,000円
1800スーパーカスタム:1,350,000円
REカスタム:1,330,000円
1800カスタム:1,190,000円
REカスタムスペシャル:1,200,000円
1800カスタムスペシャル:1,05,5000円
※MTモデルのみ

上記を見て分かる通りコスモはまだまだ車格によるサイズ棲み分けがきちんと守られている当時でもフルサイズに近い堂々とした伸びやかさがが魅力、特に全幅は小型枠(1690mm)ほぼいっぱいで幅広くドッシリした安定感を醸し出していました。
117はコスモに較べると1サイズ小さいながら鬼才・Jアローのデザインはコスモ以後も褪せる事無く60年代の古いシャーシ、不人気車の代表であるフローリアンがベースとは相変わらず思えない美しさを保ち根強いファン層をガッチリ掴むのは当然、量産化以後の積極的な展開により新たなファンも獲得し圧倒的なコスモ人気の中でも一定以上の支持を得ていたのは流石でした!

↓117の流麗で優雅なデザインは75y当時、デビュー7年を経ても決して色褪せてなかった!75yXE)



【スタイリング・エクステリア比較】

現在でも愛好家の多い117、ワタクシいすゞの地元、神奈川県ですし仕事でいすゞ藤沢工場に出入りする事もあるので同工場内では往年のクーペを時々見かけます。未だ大切に所有する社員さんもおり生廃後30年を経た現在でも比較的見かける環境ですがほぼ量産型の73y~の2次モデル、“ハンドメイド時代こそが117”という愛好家の方が多いですがデザイン的にはワタシ個人としては2次モデルが一番好きでした。
丸目4灯が穏やかな曲線によくマッチし1次モデルのようなターンシグナルがバンパー上に付く60年代テイストもなく現代的、横1列になったテールも高級イメージをより高め全体的に一番調和の取れたエクステリアだったと思います。

一方のコスモ!こちらは当時最新鋭のモデルだけありそれまでにないデザインテイスト!
顔付は当時マツダが凝っていたバーチカル風の縦縞大型グリルに丸4つ目といういかつい顔付でスタイリングは個性的な6ライトウィンドゥ形式を採用、6ライトのクーペや2ドアモデルはB210サニークーペやS90系クラウンHTで既採用されているもコスモの場合“第4のピラー”を謳い文句にした二つに分けられたセンターピラーとそれを彩るFrから延びる下端のウインドゥモールが二つのセンターピラーに挟まれたセンターウィンドゥで上部に廻り込み再びRrオペラウィンドゥで下端に戻る独特なスタイリングが最大の特徴でRrウィンドゥはセンターピラーの存在するクーペながらHTのようにフルオープンとされカペラやサバンナ/グランドファミリアからの伝統を継承しています。
テールはL字型でこれも個性的ながら73yに三菱ランサー(A70系)で既に採用されており目新しさはありませんでした。

↓センターピラーとL字型テールがひと際目立つコスモのスタイリング(75yリミデッド)


排ガス対策費とより高級化路線を打ち出した117の最上級XEが飛び抜けた金額ながらこれを除けばほぼ被る価格帯にどのグレードも位置し正に高級クーペを二分する両車でした!
スタイリングに関しては個人の主観ですのでどちらが…というコメントは差し控えますね(笑)

【シャーシ・エンジン比較】

次に機関面、脚廻りを比較すると搭載エンジンではコスモに圧倒的な分がありますね!!
何と言ってもマツダの自慢のREを2種(13Bと12A)を搭載、先のオイルショックの経験から一時はマイクロバス(パークウェイ)から軽(キャロル/シャンテ)全てにREを搭載計画していたマツダ、しかし不幸なオイルショックを契機にそれまでの方針を見直し富裕層にアピールする高級車と性能を追求するスポーツカーユーザーに的を絞った施策に変更、これらを求めるユーザーは燃費にあまり五月蠅い事を言う層ではないための変更でありこれの第一弾がコスモでした。
マツダの自信作である2種類のREエンジンを与え最高峰リミデッドに当時2L級最高psとなる135psを発生する13Bを搭載、普及型には12Aを積みながらロープライス、燃費にこだわる層へも訴求するレシプロ1800も設定し幅広いユーザー層にもアピールしていました。

