
偉大なる“UP! DOWN! 野郎たち”!!!
第32弾となる今回はついこないだまで可愛らしい丸目玉で街角を走りまわっていたながら最近は姿を見かける事も少なくなってきた93/9に発売された7代目となる『H31A・H32A/V・H36A・H37A/V型ミニカ』を取り上げます!
7代目H30系は先代20系がモデルライフ途中で軽規格が拡大された事により主にRrを水増しボディにし550cc→660cc換装という言わば「後付け」的新規格対応モデルとなっていましたがFMCにより当初からの新規格で設計されたのが特徴。
スタイリングは先々代10系のペキペキ直線基調を20系では直線を基調としながらもうねりある若干の丸味を加えた重厚ささえ感じるスタイルとなり2代続けてどちらかと言えば男性的なスタイリングだったミニカですが今回のMCでは完全丸味をベースとした女性的で事実、女性からの支持も高かった可愛らしく愛嬌のあるデザインとなりました!
歴代のミニカがそうであったように三菱の看板車種だったギャランを主として角→やや角→丸味というデザインテイストに変わっていったのに呼応した新デザインは歴代同様にトールボーイスタイルでルーフ部も丸みを持たせより居住性を拡大、単なる見た目だけではなく機能的にも“丸味の完全新規格ボディ”は優れモノでした。
先記のように主にRrハングの延長に留まっていた先代とは異なり許されたサイズをフルに居室スペースに振り分けた新設計新規格の車室スペースはボンネット型軽乗用(ボンバン含む)ではTOPクラスの広さを誇りH20系でも見られた軽自動車らしかぬ造りの良さに磨きそ一層かけ当時ワタクシも感嘆したものです。
特に後席の居住性は足元を含め“快適”と言えるレベルで1度コイツの3ドアセダンの後席に乗り150km位の旅に同乗した事がありますがその程度では何ら問題がなく寛げたのを憶えています。
↓可愛らしい丸味の効いたデザインがクラスNo1の車室空間も実現!(3ドアセダンPj前期型)
↓先代で好評のトッポはFr部分だけの変更(1:2セダンQ3前期型)
7代目登場時はやや下降気味になってきたとは言えまだバブルの頃(終焉期)、この為クルマそのものの造りは三菱らしく頑強であり内装の造りなども現代の軽自動車には見られないコストをかけた丁寧さも見られバリェーションも女性の支持が上がった事によりより充実拡大されています。
先代で“強烈ミニ”として話題だったDANGANシリーズもよりグレードアップしてラインアップ、“変わり種”として支持の高かったユニークなトッポもそのイメージを殆ど変えず(鼻先のみH30のデザインとし若干のホイールベース拡大というセミFMC的存在)健在、他に富士重のビストロシリーズが火を付けたレトロ感を強調する『タウンビー』や豪華モデル『アンティ』シリーズ、女性向け『グッピー』シリーズの設定などもあり幅広い車種展開が図られていました。
機構面でも上級車に採用された「ファジィ制御4AT」や世界最小の20バルブ4気筒エンジン(16バルブもあり)等、軽自動車としてはまさに贅沢すぎる装備や機構が奢られていました!
時代的に安全装備にも目が向けられABSやエアバック装着モデルやオプション設定も広く用意、充実装備としてエアコン設定モデル、キーレスエントリー装着モデルも幅広くラインナップされています。
尚、余談ですがCMキャラは浅野温子→石田ひかり(前期)→現イノッチ妻(瀬戸浅香=後期)に変更されています!!
