2022年05月08日
今朝、ドイツ語の資料のW111の220系の諸元表をなんとなく眺めていて
今更ながら幾つか気付いた事があります。
一つ目はシフトレバーの話。
Limousinen: Lenkrad- oder ab Okt. 1964 Mittelschaltung
って書いてあったんですよね。
つまり220b、220Sb、220SEbセダンのMTは
1964年10月まではコラムシフトのみだったという事なんですよね。
そう言われて、1962年版のオリジナルのパーツリストを見てみると、
確かに014(220SEbセダン)にはフロアシフトの設定が無いけれど、
1965年版のそれにはオプションとして設定がある事になっているので
これは間違いなさそうですね。
220系のセダンにフロアシフトを全く見掛けない事はないけれど、殆どがコラムシフトなので、
フロアシフトがオプション扱いなんだろうとは思っていましたが、
まさかそんな時期まで設定自体が無かったとは思いませんでした。
1964年の10月からって事はW111の220系セダンの終了時期を考えると
1年も無かった事になりますから数的には結構レアなオプションって事になるんでしょうね~。
二つ目はリアサスペンション。
Auf Wunsch ab Sommer 1963 Zusatzliche Luftfederung、、、
つまり1963年の夏から追加エアサスペンション?がオプション設定されたとあるのですよね。
一瞬ハイドロマート(二ボマート)の事かと思いましたけれども、
それならハイドロなんたら、と書いてありそうだと思い、
250系のそれを見てみた所、やっぱり
Hydropneumatischer Niveau-Ausgleich
つまり、ハイドロニューマチック車高補正装置となっているから、
それとは別の物である筈なんですよね。
ところが、パーツリスト上のスプリング&サスペンションの項目に、
これら用の追加エアサスペンションらしきものがどうしても見つけられません。
220時代のW111にはワゴンタイプの特装車は存在しない筈なので、
ひょっとしたら、同様の記述のあるW110の190cの
ボディ無しシャシーにはそれがあるのかも?と思って調べてみたのですが、
これのスプリング&サスペンションの項目にもそれらしきものは見付けられず。
但し、エンジンの項目の13番を開くとエアコンプレッサーという項目があり、
更にそこを開くと2枚目のピクチャにサスペンション用と思しきエアコンプレッサーが出てくるので、
スプリング&サスペンションの項目にエアサス絡みの物が出て来ないのは謎ですけど、
特装車用に追加エアサスペンションの設定があった可能性は高そうです。
Niveau-Ausgleichの文字はそこには書いてありませんでしたので、
恐らくそれは自動調整ではなく、ドライバーが任意にエアを送って、
必要な分だけリアの車高を上げる形だったのだろうなぁと思います。
(因みにW186、W189ではやはり自動ではないけれど
トーションバーを電気モーターで動かしてリアの車高を任意に上げる装置が装備されています)
んで、W111系のそれについては同時代同系の車種という事で
この本の著者がそちらにもそれの設定があると誤解して
書いちゃったものだろうなぁという気がします。
三つ目はですねぇ、先日ポントン系で書いたブレーキサーボの話です。
220bに関しては1963年の8月にブレーキが2系統式になる前までは
ブレーキサーボがオプションだったらしいです。
220Sb、220SEbセダンは1962年の4月からフロントがディスクブレーキ化するのですが、
その時点では差別されていた220bも
その2系統化のタイミングでようやくフロントディスクブレーキ化を果たすので
さすがにサーボをオプションのままにする訳にはいかなかったという事なんでしょうね。
これ絡みで面白いのはフロントのトレッドで
セダン系のトレッドが初期は2ドア系より狭かった事に気付き、
フロントアクスルは基本的に共通の筈なのに何故だろう?と思ったのですが、
よくよく見るとそれらがディスク化するタイミングで2ドア系と同じになっているので
どうやらドラムとディスクで12mmトレッドが違ってくるって事らしいです(笑)。
四つ目はステアリングのギヤ比の違いですね。
パワステの場合はW111の220系のそれは全車共通らしいのですが、
重ステの場合はセダン21.4:1に対してクーペ/カブリオレ22.7:1という感じで
2ドア系の方が軽いセッティングになっていたみたいです。
(因みに2ドア系の値はテクニカルデータブックでは22.8:1となっています)
2ドア系の方が車重が重いからなんでしょうけれども、
前軸重ってそんなに変わるのでしょうかね?
と、思ったので調べてみたのですが、
220SEbのセダンとクーペでは僅か10キロの差しかないので、
少なくとも220SEbセダンは22.7:1の方にすべきだったろうと思うのですけどねぇ。
と、220系の発見はここまでですが、
以上の項目の絡みでW112系を覗いた時に気付いたのは
私が最初からW112には標準で付いていると思い込んでいたリアアクスルのLSDは
どうやら最初からではなかったようで、1962年の3月から装備された物だったらしいことでした。
これは一寸検証出来ていませんけれども、
根拠もなく時期が書かれることは無かろうと思うので
ある程度信用してもイイのかなぁという気がしています。
ただ、必要な記述が抜けているのも見つけていまして、
本当はW112系も当初、ブレーキはシングルサーキットだったところを、
W111系にはわざわざ記してあった記述を端折って、
いきなりデュアルサーキットだと書いているのですよね。
実は二玄社の世界の自動車3のメルセデスベンツ戦後でも
『ブレーキはデュアルサーキットのサーボ付き全輪ディスク』と言い切ってしまっているので、
これは両書がベースにしている書物がひょっとすると同じなのかなぁ、、、
と思ったりしています。
昔はこの本、諸元表一つ取ってもチンプンカンプンなだけでしたが、
ほんの少しではあるものの、以前よりは知っているドイツ語の単語が増えている事で、
こうした発見があるのは面白いなぁ、、、と思っています。
Posted at 2022/05/08 20:18:46 | |
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