ミッションで触れなければならないのがREのMTモデルにはLA型ルーチェREに採用されていた“トルクグライド”をルーチェ同様に搭載したのも特徴。トルクグライドはその性質上REはレシプロに比べて低回転でのトルクが弱くこの時、振動が多くなるREエンジンの欠点を補いトルク増幅/振動軽減を叶える機構、他のMTには類を見ないAT同様のロック機構も内蔵され通常の5速MTのパターンの左上に駐車用のPポジションが設けられていました。

↓コスモのRE㊧とレシプロ1800VCエンジン㊨


脚廻りは当時の定番であるストラット/5リンクリジット式、当時としてはコスモよりも安いスカイラインやローレルが4独という高級な脚廻りを採用していたにも関わらずコストの関係もあったのでしょう、個性的で高級感溢れる内外装とは違いここに関しては極一般的でしたね、但しブレーキは当時では豪華なFrベンチレーテッドディスク/Rrディスクの4輪ディスクが1800廉価版までにも奢られ注目すべき点でした!

対する117、基本は60年代のベレットから搭載するエンジン、先記の様に未対策時代はソレックスツインやSUツインキャブを搭載しする走りを重視したモデルも存在しましたが対策後は大人しいモデルのみに変化、それでもXEのDOHCは価値モノで一目置かれる存在でDOHC王国のトヨタ以外でこれを生産するのは当時いすゞのみ!ECGIになりATのみとしながらもその価値が一層117XEのステータスを高めたとも言えます。

↓貴重なDOHCをトヨタ以外に持つのは当時いすゞのみ!(G180WE型DOHC ECGIエンジン)


脚廻りでは既にこの時ですら前時代的であったRrリジットリーフ(Frダブルウィッシュボーン)の117、このクルマの性格からしてハードに攻めるクルマではないので当時はこれで充分だったとは言え旧態化したサスと60年代のシャーシ、ワタシもコスモと117は結構経験ありますがこれはもうコスモの圧勝でした。
リーフ特有のペキペキした乗り味は逆にハードに攻めるクルマならばいくらでもいじりようがあるものの美しいその外観とは裏腹な安っぽい?乗り味は117には似合わずハンドリングも古いシヤーシからなる鈍重な操舵感は頂けない感じでした。ブレーキも当然FrはディスクながらRrはドラムです。

コスモもハンドリングに関しては決してシャープで気持ちのいいものではなかったと記憶していますが当時常識のボールナットとしてはパワーアシストなしでも軽かったですねー。
もっとも縦6や4発でもDOHCなど重いエンジンを積むライバルに較べたら軽~いRE搭載(リミデッドはパワステ標準、但し1800も軽かったが…汗)ですからこの辺もまだパワステ普及前はREの有利な点だったと思います。

コスモの脚は良くできており柔らかすぎず堅過ぎず、これでダートや山岳路を走った経験はないので何とも言えませんが少なくとも市街地や高速道路に於いては見かけに相応し残念感がないレベルだったと思います。
ただ、マツダの場合は国産車では珍しくシートの出来がこの頃でも秀逸でロングドライブでも疲れを感じさせないクッションを持ち特にリミデッドは高級クーペの名に恥じない出来栄え!これはコスモや同リミデッドに関わらず同クラスライバルのトヨタ、日産、三菱と比較しマツダのシートの出来はワタシ個人にはピッタリくるフィーリングが味わえこのメーカーの好きな部分の一つ。見かけだけではなくその時代時代に考えうる人間工学を真面目に追求している姿勢が伺われました。

↓コスモAPのFr/Rrサスペンション


↓117クーペのFr/Rrサスペンション



【インテリア比較】

この部分も多分に主観が入りますからどっちがどうとは言えませんが100万オーバー~200万前後という、当時でも決して安くはない(最上級はどちらも高級車以上!)“高級パーソナルクーペ”を謳う両車ですから造り込みやデザインは甲乙付けられないモノがあったと思います。

