“華麗なる一発屋!!!”、第31弾は正に一発屋お得意メーカーの一発屋らしい一発屋?の『A101S/A111Sダイハツ・アプローズ』を取り上げます!
“アプローズ”=拍手、喝采という意味ですが後に不幸な火災事故が発生し『喝采どころか火災』と揶揄されたのはあまりにも有名な話、まだ三菱のリコール騒ぎの以前、マスコミに徹底的にたたかれたのも思い出されます…
そのせいかこのクルマを思うととにかく~リコール~という文字がつきまとう、そんな風に思われる方も多いのではないでしょうか…?
アプローズはまだまだバブルの盛りであった89/7に発売、バブル期でイケイケの時代でしたから親会社のトヨタより独自開発のOKが出て87年に生産中止したシャルマンの後を継ぐダイハツのフラッグシップとして発売されました!
ご承知の通り親会社の意向もあり軽自動車とコンパクトカー専業メーカーとして生きるダイハツには長い間小型クラスの自社開発は許されず上級車種を望むダイハツユーザー向けにはカローラ(20系、70系)をベースにしたシャルマンが長い事存在しましたが87年の時点で79年発売の70カローラベースの2代目シャルマンがさすがに旧態化し商品価値を失い生廃、その後を受けたのがアプローズで77年のシヤレード以来の完全自社開発車の為かなり気合を入れたモデルに仕上がっていました!!
89/7、ダイハツフラッグシップとして登場したアプローズ(前期型)
↓インパネ
↓新開発1.6L HD-E型エンジン
アプローズの最大の特徴は『スーパーリッド』と言われる一見何の変哲もない3BOXセダンに見えながら実は5ドア(HB)というボディ形態でしょう…
ヨーロッパでは人気がある5ドアセダン、まだステーションワゴンが一般的でなかった60/70年代からその使い勝手の良さから日本でも数ある車種に採用されながら何故か売れない5ドア車、ダイハツはその売れない原因がスタイルにあると判断、それまでの5ドア=セミファストバックスタイルを改め外見上は保守的な3BOXセダンとして抵抗を和らげるという意欲作になりもちろんこの形式は後にも先にも国内ではアプローズが唯一のモノでした!
ラゲッジ拡大は後席座面を跳ね上げシートバックを倒すライトバン形式のモノでセダン形式のため当然高さ的には広がりないもののそのスペースは広大で当時クラス最大のラゲッジルームを誇ったものでした。
↓“スーパーリッド”が最大の武器!!
このアプローズ、後輩がダイハツの営業やっており乗る事多かったですがこのスーパーリッドは斬新だったと思います、スタイルはともかくとして見かけは見慣れたセダンで実は使いやすいHBの良さを持つというパッケージングは面白味もあり申し訳ないですがこれがダイハツでなければそれなりに普及したのでは?なんて思えます、ダイハツだからこそ『ゲテ物』扱いされてしまいましたが保守的ユーザーにはそれなりに魅力あるものだと思いますし。。。
さて、アプロースの概要ですがダイハツ最上級でもサイズ的にはカローラやサニー等大衆車クラス、駆動は基本のFFに加えLSD付センターデフ方式の4WDもラインナップ、当時脚光を浴びてたセダン4駆もしっかりラインナップしていました。
エンジンは専用に開発された(ベースはシャレードのHE型)HD-E型OHC1.6L 16バルブでEFI120psと1キャブ97psの二つのチューンを設定、脚廻りはALLストラットの4独。
アプローズ、乗り味は可もなく不可もないい意味“フツーの車”という表現がピッタリで驚くような動力性能も目を見張るスタイルでもない代り誰が乗っても安心して普通に転がせファミリーユースもシツなくこなす、そんなクルマだと思います。
ただ…出た時期が89年という世はまさに第三次ハイパワーブームの真っ只中でありR32GT-Rを代表とし他にスープラターボA、レガシィRS/GTやギャランVR-4、パルサーGT-iR等と当時は各社高性能ウェポンに躍起になっている時代にごく“フツーのクルマ”を出したダイハツの良心は理解できるも注目度、話題性は殆ど無かったですね~。
不運だったのはこのクルマ、発売直後にAT/オルタネーターでリコールが届出されたのを起点にガソリンタンクの不具合も発覚、不幸な事に気圧が保たれず給油時に逆流噴出した燃料に火がついてしまい火災発生という最悪な事故が発生、この事から一気にアプローズ=欠陥車の烙印が押されてしまい元々地味なこのクルマの販売に非常に足かせとなってしまいました。
そんな不幸な出来事の中、イメージを変えようとしたのか車名にθをプラスして『アプローズθ』と90/10から名乗りエンジンをEFI 120psに統一します。
↓90/10~92/7までは『アプローズθ』と名乗ります!
92/7に初のマイチェン、お決まりの前後デザインの変更とネーミングを再び『アプローズ』に戻し94/4、エアバック等安全対策を行いこの時4WDを廃止します。
この中期型は5年に渡り生存したアプローズの中での最長寿命を誇るモノでマイチェン時は多少スポーティな外観イメージに振る等の改良がなされましたがこれによるイメージUPはなされませんでした~。
92/7~97/8の長期に渡り存在した中期型
97/9、世間的には「まだあったの?」的なアプローズ、この時点で8年経過の旧態車でしたがこれでも再度のマイチェンを行い寿命更新をします。
このマイチェンではダイハツのフラッグシップらしくかつてのシャルマンのように車格以上の不必要な高級感が与えられ地味ながら車格にマッチし好感の持てたマイチェン前のモデルに対しキンキラ悪趣味的外観となりインパネも金襴豪華なモノに変更されています、車種整理も行われ2グレードにまとめています。
ボディカラーや意匠を車格以上の高級感で飾った最終型(97/9~00/5)
インパネも高級仕様に変更
しかしこのマイチェンにも何ら効果はなく3年もたずに2000/5、遂にアプローズはようやく?やっと?製廃の時を迎えます…
売れないながら弱小メーカーの常でフルチェンできず結果的に11年の長期に渡り存在したアプローズ、発売直後のリコール発生や不幸な事故によりその生涯は最後までネガティブなイメージでしか世間には受け入れら得なかった悲運なモデル、クルマの出来としては決して悪くはなくアイディアやコンセプトは斬新でしたが火災→マスコミのネガティブキャンペーンの影響から『華麗』とは裏腹の『悲運NO.1の一発屋!!!』として認定しちゃいます(;^_^A
尚ダイハツフラッグシップとして立位置的にアプローズ後続は『アルティス』となりますがこれは完全にトヨタ・カムリグラシアのバッジ違いのモデルであり勿論トヨタが開発したもの、よってアプローズとの車的脈略は全くなく先記のように前任シャルマンとの脈略もない事からアプローズは立派な『一発屋』ですネ!
↓アプローズ後続はカムリ双子の『アルティス』
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一発屋 | クルマ
Posted at
2016/11/06 17:20:19