それではH30系の車輛概要です。
(サイズ)
ミニカ:全長3295全幅1395高1475(以上mm、セダンPe)
トッポ:全長3295全幅1395高1695(以上mm、2WDセダンQ2)
(車重)
640kg=ミニカセダンPe 690kg=トッポ2WDセダンQ2
(定員)
1名(ミニカバン1シーター)、2名(ミニカバン/トッポバン2シーターのみ)、ミニカ&トッポセダン系4名
(エンジン)
3G83型水冷直3 2バルブOHC 660cc シングルキャブ40ps→搭載グレードは下記バリェーションに記載。
3G83型水冷直3 2バルブOHC 660cc 電子キャブ40ps
4A30型水冷直4 4バルブ(16バルブ)OHC 660cc 電子キャブ50ps
4A30型水冷直4 4バルブ(16バルブ)OHC 660cc ECIマルチ55ps
4A30型水冷直4 5バルブ(20バルブ)DOHC 660cc ECIマルチ I/C付ターボ64ps
(駆動)
FF/フルタイム4WD
(ミッション)
4速MT/5速MT/3速AT /4速AT
(脚回り)
Frストラット式独立懸架/Rr3リンク(2WD)5リンク(4WD)
(ボディ)
3ドアHBセダン/5ドアHBセダン(ミニカ乗用5ナンバー)・1:1セダン=左右1ドアながら非対称サイズ/1:2セダン=右2枚、1枚ドア(トッポ乗用5ナンバー)・3ドアバン(ミニカ&トッポ商用4ナンバー)
※トッポにはグレードにより標準ルーフ、ハイルーフが設定、サンルーフモデルもあり。
(バリェーション及び型式による搭載エンジン分類)
[型式H31A=3G83 電子キャブ40ps及び4A30全種搭載]ミニカセダン及びトッポセダン
ミニカ;Pe/Pf(3G83)Pg/Pj(4A30 50ps)ST/SR/PX(4A30 55ps)SR-Z(4A30 64ps)
トッポ:Q2/Q3(4A30 50ps)R/RC(4A30 55ps)RT(4A30 64ps)
[型式H32V=3G83 キャブ40ps搭載]ミニカバン及びトッポバン
ミニカバン:1シーター/2シーター/Ce/Cf
トッポバン:C(2シーター)/B/U/U2
[型式H36A=4A30全種搭載]ミニカセダン4WD及びトッポセダン4WD
ミニカ:Pg-4WD(55ps)ダンガン4(64ps)
トッポ:Q2-4WD(50ps)R-4WD(55ps)RT(64ps)
[型式H37V=3G83 キャブ40ps搭載]ミニカバン4WD及びトッポバン4WD
ミニカバン4WD:Cf-4WD
トッポバン4WD:U-4WD
上記を見ても解る通りのワイドバリェーションは先代H20系を整理しながら踏襲、3/5ドアに変わり種ワゴンタイプのトッポ、廉価版4ナンバー1シーターや女性向けに特化したモデルと世界最少660cc4気筒I/Cターボまで揃え幅広い層に対応しています。
先代ミニカのセダン(バン)にラインナップされていた4ドアの変形であった1:2ドア(パセリ)は売れ線でより多用途のトッポに受け継がれH30ミニカでは廃止されています。
注目なのは新搭載の4気筒エンジン!
既に92yに富士重のヴィヴィオが軽4気筒を実用化しており目新しさはないもののその滑らかなフィール、スムーズさと低振動は3気筒とは月とスッポンであり廉価版に従来からのキャリーオーバーにて3気筒の3G83OHCを残すものの先代で注目を集めた5バルブ方式やハイパワーI/Cタ-ボは全てこの4気筒4A30に移行、これ以後ダイハツも4気筒エンジンのミラを発売しかつては2気筒が主流だった軽自動車もついに4気筒がメジャーに!!という時期でもありました。
↓新開発4気筒となる4A30型(I/C付ターボ64ps)
↓廉価版に残された3G83型3気筒エンジン
またATも4気筒に合わせたかのように4速ファジィシフト(学習能力付AT)も上級グレードにラインナップ、軽自動車の一番の欠点である高速走行時の振動、騒音、燃費悪化を共に「4」が付くエンジンとATミッションで一気に解決するものとして期待を集めていました。
↓”4速AT化”を大々的にアピール!!
ワタクシは後期型ですがダンガンにて4ATは体験、H22Aのダンガンの荒々しさは薄れながらも絶対パワーはH31Aが優れしかも静粛でありATとの相性もさほど悪くはなく(と言いましてもMTと較べるとやはり体感パワーは若干劣る感じが個人的にはありました)ダンガン以外にも大幅に設定を増やしたパワステフィールも違和感のないものに仕上がりラクに、しかもパワフルにドライブができやかましさとしっくりしないハンドリングだったH22Aを格段に超えたミニカorダンガンであったと思います!