117、エクステリアは基本、デビュー時の1次前期型を踏襲しますが海外のGTカーを彷彿させる低い着座位置から短いシフトレバーを操作する感覚はそれまでの国産車にはないものでもありJ・アローのデザインは広々とした視界も実現、70年代はやたら穴蔵のようなクルマが多かった中で明るくかつ安全に気持ちのいいドライブのできるモノでした。
インテリアも上質で派手さはないながらもしっとりとした高級感が溢れ廉価グレードでさえ貧しさを感じる事はなく支払った対価には充分応えるステイタスさを所有者に与えてくれたと思います。
グレードにより味付けは異なり最上級XEはクラウンやセドリックにも遜色ない穏やかな色調の全面モケットのシート、長毛のカーペットにウッドのインパネ、内装は当然フルトリム、インパネはいすゞ自身がベレットGTでスポ車の定番とした連メーター(7連)である事は言うまでもありません!
ただ、設計の旧さは隠しきれず各S/W(スイッチ)類やサイドブレーキは60年代のまま(汗)
ワイパーやライトスイッチは旧態化したノブ式、当時このノブ式→現代同様のマルチレバーへの変更期であり新設モデるならばマルチが採用されましたが117のように設計の旧い車種は改良が追い付かず旧式S/Wがまだ継続されていました。
サイドブレーキは唯一ベースが60年代のセダンであるフローリアンを思わせるステッキ式!75y当時でもこの形式のサイドブレーキ、特に2ドアモデルでこれを採用していたのは117とローレルHT(130)/ブルーバードU HT(610)程度ではなかったかと…!?(高級車に多かったながらもクラウンはS60/70の“クジラ”→74yS80/90で、セドグロは230→75y330で改良されていました。)
また、高級さを謳うだけあり冷房装着率の高いモデルではありましたがこれもエアコンではなく助手席ダッシュ吊り下げ式のクーラーのみでしたのでこれも旧態以前の装備でしねー…
ただコスモは当初opでもエアコン設定がなされておらずまだまだ贅沢品であった冷房に関してはそれほど問題になる時代ではなかったですが(笑)

↓117クーペXEのインパネ&インテリア




XE以下ではXC-Jが一番若者向けの味付けとなり部分繊維の赤/黒チェック柄シートに艶消し黒のインパネが、XCでファブリックシートはXEと同一、アルミ風のインパネとされXTはXC-Jの色違いチェック地シートとなっていました。
117はデビュー時から潔く定員を4人としクーペながらも後席乗員にも気配りを忘れず後席空調吹き出し口が装備されこの種のモデルとしては異例な充実感がありました!

対するコスモも上品でセンスがいいインテリア117に劣らずそれに加えて新鋭モデルだけあり当時の流行のメータークラスター部が盛り上がるデザイン。
これは既存のLA型2代目ルーチェのアイディンティを豪華に発展させながらスポーティ心も満点!お約束の連メーター(5連、但し2種類のメーターをi個のメーター×2設置しているので実情は7連)もしっかり装備しています。
値段差が117に較べ大きいコスモ、最上級と廉価版の差は117以上、リミデッドとスーパーカスタムがウッドステア&インパネ、カスタム/カスタムスペシャルはウッドが省かれインパネ/ステアリングともプラとされます。
シートは全面モケット(ヘッドレスト除く)がリミデッド専用、スーパーカスタムとカスタムは部分繊維、カスタムスペシャルはビニールレザーに落とされ廉価版ではカーペットや内装の材質も異なっていました。

↓コスモ・リミデッドのインパネ&インテリア




↓コスモ1800カスタムスペシャル


【モデル改歴】

ここからは改歴順にこの2車を見ていきます。

※細かい仕様変更、特別仕様、安全対策などは網羅していません。

(76/5)
117、I・CAS=EGR、バルタイ等の改良で全種51年規制に適合。(psに変更なし)
この時同時に4MT車は全て5MTに換装されXT/XCは5MTと3AT、XC-Jは5MTのみ、XEは3ATのみのチョイスとなっています。

(76/6)
コスモ、これまでATの設定がなかった1800に3ATを追加。
RE同様にシフトポジションインジケータが1800にも採用されクラス初の装備が注目されました。

(77/3)
コスモ、新開発のMA型エンジン(2L 直4 OHC 2バレルシングル110ps/17.0kgm)を搭載するレシプロ2000シリーズを追加=スーパーカスタム/カスタムを設定。(型式C-CD3MC)
MA型は1800同様のサーマルリアクター方式のマツダAPによる51年規制適合エンジン。

ここで余談ですがコスモ=REのイメージが強いのはワタシだけではないと思います。
ただ、1800VC/2000MA共に結構ワタシは乗りましたが意外に?と言うかREの影に隠れて目立ちませんがコスモや後発のルーチェ・レガートにも搭載されており排ガス規制適合エンジンながら同時期の同タイプであるトヨタ/日産の1.8/2L4気筒(トヨタ=16R-U/3T-U/18R-U、日産=L18)に比較してそれほどのパワー不足は感じさせすパンチのあるエンジンで決して軽くないコスモやレガートをそれほどのストレスを感じさせずに走らせてくれ感心した経験があります。
トヨタ/日産の似たような重量やそれ以下のマークⅡ4気筒(X30系)、コロナ(T120系)やカリーナ/セリカ(A40系)、ローレル4気筒(230系)にブル(610~810系)やスカイラインの1800(C110/210系)と較べ加速や登坂でのあのどうしょうもなく上がらない回転フィーリングとは違いアクセルの反応が良く勿論REや未対策には敵いませんが適合エンジンとしては及第点の乗り味を実現していました。
多分、ワタシが経験した4気筒のこのクラスのエンジンとしては三菱/ホンダを加えてもこれが一番パワフルだったように思います。

(77/7)
コスモに新ボディとなる『コスモL』が追加設定されます。(型式は従来型同様)
ネーミンングの”L”はランドゥウトップの頭文字を表し高級馬車の屋根形式から由来したもの。従来のコスモがファストバッククーペだったのに対しノッチバック形式を採用、特徴あるサイドビューがなくなり平凡な出で立ちながらルーフ後端をレザートップにし高級感を高めていました。
この『L』は北米市場からの強い要望で実現され国内市場にも発売、ノッチバック化や特徴的なL字型テールも一般的な横長デザインとされ地味な印象になり従来型の支持層よりは高い年代に訴求、Rrシートの居住性の向上もあり実用にも使える2ドアパーソナルとして売り出しましたがやはり最大の個性(サイドビューやLテール)が消えた事により人気は低迷、従来型のセンセーショナルさは微塵もなく最後まで地味なモデルでしたね~…。

↓新たなオーナー層を取込む為に追加されたランドゥ・トップの『コスモL』


尚、コスモLの追加を機に従来型は『コスモ・クーペ』とされています。
Lのラインナップはクーペにほぼ準じておりこれによりコスモシリーズはこの種のモデルとしては珍しいトヨタ真っ青のワイドバリェーション化がなされています。

↓コスモLのバリェーション



(77/9)
コスモ、Lの2000のみAPスステムを安定燃焼方式とし53年規制に適合(型式E-CD3MC)

(77/11)
117、MCにて3次後期型となります!
このMC、外観での大きな変更は76/12に発売されたギャランΛにより火がついた流行の角目4灯の顔に変更された点で(Rrは従来型を継承)個人的にはどう見ても丸目が似合う117でしたが兄弟のフローリアンまで同時に角目4灯になりそのとんでもないアンバランスさの前ではまだ117は見れる範疇、この時期は正に“猫も杓子も”角4採用の頃でしたから117やフローリアンをこれにしたいすゞ開発陣の気持ちは解りますがねー、つり合いってのを忘れていたような気がします(-_-;)
他にはFr/Rrバンパーへのラバー装着、モールやガーニッシュのブラックアウトが施され全体的に豪華かつスポーティな印象に変更。