↓初期型ではI/Cターボでも2駆であると『ダンガン』ではなく新グレードの『SR-Z』とされていました(㊦)
インパネデザインもこの時期の上級ギャランやエテルナ、ランサーとデザインテイストを共通化する流れるようなうねるデザイン、ワタクシ個人的にはこのデザインはあまり好きになれず外観に併せて女性的ではありましたが先代の頃のデザインに魅力を感じました、ギャラン等もそうですがE30やH20時代の方が男性的で力強いデザインで個性もありより三菱車らしいかな!と。。。
↓Pjのインパネ
↓先代同様の広大なヘッドスペースが魅力のトッポのインパネ(Q3)
それではH30系のモデル改歴に移ります。(主要のみ)
(94/2)
トッポに特別限定としてQ2-4WDをベースに背面タイヤ、グリルガード等三菱お得意のRV風味を醸し出した『カラボス』を追加、フルタイム4駆(型式H36A)、ボディは1:2ドア、4A30 50psを搭載し3AT/5MTの2種。
(94/5)
ミニカに特別限定のお買い得女性向け『グッピー』を追加、3/5ドアセダン、4A30 50ps搭載、FF/4WDを3AT/5MTでそれぞれ組み合わされたワイドなラインナップ(型式FF H31A 4駆H36A)
(94/10)
トッポ、5ナンバー乗用グレードは全て1:2ドアに統一。また、Q2をベースに専用色、ハイルーフやパワーウィンドゥ、分割Rrシート等装備充実がなされた限定車『ビックトイ』をFF(H31A)と4WD(H36A)の2種に設定、エンジンは4A30 50psで3AT/5MTをチョイス可能としていました。
(95/1)
ミニカ、特別限定枠で『パルフェ』(H31A)追加。FF 4A30 50ps 3ドアセダンのみで3AT/5MTを設定。
(95/5)
トッポに限定枠として『Q坊』を設定(H31A)FFのみで3AT/5MT。Q坊はQ2をベースにツートンカラーを採用、UVカットガラス、パワーウインドウ、CDチェンジャー、分割Rr可倒シート等、装備充実としたモデル。
また、ミニカに再度『グッピー』を限定発売(内容は前回グッピー同様)
(95/11)
ミニカ/トッポ共に一部変更、車種編成の見直しと安全対策(ABS/エアバック標準装備拡大)が施されます。
ミニカにはそれまで4WD 5MTモデルのみだったダンガン(4)にFF(型式H31A)モデルもラインナップ、5MTのみならず4ATも設定されています、これに譲りSR-Zが廃版、実際はSR-Z→ダンガンへの名称変更です。
特別仕様車としてミニカにお馴染『グッピー』『ライラ(バングレード)』が、トッポに『カラボス』『マーブル』がラインナップしています。
(96/1)
ミニカに『パルフェ』を再度限定枠で設定。
(96/5)
ミニカに『ヴォイス』『グッピー』『アンティ』を限定枠で設定、ヴォイスは3G83を搭載しながら装備充実がなされたお買い得モデルでFF(H32A)と4WD(H37A)をラインアップしミッションは4MT/3Aとなっていました。
グッピーは三度の設定で前回同一の内容、アンティはグッピーをより装備充実させたものでFF/4WD(H31A/H36A)、3AT/5MTという内容。
トッポに『Q坊』を再度限定枠で設定(内容前回と同一)また、『アミスタ』を新規で限定発売していますがアミスタはQ坊のグレードダウンタイプでエンジンやミッションチョイスはQ坊に倣っています。
(97/1)
ミニカ、トッポ共にスバル・ヴィヴィオ(ビストロ)が火を付け人気となったアンティーク調をまとう『タウンビー』シリーズが追加設定されました。
↓ミニカ・タウンビー(5ドアFr/3ドアRr)
↓ミニカ・タウンビーのインパネ&インテリア
タウンビーはヴィヴィオ・ビストロがヴィヴィオをベースにアンティークかつ豪華な施しをし軽自動車らしかぬお洒落さをアピールし爆発的な大人気を博しこれを黙って見てられないライバルメーカーも競ってベースモデルをビストロに倣いそれと同趣向化したモデルで三菱の対ビストロ戦略車種でした。
この“アンティーク調”は一時ブーム化、他ライバルのダイハツ、スズキは勿論の事、普通車コンパクト市場にも飛び火しマーチやスターレット、ミラージュや本家富士重のインプレッサ等でもラインナップされ女性や高齢者を主体にした販売がなされ好評でした!