また、117ファンには嬉しいモデルであるかつてのハードグレードだった『XG』が復活!
エンジンは既存XE同様のDOHC+ECGI130psながら待望の5MTミッションが組み合わされ他に減衰力可変ダンパーや4輪ディスク(Rrディスク化)、LSDが装備された本格派!“走りの117クーペ”が戻ってきました。

他に機構面のベースを廉価XTとしながらXE並の豪華装備を施した『XT-L』の新グレードも追加、また若向けのXC-Jには新デザインのディッシュタイプアルミホイールを履かせ更に米のマッスルカー、カマロやトランザムばりの派手なボンネットデカールを装着しよりヤング層により強くアピールしています。
この新XC-Jは当時のモーターショーで初めて見た時の記憶が鮮明です!
何せエレガントで落ち着いた117を原色の派手なカラーにした上、これまたド派手なデカールで武装、おおよそ117には似つかわしくないながらこれはこれでまた一つの方向性を伺わせており長期モデルにはこのような大改革も必要だな~ と子供心に強く感じたモノです(汗)

↓77/11、MCにより角目4灯となりガラリとFrの印象を変えた117後期3次モデル(XT-L)


この時のMCで大幅に変更されたのがインパネ!
69y発売以来の従来のモノはさすがに70年代も後半に入ったこの時期には時代に対応できずそれまでのイメージは継承しながらも全面新設計され懸案だったマルチレバーやフルエアミックスのエアコン装着がようやく叶っています。

↓新設計、全面リニューアルの77/11~の117インパネ


新設計のインパネは本物のロ-ズウッドを使用(XE/XC/XT-L)、従来通りの連メーターながらもスピード/タコ以外を角型とし新鮮なイメージが与えられエアコン装着も可能な吹き出し口が新設されていました。
尚、XEとXT-Lには新たに速度感応式パワーステアリングも装備。

(77/12)
コスモ、Lの1800とクーペ1800/2000が安定燃焼方式APにより53年規制適合(型式の排ガス規制区分がE-に変更)

(78/12)
117、最廉価版の1800XTのみを残してG180型エンジンを2Lにボアアップし換装、2000cccシリーズを『117☆☆(スター)』シリーズとします。
外観や仕様はほぼ従来型を継承、新たに搭載される2L(実際にはG180エンジンボア拡大ぎりぎりの容積で1945cc)エンジンは下記の通り。


G200型 2000cc 直4 OHC シングルキャブ115ps/16.0kgm
G200型 2000cc 直4 OHC ECGI 120ps/16.5kgm
G200型 2000cc 直4 DOHC ECGI 135ps/17.0kgm
※1800XTは従来型G180 110psを継続

2L化により5~10psのパワーアップがなされ最高峰のG200DOHCは同排気量、同メカニカルであるトヨタ18R-GEU
と肩を並べる2L 4気筒最高性能を誇るものとなっています!
2L化は排ガス対策による出力低下を補うための処置でこれによりエレガントなクーペは走りも向上!というイメージでしたが1800と2000、共にECGIでの乗り較べでの手元記事によると(ワタシは2000は未体験です)200ccのスケールアップは低回転時のトルク増大は感じるものの俊敏さや加速の体感は殆ど差はないとの事でした。

同時にI・CASは三元触媒の採用より53年規制に適合、型式をE-PA96としています。(1800は51年適合のまま)

↓遂に2Lとなった117☆☆=スター(78y☆☆XEと☆☆XG)


↓2L化された新エンジン『G200型(DOHC)』


↓☆☆となっても内外装や仕様変更はなし(78y☆☆XC-J)


(79/2)
117、1800XTも2000同様方式にて53年規制に適合、型式E-PA95となっています。

↓53年規制適合の1800XT


(79/3)
コスモ、REエンジン搭載車も順次53年規制に適合。
この適合にはややタイムラグが発生、12Aと13BのAT仕様のみがまず適合、遅れて13BのMTが適合しています。
この時に13Bは140psにパワーup、コスモLのみ販売が芳しくない12A搭載モデルがカタログ落ちとなりっています。型式はご多分に漏れずC-→E-に変更。

(79/9)
コスモ、初の大幅なMCを実施し後期型となります。
センセーショナルなデビューから約4年、さすがにNEWカーとしての商品寿命も人気も落ち販売台数はピークの76yから減少の一途で79yMC前で約1万台弱まで下がっしまいこれの回復に向けた大幅なテコ入れを施します。

お約束のFr/Rrの大幅な意匠変更に加えインパネも新設計、インテリアのデザインもイメージを一新しグレード名も一部変更し全体的に80年代に向けた新感覚が注入されています!