ワタクシは個人的にパイオニアであるビストロ以外はどれも二番煎じで好感の持てるモノではなくビストロはベースのヴィヴィオに気品あるアンティーク感がうまく調和し違和感なく見れるモデルながらその他はどれも取って付けたような古臭い顔付やオーバーデコレーションで気品より“下品”といった感がどうしても強くビストロ以外オリジナルを上回る見栄えを感じる事はなかったですねー、まっ、それでも各社のこの種のモデルは一定の人気を得て販売も好調でしたのでそこまで辛口に論ずる事はないのかもですが…(汗)
ミニカ・タウンビー(トッポ・タウンビーも含む)もビストロの気品は感じられず好評ながらゴテゴテとした外観がオリジナルの可愛らしさを崩してしまった感があり好感持てませんでしたが木目を使い高級感が高まりより質感の上質さが醸し出されたシート、インテリア等はそれなりに存在価値はあったのかな?と思います。
トッポのタウンビーではライトがカエルのように飛び出ていて“出目金”の愛称でそれなりに好評だったようですがこれはワタクシちょっと勘弁って感じの顔付、これが人気あると知った時は自分の美的センスを疑い哀しみました(;^_^A
↓トッポ・タウンビー(Fr/Rr)
↓トッポ・タウンビーのインパネ&インテリア
タウンビーシリーズは廉価モデルに3G83型エンジンを搭載、上級として4A30型55psも設定されミニカタウンビーはFFのみ、トッポタウンビーはFF/4WDが設定されこれに3AT/5MTが組み合わされていました。
(97/9)
ミニカ、トッポ共にMCを受け後期型となります!
主な変更点は教科書通りのFrフェイスリフトとテールランプの変更、一部グレードの見直しと車種編成整理並びにより安全装備の充実等となっています。
↓MCで後期型となったミニカ(㊤ダンガン㊥同インパネ&インテリア㊦ダンガン4)
↓後期型トッポ(Q3)
後期型はFrフェイスに大型グリルを採用、テールも新意匠のレンズになりましたがFrはいかつさ、迫力は増すも丸味ある愛らしいスタイルには小型グリルの方がどう見ても似合っていた感じがしワタクシなど後期顔見るとあの“仮面ライダーV3”を思い出してしまう、それほどいかついイメージがあります(笑)
ダンガンやSR系スポーツモデルはともかく気のせいか後期型はやはり女性ユーザーが乗っている姿、前期に較べ見かけなかったような(独断ですが。。。)
搭載エンジンや主要機構に変更はありませんでした。
↓後期型ミニカの一部バリェーション
(㊤バン2シター㊥㊤バンライラと同室内㊥㊦セダングッピー㊦パルフェと同室内)
後期型トッポの全バリェーション(タウンビー、限定特別仕様をを除く)
(97/10)
ミニカ、トッポ共にタウンビーにより上質装備、意匠を与えた『タウンビーⅡ』を追加設定、従来型ミニカタウンビーに4WDモデルを、トッポタウンビーに4ナンバーのパネルバン『暗窓バン』を設定しています。
(98/10)
軽自動車3度目の規格改正がなされ排気量は660ccそのままに全長3400mm未満、幅1480㎜未満までサイズ拡大が許される事となりこれに呼応しミニカは現在の新規格サイズにFMC、8代目で最終型となってしまった『H42A/V・H47A/V型』となりました。
8代目H40系はこの後に三菱自動車に起きた前代未聞の醜態もありミニカに限らずFMCなど出来る状況ではなくなり異例の長寿モデルとなり本年2011/6迄生産、実に12年8カ月というミニカ史上最長寿モデル。
また、62/10の初代LA型から実に49年近くに渡り親しまれた“ミニカ”の惜しくも最終モデルとなったのは承知の事実ですね!
↓98/10に登場した最終型8代目H4系ミニカ
8代目ではミニカトッポは別車種の新規格モデルであるトッポBJに発展、シャーシや多くのパーツは共用しますが『ミニカ』の冠は取れあくまでメーカーも“別車種”として扱っていたのもあり次回ではトッポBJの説明は省きます。
H30系はバブルの余韻もありH2系を発展させた丁寧かつ造りの良さと幅広いバリェーション展開が劫を奏しH20系を上回る人気、販売台数を上げましたが次期型H4系発売時には既に軽自動車界はワゴンRやこれに続くダイハツムーブからなる“ハイト系”が主流となり旧来型のボンネットタイプのセダンは一線を退からざるを得ませんでした、ミニカはもちろんこれまで軽自動車界をリードしていきたミラ、アルト、ヴィヴィオも含めて存在感が薄れゆく中、最終ミニカの人(車)生はいかに!!
(次回8代目H42A/V・H47A/V型に続く)