↓79/9~の後期型コスモクーペ(リミデッド)



↓同コスモL(2000SG)



新たなグレード名は最高峰『リミデッド』はそのままにこれ以下を『SE-GT/GT/SG-X/SG/ST』としこれまではREとレシプロでも同一グレードを名乗っていましたがこれを分けREがリミデッド~GT(LはGTの設定はなし)、レシプロがSG-X~ST(LはST設定なし)とされています。
何か日産とトヨタのグレード名を一部にパクってきたような感じですがこれによりグレード編成は解り易くなったのも事実。尚レシプロは1800がクーペ、L共にカタログ落ちしたため後期はRE13B型(140ps)と2000MA型(110ps)に整理、ミッションも4速は廃止されST/SG/GTは5MTのみ、他は5MT/3ATが用意されます。

エクステリアはあのいかつい丸目4灯と縦縞グリルから異形2灯式ライトに改められグリルは格子状のパターンとなり従来型から較べると柔和な表情になっています、テールに関してはLは従来型を継続、クーペは新デザインとなり特徴的だったLテールから横一線のスマートなデザインとされています。
後期のFr/Rrの印象は良く言えば都会的、現代的にはなりましたが前期型の強い個性は薄れ最後まで前期を上回る人気・販売は実現できませんでした…。

↓発売以来、クーペの一つの個性であったL字テールも廃され…


インテリアはセンスの良い上質さに80年代らしい現代的な要素も加え好感の持てるもの、インパネは豪華なイメージになりましたが横に連なる5連メーターは廃止、スピード~タコ間に集中させるこれまた80年代らしい雰囲気に一新されました。

(79/12)
117、新グレードとなる『ジョウジアーロ』並びに初のディーゼルエンジン(以下De)搭載モデルである『XD-L/XD』を追加します。

ジョウジアーロはこの車のデザイナー、J・アローに因んで新設されたものでXCをベースに主にインテリアをJ・アロー自らデザイン、本場イタリア・オートクチュールの感覚を生かしたファッショナブルなシートや内張り、インパネのデザインは斬新そのもでステアリングやアームレスト、シフトノブは本革巻とされ、外装ではフェンダーにさりげなく装着された《giugiaro》のオーナメントがこのモデルが“特別仕様”である事を語っていました。

↓79/12に追加された『117・ジョウジアーロ』


↓117・ジョウジアーロのインテリア


同時に追加されたDeモデルは2ドアクーペとしては我が国初のDe。
60年代のベレル/ベレットで初のDe乗用車用を発売しその後はDeトラックのエルフ(ガソリンも一部あり)が2t積みベストセラーになったいすゞだからこそDeのパイオニアオとして同社のイメージリーダー的存在の117に“似つかわしくない!”との意見を押しのけてデビューさせた肝入りのモデルであり先の77yにフローリアンに搭載した2LDeよりひと回り大きくパワフルな2200cc C223型 直4 73ps/14.2kgmを搭載、117の名に恥じない走りを実現するDeエンジンとして注目を集めました!
フローリアンDe同様にベースはエルフ用のDeながら乗用車用に様々な改良が施され騒音/振動の軽減に神経を集中、また、エンジン始動/停止方法も乗用独自とされ特に始動ではQOS(クイック・オン・システム)という予熱時間がほとんど要らないシステムも採用し完成度の高いDeクーペとして当初不安の付きまとった需要も一定の数を確保、80年には三菱のやはり2ドアHTである三菱ギャラン/エテルナΛにもDeが登場するという2ドアDeの道筋を付けてたモデルでした。

この117De、一度乗りましたがスペック以上の頼もしさはあり特にDeの特徴でもある低速トルク、粘りは運転しやすくイザという時の瞬発力も ~これ、De?~ と思わせる実力はあったと思います。
振動もあまり意識させないレベルに納まっており当時数多かったDeモデルの中でもさすがいすゞ!と思わせる出来栄えであった事は間違いないです。ただ…Deの宿命なので仕方ないですが高回転は当然引っ張れずすぐに頭打ち、最大トルクが出る4300rpmより遥かに低い回転域でもすぐに唸り「やかましい」以外の何物でもなくその音はエルフそのもの(汗)フローリアンや後発のジェミニやアスカなら許せてもやはり117のスタイルには違和感バリバリでしたねー…

↓Deエンジン2ドア初搭載となった117Deの『C223型ディーゼル」


尚、De搭載グレードのXD-LとXDは☆☆XT-L/XTに準じた内外装が与えられていました。

(80/1~)
117は次期モデルとなる『ピアッツァ』発売に向けたモデル末期に入り主に内装レベルを引き上げた『XD-L、XC-L、XE-L、ジウジアーロカスタム』等の特別限定モデルがが相次いでラインナップされます。

(80/3)
コスモ、東洋工業創立60年記念限定車として『リミデッド特別仕様』を追加します。

(81/6)
117は69yのデビュー以来、その基本スタイルの変更をせず通常のFMCサイクルの実に3倍12年の長寿を終え次期型となる『ピアッツァ(E-JR130型)』にバトンを渡し生廃の時を迎えます。

↓117後続となる81/6デビューの『ピアッツァ』


ただ、ピアッツァはスタイルこそ81年発売ながら90年代、いや、2000年代をも先取りしたような近未来的なものとなっていましたがシャーシは117を部分改良して採用、一部エンジンもキャリーオーバー、デザインも再びJ・アローが担当するなどかなり濃い117のDNAが受け継いでおりいすゞファン、旧117ファンを喜ばせるに充分なモデルだったと思います。

(81/9)
コスモも117には及ばないながらも6年の寿命を終えコスモ・スポーツを入れると3代目に充たる『E-HBS系コスモ』にFMCが施されCD系はお役御免となっています。

↓81/9にデビューした3代目コスモ


3代目コスモは同時にFMCした4代目ルーチェと統合され所謂“双子車”となりそれまでルーチェは4ドア(セダン/4HT)、コスモは2ドア(クーペ/L)と棲み分けされていたものが3代目コスモデビュー時こそクーペモデルのみだったところ翌月の81/10にはルーチェ4HTのリ・デザインモデルが追加されイメージが大きく変わりました。
この4HTデビューにより4ドアを持たないピアッツァとのライバル関係は終了したと考えていいでしょう。
もっとも81y当時はこれまで他車2ドアHTやクーペがエアコンの普及や乗降性の優位さから軒並み4HTに衣替えしていった時期、コスモもこれに倣ったもので相変わらず2ドアモデルで勝負するピアッツァは同じく4ドアを持たない新星トヨタソアラやセリカ、日産シルビア/ガゼール、後発の三菱スタリオンらがライバルとなりコスモもクーペならば競合車種になり得ましたが“ガチンコ”には程遠いかなり距離が離れた感があります!

依って117vsコスモのガチンコは75/10の2代目コスモのデビュー~81/6のピアッツァ登場の5年9カ月と勝手に判断させて頂きます(;^_^A

両車の販売台数はコスモが75年からCD系単独での統計がある80年迄で約15万台、117はコスモ登場以後(75yは1月~10月も含む)81y迄で約6万台で圧倒的に累計ではコスモの勝利ですがコスモはこの台数の7割ははデビュー2年で達成したもの、その後は117と互角の勝負でありデビューの旧い117が永年に渡りコンスタントな台数を出していたのに対しコスモはパッと咲きパッと散ったといった感じでしょうか…。


燃えろ!20世紀のガチンコライバル列伝!!!”117クーペvsコスモ… 完
Posted at 2016/11/07 21:37:37 | コメント(0) | トラックバック(0) | ライバル | クルマ

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